オペラ座の怪人
ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」より
 
音楽=アンドリュー・ロイド=ウェバー
作詞=チャールズ・ハート
ルビ吉観劇記録=1988年(大阪)、1991年(大阪)
1995年(大阪)、1996年(福岡)、1997年(名古屋)
1998年(東京)、2002年(京都)、2003年(京都千秋楽
2006年(東京)、2007(大阪)
【このミュージカルについて】
劇団四季ミュージカルの最高傑作と言っていいでしょう。俺も果たして何回見たことやら。30回は数えないものの、かなりの観劇回数はカウントしているはず。CDなども四季バージョンは三種類全て持っていて、台詞などもかなり暗記しちゃいました(笑)。
甘美なメロディー、ため息が出るほどの舞台装置、舞台効果の美しさ。どれをとっても一級品のミュージカルだと思います。

【京都劇場について】
本当に小さな劇場です。800人入るか入らないかの収容人数のようです。舞台の左右は狭く、ただ天井高はかなりあるので、ミュージカルにはうってつけという縦長長方形の間口の舞台を実現しています。これにより今までの大阪の劇場ではカットされていた舞台装置が、関西で初お目見えしています。
客席はゆったりとしたスペースを確保しています。2階席は案外高さがあり、同じS席でも2階のS席は、かなり舞台から遠い印象を受けました。もちろん好き好きですが。
【物語と見どころ】
物語はオークションのシーンから始まる。そこに出品されている品々はパリのオペラ座にまつわるものばかり。中でも目を引くのははシャンデリアの破片一式。「このシャンデリアは、かの有名な“オペラ座の怪人事件”で重要な役割を果たしたと伝えられております」。
舞台は、事件の起きた19世紀中ごろへと遡る。その頃、パリのオペラ座では奇怪な事件が相次いでいた。皆はオペラ座に棲みつく怪人の仕業だと噂する。そしてオペラ『ハンニバル』の稽古中にも、背景幕が突如落下するという事件が起きた。プリマドンナのカルロッタは我慢の限界を超え、役を降りると言い出す。そこで、訳知り顔のバレエ教師マダム・ジリーの推薦によって、ただのコーラス・ガールに過ぎないクリスティーヌ・ダーエが、新しいプリマドンナに抜擢される。
初日を大成功に収めたクリスティーヌにマダム・ジリーが近寄り「きっとあの人も喜んでいるでしょう…」。友人のメグ・ジリーは「どうしてそんなに歌が上手くなったの?」と尋ねるが、クリスティーヌは「死んだパパが音楽の天使を送ってくれた」と釈然としない。楽屋で物思いに耽っているクリスティーヌのもとに、若くてハンサムな青年、幼馴染のラウル子爵が訪ねてくる。劇的な再会に、2人は恋の予感すら覚えるが、ほどなくクリスティーヌの姿が忽然と消えてしまう…。そしてそれからもオペラ座では、不幸な事件が次々と起きる。
行過ぎた愛情と、裏腹の憎悪…人間の醜く歪んだ心が織り成す物語は、意外な結末を以って幕を閉じる。

パンフレットにある物語の説明はこんなんじゃなく、もっとロマンティックな印象を受けます。でもこのミュージカルは初見に限り“サスペンス感”が味わえるので、俺はサスペンス・タッチで解説してみました。物語の本筋としては、もちろんロマンティックでヒューマンな味わいです。でなければ、事件のからくりを全て知った後に、何度も観劇できませんからね。

見どころは、これこそ「全部」です。それでも敢えて選ぶなら、怪人がクリスティーヌから本当の愛を見せつけられる最終場のシーンでしょうか。また見た目の美しさで言うなら、一幕中ほどの、クリスティーヌがボートで怪人の棲む地底湖に進むシーン。そして二幕最初の、仮面舞踏会のシーンに圧倒されるかも知れません。
【ルビ吉の好きなシーン、好きなナンバー】
■♪Think og Me
■♪Angel of Music
■♪The Music of the Night
■♪The Point of No Return
どのナンバーに限らず、全曲いいです。でも1曲だけと言ったら、やっぱり「Think of Me」ですね。本当に美しい曲です。
【ルビ吉の俳優雑感】※京都公演のキャストを中心に…
村俊英(ファントム)…まず、顔がデカすぎ。仮面からかなりこぼれてます。そもそも地下に潜んでいる怪人が、そんなに福福しいのはいかがなものか?俺にとってはハズレのキャスト。怪人がジジィのドンファン役に「ジジィはもっと痩せろ」という場面があるのですが、俺に言わせりゃ「オマエが言うな!」。
高井治(ファントム)…この2,3年に四季に入団したニュー・フェイス。村さんよりはかなりマシ。歌の時に語尾が流れるのが気になったけど、気のせい?因みに浅利代表のイチ押しファントムだそうです。
村田恵理子(クリスティーヌ)…抜群の歌唱力。が、顔立ちが…。しかし名古屋で見た時から比べたら、格段に化粧が上手くなってました。
五東由衣(クリスティーヌ)…この人も在団年数が長いけど、今頃になってクリスティーヌをやるとは思わなかった。雑誌の記事によると、本人も「ビックリ」だそう。彼女は声質がいい。何とも言えず暖かい声をしていて、ラウル子爵も怪人も包み込んでしまう暖かさを感じる。ただ目の下に大きな隈があり、照明の加減で浮き彫りに。「え?クリスティーヌって、ババァ??」みたいな(すみません)。
西島美子(マダム・ジリー)…オペラ座の古くからのバレエ教師なんだけど、西島さんが演じると、本当に迫力があります。因みに劇中では、マダム・ジリーだけが怪人の正体を知っている、という設定になってます。

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