序盤のお話

    宋江らが亡くなり、梁山泊の生き残りも、ある者は宋に仕え、またある者はそれを嫌って野に下り、時は流れた。阮三兄弟の生き残り、末弟の活閻羅阮小七は官職を授かったものの酒の毎日、ついに讒言のため官職をはがれてしまう。しかし彼は好都合とばかりに、老母と共に故郷の石碣村に帰って元どおり漁師となっていた。四月のある日、昔を懐かしんで梁山泊忠義堂で酒を飲んでいたところ、そこへ済州の張通判がやってきた。金品があればくすね、誰かいれば謀反の疑いで逮捕してしまおうという心積もり。彼はかつて梁山泊へ帰順を勧めにきた一行に入っており、勅封の御酒を持ってきたが阮小七に地酒にすりかえられてしまった人物。両者はたちまちいさかいとなり、結局阮小七は彼を殺してしまい、老母と共に逃亡する。
    その途上、彼はかつて敵として会いまみえた祝家荘の飛天夜叉扈成(一丈青扈三娘の兄)と出会う。彼は李逵による祝家荘殺戮を逃れた後、海上貿易に携わったが、海難に遭い、さらに残った品物も奪われて一文無しになっていた。二人は近くの酒家に入ったが、そこは登州城外の十里牌、毋大虫顧大嫂の店。彼女は、扈成の荷を奪ったのは毛仲義の息子の毛豸と教える。そこで彼らは顧大嫂の夫の小尉達孫新、そして登雲山に舞い戻って再び盗賊稼業の独角竜鄒潤とともに毛豸を襲撃、登雲山へと逃げ込む。これで登州城内にいた孫新の兄、病尉達孫立が捕まってしまい、さらに登州知事楊戡(楊晉戈の弟)は登雲山へ都統制の欒廷玉を差し向ける。しかし、彼の弟子だった扈成の策で孫立は救い出され、楊戡は死亡。行き場のなくなった欒廷玉は扈成の説得で仲間に加わり、登雲山の主席の座につく。

    ある日、登雲山下を鬼瞼児杜興が荷駄を率いて通りかかる。主人の撲天周鳥李応は再び独竜岡で商売を始め、繁盛しているとのこと。孫立は、妻の弟である鉄叫子楽和に手紙をことづけてほしいと頼む。楽和は東京の王都尉に仕えているので、杜興は彼のもとを訪ねるが、いきなり捕らえられてしまう。楽和は孫立の義理の弟、つまり賊徒の一族なので、彼を訪ねた杜興は怪しまれたのだ。孫立の手紙を持っていたことが決定的となり、あわや死罪というところ、大金をばらまいたおかげで流罪ですむ。ちなみに楽和はすでに逃亡した後だった。
    お金のおかげで、杜興は流罪先の彰徳府でも楽に過ごせた。典獄の老人李煥には特に目をかけてもらう。そんなある日、彼は監獄の前の酒家で錦豹子楊林に会う。彼は鉄面孔目裴宣と飲馬川で盗賊をやっていた。二人はその場は別れる。さて典獄には趙玉娥という妾がいたが、これが例によって男好き、東京から来た馮舎人(童貫配下の禁軍参謀馮彪の息子)とたちまちねんごろ、ついに現場を彼に見つかって殺してしまう。杜興は事の真相を知ると楊林に相談し、楊林は裴宣と共に、東京に帰る途中の馮舎人と玉娥を殺害、仇を取る。
    杜興は楊林と共に李応を迎えに行くが、彼はすでに捕らえられた後。馮舎人の従者が楊林と杜興が酒家で会っていたのを知っていたので、舎人の父の馮彪が李応を捕らえたのだ。二人は、道中に会った一枝花蔡慶の助けで李応を救出、追ってきた馮彪を返り討ちにして飲馬川へ逃れる。裴宣は主席の座を李応に譲る。
    蔡慶は北京に家族を残しているので彼らのもとを辞す。その途上、何と混世魔王樊瑞が法術合戦を繰り広げているのに出くわす。その夜旧交を温めていたところ、蔡慶が馮彪を殺害した現場にいたことを知っていたものがいて、それでは道士のほうは公孫勝だということになり、二人に捕り手が差し向けられるが、樊瑞と蔡慶は土遁を借りて逃げおおせ、二人は蔡慶の家族と共に飲馬川へ身を寄せる。
入雲竜公孫勝と神機軍師朱武は二仙山で日々道業。しかし、樊瑞を公孫勝と間違えられていたため彼らのもとに捕り手がやってくる。二人はわけを知るため飲馬川を訪ね、樊瑞から一部始終を聞き、そのまま飲馬川に新しい庵を結ぶ。

    楽和は、かつて同僚だった柳という者をたずねて江南は建康へとやってきていた。そこで、今は亡き小李広花栄の一族が難に遭っているのを見、その機知でこれを助け、杭州へ船で下る。その途中、太湖付近で水賊に出会うが、それは出洞蛟童威だった。話によると、混江竜李俊は当地の有力者といさかいを起こし、捕らえられてしまったとのこと。そこで楽和は一計を案じて李俊をたちまち救い出し、悪党たちをこらしめ、彼らの財産を民に分け与えることを約束させる。その夜、李俊は夢の中で黄巾力士に連れられて星主宋公明に会う。彼の言葉により李俊は、この地を去り海外に落ち着こうとみなに提案し、賛同を得る。そして海船を奪い、外海に乗り出す。かつて浪裏白跳張順の配下だった許義という男を水先案内として加え、途中現れた鯨に対しては、花栄の子・逢春がその目を射抜くという父譲りの弓技の冴えを見せてみなの喝采を博すなどの出来事があり、やがてシャム国辺境の清水澳へ到着する。李俊は、自分たちは宋朝から鎮護のために遣わされたと称してそこに住み着き、近くの金鼇島に住む暴虐な沙竜という者を滅ぼしてそちらに本拠を移す。するとシャム国より討伐軍がやってきたので、これを壊滅させ、反対にシャム城下へ押し寄せた。シャム王は降伏、娘の玉芝公主を花逢春に娶わせたいと申し出る。李俊は花逢春の意向を聞いた上でこれを了承する。かくて盛大な婚礼の儀が執り行われた。それが落ち着いたある日、清水澳付近に難破船が漂着する。この船に乗っていた人物の中に、李俊はかつての仲間をみつけた・・・。

これ以降は原作で、ぜひ。



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