『オペラ座の怪人』京都公演千秋楽 前日までの大雨がウソのように晴れ渡った日曜日。京都まで『オペラ座の怪人』京都公演千秋楽を観に行って来ました。「もう千秋楽なの?!」と俺などは驚いてしまうのですが、実に14ヶ月にわたるロングランだったそうです。期間中の来場者は実に35万人。そう言えば俺も何度京都まで通ったことか…。今回の観劇もほんの2週間ぶりというサイクルだったりします(アホか)。実は2月の中ごろにマンコちゃんと観に来たばかりなのでした。 今回の席はいつも見る席よりかなり後方。千秋楽だもの仕方あるめぇ…と納得とつつも、実は後方席ってかなりいいかも。実は『オペラ座』って20回強観ているんですが、後方席ってはじめてでした。たった一度だけC席(2階最後列)で観た以外は。S席の範囲での後方ははじめて。観たことのない方にはわかりづらくて申し訳ないんですが、この作品ってかなりスペクタクルだったりするのですね。前方席では迫力ある芝居を楽しめるものの、どうしても舞台全体は見渡せないし床面の演出も見づらい。その上『オペラ座』は客席頭上からの展開もあるから、ひとつひとつの迫力は感じられても、舞台全体の構成があまり見えてこない…ってことに、ナント、今日はじめて気づきました(笑)。そういう意味ではほんの2週間ぶりといっても、俺には新鮮な気持ちで観劇できました。 舞台の出来映えは、もう何も言うことはありません。本当にすばらしい。14ヶ月にわたるロングランを乗り越えた役者たちが見せる芝居は、円熟味すら漂います。アクション、台詞の間合い、歌、ダンス、どれひとつとっても“そこでそう演じなければならない意味”が感じられるのです。醜いがゆえに絶望の淵で生きて来た怪人が、その最期まで憧れを手に入れることができなかったというラストシーンは、やはり俺の心を激しく揺さぶりました。特に今日の村田恵理子(クリスティーヌ)がラストシーンで歌う「絶望に生きた 哀れなあなた 今見せてあげる 私の心」の部分は、聞いてるだけで鳥肌モノ。そして「我が愛は終わりぬ 夜の調べとともに」と歌う怪人の最期の台詞は、演じる高井治自身が感極まった印象も受け、観ている俺までが感極まったのでした。 さて千秋楽特別カーテンコールを今回も記憶の限りご紹介しましょう。通常のカーテンコールの後、タイトルソングが流れアーチ中央にに取り付けられている天使像が下に降りてきます。そして次に元の位置まで上がるのですが、その時に幕も一緒に上がります。舞台上はプロローグと似たような状態になっていて、ドレープ(背景幕)が次々と上がって行きます。そして一番後ろにある暗幕が上がると、そこには役者達がカーテンコール時と同じ衣裳でサークル状にスタンバイ。音楽は「マスカレード」に変わり、マスカレードのフリでやがてカーテンコール時の位置に拡がって行きストップ。最後はムッシュ・ルフェーブル役の深見正博が代表挨拶。内容は「興行が難しいといわれる京都でこんなにロングランが続けられると、最初は誰も思わなかった。今日千秋楽を迎えて、本当に感慨深い」というような内容。その後も4,5回のカーテンコールがあって、京都という地で記録的な興行となった『オペラ座の怪人』はいよいよ本当に幕を閉じたのでした。 ロングラン公演の千秋楽というものは、華やかな一方で寂しさも拭いきれません。そこに行けば当たり前のように観られたものがなくなってしまう寂しさは、まるで友人が遠くへ行ってしまうごとき。 『オペラ座の怪人』が次に関西に戻って来るのは、何年後でしょうか。 ※千秋楽のキャスト オペラ座の怪人=高井治 クリスティーヌ・ダーエ=村田恵理子 ラウル・シャニュイ子爵=柳瀬大輔 カルロッタ・ジュディチェルリ=河合和代 メグ・ジリー=安食智紀 マダム・ジリー=西島美子 ほか |