むらさきぐま日記2003.ver.4


3勝1分け1敗。


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11月23日 等々力競技場 曇
VS川崎フロンターレ

 J1復帰を決めて精神的には悠々自適、肉体的には仕事でだるーな一週間。何とか22日で仕事がひと段落し、めでたく等々力に行ける運びとなった。優勝がかかった一戦ゆえ、行かなければ。始発で行くぜー、と思って調べてみたら、一番早いルートは4時台の鈍行で岡山へ行きそこからのぞみに乗るルート。さすがにそれは無理。というわけで、三本目となる6時48分福山発ののぞみで行くことに。無難だ。まあすでに昇格を決めた余裕もあったか。
 起きる。寒い!!もう冬の足音がうるさい。コートを着て出る。ヘンデルのオラトリオ《ソロモン》を聴きつつ福山駅へ。

香炉よりかぐわしき煙が
渦巻きつつ立ち上り天へと上る。
天はダヴィデの王座を嘉したもう!
幸福なる、いとも幸福なるソロモンよ!
万歳、敬虔なるダヴィデの子、力強きソロモンよ!


この合唱は大好き。今の心境にぴったりだ。今日は王座に即くぞ。
 昨年は決死の心持でビッグアーチへ向かったなあ・・・と思いつつ駅前駐車場に車を停め、当該のぞみに乗って一路東へ。一応持ってきていた『ORANGE』第11巻を読み返す。のー先生今日のAゾーンチケット購入スミみたいだし、もしも遭えたらサインもらうつもりで。顔とか全然知らんが。それはともかく福谷隊長カッコイイなあ、うちにもアリオスみたいな電柱欲しいな、とか思いつつ読み終え、『ギリシア・ローマ哲学者物語』(山本光雄著、講談社学術文庫)をぱらぱらとめくる。哲学者物語っつーか奇人変人物語だな。そのうち眠くなってきたので、豪快に寝る。
 目が覚めて北の方を見ると、頭を雲の上に出し四方の山を見下ろす富士山の雄大な姿が。雲間から美しく冠雪した頂上部が見える。つくづく日本一の山だ。それからは海辺の景色とかを見ながら10:30新横浜着。よーしと立ち上がったら同時に立ち上がった知り合いのサポーターの方と目が合った。おはようございます。一緒に武蔵小杉駅へ。
 結構閑静なところだった。バスに乗って等々力へ。結構狭いところを走ってゆく。右折箇所で対向車につっかえたりしたものの、無事に目的地に着いた。熊、海豚双方のサポーターが入り乱れて競技場へ。アウェイゴール裏は、いつもは閉まっている13番ゲートよりの入場。13番たあ縁起が悪いな・・・と入ってみる。

うひゃあ紫

すでに百人をはるかに越えているサンフサポがゴール裏に陣取っていた。断幕も展開済み(ただし話題の「くま太郎兄さん」ゲーフラはなし)。関東サポーターはもちろん、広島からバスツアーでやってきたサポーター、さらには関西サポーターも集結している。優勝目指して本気モードだ。
 等々力は初めてだが、トラック付きながらピッチが近く、2階席もありメインとバックには屋根つきと、かなりいいスタジアム。
 matsuさんにお会いする。はじめまして。話をしていると、実は大学の時に、某男声合唱団合同演奏会にて同じステージに乗っていたこと判明。世の中は狭い。ひとしきりお話しした後、それではまたあとで、とゴール裏へ戻る。ピッチではサッカークリニックが行われていて、ちびっこたちがピッチのいたるところでボールを蹴っていた。と、ピッチサイドにサンフの選手達の姿が見えた。拍手!勝てよ!
 サッカークリニックが終わると、しばしの静寂のあと、両チームの選手達がピッチに姿を現し、アップを始める。「ヒ・ロ・シマ!」コールに続いて、
「We are J1,We are J1!!」
あわわ川崎を煽ってマス!!大丈夫かな。まあ事実だけどね!
川崎サイドは朝日新聞の青紙面を一斉に展開し選手達を迎える。おお、青い!しかし等々力の座席は青いから、こっちじゃ「空席多いなー」とか冗談叩かれてたッ!!
 オーロラヴィジョンに、今日にかけるノブリンが意気込みを語る映像が流れる。そして全選手紹介の映像。凝ってるね。肌寒いものの、ゴール裏は方形陣を敷き固まる。寒くないぞ。そしてスターティングメンバー発表。

サンフ、
GK下田、DF井川、リカルド、上村、MF浩司、カズ、サンパイオ、服部、大木、FW元気、マルセロ。
リザーブは林、八田、恭平、高橋、眞中。
川崎、
GK吉原、DF箕輪、寺田、伊藤、MF長橋、山根、茂原、アウグスト、今野、FW我那覇、ジュニーニョ。
リザーブは浦上、岡山、鬼木、憲剛、ホベルチ。

 通路に大久保と高木の姿が。サテのメンバーも来てるのか。来てた。このときはこの二人がパシリだったらしい。さらには前日仙台を悲嘆のズンドコに叩き込んだ久保竜彦も家族で観戦に来ていたとのこと。
 選手入場。ホームサイドでサポーターたちの掲げる数え切れないほどの青いフラッグが一斉に翻った。長居を思い出す。さあ最後の戦いだ。いくぞ。
 キックオフ!立ち上がりから双方激しく動くが、勝つしかない川崎が持ち前の機動力に決死の気迫が加わり、まさに鬼気迫る迫力でサンフに牙を剥き襲い掛かる。海豚のくせにー。サンフも一瞬の速いパス交換からゴールに迫り、マルセロや大木がシュートを放つ。しかし川崎の圧力がサンフを上回り、徐々に押し込まれる。ゴール前でがっちりと跳ね返してはいたのだが(上村と今野のバトルは見応えあり)、ゴール正面PAやや外でFKを与えてしまう。蹴るのはもちろん、アウグスト。壁は・・・三枚。ええ!?少なすぎるだろ。どっちに蹴られても反応できるのか?最低五枚は要るんじゃあないか?ホイッスルが鳴る。アウグストが始動し・・・キック!
ゴール!!
ボールはまさにゴール左スミ、ギリギリのところへ曲がり落ちてネットを揺らした。川崎先制!歓声と共に青いフラッグが一斉に翻った。くそ、まだ始まったばかりだ!サンフレッチェコールを浴びせる。

 携帯を見る。
新潟1−0大宮 得点者:上野優作(10分)
ちっ。
 サンフは意気消沈することなく川崎に立ち向かう。左サイド服部のキレは相変わらずで、どんどんドリブルで切り込んで川崎を押し返す。そしてその服部がサンパイオとのコンビで左サイドを突破、グラウンダーで中へ入れる、マルセロが受けて中へ切れ込む、ところで足を払われ宙を舞って転倒!ホイッスルが吹かれ上川さんがペナルティスポット指示、そしてアウグストにイエロー提示!得点機会阻止でレッド出せよ。それはともかくチャンス!ゴール裏はみんなしゃがんで、低い声を出す。マルセロがボールをセットし―――
ゲット!!GKの逆を衝いて左スミに蹴り込み同点に追いつく!!同時にゴール裏一斉に飛び上がって歓喜!
それからは互いに譲らず激しい攻め合い。一気に前半が終了した。
 これぞJ1のゲームだ、と感じた。いい試合・・・こんなビリビリする感覚は久しぶりだ。今まではイライラする感覚ばっかり味わっていたから・・・相手が引きまくってまともなサッカーをしてこなかったせいだ。この攻め合いこそ、来年やるべきゲーム。これに勝って、気持ちよく上がるぞ。
 オーロラビジョンに他会場の途中経過。出すのかよ。新潟リード中だが・・・

