《ピルグリム・イェーガー》覚え書き


MIDIはW.A.モーツァルト、レクイエム ニ短調K.626よりキリエ。
我ら三本の釘!
長谷川ナポレオン風。

《月刊ヤングキングアワーズ》にて絶好調連載中の『ピルグリム・イェーガー』は、
16世紀イタリアを舞台にした歴史伝奇絵巻。
ルネッサンス爛熟期の影に光をあて、メディチ家を中心にした闇の戦乱を描く。

ひとことで言えば、『八犬伝』+『ジョジョ』。
狂僧サヴォナローラの烙印を受けたさまざまな能力の三十人が、
タロットカードの象意を与えられ、ローマを守るために戦う・・・というお話。
もっとも、主人公たちはまだそのような運命をまったく知らないのだけれど。

歴史上の有名人が臆面もなくゾロゾロと登場してくるので、
高校では日本史を取ってた私にはちょいとつらい。
ので、いろいろと調べたことをここに記して、物語をより味わうためのよすがとしたい。

あくまでも今読んでいる「自分のため」なので、ネタバレバレ。
これから読むって人にはちょいとヤバいかも。
しかも徐々に追加予定。
なんかのはずみでここにたどり着いちゃった人は、心せよ。
もー誰がもうすぐ死ぬとかローマがどうなるかとか記載してあるから・・・
でもあくまでも「史実」なので。物語ではどうなるか、は私は知らない。

「七つの大罪者」に、あ、あの、スペイン出身の、教皇アレクサンデル6世の縁者の、
ルクレツィアさまの兄くんの、あのお方が!?
おいおいそうなったら絶対無敵じゃん「七つの大罪者」。


日比谷・シャンテシネにて11月に、
黒備えのジョヴァンニを題材にした映画《ジョヴァンニ》が上映される。


物語の基本的なことは、この公式ページを見るが良い。
フラーテの予言とか。
重いが。


*時代背景について

 歴史の裏面については作品に譲るとして、ここでは学校で習うような史実の羅列を。

 当時のイタリアはルネサンス文化が爛熟期を迎え、文化的・経済的には大変発展していたものの、政治的な基盤は驚くほど弱かった。
今のように一つの国ではなくバラバラで、北方のフランスやドイツからすれば、「餌食」「喰い物」以外の何ものでもなかった。
 1494年、フランス王シャルル8世はイタリア南部のナポリ王国征服のために大軍を発し南下。北方イタリア諸国はなすすべもなくこれを傍観、
フランス軍は無人の野を行くように北イタリアを突っ切ってナポリへと向かった。
フィレンツェではロレンツォ・イル・マニフィコの後継者ピエロ・ディ・メディチがフランス王と屈辱的な講和を結び、サヴォナローラのクーデターを招いた。
メディチ家は追放され、各国を流浪することになる。
 シャルル王はミラノ公ルドヴィーゴ・“イル・モーロ”・スフォルツァと結んでまたたく間にナポリ王国を制圧したが、
これを快く思わない神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世は教皇アレクサンデル6世、スペイン、ヴェネツィア、ミラノ、イギリスなどを巻き込んで
「神聖同盟(レガ・サンタ)」を組み、慌てたフランスは翌年撤退する。

 1500年、フランス王ルイ12世がミラノ公国を攻撃、スイスの援助でこれを占領する。
 04年にはナポリがスペイン領土に。当時のスペインはハプスブルク家の領土だったため、実質的にはドイツ(神聖ローマ帝国)のものとなる。
 09年、エラスムスが『痴愚神礼賛』を著す。
 11年、神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世はイタリアの覇権を握るため教皇ユリウス2世らに働きかけ再び神聖同盟を結成、フランスに圧力をかける。
 12年、メディチ家が神聖ローマ帝国の助力でフィレンツェに復帰。
ミケランジェロ、ローマのシスティーナ礼拝堂に「天地創造」完成。

 13年、フランスがミラノより撤退。またジョヴァンニ・デ・メディチが教皇(レオ10世)となる。マキャヴェッリ、このころ『君主論』を著す。
 14年、教皇レオ10世、免罪符発行。
 15年、フランスはヴァロワ家のフランソワ1世が即位するとすぐさま再びミラノへ侵攻し、マリニャーノの戦いで勝利、
ミラノを再占領するとスフォルツァ家を追放する。
この時にレオナルド・ダ・ヴィンチがフランソワ王に招かれてミラノからフランスへと渡った。
フランスはスペインにミラノ領有権を認めさせようとしたが、ハプスブルク家のスペイン王カルロス(カール)1世はこれを拒否。
 16年、教皇レオ10世はウルビーノ公フランチェスコ・マリーア・デッラ・ローヴェレを武力にてウルビーノより追放。

 17年、ヴィッテンベルク大学の神学教授マルティン・ルターが「九十五箇条の意見書」を掲示、教皇庁を批判する。いわゆる「ルターの宗教改革」の開始。
レオ10世は20年、大勅書《エクススルゲ・ドミネ》を発して破門をちらつかせ脅迫したが、ルターはこれを焼き捨てた。

 19年、神聖ローマ皇帝選挙が行われ、スペイン王カルロスが選出される。
彼は神聖ローマ皇帝カール(5世)として帝位に就く。
 1521年、皇帝カールは教皇レオ10世と組み、ミラノ奪回を目指して北イタリアに兵を向けた。いわゆる「イタリア戦争」の開始である。
ここにまたもドイツとフランス、それにローマ教皇の加わった三つ巴の戦乱が始まる・・・

*それから・・・(見る?見る?後悔するかもよ?)


*登場人物について
ここもネタバレしまくるので、それでもいいやーって人だけ見るように。

1.ジローラモ・サヴォナローラ、ローマ教皇、枢機卿「三本の釘」

2.「三十枚の銀貨」

3.「七つの大罪者」

4.「立証者」、その他


*その他のこと。