1月某日「プラダよ、よく聞け」 
 大阪人はブランド好きで、特にわかりやすいブランドが好きだという。加えてそのアイテムがどこのブランドのものか、すぐにわかるようなものが好きなんだそう。会うなり開口一番、「いや、奥さん、それシャネルのTシャツでしょ?よう似合うてはるわぁ」てな具合だ。その際「シャネルのTシャツでしょも何も、胸にデカデカとシャネルって書いてるし」といった野暮な切り替えしはナシだ。

 俺はいわゆるブランド物にあまり興味がない。無知ではないと思うが、通り一辺倒の
ことしか知らない。だから人が持っていても気づかないことが多い。しかしそんな俺が最近目に余って仕方ないのが、もう何年も前に流行ったと思われるプラダのバッグ。俺の目には1万円くらいにしか見えないテロ〜ンとした黒いナイロン(?)のバッグだ。あのバッグをファッションのトータル・コーディネイトとはまるで関係なく持ち歩いている60代くらいのオバハンがやたら目に付くのである。おそらく流行した時代に娘が購入した物が、数年の時を経て母の手元にお下がりした物であろう。よく見れば新品感はなく、あるのはクタクタ感だけ。そう言えば空港で見かけるオバハンのヴィトンも、どことなく古めかしく薄汚れている。あれらも娘のお下がりなのか。

 これは大阪だけの現象だろうか。それとも日本全国、母と娘がいる限り発生する現象なんだろうか。

 先日JRに乗っていたら、隣のオバハン組の一人がお下がりプラダを持っていた。
「娘が『お母さん、あげるわー』言うて、くれましてん。自分がいらんようになったら、
 私のとこに持ってきますねん」
「せやかて奥さん、これブランドもんやないの。気前のいい娘さんやがな」
「ブランドや言うてもね、この三角のところをよ〜く見やんとわかりませんやん。
 もう、そんなんやったらね、ブランドの価値もあらしませんわ」
「そうそう、ブランドは大きい書いといてもらわんとなー、ハハハ」
…さすがにこんな会話は大阪だけの現象に違いないだろう。






1月某日「幹事失格」 
 今なおカッコイイ先輩(疲れ果てたチャン・ドンゴン風)とおもろい三十路女(細身の林真理子というか太った早見優風)、そして可愛いだけがとりえのコムスメ(携帯カメラの撮り方によっては深田恭子に見えなくもないけどやっぱ違うか風)、そして俺(赤西仁を更にクールにした風※1)の計4人で冬の京都を回ってきた。テーマは「都の歴史に浸る旅」。そもそもコムスメが「自分へのご褒美に玉半か畑中くらいには泊まって…ランチはあ−だこーだ」と言い出したから始まったこの企画。そこに乗ったオヤジ2人。巻き添え食らった三十路女。しかしコムスメの褒美予算は3万もなく、残り三人は「はぁ〜?!」。そこで先輩は元・京都市民の俺に「3万で何か考えてやれ」と幹事を丸投げ。迷惑な話である。

 こんな話、乗るんじゃなかった。旅の計画はああでもないこうでもないと二転三転して、最終的に落ち着いたのは「二日間でいくつ世界遺産を回れるか?!夕食はひなびた日本家屋の座敷でほっこり。宿はホテルでもいいけど温泉に入れたら幸せね☆でも予算は3万以上ビタ一文出せませんからっ…の旅」。冒頭の世界文化遺産云々は、三十路女が意外にも学生時代“歴史研究会”にいた歴史好きということもあり、急遽メインテーマに。旅のメンツが奇妙キテレツなら、旅の目的も意味不明。そこで先輩。「おまえ、京都に住んでたんやろ。なんとかしてやれ」。アホか。

 でもなんとかしました。まず夕食。鴨川を見ながら(※2)鍋。ついてくれた仲居(中村美律子風)に、いきなり「まぁまぁ、お友達ご夫婦でよろしおすなぁ」。男2人と三十路女は有り得るジャッジに物申さずであったが、コムスメが「この人たち会社の先輩です」と攻撃的な態度。男2人がオヤジで悪うござんしたっ!て感じか。
 宿は露天風呂のある隠れ家的なホテル(※3)。ま、それはおいといて、いやー、風呂はいい。特に冬の露天はいい。ここにきてやっと「来てよかったかも」くらいは思った。それにしても先輩、エエ体してはりまんなぁ。脱いでもカッコよろしいなぁ。せやけど息子はプチでんなぁ。ぷぷぷ。旅の発見として日記に書いておこう。
 二日目の昼飯も坪庭付座敷でミニ懐石。もちろん観光の途中で和のスイーツなどもいただきました(これはコムスメ仕切り)。そして世界遺産。世界文化遺産は京都に17ヶ所あるのだが、内7ヶ所を制覇。半数の8ヶ所は回ろうと実際に回りはしたものの、1ヶ所は間違い。そこは世界遺産に登録されてなかったことに後で気づく。ちょっと悔しい。