新潟1−0大宮 広島ス

ほら。みんながっかりするよ・・・って、広スタァァァ!?おいおい広島のみんな今すぐ広スタ行って大宮応援ですよ!!すぐに表示が消え、新潟スに訂正された。おまえら広島という名に過敏になりすぎです。
 後半開始!新潟の結果に関わらず勝つしかない川崎、新潟リードの報にさらに燃えて捨て身の攻撃を仕掛ける。ボールをもったら両サイドはバランス関係ナシにガンガン上がり、我那覇とジュニーニョはどんどん裏を突き、今野はドリルのようにスペースへ突っ込んで行く。スリーバックも危険なほど高くラインを上げ、中盤の山根・茂原のコンビがボールを拾って素早く展開する。凄まじい集中力で、ボールのつながりが異常なほど速く正確。J2レベルを軽く凌駕している。この出来なら、鹿島や磐田とも互角に渡り合えるだろう。マジでマジで。さらに今野に代えホベルチ入れてスリートップに!サンフは守勢一方になる。大木も守備に奔走し、攻撃の形が作れない。カウンター出せばいいのに、攻撃のスピードが凄まじく遅く、スリーバックの素早いチェックに引っかかって潰される。守るも攻めるもハイスピードの川崎、ゲームを完全に支配するも、サンフの守備陣は堅い守りでゴールを許さない。といってもホベルチやジュニーニョの個人技にヒヤヒヤしてた!ジュニーニョは躍動する筋肉が攻めてくるってイメージで、何だこのプレッシャーは!って思う。
 そうこうしているうちに時間は経過。サンフは元気に代え眞中を投入するも、攻撃においてゴール前に人がいなさすぎ。ゴール前うまくボールがこぼれても、誰も詰められない。中盤での展開も遅い。相手に引かれ守られ続けたために起こった弊害が、ここに来ても顔を出す。そして後半40分過ぎ、このままでは双方お通夜確定の流れを流れを断ち切ったのは、川崎。左サイドアウグストから素晴らしい速さでの展開で一気に右サイドへ、我那覇が受けてタテへ抜ける、そして角度のないところから右足一閃!!
ゴール!!
ボールは下田の横を駆け抜け、ゴールに突き刺さって大きくはね、上方ネットを突き上げた。大きな歓声が上がり、我那覇は脱兎のごとくコアサポたちのところへ走っていってめったやたらにガッツポーズ!選手達が飛びつく。やられた、スーパーゴール!

 サンフは高橋投入、浩司をトップ下に上げ4−3−3にして攻めるも、川崎は我那覇を下げて岡山一成投入、さらに時間稼ぎに入る。サンフはゴール前にボールを送るも、川崎がきっちりと跳ね返す。そしてさらに鬼木投入で時間を使う。そうこうするうち、上川さんが腕を高く挙げ、ホイッスルを吹いた。広スタビッグスワンは89分新潟1−0リード。かくて、どっちもショボーンな結果と相成った。
 サンフの選手たちも肩を落としてゴール裏へとやってくる。でも一年間よくやった。最低限かつ絶対必要な結果は出してくれた。コールと拍手を送る。と、真鍋さんとかやって来られて選手たちにシャツを手渡す。あ、それはセザール・サンパイオ謹製J1シャツ!みんながポンポン放り込む。瞬間みんな池の鯉のように!川崎サイドもしばらくは沈黙していたが、力強いフロンターレコールを始めた。そして社長さんのあいさつに続き、川崎の選手一同の場内一周。オーロラビジョンに再び選手紹介の映像が流れた。12番がさり気なく「サポーター」となってる。強調されることなく、他の選手たちと同じように流れて行くのがイカス。

 川崎の選手たちは、さすがにこちらのゴール裏に来ることはなく、芝生を横切ってバックスタンドへと向かう。それでもゴール裏からは彼らに敬意を表して自然と大きな拍手が沸き起こった。君らは強い。J1でも通用する。しかし惜しむらくはそのサッカーがJ2で必ずしも通用するものではないということ。それは自分たちもいやというほど思い知った。アウグスト頼み杉だった、ということもあったかもしれないけど・・・もがき苦しんで何度も方向転換し、それでもバランスをギリギリ崩さず目的を達成したうちは、運もあったけど柔軟さがあった、ということか。それが勝点差1・・・紙一重。湘南・坂本のゴールがなければ・・・やはり最後は運なのか。今頃は新潟は大騒ぎだろう。ほのぼのサポーターズが喜ぶぶんには構わんが、反町の笑顔を思い浮かべるとムカつく。ふん、新潟には2勝1分け1敗だし。1敗だって新潟が自分らのサッカー捨ててカウンターに徹したからだし、まともにやったらこっちが勝つもんね。確かにJ2サッカーを極めて優勝したが、それに溺れてスタイルを変えないと、J1で速攻地獄を見るぞ。優勝したから首切り難いとは思うけど、ある程度ドライにならないと、今の状態では上では勝てない・・・とか悔し紛れにあれこれ考え、結局、まあ来季の降格権を譲ってやったと思えば悔しくないさと思うことにした。
 それにしても、川崎に勝てずに上がるのか。心残り。川崎と戦う時は、いつも重要な教訓を与えられるような気がする。今回は、
「今のままじゃJ1では苦しいよ」
ということをイヤというほど教えてくれた。この教訓を胸に、天皇杯、そして来季を戦おう。ありがとうノブリン。
 ひときわ大きな歓声で川崎の選手たちがサポーターたちに迎えられる。こっちのゴール裏も最後に締めを行い、今季J2全試合皆勤の筋金入りの猛者への賞状授与式が行われた。そして撤収。川崎選手たちが引っ込んだあと、またサポーターたちが騒ぎ出した。岡山オンステージでも始まった?それから、ごっつ大人数による三本締めが行われ、川崎サポたちも撤収に入った。
 matsuさんほか数名の関東の方と外に出て、バス待ちに。のー先生には会えなかったか。
(上の二階席にいらっしゃったらしい)
まず高橋と八田が出てきて、気前よくサイン、写真撮影に応じ始めた。次いで元気。上村も出てきて、さっさと気分を切り替えてにこやかにサインなどに応じる。でも森崎兄弟や服部などは悔しいのか(?)、すぐにバスに乗り込んでしまった。帰りの新幹線の時間もあるからあんまりサインに応じられないんだろうけど。そのうち、バスが出て行った。みんな手を振ったり拍手したりで見送る。川崎のバスはまだ出ていなかった。サービス精神超旺盛なアウグストがサインしまくってるんだろうか。
 関東サポ有志による打ち上げ飲み会に誘われたが、やはり今日中に帰りたいので、とりあえず皆で渋谷に出て、ここで帰りの指定席を取る。19:58品川発の禁煙席が取れた。今17:30過ぎで少し時間が空くので、ちょっとの間一緒に騒ぎましょう、ということで、皆と一緒に打ち上げ会場へ。ここで飲み食い騒ぎ!
「飲ませ〜ろ、飲ませ〜ろ」
とマルセロコール他の変形で酒を要求したり、なぜかカープの球団歌「それ行けカープ(若き鯉たち)」や「カープ数え歌」(←知らないよ)とか斉唱したりとなかなかに濃いひと時。中国新聞の方もいらっしゃって中国新聞11/16やJ1復帰号外を回し読みしたり、新外国人予想談義や天皇杯システム予想、ユース話とかしてとても楽しかった。
 19時を回ったので御暇しようとしたら、matsuさんがみんなに自分を紹介して、何か一言!といわれるので、
「また元旦、国立でお会いしましょー!」
とか最後に言って、お別れする。ありがとうございました。
 それから山手線で品川へ行き、初めて品川から新幹線に乗り、ちょっとアルコール入ってるせいですぐさま爆睡の流法、気づけば新神戸。本を読みつつ福山着、それから家へ帰る。さあ、今日はファン感謝デイだ。

