[水滸後伝紳士録1(英傑編)]

こいつら紳士じゃない、と御思いの方も多数あろうと思いますが・・・「前作よりはちょっと」皆さん、紳士です。

名 前 綽 名 登場回 備考
阮小七 活閻羅 水滸後伝の幕開けとなる騒ぎをやらかす好漢。梁山泊に上って昔を懐かしんでいる所を張幹弁に邪魔されて騒ぎを起こし、ついにこれを殺して老母と共に逃亡、登州へたどり着く。ここで彼は扈成、そして顧大嫂や孫新、鄒潤に出会い、再び世を騒がせることになった。
扈成 飛天夜叉 一丈青扈三娘の兄。李逵による扈家荘虐殺を逃れ、貿易業を営んでいたが、悪徳商人毛豸に積み荷を強奪され、一文無しになったところを阮小七と出会う。船乗りをしたせいか、老け顔になったらしく、杜興も一目で見分けがつかなかった。武芸者だが、ここでは知恵者として描かれ、登雲山では軍師として活躍。
顧大嫂 毋大虫 夫の孫新と共に、かつてのように登州城外の十里牌で酒屋を営んでいた。
孫新 小尉達 顧大嫂の夫。としか言いようの無い人。
鄒潤 独角竜 登雲山に帰り、再び盗賊となっていた。扈成の恥を雪ぐため毛豸を襲撃する。そののち欒廷玉・孫立・阮小七らに席をゆずる。
欒廷玉 鉄棒 前作では確か死んだはずだが(駒田信二訳百二十回版では)、奇跡のカムバック。かつての祝家荘武芸師範。鉄棒の達人で、扈成の師匠。登州統制使だったが、扈成の説得によってその仲間に加わり、登雲山塞の首席につく。
孫立 病尉達 職を辞して慎ましく暮らしていたが、孫新・顧大嫂らの一件で捕らえられてしまう。立派な武人だが、状況に流されるタイプ。
杜興 鬼瞼児 相変わらず李応の右腕として働いている。太ったらしく、鬼の面相はなくなったと扈成に言われる。登雲山で楽和への手紙をことづかったばかりに捕まって彰徳府へ流罪となる。
楊林 錦豹子 官職を返上して裴宣と飲馬川で暮らしていた。杜興と酒場で出会い、彼の恩人の典獄の仇討ちに力を貸し、また後に燕青の旅に同行するなど、なかなか活躍する人物。
蔡慶 一枝花 元北京の首切り役人だったが、兄が亡くなったこともあり、庶民となった。無一文になり凌州のおじを頼っていく途中楊林・杜興に出会う。
李応 撲天周鳥 役人仕事は性に合わないと、杜興とともに再び商売を始める。彼は天富星のためたちまち元通りの富豪になってしまった。杜興の仇討ちがばれて捕まるが、ひどい目に遭わされないのはひとえに金持ちだから。楊林・蔡慶に救われ、飲馬川に身を寄せる。
裴宣 鉄面孔目 官職を返上、かつてケ飛・孟康と暮らしていた河北の飲馬川に楊林と共に帰っていた。ここが再び好漢達の集うところとなり、金軍を向こうに回して激戦を繰り広げることになる。
樊瑞 混世魔王 仙道修行の毎日。とあるところで五雷正法を授かり、公孫勝を訪ねる途中、虎峪寨で郭京と法術合戦をし、楽勝。しかし郭京からは公孫勝に間違われる。そのせいか、その後は法術を使わず専ら刀を持って斬りこむことに専念。
公孫勝 入雲竜 師の羅真人はすでに羽化し、弟子の朱武と修行の毎日。そこへ、樊瑞を公孫勝と思いこんだ郭京によって捕り手が差し向けられる。訳が解らない二人は飲馬川に赴き、李応と樊瑞に訳を聞き納得、李応の勧めでそのまま飲馬川に庵を結ぶ。今回も彼の法術は冴え渡る。
朱武 神機軍師 公孫勝に弟子入りして道術を学んでいた。しかし戦と聞くと策を考え出さずにはいられないのは性というものか。しかし今回は燕青の頭の冴えが尋常じゃないので、やっぱり目立てない。
楽和 鉄叫子 東京で王都尉に御伽衆として仕えていたが、登州での騒ぎを聞き、累が及んでは大変と逃走。建康で花家の危機を見、その機知で救う。李俊と合流後は彼の軍師役となって大活躍。
花逢春 今は亡き花栄の息子。郭京(<好色の道士)が見とれる美形、父を彷彿とさせる弓の腕前と、非の打ち所のない若者。シャム国の公主の婿になる。
童威 出洞蛟 太湖へ逃れてきた楽和と花家の一行にばったり出会う。李俊が捕らえられたことで、その身代金を工面しようとしていたところだった。
李俊 混江竜 前回、宋江の元を辞した後、義兄弟達と太湖でのんびり暮らしていたが、悪吏に出会ってこれをやっつけ、また夢の中で宋江に会ったことにより外海へと乗り出し、金鼇島を攻略してそこに住みつく。
童猛 翻江蜃 李俊の片腕たる童兄弟の弟。通常は兄弟揃って行動する。
費保 赤鬚竜 前作で、李俊と義兄弟の契りを結んだ四人。方臘討伐の後、李俊は彼らの住む楡柳荘へ身を寄せていた。費保が彼ら四人のリーダー。倪雲と高青は慎重で、狄成は肝は据わってるが向こう見ず。李俊が捕まったのもほとんど狄成のせいで、そのせいか、彼はシャム国攻略でも一人留守番。
倪雲 捲毛虎
高青 太湖蛟
狄成 痩瞼熊
