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同刻――太平洋、ハワイ東方沖
深夜の太平洋上、白波を立てて進む大艦隊があった。中心にいるのはアメリカ海軍第3艦隊空母『カールビンソン』。随伴するのはタイコンデロガ級巡洋艦『プリンストン』『バンカーヒル』、アーレイバーク級駆逐艦『ベンフォルド』、補給艦の計5隻、空母機動部隊である。
『カールビンソン』は基準排水量約9万トン、地球上最大の軍用艦であるニミッツ級原子力空母の代表格であり、発着甲板上に並ぶ艦載機には要撃戦闘機『F−14トムキャット』、戦闘攻撃機『F/A−18ホーネット』、早期警戒機『E−2Cホークアイ』、対潜哨戒機『S−3バイキング』を擁し、その総額は艦の建造費である20億ドル(約2200億円)に匹敵する。
そしてタイコンデロガ級巡洋艦、アーレイバーク級駆逐艦は双方ともフェーズド・アレイ・レーダーを装備したイージス艦である。
本来なら演習を終えて母港へ向かう帰路、クルーは厳しい訓練から開放されたことと久々に地面を踏み締める安心感から艦の雰囲気は和やかになるものである。しかし今回、『カールビンソン』のブリッジは勝手が違った。レザージャケットを羽織り、苛立たしげに煙草のパイプを吹かしている顎鬚をたくわえた男、『カールビンソン』艦長、アレックス・D・ルービン少将からピリピリとした雰囲気が広がっているからだ。アレックスが苛々している理由はただ一つ、先の演習で彼の指揮する空母機動部隊が『やまと』艦長・山本一佐率いる海上自衛隊の護衛艦隊に敗北すると言う憂き目にあったからだった。
あの時、アレックスは自分達の勝利を確信していた。確かに海上自衛隊の旗艦である『やまと』はアメリカ海軍のイージス艦であるタイコンデロガ級やアーレイバーク級と比べても高い性能を持っているとしても、自分達は艦数で彼等を上回っていたことに加え、なにより自衛隊には無い空母があり、『カールビンソン』艦載機のパイロットには湾岸戦争やユーゴ空爆にも出撃したことのあるベテランも揃っている。その威力を以って臨めば実戦を経験したことの無い自衛隊などあっという間に降参すると信じて疑わなかった。
しかし、『やまと』は演習に参加した僚艦、同じく佐世保を母港とする第2護衛艦隊所属こんごう型『こんごう』、むらさめ型『きりさめ』とともに、空母『カールビンソン』、タイコンデロガ級『バンカーヒル』『プリンストン』を撃沈(実際に撃沈したわけではないが、訓練評価上の裁定で)すると言う離れ業をやってのけたのだ――
一昨日――ハワイ沖約50km、演習海域
「開始より3分4秒!評価は…全基撃墜です!!!」
ストップウォッチと訓練用プログラムを見合わせながら、『カールビンソン』副長・ロジャー・マクラウス大佐は信じられないと言った表情を見せている。
「What!!?」
アレックスもまた、驚きを隠せなかった。
「攻撃したのは『キリサメ』だろう?あれは『ヤマト』や『コンゴウ』とは違い、イージスシステムを搭載していないはずだ!何故あれだけの数のミサイルを迎撃出来る!?」
『やまと』と『こんごう』に装備されているイージスシステムの性能を知る彼等は護衛艦隊を攻撃するに際し、狙いを先に『きりさめ』に定め、巡洋艦や艦載機からの攻撃を集中させた。しかし、『きりさめ』は迫り来る無数のミサイルを単独で迎撃してみせた。ポイントとなったのは『やまと』が第2世代イージス艦と言われる由縁である『アドバンスド−イージスシステム』の性能だった。元々第2世代イージス艦として計画された『やまと』型は日本版TMD(戦域ミサイル防衛)への対応が主眼とされており、『アドバンスド−イージスシステム』はシステムの脅威評価などのソフト面を日本独自に改良し、ハード面でも性能を向上させたことで従来型イージスシステムの約2倍の同時目標追跡能力を持つ。