11月15日 広島ビッグアーチ 曇時々雨
VSサガン鳥栖

 起きる。今日はホーム最終戦。相手は鳥栖。最下位独走で、新聞の順位表からも漏れたことがあるクラブ。しかし、ことサンフ戦になると違う。第1クールでは4−1から4−3にまで迫られ、第2クールでも先制されて何とかひっくり返し2−1辛勝、第3クールではリードされて試合終了間際に大木のゴールでようやく追いつき2−2と、妙に相性が悪い。特に鳴尾にはいともアッサリとゴールを許し続け、サンフキラーっぷりを存分に発揮されておる。世間からは「ボーナスステージ」と呼ばれているが、今までの対戦で鳥栖は妙な自信を持っているだろうから、どうなるかわからない。とにかく勝つことだ。大勝するなら10点以上取れ。
 前日の雑記にはこういうことを書いた。今日のゲームで昇格を決める!もちろんウチの勝利がそのまま昇格を決めるわけではなく、川崎が引き分け以下に終わらなくてはいけない。しかし、今日決める。誰が決めたか。オレが決めた。今日昇格を決めて、最終戦アウェイでJ2優勝を決める。94年のようにな。今までもホームで残留を決めたこともあるし、ホームで逆転3位入賞を決めたこともある。今日、川崎も新潟もアウェイ。最近は、ほぼホームチームが勝利以上の成績を収めている。充分、昇格の目はある。
 『プラネテス』も『ベルばら』も観ず、頭の中がスッキリするまで休む。アンドルー・パロット指揮のJ.S.バッハ《マニフィカト》《昇天祭オラトリオ》カンタータ第50番《いまやわれらの神の救いと力と》カップリング盤を聴きつつ気分を高め、10時に家を出た。

 家を出たとき、福山方面はまだ晴れていたが、三原久井ICに着く頃には空は曇ってきた。山陽道を西へ向かううちに、雨がぱらぱらとフロントガラスを叩くようになった。予報どおり、やっぱり雨か。昨日『ORANGE』第11巻(能田達規、少年チャンピオン・コミックス)買ったが、南予オレンジも昇格争い真っ只中、勝つしかないホーム最終戦、見事に雨の中での激闘を制した(コミックスじゃそこまで収録してないけど)。大学時代広島在住でサンフファン(サポとしては本籍地の愛媛FC)ののー先生、今頃は気が気でない、か?

喜べ、わが国びとよ、その時は近づいた。
長く待ち望んだ時が目前に迫っている。
「心を尽くして汝らの神なる主を求めれば、あなたたちは必ず彼に出会うであろう。
彼はあなたたち長き捕囚の民を帰らせる。
彼はあなたたちをかつて追いやったあらゆる国々より呼び集め、
あなたたちの故郷へと平和のうちに連れ戻す(エレミヤ書29章13−14節)」・・・・・・・

ペルシア(キュロス2世)と新バビロニア(ベルシャザル)の戦い、およびイスラエル人のバビロン捕囚よりの解放を題材にしたヘンデルのオラトリオ《ベルシャザル》を聴きつつ走る。

おお、輝かしき君候よ!何と幸せなのだろうか、
あなたの来るべき統治を楽しむために生まれてくる者は!
・・・・・・・・・・・・
国々の争いは間もなく終わりを迎え、
甘き平和と至福の平和が彼らの統治の岸辺から岸辺まで広がり、
戦と隷属はもはやない。

(MIDIデータはリンク部分歌詞に付けられた音楽。フーガ合唱)

今日が「その時」、だ。
 途中小谷SAでおにぎりとたこ焼きを買って(偏ってるね)食べ、11時30分を回った頃、五日市ICを下りる。試合開始3時間前だが、すでにビッグアーチ正面の駐車場はふさがっている。当然だな。裏のほうへ。交差点に「混雑いたしますが申し訳ございません」の立て札あり。サンチェ君の謝り画像つきで。
 駐車場に車を停め、最後にJ.S.バッハのカンタータ第50番(これ聴くと気分が昂揚するので)と《復活祭オラトリオ》終曲合唱(「ユダ族の獅子は勝ち誇りて昇りたもう!」昇るぞ)を聴いて車を出る。
 12時過ぎだが、バックスタンド側入口にはすでに長蛇の列が出来ていた。開場にはまだ時間があるので、表のほうに回ってみる。ものすごい人の流れ。紫のユニや白のユニ、マフラー、「12」の旗がちょうど市内を行進してアストラムラインで到着したサポーターの皆様方に遭遇。正面では「THANKSグッズ」を売っていたが、ここも長蛇の列だったので断念。まだ昇格が決まっていないから、あとでV-POINTででも買うかと思って入場口の列に並ぶことにする。

長え―――

年間パス&五万人の会用の列もいい加減100メートル越えているが、一般チケット入場口の列は補助グラウンドをぐるりと巻いて視界から消えていた。その向こうに見える第一球技場では、高校選手権広島県予選・準決勝が行われている。今は山陽VS広島観音のはずだ。
 小雨がぱらついている。傘を差して待つ。12時45分、開場。列が続々と中へ吸い込まれていく。RCC(だったっけ)取材班が列に並ぶ方々にインタビューしている。結構リテイクさせてるな。一瞬、雲間から太陽の光が差し込んだ。雨止むのか?サテライトのメンバーが補助グラウンドへ出て行った。松浦の姿があった。前節の自作自演ヒーロー、今日はお休みか。いよいよ入場。監督・選手達直筆の「J1」の文字をちりばめた紫と白の「J1マフラー」を受け取り、首に巻いてスタンドへ。
 ビッグアーチ上空は曇っている。雨は止んでいた。アウェイ側入り口から入ってきたヒトがかなり多いみたいで、すでにB6周辺はほぼ完全に埋まっている。バックスタンド前方席からこちらもずっと紫色。だいたいのヒトはバス待ちに行っているようで、B6は荷物だけが残されている席が多い。関西組のYassさんたちがいらっしゃったので、その前に何食わぬ顔で割り込む。一旦バックスタンド側入り口に戻って紫のゴミ袋をもらい(とりあえずはカバンの防水用に)、売店でペットボトル2本買って戻る。携帯端末で各地の試合のメンバーを確認。福岡は川島がセンターバックやるのか。止めろよ〜。湘南は吉野が帰ってきたし、きっちり守ってもらいたいっ!オーロラビジョンに、今週TVで流れていた「踏切CM」が流れた。昨日初めてTVで見たよ。
 そのうちみんなが戻ってきた。湘南戦と同じように、本番に向け、三ヶ所に別れてサラウンド・コール。両チーム登録選手発表。井手口、中村、鳴尾のトリオ、しっかり来ている。もちろんブーイング。まさに昨年よりのサンフキラー、今日はどう出るか。そしてサンフ、ナンバー3・沢田謙太郎が久々の登録!!ひときわ大きい歓声と拍手が巻き起こる。昨年、柏戦で見せてくれた魂、今日も見せてくれっ!!
 オーロラビジョンで「11.30→11.23」が始まる。コールを強制終了。スタンドが静寂に包まれた。みんながそれに見入り、終わると歓声と拍手。スタジアムジョッキー・石橋さん、今日もB6に出現。いつもいつもあんな早口でまくし立ててよく噛みませんね。今日も頑張りましょー。
 ピッチでアップしていた選手達が引き揚げた。フェアプレイ旗が入ってくる。そしてスターティングメンバー発表!鳥栖は略!

