六陵冬青叫杜鵑
行人回頭望断煙
千秋万世恨無極
白髪孤燈続旧編

水滸後伝

    『水滸後伝』は、明末清初の文人・陳忱によって書かれた『水滸伝』の後日談。前作(水滸伝)の結末で生き残った好漢達に彼らの息子達、そして欒廷玉・扈成・聞参謀・王進ら前作では敵役だった面々が、悪官汚吏や金国を向こうに回しての大立ち回り、ついにはシャム国に勢揃いして一同栄華に浴するという、胸のすく一編。全四十回。
    陳忱は太湖の南、南潯の人。字は遐心または敬夫、号は雁宕山樵。科挙や仕官の記録はないが、優れた詩人であったらしい。世はまさに異民族王朝の清が明を滅ぼした頃、彼ら文人はグループを結成しその悲憤を詩に託して発表していた。だが清朝の弾圧により解散を余儀なくされ、警戒の目をくぐりながら詩作を続けていたようだ。そしてこの『水滸後伝』もその中で書かれた。これも異民族王朝である金が北宋を滅ぼしたころに時代設定されている本作は、彼の生きている現実の世界を意識して書かれたに違いない。
    本作は、前作の百回本を元にして書かれている。末尾近く、混江竜李俊がのちに外海に乗り出してシャム国の王となったという記述を手がかりとし、前作に登場した人物を自由に活躍させている。本作が曲亭馬琴(滝沢馬琴という表記は正しくない。なぜなら、本名の姓「滝沢」とペンネーム「馬琴」を一緒くたに呼んでいるから)の名作『椿説弓張月』の琉球パートの元になったというのはあまりにも有名。これはそれだけ本作が優れていることの証明でもある。百回本が元ということは、孫安とか喬道清とか、何より瓊英とその息子が出てこないのが惜しいところか。

序盤のお話

水滸後伝紳士録1(英傑編)

水滸後伝紳士録2(民間人編)

水滸後伝紳士録3(貴人・官人編)

水滸後伝紳士録4(外国編)

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