そして、通常のシステムとの最大の違いは、艦同士のデータの相互補完が可能であると言うことだ。『アドバンスド−イージスシステム』はフェーズド・アレイ・レーダーが持つ電波の位相を変化させて空間を走査する特性を用い、自らの電波を僚艦のレーダーと僚艦の発射したミサイルのイルミネーターにリンクさせられるのだ。つまり、単独では同時2目標の追尾限界の旧型レーダーを装備している艦でも『アドバンスド−イージスシステム』装備艦のバックアップがあれば擬似的に多目標の迎撃が可能となり、イージス艦がアメリカ第7艦隊の旗艦『ブルーリッジ』の様に戦域のデータを一元的に処理することができれば、それは指揮系統の統一により効率的かつ迅速なミサイル防衛をが可能となるという予測によるものだ。また日本の自衛隊は法制上、先制攻撃の許されない『専守防衛』が行動の規範となっている。つまり、相手からの明確な侵略行為があって初めて実力行使が許されるのであり、その為には相手の第一次攻撃を凌ぎ切れる鉄壁の防御が必要である。それはこの演習においてアメリカの艦隊に対しても対応は同じだった。
「ミサイル迎撃後、『コンゴウ』がホーネット隊に対し『スタンダード』を、『ヤマト』が我々の『プリンストン』『バンカーヒル』に『パープーン』を発射。28秒後、ホーネット隊3機撃墜。42秒後、『プリンストン』『バンカーヒル』、被弾。47秒後、『カールビンソン』被弾……。敵ミサイルはチャフ発射前に既に上昇軌道に入り、本艦を捕捉していたため――」
「我々よりも30秒近く速いのか!」
戦闘評価を読み上げるロジャーを遮るようにアレックスは毒づいた。
「ジャップめ!!!」
アレックスはブリッジの窓から、『カールビンソン』とすれ違う『やまと』を睨み付けていた。その時、山本一佐が彼等に向けて敬礼していたことなど知る由も無く――
再び――空母『カールビンソン』ブリッジ
ロジャーはこうなった艦長はどこかに雷を落とすまでは収まらないことを良く知っていた。なまじ艦長は敗北の味を知らないだけに、彼の元で長く副官を務め、こういう場合の勝手知ったるロジャーも今回ばかりはどう言って諌めるべきか頭を捻っていた。
「(結局、俺がやるしかないのか…)」
ロジャーはブリッジにいる人物全員から無言の期待を背に受け、艦長の元に歩み寄った。
「艦長、演習の結果は残念なものでしたが、今回は日本の新型護衛艦のデータが不足していた部分で仕方が無かったんじゃないでしょうか?」
黙ったまま煙草を吸うアレックスに対して、ロジャーは続けた。
「我々の艦も次回のFRAMからは彼等のものと同等のシステムを積むことになるでしょうし、次世代艦の開発が進めば彼等に再び負ける理由はありません。」
ロジャーの言ったFRAMとは『大規模近代化改装』の略で、旧式の艦の延命工事を行うと共に、一般の武器、電子兵装を一新して艦自体の能力も近代化させる工事のことだ。
「ロジャーよ、お前は日本人のことをどう思っている…?」
初めてアレックスが口を開いた。
「ハッ…そうですね…、月並みですが真面目で勤勉な民族だと思います。『専守防衛』などというお題目を頑なに守っていることは我々の感覚から見ればどうかと思いますが、車や電気製品などの物作りに対して我々には無いきめ細やかさを持っています。実際、我が家の車はトヨタ製ですし、子供はニンテンドーのゲームに夢中です。」
ロジャーは苦笑した。
「そうか…」
アレックスはそう言って再びパイプを咥えると、ゆっくりと紫煙を吐き出す。