GK:1下田崇
DF:37井川祐輔、2リカルド、19上村健一
MF:7森崎浩司、8森崎和幸、20大木勉、6サンパイオ、17服部公太
FW:27中山元気、10マルセロ

リザーブ:21林卓人、18八田康介、3沢田謙太郎、9高橋泰、36眞中靖夫

発表が終わり、辺りに静寂が訪れると、スタンドの皆が一斉に紫のマフラーを掲げた。新潟戦と同じように、スタンドが一面紫と白に染まる。そして、B6サポーターたちの雄叫び。「オーオーオー」の叫びが静まり返ったビッグアーチとその周囲の山々にこだまする。霧にけぶるビッグアーチの凛とした静寂の中、荘厳に響く残響・・・・心が昂ぶってきた。何かが起こる、そんな予感。それが最高に高まった時、その叫びは一気にディープ・パープルの「SMOKE ON THE WATER」に転じ、その咆哮のもと、両チームのメンバーが戦場へとゆっくりと踏み出してきた。B6では「J1」を大書したビッグフラッグが展開される。さあ、戦いがはじまる。200試合出場の下田崇&服部公太、250試合出場の上村健一へのセレモニーが終わったあと、両軍がピッチに散らばった。守護神・下田へのコール。今年、サンフが与えてしまったPKの全てをストップしている日本一、違うこうだ、日本最強ォォォーッ!のゴールキーパー、今日も頼むぞ。砂川恵一主審のホイッスル!鳥栖のキックオフ!

 立ち上がりからサンフが押し込む。素早いパス回しと縦への動きでどんどん鳥栖ゴール前に迫る。鳥栖はほぼ全員が引いて攻撃は駿足FW大友・鳴尾へのロングボール一辺倒。はまれば怖いが、井川も加わったスリーバックはそのようなものでは動じない。確実にはね返してゆく。スタンドからのコールと拍手も怒涛の勢いだ。浩司のFK!はGKキャッチ。藤川フィード、これを拾って左サイドに開いたボールを上村がルックアップし前線に低いフィード、これを元気が身を沈めながらのヘッドでさらに前へ送る、ふわりと浮いたボールはDFの間にぽっかり空いたスペースへ!(鳥栖DFはたぶん元気がトラップすると思ってたんだろう)完全エアポケットとなったスペースにボールが跳ねる、そこにマルセロ走り込む!完全フリーでGKと一対一、そして先に動いてしまったGKの逆を衝いて、シュート!!

いきなりキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

ゴールネットが揺れる、瞬間ビッグアーチが飛び上がった!ヘンな日本語だが、そんな感じだ!このまま行くぞ!

 押せ押せのサンフ、しかし鳥栖も我慢する。先制されたからといって前に出ない。ゴール前を堅く守って、ボールを持ったらボールを大きく蹴り出して2、3人で攻める。サンフはそのうちボールを回すものの有効なパスが出なくなってしまった。中盤ではパスを回すが、シュートの形には持っていけない。カズがミドルを撃ってCKを得たシーンはあったが、それだけだ。安全に行きすぎだ。もっと大胆に攻めろ・・・浩司がFKを流しカズのミドル!わずかに右!!惜しい!
 しかし、サンフの攻撃は攻め疲れか?徐々にトーンダウン。それに対して鳥栖がボールを支配するようになってきた。そしてフィードからの速攻でCKゲット。米山が蹴る、中央鳴尾がフリーで飛び込みヘッド!ゴールに突き刺し1−1!ビッグアーチが一瞬シンと静まり返った。しかし直ぐにサンフレッチェコール!まだ
まだこれからだ!
 サンフ、前に出る。動揺があるのか細かいミスがあるが、中山のクロスに大木のヘッド、カズのスルーパスにマルセロ(トラップミス)、とチャンスを作り出す。上村も果敢に攻め上がってシュート!GKキャッチ。前掛かりになって鳥栖のカウンター攻撃にさらされるも、スリーバックがきっちりと対応してシュートを撃たせない。ロスタイム1分、服部の右足クロスにサンパイオがヘッドで落として中央走り込む!GKパンチでクリア。また左から繋いで大木がマルセロへ、マルセロが右へドリブルで抜ける!ところ足を払われFKゲット。カズと浩司がボールの両側に立つ。やや右サイド、浩司が蹴るだろう。ラストワンプレイ、これは決めろ!
 ホイッスル。浩司が始動、そしてキック!鋭く左足から撃ち出されたボールが壁に当たってポーンと上に跳ね上がる、ボールはゴール左スミへ、GK逆に体重移動していてとっさに反応できない、急いでボールに飛びつくも届かず、ボールは―――ゴール左スミで跳ね、ネットを揺らした。

浩司━━━━(゚∀゚)━━━━!!

浩司の一撃が幸運を呼んだ!これはGKもどうしようもないっ!前節つかんだ運命の女神は、まだサンフにとどまっているようだ。
オーレーオレオレオレー 浩司ー 浩司ー
歓喜の浩司コールが響く中、鳥栖のフィードがゴールラインを割ったところでホイッスル、前半終了。引き揚げる選手の背にサンフレッチェ・コールが降り注ぐ。さあ、この幸運(LUCK)を勇気(PLUCK)に変えて、後半もいくぜ!
 
 i-mode、J's Goalにつながらねー。じゃあ某掲示板スレだ。む、ジュニーニョで川崎リードか。これは最終節勝負かな。そして、福岡が新潟に先制したとのニュース。場内では他会場の試合結果&途中経過を流さない。ハーフタイムプレゼントは当たらず。それはどうでもいい。選手達が出てきた。サンフからのキックオフ。
 後半立ち上がりもサンフが攻める、服部がドリブルで鳥栖DF三人をぶち抜いてラインを突破、GK鼻先で折り返し、クリアを元気がダイレクトシュート!は右に外れた。うわーそれは枠に飛ばせ元気ィィィ!!後半開始直前にやっとつながったJ's Goal、接続したままにしていたが、ちょっと再読込。

湘南1−1川崎(48分)

・・・・・・・・・・・
黙っとこう。試合に集中だ。
鳥栖も若干押し上げてきたが、パスワークはハチャメチャなので、タテ一本以外は怖くない。立ち上がりで攻めきれなかった鳥栖は、また引きこもってしまった。攻めあぐむ。カズのパスワークで何とか崩そうと試みるも、ゴール前を6〜7枚で固める鳥栖になかなかシュートを撃てない。
 選手交代、浩司を下げ八田投入。ないすFK!浩司コール。八田はセンターバックに入り、井川が右サイドに開いた。守備固めか。それとも川崎戦、アウグスト対策のテストなのか。鳥栖も矢部を入れてきた。