 と、まぁ、なんだかんだと充実した京都小旅行でしたが、肝心の「3万で仕切れ」という命令。途中から計算もしておらず、拝観料が何処も案外高いので「ヤバイなぁー」と思ってはいたのですが、精算するとひとり3万千円程度の結果。お見事!さすが、俺!でありマス。しかしここで予想外にも先輩から表題のひとこと。
「3万超えたな。幹事失格」。…はいっ?!
ならば俺からもひとこと。
先輩、そんな度量の小さいこと言うてるからチンコも小さいんちゃいますか?
…言うてませんけどね。言わなかった代わりに3万を超えた分は全額先輩に払ってもらうことに。そしたらコムスメが「いよっ、名幹事!ナイス仕切り!」だと。

※1=嘘です。「今、旬な男は誰かな〜?」と思いついたのがコイツだっただけ。
※2=夜は暗くて川も見えん。意味なし。
※3=堂々とした建物のホテルで別に隠れてはいない。



金閣寺の屋根の上を望遠で撮影。It's so cute.


ワシ、記念館を作ってもらうにはまだ若いっちゅーねん。

1月某日「What becomes of」 
 このホームページを通じて知り合った坊ちゃんたちの中に、今年就職する人と就職活動にのぞむ学生がいる。俺は2人それぞれから進路相談ではないが、就職を目前にした心境などを聞いていた。就職を控えた坊ちゃんは,新しい世界に飛び込む不安や心配が尽きない。就職活動に突入した坊ちゃんは、もっと漠然とした霧の中で不安と苛立ちにさいなまれることもあるだろう。
 社会人生活が長くなってきた俺にも、心配事も不安や苛立ちがある。けれど彼らの話を聞いていて思うのは、それらの質が根本的に違うということ。坊ちゃんたちの心配や不安は、あくまでも希望という名の下に発生している。うらやましい限りだ。

 いつ頃からか「こうなっては困る」という未来を描くことはあっても、「こうなりたい」と思うことはなくなった気がする。しかし「自分はどうなってしまうのだろう」ではなく、「どうなりたい」と考えてみることは生きていく上で大切なことだ。糧である。年を重ねていくと選択肢はどんどん限られていくが、それでもそのひとつひとつを吟味してあれこれ自分の未来の姿を想像してみることも悪くはない。有り得ないことが突然起こるのが人生だ。
 まもなく俺には就職試験の面接官の仕事が控えている。今年は学生たちが放つ光を
まぶしく見るのは止めにしよう。





1月某日「ジェラシー」 
 インターネットで閲覧するHPは依然ミュージカルや舞台関連のものが多いのだが、今日は「ええっ?!」というブログを発見。俺の最愛の女優・涼風真世さんのブログである。かなめさん(←涼風さんの愛称)がブログをやっていたなんて、不覚にもまったく知らんかった。しかしダンナである今泉清氏もブログをやってたりして、別サイト(?)ながらも妙に“ニコイチ”感のある展開でいただけない。ここまで読まれた方は「どうでもエエことやがな」と思われるかもしれないが、ファンとしては重大なことである。
俺は正直ジェラってます。「クソッ、今泉のヤツめ〜!」的に。

 なんてことを思いながらも今泉氏のブログを熱心に読破。ラガーマンらしくラグビーの話題ばかりで「つまらんなぁー」と思っていたら、嫁の今年最大の晴舞台である『マリー・アントワネット』のPRなんかもぬけぬけとしてやがって、これがまたカンにさわるったらありゃしない。これで観に行く気が半分失せたというものだ。悔しいからここで暴いておくと、ダンナのブログ…あまりにも日本語がおかしすぎ。句点の使い方も明らかにおかしいし。

 気を取り直して嫁のブログを見に行ったら…嗚呼!かなめさん、ブログでも微妙に不思議ワールド展開中。読んでどんな感想を持てばよいものか。ダンナがダンナなら嫁も嫁。個性的な文章をお書きになる。「…」の二重使いや、「…」と「・・・」の混在、ほとんど句読点代わりに使ってるのか?とばかりに「…」を乱発。俺も文章で「…」を乱用気味ではあるが、負けた。また毎朝撮ってると思われる空の写真も、空なのか何なのか…。タイトルの「Well Come To MAYO」も、わざと「Welcome」にしないんだよね?と、ファンとしては妙にハラハラドキドキ。って、大きなお世話か。