安道全 神医 十三 典医として働いていた。高麗からの帰りに船が難破して金鼇島へと流れ着き、李俊に救われる。東京に戻ったのち同僚の妬みにより罪を着せられ、逃亡。宿太尉に逃がしてもらい、聞煥章にかくまわれるなど恵まれた逃亡生活を送る。
蕭譲 聖手書生 蔡京の下で宮仕え。安道全や金大堅と同居していた。安道全が逃亡したことで捕らえられ、沙門島に流罪となる。途中聞煥章の家で安道全に再会し、登雲山のふもとでかつての仲間達に救出される。
金大堅 玉臂匠 内府御宝監の職にあった。難に巻き込まれるのは上に同じ。なんか彼らは前作でもそうだが二人でワンセット(笑)。流罪の間、聞煥章に彼らの家族を引き取り面倒を見てもらうことになる。
聞煥章 十四 かつて梁山泊征討軍の参謀を務めた人。そのため、もと梁山泊の面々からは聞参謀と呼ばれる。今は塾の先生。いいところに嫁がせたいと思っている一人娘がいるが、はや二十四歳。大切なのは解るが、この時代、この歳で独身というのはちょっとかわいそうだぞ、参謀。のちに李俊の妃になったからいいけど。
戴宗 神行太保 道士として静かに暮らしていたが、神行法を持っているばっかりに童貫によって都統制に任じられ、遼との戦の伝令使として駆り出される。いやいやながらも、事が終われば東岳廟の提点にしてもらえるというので従うが、そのことで夢の中で李逵にどやされたりする。
蒋敬 神算子 十五 行商人として各地を転々としている。江水で身ぐるみはがれてしまい、穆春と共に復仇、逃亡。
穆春 小遮 十六 綽名の「らん」の字は正しくは手偏。故郷に帰り、相変わらずの放蕩三昧。身ぐるみはがれた蒋敬の恨みを晴らし、さらに個人的な恨みで人を殺して共に逃避行に。今作中もっとも躊躇なく人殺しに走るヒト。兄がいなくなって歯止めが利かなくなったようだ。
黄信 鎮三山 十八 青州統制使に就いていたが、扈成の策によって前作の秦明のような目に遭い、仲間になってしまう。
呼延灼 双鞭 十九 近衛の兵馬指揮使の職に就いていた。梁太監配下の十将の一人として河水河畔で金軍を迎え撃つが、味方の裏切りによって大敗、二人の息子と共に決死の逃走劇を繰り広げる。楊林に出会い、飲馬川へ身を寄せる。
呼延金玉 こえんぎょく。(斜体字は一文字。金へんに、つくりは玉。分けて読むのは厳禁なり)呼延灼の息子で、登場時十七歳。父と同じく双鞭を使いこなす。玉英という妹がいる。
徐晟 じょせい。金鎗手徐寧の遺児。十六歳で、ここのメンバー中最年少。呼延灼の養子となる。金鎗使い。それにしても、「晟」の字が辞書にあるとはおもわなんだ。
王進 もと八十万禁軍師範。梁太監配下の十将の一人。敗走の途中、金の服装を纏っていた燕青と楊林を捕まえ、斬ってしまおうとするが、燕青に反論されて謝ってしまう。
朱仝 美髯公 保定の統制の職にあり、今は亡き雷横の老母を引きとって面倒を見ていた。金討伐軍に加わるが敗退、呼延灼らに助けられる。
柴進 小旋風 滄州に帰り、以前の暮らしに戻っていたが、今度は高廉(本作中ではレンの字にさんずいが付いている)の弟高源にひどい目にあわされる、とことん不幸な人。飲馬川の好漢達に救われる。
燕青 浪子 盧俊義のもとを辞した後、盧俊義の甥で、東京で質屋を営んでいた盧二郎員外に仕えていた。戦乱の中、彼が命を落とすとその家族を守るため奔走。また金に囚われた徽宗に謁見、忠烈を示すシーンは本作のハイライトのひとつ。随所において、かつての呉用もかくやという才知の冴えを存分に披露する。
凌振 轟天雷 二十五 梁方平の軍に加わっていたが、敗戦により王進の軍に逃れていた。今回も砲をぶっ放してくれる。
関勝 大刀 北京大名府の武官に返り咲いていたが、金に降り斉帝となった知事・劉予に異を唱えて獄に下される。燕青の機略により救出され、飲馬川へ身を寄せる。
宋安平 二十八 宋清の息子。若くして科挙に受かる天才だが、気は弱く、すぐ泣く。金の陣営に囚われていた。呼延金玉・徐晟と「死ぬ時は同年同月同日」という義兄弟の誓いを立て、その長兄となる。二十歳。
皇甫端 紫髯伯 二十九 前作で御馬監大使に任じられていた馬のお医者さん。東京が金に占領された時捕まったが、その才能を買われ金軍に同行していた。宋清・朱仝救出に力を貸す。今回もほとんどビリッけつの登場・・・。
宋清 鉄扇子 兄は星主宋公明、息子は後にシャム国の宰相になる宋安平。当の本人はいたって平凡。
武松 行者 三十八 杭州・六和寺で出家して林冲らの菩提を弔いながら日々を過ごしている。出家しているくせに酒はやめられず、部屋でちょくちょくやっている。呼延灼に「一緒にシャムへこないか」と誘われるが、「魯智深の納骨堂や林冲の墓所があるから、ここにいてやらないと」と断る。いい人ですね。

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