プレイが切れる。ちょっとリロード。

湘南1−2川崎
福岡1−1新潟


・・・・・・・・・・・・
やはり、そううまくはいかないな。サンフに集中せねば。
 じりじりとした時間が過ぎてゆく。鳥栖はシュートすら撃てないのだが、相変わらずきっちり守ってくるので、こちらも撃てない。服部のドリブル突破、イエロー誘ってFKゲット!よーしここだ!スタンドのマフラーが一斉に旋回する。その中、服部のキック!ピンポイントでゴール正面に曲がり落ち、サンパイオがマーカーと競り合いつつヘッド!わずかに右!ああー惜しい!と、今のは競り合いの中ファウルがあったようで、鳥栖のFKに。
 鳥栖、二人選手交代。DF朝比奈がトップに入り、ターゲットとなる。サンフも、井川を下げる。井川コール。交代で入ってくるのは・・・
沢田謙太郎!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
大歓声と拍手、沢田コール!!それが鳴り止まないうち、沢田が高い位置で激しくチェイスしボールを奪い、そのまま左に展開して服部のミドルシュート!宇宙開発。
隣の方が携帯をこちらに見せた。

湘南2−2川崎
得点者:ジュニーニョ、オウンゴール、アウグスト、坂本


坂本王子ィィィ!!

心の中で快哉を叫ぶ。
 サンフは三枚目のカード、大木に代わり高橋!お疲れ大木!泰、走れ!!
 鳥栖は後半40分を過ぎるとクロスをどんどん放り込み、押し上げてきた。ゴール前、危ないシーンが頻発するが、守備陣が体を張ってはじき返す!反撃、左サイドのパス交換から服部が切り込み、クロス!中央飛び込む、が鳥栖DFが一瞬早くクリア!!CK、もちろんショートコーナーだ、45分回ってるし!キープ、ボールこぼれてゴールキック、鳥栖が繋いでPA侵入するも、服部が体を張ってボールを追い出しこちらのゴールキックに。場内は「HIROSHIMA NIGHT」の大合唱。ロスタイム2分経過、鳥栖のフィードが前線へ、ここでホイッスル!終わった?いや砂川さんのゼスチャーは鳥栖のファウルでサンフのFKだ。歓声が上がりかけたが、まだ終わってない。大きくフィード、競り合ったボールが鳥栖GKの懐へ、GK藤川急いで蹴り出す、ここで砂川さんが大きく手を上げた!ホイッスル、試合終了!!終わった!勝った!大歓声が起こり、フラッグがはためき、マフラーが回った。選手達がメイン、バックスタンドに挨拶する。
 さあ、湘南どうなった?


 携帯を見る。

湘南2−2川崎(89分)
福岡2−1新潟(89分)←注:こちらは視界に入らなかった


「今どうなんです!?」
「2−2ロスタイム!」「2−2ロスタイム!」
リロードするが、表示は変わらない。どうなんだよ・・・頑張れ湘南!!負けるな!!
 とそのとき、ベンチからコーチや控え選手達(実は真っ先に飛び出したのは久保社長だったらしい)が両腕を突き上げ、飛び跳ねつつどっとピッチに飛び出してきた。あっ!!これは・・・
「そして!今!
サンフレッチェ広島!
J1昇格が!
決定いたしましたァァァッ!!

石橋さんの歓喜の声が響く!
そして電光掲示板に、
「サンフレッチェ J1昇格決定!」
の文字が輝いた。
やったあああああああああああ!!!
凄まじい歓呼の声が沸き起こった。
誰彼ともなく抱き合う。
叫び声を上げる。
腕を突き上げる。
飛び跳ねる。
感極まって泣き出す。
みんなが我を忘れ、それぞれ本能的に湧き出てくるやり方で歓喜した。私も何をやったかよく覚えていない。周りの人と抱き合ったりハイタッチしたりした覚えはかすかにあるけど・・・・気づいたら服部、上村の二人へのインタビューが始まるところだった。静かになる。二人へのインタビューを聞いていたが、もう気が昂ぶっていたので内容はすぐに忘れてしまった。とにかくコメントが一段落したらどっと声を上げりゃええ、って感じで・・・最後に小野監督。ああ、声が上ずって震えてるよ。監督としては駆け出しなのに、いきなりこんなへヴィな状況に置かれて、さぞ苦しかったろう。でも、これで監督としてもう一人前になったかな?
 監督、「次も勝って、もうひとつよい報告(優勝)をします」と宣言。頼むぞ。そして小野監督胴上げ!記念撮影をした後、一旦みんな引き揚げ、ホーム最終戦セレモニーの用意をして再び出てきてトラック一周。このとき雨が激しくなったのはちょい残念。ゴール裏に差し掛かった選手達に紙吹雪を舞わせる。そしてマフラーを掲げ、コール。一年間お疲れさま!まだ一試合あるけど、今日はそれは言わない約束で。
 選手達が引き揚げていった。祝勝会になるのかな?ゴール裏ではもう一回盛り上がる。と、
「あ、上村!」
見ると、キャプテン上村が一人でやってきていた。そしてこちらに向かって一礼する。
「ケンイチ!ケンイチ!ウ・エ・ム・ラ・ケンイチ!」
上村健一コール!足も治りきらないままシーズンに入り、思うようなパフォーマンスが出来ずに長い間苦しんだが、あの9.23新潟戦で獅子奮迅の活躍を見せてからはどんどんと調子を上げ、鉄壁の守りを見せた。井川の加入も大きかったけど、J屈指のストッパーの復活も今日を迎えるにあたっての重要な要素だった、と思う。
 ひと段落し、片付けに入る。紙吹雪は雨で通路や席にべったりと張り付いていて剥がすのに難儀したが、人海戦術でクリナップ完了。携帯でJ1の結果を確認したが、どこもかしこもイエローレッド退場乱舞で大笑いした。大久保・・・またかよ。ピッチ上でそんなにカッカする奴はいのいちに餌食・・・喰い物・・・・
 その後、バス待ちに出る。祝勝会が終わった面々から出てくる。眞中、服部、ブラジル三人衆が出てきてサインに応じていた。バスに乗る選手はあんまりいなかったので、家族の方と一緒に帰るんだろうか。バスが出る。サンフレッチェコール。元気がものすごくニコニコしながらこちらに手を振っていた。元気も手術リハビリ明けでよく頑張ったなあ。一段落して落ち着いて、頭の中を整理すればもう一回り大きくなれるかな?高松に負けるなよ。
 まだ開いていたメインスタンド前の売店、サポたちが群がっている。昇格決まったしTHANKSグッズ何か買うかあ、とTシャツに下敷きにあと森崎ツインズ卓上カレンダーを購入。関西組の皆さんがもう帰られるというので、私もこれから市外に繰り出さんとする広島組の方々に挨拶して、駐車場へ。
 帰りは、グスタフ・レオンハルト指揮のJ.S.バッハ《復活祭オラトリオ》《昇天祭オラトリオ》カップリングを聴きつつ。

讃美と感謝が、主よ、常に御身の讃歌であれ!
冥府と悪魔は屈服し、彼らの門は崩壊した。
歓呼せよ、贖われし舌よ、天にまで聞こえるように!
開け、天よ、その輝けるアーチを、
ユダ族の獅子(注:イエス・キリスト)は勝ち誇りて昇りたもう!
(復活祭オラトリオ・終曲合唱)