「私は日本人が嫌いだな。確かに彼等の作る製品はどれも性能が良く壊れにくい。しかし、それらは元々車にしろコンピューターにしろ我々アメリカ人が発明したものではないか?イージスシステムも我々が彼等に供与した技術だ。あの黄色いサルはモノマネとイイトコドリしか出来ない民族なのさ…」
「それは確かに…」
「まあ…ここで私が日本嫌いの愚痴を言っていてもしょうがない。クルーには帰港までに8時間の連続戦闘訓練を課す。二度とあんな無様な真似を晒さない様に、と肝に命じさせておけ!」
「イエッサー!」
敬礼を返しながらロジャーは内心ホッと胸を撫で下ろした。
「ブリッジより総員へ――」
艦内放送でアレックスの指令を伝えながら、惨敗の結果が8時間の戦闘訓練追加ならばいつものアレックスに比べれば軽いものだと彼は思った。
太平洋艦隊において、アレックスの日本嫌いは際立っていた。2004年の現在でも沖縄を中心に日本各地の米軍基地周辺では依然としてアメリカ兵による住民に対する犯罪行為・迷惑行為が散発的に起こる状況が続いており、加えて2001年にはハワイ沖で太平洋艦隊の攻撃型原潜が操艦ミスにより日本の水産高校の実習船と衝突し、死者を出す事故が起こったことで日本のアメリカ海軍に対する不信感が強まった。このような事情から基地や寄港する艦を預る責任者達は信頼回復と住民からの理解を得る為に親日的態度を取る者が多いのだが、アレックスはそんな中にあっても日本嫌いを表に出している。その理由は彼の家庭環境にあった。
アレックスの一家は古くからの海軍一家だ。先頃退役した父・アランは海軍の大西洋艦隊副指令官にまで上り詰めた軍人であったし、祖父・アルバートもまた空母の士官として従軍していた。しかし彼の家族はその祖父を太平洋戦争当時、日本軍との戦闘で失っているのだ。幼い頃にアルバートを失ったアラン、祖父の顔を知らずに育ったアレックス、日本とアメリカが同盟関係を結んで50年以上が過ぎようとも、戦争が家族に残した心の傷は深かった。
「(振り上げた拳はどこかに下ろさなければ気が済まない不器用な私に、皆よく付いて来てくれる…)」
アレックスは心の中で自嘲する。
「(理不尽だと分かっていてもそう簡単に譲れないことというものはあるのだ…)」
『カールビンソン』の艦内でそんなやり取りが行われていたその頃、艦隊の先頭を行く巡洋艦『プリンストン』は微かな異変を察知していた。
――巡洋艦『プリンストン』
「水中雑音探知…、方位2−8−0距離8000です。」
『プリンストン』のCICで、ソナー員はヘッドフォンを耳に押し当てながらモニターに映る微かな輝点を見て言った。
「本当か、ソナー?鯨の鳴き声か何かでは?」
副長は身を乗り出させながら言った。
「いえ、サンディエゴで潜水艦のソナーをやっている仲間に聞かせてもらったことはありますが、鯨の鳴き声はこんな音を発しません。」
それを聞いて、副長は思案顔になった。
「――艦長、いかがしますか?ルービン司令へ報告する必要はあるでしょうか…?」
副長はソナーのコンパネから顔を上げると、後方に控える艦長を振り返る。
「ソナー、Unknownの動きは?」
艦長は静かに言った。
「ハッ。現在、艦隊と対向する進路を毎時5ノットの速度で接近中です。衝突コースではありません。」
「音紋、キャビテーションは特定できるか?」
「いえ……音紋ならびにキャビテーションノイズ、探知出来ません。恐ろしく静かです…」