 以上、軽いボヤキでした。ちなみにお二人のブログはそれぞれの名前ですぐに検索できます。興味のある方は是非ご覧を。涼風真世さんの舞台に興味のある方は、ワタクシにご一報を。ちなみに涼風さんは今年はミュージカルのアタリ年でして、6月は帝劇で
『ミー&マイガール』のマリア公爵夫人役を、11月と12月は同じく帝劇で『マリー・アントワネット』で主役を務められます。詳しくは東宝のホームページで。





1月某日「tea for one」 
 若い頃は冬でも冷たい物を飲んでいたのですが、ここ数年、冬は冬らしく暖かい飲み物をいただいています。寒い外から帰ってきて、暖かい物を飲みながら映画や漫才を見たり、本を読んだりするのは至福のひと時と言えましょう。
 ところで暖かい飲み物と言っても、種類は豊富ですよね。最近の俺のお気に入りは
セゾンファクトリーの柚子茶と生姜茶。そして丸八製茶の加賀棒茶。柚子茶は甘さとほろ苦さが疲れた体を癒してくれるし、ビタミンCが豊富ですから風邪の予防にもよさそうですね。生姜茶は喉によく、しゃべり過ぎの自分にはピッタリかと…。加賀棒茶は香ばしさが他のお茶より抜きん出ていて魅力的。特に寒い季節には、あの香ばしい香りがたまりません。ただ大阪では手に入りにくいので、いちいちインターネットで買わなければならないのが厄介。とは言え、俺の場合は親しい坊ちゃんが金沢にいるので、こちらに来る折に献上していただいております(ありがとう、Sちゃん!)。

 暖かい飲み物と言えば、最近「ナツメ茶」をいただきました。ナツメ茶はチャングムの
主演イ・ヨンエさんが普段からよく飲んでいるということで、いちど試したいと思っていたのです。そこでチャングム仲間と行った韓国料理店で注文してみました。しかし味は漢方薬そのものといった感じで、まずくはないのですが美味くもない。神経を穏やかにする効能があるそうですが、そんな効果を期待しながら飲むならまだしも、楽しむためだけなら進んで飲みたい物ではありませんでした。
 韓国茶では次に五味子(オミジャ)茶にチャレンジしてみたいと思っています。五味子とは、「甘・酸・塩・苦・渋」の五つの味を持つモクレン科の木の実。「甘」と「酸」と「苦」は柚子茶と同じだから想像つくし、「渋」もなんとなくはわかる。けれどその四つの味に「塩」っちゅーのはどうなんですかねぇ…。どなたか飲んだことのある方がいらっしゃったら教えて下さい。






1月某日「懐かしむという行為は…」 
 かつてちょっとだけ好きだった人に年賀メールを出そうと、HPを立ち上げた頃にまでさかのぼってアドレスを探した。アドレスの差出人名は覚えていないしHNも今とは違っている人だから、結局残っているメールをひとつずつ開いて確認する羽目になった。そんな作業をしているとどの人からのメールに関わらず、どれもこれも懐かしい。今はすっかり友人となっている人も「最初はこんな他人行儀なメールで始まったんだ」とか、えらく盛り上がったシモネタがくだらな過ぎて赤面したり、『あの人は今?!』状態の人がいたり…いちいちそんな思いに耽りながらひとつひとつ読んでいたら、目当ての人のメールに辿り着くまでに、あっという間に時間が過ぎ去った。

 懐かしごっこをやっていると、ふと頭をよぎってしまうのがユーミン師匠の『静かなまぼろし』という歌。この歌の歌詞に、こんなくだりがある。
“昔の恋を懐かしく思うのは 今の自分が幸せだからこそ”
恋に限らず昔全般を懐かしく思う場合も、今の自分は幸せなんでしょうか、師匠?! 俺は「今がイケてないから昔を懐かしんだりするんじゃないか」と思うのですが…師匠?!

 しかしまぁ、考えてみれば、気持にまったく余裕がなければ昔を懐かしむことも出来ないというもの。気持に多少でも余裕があるのなら、それは少なくとも不幸ではないということ。昔のメールを読んで「懐かしいー!」なんて言ってる俺は、2006年もまずまずの出足でスタートを切ったと言えるのでしょうね。。。な〜んて、新春からそんなことを思ったりしたのデシタ。






12月にモドル
2月にススム

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