サンフも昇るよ!
 それから、もう一度バッハのカンタータ第50番(BISレーベル・鈴木雅明盤)を聴く。

今やわれらの神の救いと力と国と権勢は
そのキリストのものとなれり。
そはかの者が投げ落とされしゆえなり、
兄弟を昼も夜も神の御前で告発せし者(注:サタン)が。


新潟(ていうか反町)を投げ落として、ひと足お先に光の速さで明日へダッシュですよ。
 家に帰り、録画を再生して感動を新たに。TVをチェック・・・・・どこもサッパリしてんなおい。TBSめ、新潟に飛びついたか。白石、来週はウチに来るのか。疫病神は川崎のほうへ行くがよい。フジ・・・風間さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!祝福の言葉をいただく。ありがとうございます。それが終わって深夜・・・ローカル特番キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!そしてまた風間八宏お祝いの言葉キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
風間さんのコメント聴いて上村健一、
「相変わらず垢抜けない男だ」
暴言キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

浩司のFKゴール、上村の「アレはオウンゴールだ」発言に対して司会、浩司に
「ガツンと言ってやってくださいよ」
浩司、
「あれは僕のゴールですよ」
上村・服部・下田・カズ「図々しいんだよ」
ヤリコメラレタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
面白かった。
 いい加減疲れてきたので、寝る。

 最後に、あの雨の中にもかかわらずサンフに惹かれてビッグアーチに集った2万2千人余のサポーターたちにひとこと。
引力、即ち愛(ラブ)!!
 あああと石橋さん、天皇杯1回戦の相手・関西学院大学を
「かんさいがくいん」
て呼んでましたけど、こいつはメチャ許せんよなァァァ!
西宮市にあるこの学び舎は、
「かんせいがくいん」
より正確を期すならば、
ローマ字表記“Kwansei Gakuin University”が示すとおり
「くゎんせいがくいん」
と読みますので、石橋さん、よろしく。
OBより。

11月1日 広島スタジアム 晴
VS湘南ベルマーレ

 やっと休みができた。風邪も治らないのに休みすら取れずにゲホゲホ言いながら過ごした一週間だったが、これで一時解放される・・・わけはない。
Nach Hiroshima!広島へ!
第4クール、土曜日に仕事が入りまくりで、行けたのはホームの新潟戦とアウェイの甲府戦のみ。そうこうしているうちに残り4節となってしまった。なんてこった時間の流れ速すぎる。プッチ神父の仕業か?そうはいくか11月のホームは絶対に行く!来いッ!プッチ神父!
 朝起きてTVをつけてみるとBS2で、『ベルサイユのばら』が始まるところだった。先週、病床で臥せってる時に偶然観てしまって一気にハマってしまったよ。さすが名作。大陸軍(グランダルメ)は世界最強!じゃなかった、バラはバラは〜。父上がご無事でよかったよ。
 観終って着替えてしばらく休んで、車に乗る。
響け、歌よ、鳴り渡れ、弦よ、
おお、いとも幸いなる時よ!
神は魂を神殿へと備えたまわん。


 J.S.バッハの聖霊降臨祭用カンタータ集CD(アルヒーフ、ガーディナー盤)を聴きつつ山陽道を走る(上記歌詞はカンタータ第172番《響け、歌よ》より)。聖霊降臨祭は、イエスの昇天後に彼の弟子達が集っていた時、突如彼らの上に旋風とともに聖霊が降臨、聖霊より炎の舌のようなものを受けた弟子達はあらゆる諸国民の言葉を話せるようになった・・・という故事を記念する、降誕祭、復活祭と並ぶキリスト教三大祝日の一つ。弟子達はこれにより恐れを捨て、力強く伝道の旅に発った。サンフもここ何試合かのゴール欠乏症をこの試合で払拭し、J1へ旅立つ足がかりとしたい。自分達の声と、歌で、選手達に力を与えたい。

心を騒がせるな。おびえるな。(ヨハネ福音書14.27)
さあ、立て。ここから出かけよう。(同14.31)


行くぞ。
 朝疲れていたので家を出るのが遅れたため、12時を過ぎてもまだ高速走行中。携帯でメンバー確認。
 サンフのスターティングメンバーは。
GK下田、DF井川、リカルド、上村、MF松下、カズ、サンパイオ、服部、大木、FW元気、マルセロ。
リザーブは尾崎、八田、恭平、高橋、茂木。
浩司は負傷治療が間に合わず。林はカタールまで拉致されちゃって帰って来ず、尾崎さんが久々のベンチ入り。恭平は2戦連続ベンチ入り、そして茂木がようやく戦列復帰。
 対する湘南は、
GKすずさま、DF北出おにいちゃん、チャカさま、ときさきくん、MFだいしくん、ちゅうちゃん、くまたん、ぐんちょる、坂本王子、FWとだ、やすのりお兄ちゃん。
リザーブはコバ、いはらさん、黒石くん、バンビちゃん、カキミチくん。
なお、選手名表記はこちらに準拠しています。

 浩司怪我治らないのか、ってそれよりもこのメンバー、前節ドローのメンバーから浩司と大木取り替えただけじゃん!何だよ攻撃的に行くんじゃなかったのかよマルセロ大木は同じタイプだから合わないんじゃないのかまあ元気がいるから運動量は補えるかもしれんがこれはカズやサンちゃんがかなり上がってフォローせんと形にならんぞ。もちろん、やってくれんと困る。ちょっと不安で12:30山陽高校前駐車場に車を停め、シャトルバスで広スタへ。
 ゴール裏に着いてみると、ゴール裏サポーターがゴール裏両翼に展開し、交互にコールを行っていた。そのうち、バックスタンドのサポーターの皆さんと一緒に三方向サラウンドコールが始まった。面白い。ピッチでは、大河FCレディースVS舟入体協女子サッカー部の前座試合。双方とも一歩も引かぬ熱戦だったが、舟入(だったっけ)が見事なミドルシュートを突き刺しそのまま逃げ切って勝利した。
 13時を回る。ゴール裏は集結。heyさんが檄を飛ばす。よーしやるぞ。湘南の選手が出てきて、アウェイゴール裏バックスタンド側に陣取る湘南サポーターに挨拶。FOOLさんもあの中にいらっしゃるのか。しかしかなり人数が少なく、太鼓もないようだ。周りでは13時開始の札幌VS新潟の戦況を携帯で確認する人が多い。今どうなってんだ。
札幌1−0新潟 得点:10分・アンドラジーニャ(札幌)
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!古巣に一撃ィィィ!
 サンフの選手達が出てくる。コールしてやるゥゥゥ!コール!コール!コール!ダービー兄みたいにビビってる暇はない。サンパイオのコールが、「サンパイオ!サンパイオ!セザール・サンパイオ!」という、シンコペーションリズムのものに変わっていた。山形は「恭平!」、高橋は「ユ・タ・カ!」に変更か。ていうか恭平の髪型、変。チョンマゲスタイル。ちょっと志村けんを思い出した。
 さて札幌は・・・
札幌1−1新潟
得点:10分・アンドラジーニャ(札幌)30分・上野優作(新潟)
警告:32分・アンドラジーニャ(札幌)38分・アンドラジーニャ(札幌)
退場:38分・アンドラジーニャ(札幌)