ソナー員の曹長はセンサーを操作しながら言った。潜水艦に限らず艦船の発する音にはエンジン音など個々に特徴がある。中でも水中でスクリューが高速回転した時、その背面は水圧が下がり常温でも海水が沸騰して微細な気泡が産まれる現象が起こる。それはキャビテーションと呼ばれ、このキャビテーションの起こすノイズはまるで人間の指紋のように艦によって異なるのだ。高性能なソナーは、これら艦の起こす音=音紋をデータと照合することで相手の艦の種類まで特定することが出来る。
「マスカーして雑音を遮断しているのかも知れん。Unknownに向けてアクティブソナーを打て!こっちが相手を捕捉していることを教えてやればこれ以上近付くような真似はしないだろう。」
「了解。」
ソナー員がボタンを押すと、喫水よりも下にある艦首のソナードームから水中360°に向けて甲高い音波が放たれた。艦が自らの発する雑音を詐称する方法はいくつかある。もっとも簡単なことは艦の速度を落としてエンジン音やキャビテーションを抑えること。そして変温層と呼ばれる、海中の温度差の異なる層に潜ると電波や音が乱反射されてソナーに捉えられにくくなる。さらに現在の最新型の潜水艦には艦体をマスカー装置と言って、ポリマーと呼ばれる気泡で艦を包み、音や電波を吸収する仕組みも備えられている。そうなるとアクティブソナーを打っても発見することは難しい。
しかし、今回アクティブソナーはその本来の能力を発揮していた。『プリンストン』から放たれた音波は水中をくまなく走査し、反射波による目標の情報をもたらした。
「アクティブソナー探知。Unknownの深度50、距離7000です。」
「大きさはどうだ?」
「全長100から120m、原潜クラスです。」
「となると、該当するのは我々のロス級、ロシアのチャリー級、ビクター級あたりか…」
同じ海軍に所属するロサンゼルス級ならばソナー員が聞き間違える可能性は低いだろうし、ロシアの潜水艦は速力で優れる代わりに水中での騒音の五月蝿さは海軍に居るならば知らぬ者はないほどで、それをこの『プリンストン』のソナーが探知出来ないとは考えられない。ならば友軍の悪戯好きが訓練中にこちらの艦隊をからかうつもりでやって来たと言う方が可能性として高いと艦長は思った。だが彼の考えは甘かった。いや、彼を非難することは出来ない。その時点で、彼等に近付く『物体』の正体など誰も想像できなかったのだから。
「目標の進路、速度に注意しておけ。変化があれば知らせよ。」
「了解。……!?」
ソナー員は艦長の指示を復唱したやいなや、ヘッドフォンを耳に押し付けた。相手の発する音を拾い、目標の位置や速度を割り出すパッシブソナーは艦周囲の環境や相手の欺瞞の影響を受けやすく、正確な情報を得るにはソナー員自身の経験や熟練した勘が必要となってくる。
「目標に変化あり!速力10から20ノットに上昇!進路1−3−0、距離6500!!!」
「艦隊正面だと!?IFFは!!?」
「IFF、受信されません!」
「(味方じゃないのか……!?)」
艦長は心の中で激しく舌打ちした。友軍同士、例えばアメリカ軍同士の場合、敵味方の誤認を招くような状況ではIFF(Identifisical Friend or Foe)と呼ばれる敵味方を識別する信号を使う。未確認の相手に特定のコードを送り、それに決められたコードで反応するかどうかで敵か味方か判別するのだ。これに応答が無いと言う場合、少なくとも自分達に迫りつつある物体は少なくとも味方ではない――
「『カールビンソン』に連絡!艦隊正面距離6000にUnknown接近、警戒態勢を取りたし!総員戦闘配置!!!」
「アイサー!!!総員戦闘配置!!!」
副長の復唱した命令がスピーカーを通じて艦内全体に響き渡った。警戒態勢<アラート>を現す赤色灯が至る所で点灯し、クルーは狭い廊下をぶつからんばかりの勢いで持ち場へ向けて駆け抜ける。
「目標速力30ノットに到達!依然進路変わらず!!」