_| ̄|〇<やはり札幌に期待するのは無理があったか・・・

まあいい。この試合に集中しよう。来いッ!山田松市!
 両チームの選手が出てくる。サンフはアウェイ側のコートに展開し、ボールは湘南が取った。わしらの目の前でゴール決めてみんかいっ!キックオフ。
 湘南のキックオフフィードをカットしたサンフがいきなり突撃!あっという間にパスを繋いでマルセロがゴール目掛け猛然とドリブル、PA直前で倒されホイッスル!岡田主審がチャカにイエローカードを掲げた。松下のキック!は壁に当たってGKキャッチ。何か今日は雰囲気違うぞ。元気・マルセロ・大木の三人が縦横無尽に動いてゴールに迫り、カズ・サンパイオもガンガン上がってきてボールに絡む。それに伴い服部も高い位置に進出し、左サイドを次々に切り裂く。そしてマルセロの突破を今度は時崎が倒してイエロー!スリーバックの二人が10分もしないうちにイエローをもらってしまった。服部のFKに大木が飛び込んでヘッド―――!はGK鈴木がパンチで弾く。今度はカズがドリブルで切り込んでミドルシュート!わずか上に外れる。サンフは前線から積極的にプレスを仕掛け、ボールを奪うとショートパスをダイレクトで繋ぎまくってゴールに迫る。前節までと全く違う戦いぶりに湘南は虚を突かれたのか、なす術もなくサンフの攻撃の波に呑まれていく。中盤を完全に掌握したサンフは、センターバックの上村と井川まで攻撃参加してきた。服部とのコンビで左サイドを破った上村、そのままゴールライン際まで持ち上がり、ひょいと切り返してDFをかわしクロス、ニアでマルセロがヘッド!は枠を捉えず。こういうサッカーできるんなら最初からやれやコラァ!ボールを持ったらサポートが素早くトライアングルを形成し、面白いようにパスを繋いで湘南を翻弄、ボールを奪われてもタイトなプレスで、抜かれてもスリーバックが適切なカバーリングで奪い返す。これなら、いける!
 この試合何度かめの上村のオーバーラップ、左サイドドリブルからセンタリング。グラウンダーに近い低いボールが中央へ。しかしチャカがいる、クリア・・・できない!見事に空振り、隣にいたもう一人のDFの胸に当たってボールはその場所に止まってしまった。後ろから元気が詰める、入れ替わるようにこれをマルセロが拾った、GKを見て、シュート!
ゴ――――ル
ボールはゴール左スミへ正確にコントロールされ、ついに4試合ぶりの得点ゲット!

 このゴールで意気揚がるサンフ、今度は中盤でカズからボールを受けた井川がドリブル開始。どんどん切り込んでくる。意表を突かれた湘南ディフェンスは誰もチェックにいけない。やっとチャカが飛び出してきた。井川は対峙一瞬、タテへチャカをブチ抜く。そしてチャカをブロックしつつもう一回中へ切れ込み、折り返す!ニア、元気とマルセロ飛び込む!GK鈴木飛び出しキャッチ・・・できない!味方DFも加えて四人交錯気味の中からこぼれたボールが転々とし、そこには―――大木!ダイレクトでズドンとゴール左スミに蹴り込んで2−0!!
ベンキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
病み上がりながら中盤で献身的な動きを続けていた大木、ここでゴール前にきっちり詰めていたッ!!
 それからもボールを支配するサンフが押し続け、前半終了。マルセロ、大木、そして井川コールが起こる。

 札幌の状況は―――?
札幌2−2新潟(試合終了)
得点:10分・アンドラジーニャ(札幌)30分・上野優作(新潟)53分・今野泰幸(札幌)89分・上野優作(新潟)
警告:32分・アンドラジーニャ(札幌)38分・アンドラジーニャ(札幌)55分・ファビーニョ(新潟)84分・今野泰幸(札幌)
退場:38分・アンドラジーニャ(札幌)

何でも――ちょっと踏ん張れねーんだよォ―――クソッ!クソッ!クソッ!
思わずギアッチョ入ってしまったが、まあ一人少ない状況でドローに持ち込んだのでよしとしよう。ていうか優作さん絶好調ッスね。それにしても今野は神。さすがにU−20日本代表をシメる男だけはある。ワールドユースでは茂木をよろしく。
 後半が始まる。湘南は一点を取るべく前掛かりになってきた。スピードのある選手が多いので、ちょっとでも気を許すとあっという間に深いところまで侵入してくる。そしてセットプレイを得てチャカに合わせる!しかし守備陣は集中力高くはね返し、攻撃に転ずる。サイド攻撃は相変わらず鋭く、服部は二、三人いようが委細かまわず突破、クロスを浴びせまくり、右サイドでは松下がカズと組んでクロスを打ち込みまくる。松下の凄まじいスピードと精度のアーリークロスをファーでオーバーラップのサンパイオが落としてシュート!という狙いが何度も見られたのには、松下のキックの素晴らしさを再認識した。そして、右サイドでFKを得る。松下、キック!ファーのサンパイオへ、これはDFがクリアしたが、服部がこれを拾う。そしてやってくるマーカー二人をタテにかわしてクロス!
 あ、大きいな、と思った。これじゃゴール前横断・・・と、ファーに元気がいた。でも届くか・・・?元気、ジャンプ。体を思い切り伸ばす。これは高い!そして落ちない!ボールが来る、それを空中でしっかり待ち構えて、ヘッド!GKの上を越えたボールがニアへ戻る。こちらのゴール裏からは、よし!折り返した!誰か飛び込め!と思った。あ、マルセロ!でもその上を越えた(ようにゴール裏からは見えた)。あー。しかし、チャカが必死こいて戻って行くのが見えた。ん?これってまさか・・・チャカ、オーバーヘッド!空振り!そして、ゴールネットが揺れた。
元気キタキタキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
 最近決定機を外してばかりだった元気、ここで貴重な追加点!今日の元気はポストプレイ完璧、パスワークもよく、何だか一皮向けたような吹っ切れっぷりだった。

 マルセロ、大木に代わり山形恭平、高橋泰の二人が次々入り、前線でさらに動き回る。恭平・服部でサイドを崩し、一転右サイドに展開して松下のクロスにサンパイオのヘッド!はポスト!惜しいいいい!今度は松下から高速サイドチェンジ、サンパイオが服部に繋いで折り返し、走り込んだ高橋がシュート!GKセーブ!やはり高校選手権で華やかに活躍した二人、11月ともなれば調子が上がってくる習性か!!それからもパスを繋ぎ倒してゲームを支配、カード累積リーチのリカルドを下げ八田を入れる余裕も見せ、危なげなく試合終了のホイッスル!見事に立ち直ったサンフが完勝を飾った。ひゃっほうと飛び上がろうとしたら右脚が攣りそうになったので、あわててストレッチ。膝がガクガクする。体力尽きた。風邪上がりの喉もまた破壊されたみたい。でも、この勝点3には代えられん。よかった・・・