「(何なんだ……こいつは……!?)」
ソナー員はもはや目標については判別不能な状況にあった。世界のどんな潜水艦でも水中速力30ノットを出せば騒音は充分探知・判別可能なほど大きくなる。しかし、迫り来る物体は驚くほど静粛であり、発する音のパターンは潜水艦の活動音というよりも水中で何かが断続的に息を吐いている、そんな印象を受けた。
「……遅すぎたかも知れん……!!」
艦長は騒然とするCICでは誰も聞き取れないほど小さな声で呟いた。現代の戦闘では『Fast look、Fast kill』と言われ、敵を早期に発見し相手に気付かれる前に迎撃する事が味方の被害をを最小限に収める最良の方法であるとされている。『プリンストン』のような新鋭艦の主力装備、100kmの有効射程を持つハープーン対艦ミサイルや対潜ミサイル<ASROC>は相手との距離がある程度離れていて初めて有効なのであって、こうして刻々と近付いてくる相手と戦う場合は、次第に攻撃手段が狭められてしまうのだ。
――空母『カールビンソン』
報告を受けた『カールビンソン』の飛行甲板<フライトデッキ>上は騒然となっていた。いくら空母と言っても、常に全ての艦載機が発艦可能の状態になっているわけではなく、特に今『カールビンソン』はハワイ沖での演習を終えたばかりである。訓練に使用された艦載機は、一旦甲板下の格納庫に収められ、メンテナンスを行わなくてはならない。加えて演習に使用されなかった機も燃料の補給や、ミサイルの装着など臨戦態勢になるまでには時間がかかる。よって臨戦態勢であったならばいざ知らず、『プリンストン』から報告を受けた直後、即座に発艦準備に入れた機は『カールビンソン』に積まれた艦載機の数を考えれば僅かなものに過ぎなかった。
甲板上では発艦士官<フライトオフィサー>がライトを振りながらヘリコプターや戦闘機をそれぞれのフライトデッキに誘導している。ヘリのローターの巻き起こす風、戦闘機の甲高いエンジン音、スチームカタパルトの濛々とした蒸気が入り交じり、そこは正に戦場の様相を呈していた。
「『プリンストン』、目標の位置を見失うなよ!!!『バンカーヒル』、『ベンフォルド』前進!『カールビンソン』の前に出ろ!こちらからは逐次、艦載機を出す!!!」
『了解――』
アレックスは艦隊に陣形指示を出しながら、自分の中で海軍一家の血が騒ぐのを感じた。祖父・アルバートは1941年からの太平洋戦争で日本軍と戦い、父・アランは1962年のキューバ危機でソ連の輸送船を封鎖した経験も持つ。アレックスは祖父と父が世界秩序を守る事こそアメリカの使命であると証明したことを誇りに思っていた。そして彼自身は1990年の湾岸戦争で空母の副長として初めて戦場に赴いたが、それはただ空母から攻撃機をスケジュール通りに離発着させ、機のメンテナンス・補給を行う、ペルシャ湾での水上空港のような任務だった。実際に敵陣に乗り込み、それを制圧する――軍人が本来持っている、獣のような本能は実際に敵と触れ合う事はなければ目覚めないのか……?アレックスは自分の艦隊に迫る未確認物体の存在を本能的に“敵”と感じていた。
グワッ……!!!
スチームカタパルトの強烈な推進力に押し出されたF/A−18ホーネットが双発エンジンからアフターバーナーの赤い炎を輝かせながら飛び出すと、夜空との区別が付かない真っ黒な水平線に向かって飛び去り、ブリッジの窓から見下ろすアレックスの視線を横切る。既に数機飛び上がっているSH−60Fシーホーク対潜ヘリが、サーチライトで海面を照らしながら前方へと飛び去っていく。『カールビンソン』から先頭を行く『プリンストン』まではこの時点でまだ4kmの距離があった――