 選手一人一人の名前をコール。吉田さんからの大しゃもじはキャプテン・上村健一へ。上村はメインスタンド側へ戻る途中、そのしゃもじでゴルフスイング。よほど機嫌がいいみたい。それにしても、今日はみんなが動きまくっていた。元気、マルセロを大木、カズ、サンパイオが前線に飛び出して完璧にフォロー、松下、服部のサイドも機能。井川、上村は盛んに攻撃参加し、リカルドがきっちりカバーリング。下田はハイボールきっちり処理。一回飛び出して抜かれたりしてたけど、まあいいや。それにしてもカズ、香港帰りなことを感じさせないスーパーな活躍。毎回やれ!みんなもこれを続ければ、残りすべて勝てる!
 携帯見る。
甲府1−0川崎(49分)
得点:23分・小倉隆史(甲府)
警告:18分・外池大亮(甲府)20分・山根巌(川崎)

レフティモンスタァキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
「VFK!!」コールが巻き起こる。
 さらにゴール裏にたむろしていると、
甲府2−0川崎(68分)
得点:68分・水越潤(甲府)

2002年チーム内アシスト2位キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
あの小瀬で甲府が2点リード。もはや甲府の勝利は確実。確実!そうコーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実じゃッ!
 ゆったりした気分でバス待ち、辺りの人は携帯に見入る。そして小瀬はそのまま試合終了、甲府勝利!
2位浮上ッ!!
さすがに小瀬では激強の甲府!やってくれたッ!!
「VFK!!VFK!!」
コールが起こる。そして湘南のバスが出る。一同、一斉に手を振って見送った。川崎戦頑張りや〜。
それからサンフバスを見送る。小野監督、会心の笑顔。アウェイ山形戦も、圧倒して勝て!

 気持ちいい勝利だった。次のホーム鳥栖戦で、決めたい。帰りはスウィングル・シンガーズのCDを聴きつつ。最後にもう一度、バッハのカンタータ第172番を。

響け、歌よ、鳴り渡れ、弦よ、
おお、いとも幸いなる時よ!
神は魂を神殿へと備えたまわん。

10月11日 小瀬スポーツ公園 曇のち雨
VSヴァンフォーレ甲府

とりあえず11日の午前中はこっち参照。
(あらすじ:早朝の上野で「レンブラントとレンブラント派」展を観てメチャ感動した筆者は国立の結果にショボーンとなったもののトップチームは勝つ!と気を取り直して新宿駅から甲府を目指そうとしたが「人身事故でダイヤに乱れ」のアナウンスに「な、なんだってー!!(AA略)」)
 15時30分を回った。列車はまだ来ない。三鷹駅での人身事故アナウンスが定期的に流れる。人身事故人身事故って、おまえはスーパーベルズの『MOTER MAN』かっつーの。あれも新宿駅での出来事だったような。国立の状況はどうなってる・・・?あ、市船リード。渡邉にカレンくんか。まだ来ないか!あ、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!でも客が降りたあと車内清掃。えーいまだか。やっとこ終わって車内突入、早よ出ろやーと思いつつイライラしていると、20分遅れでやっと発車。カッ飛べ!しかし、
「三鷹駅付近では徐行運転いたします」
ヘコー。しかしもうじたばたしてもしょうがない。もう寝るっ!
 起きた。もうすぐ17時だが、甲府に着く気配すらない。ダイヤどおりだと17:11着なのだが・・・まだトンネルをくぐったり、切り立った山間を走ったりしている。まだ盆地に入らないのか。ぼーっとしていると、そのうち視界が開けた。盆地に入ってきたみたいだ。携帯でJ2の結果確認。新潟も川崎も勝ったか。市船も3−0勝利か。今日は勝たないと。で、まだ着かないのか。山梨市駅着。甲府じゃないのか。まだか。気を急かせながらひたすら待っていると、やっと、《→甲府》の文字が。待ちに待ってたやっと出た。晩のおかずにハンバーグって感じ。17時40分少し前、甲府駅着。小瀬行き臨時バス最終は50分。急げェェェ!
 改札出て左手の案内所でバス乗り場を確認し、そのまま左手の出口から飛び出し階段を駆け下りて目の前にあったバス乗り場の1番ホームへ。ヴァンフォーレ甲府のロゴの入ったバスが停まっていた。そばでうろうろしていた運転手さんに確認し、そのバスに乗り込み一息つく。あとから十人ほど乗り込んできて、50分になったので発進。と、後ろから何人か走ってきた。乗せる。そして交差点を渡り、一路小瀬スポーツ公園へ。あたりはすでに真っ暗。やはり広島に比べると早いなーとか思っていると、
「料金は350円」
とかいう運転手さんの声が聞こえてきた。350円か・・・財布を開いてみる。あ、小銭ないな。じゃ1000円両替・・・・

1万円札しかない

・・・・・・
さりげなく運転手さんのところへ行って、
「一万円崩れますか」
「千円しかムリですよ」
さいですか。座席へ戻る。うーん降り場付近に店があったらそこで両替してもらって払うしかないかな。なかったら、一万円を放って「つりはいらねえぜ」とか言ってクールに去るぜ。やりたくないけど。
 夕方ゆえバスの進みは遅い。間に合うのかな・・・18時15分を回った。もう少しで始まる!20分少し前、バスが停まった。右手に公園があり、奥のほうが照明で明るく光っている。あそこか。辺りをチェックすると、バス停の少し向こうに大衆食堂があった。こ、ここで両替できるかな・・・運転手さんに話してみると、一緒に行って話をしてみようということになり、二人で食堂へ。食堂のおかみさんは話を聞くと快く了解してくれ、千円札十枚に崩してくれた。有難うございます!早速バスに戻り、千円札を両替機に通して350円を払い、お礼を言ってバスを降りる。何かいろいろ紆余曲折あったけど、さあ行くぞ小瀬!
 照明を頼りに小走り。いつも遠出する時は無駄に荷物を持ってくる癖があるのでスポーツバッグが重い。必死こいて走って入場券売り場へ。A席いちまい。アウェイ側入り口どっちです?
「A席はバックスタンド中央からしか入れません」
半周せなあかんのどすか
ぜいぜい言いながら外周半周。ああ中の雰囲気からするともうフェアプレイ旗出てきたよ!選手整列して出てきたよ!入場口から階段駆け上がってバックスタンド中央へ出る。ピッチに両軍の選手が展開していた。急いでアウェイゴール裏へと走る。スタンドには武田信玄の旗印「風林火山」がいくつもはためいている。今日は武田VS毛利というわけだな甲州人よ。受けて立とう。言っとくけど上杉には勝ったよ?
メンバーは、
GK下田、DF井川、リカルド、上村、MF松下、カズ、サンパイオ、服部、浩司、FW元気、マルセロ
リザーブ:林、八田、桑原、大木、眞中

キックオフ!急いで着替えてサポーターの一団の後ろに加わる。
 サンフ、まずはいつも通りの慎重な出足。もっと一気呵成に行く姿も見てみたいが、まあここアウェイだし無理か。バスの車内での会話からして、甲府は今日の観客動員にかなり力を入れたらしく、バックスタンドはほぼ満員、メインスタンドもそこそこ入っている。どこか広島スタジアムを髣髴とさせる雰囲気。小瀬のほうがスタンドがややピッチに近い感じがする。観衆の反応はどこか牧歌的で、J2の理想的な(誉め言葉なのかよくわからないが)姿を感じた。ちょっと前まではクラブ存続も危うかったというのに、現在4位を走っている。よくここまで持ってきたものだ。やや感心していると、サンフ、中盤からフィード。これにマルセロが反応し抜け出す!GK飛び出すがその鼻先でループ!ボールがGK鶴田の上を越える。ワンバウンド、ゴール・・・・右!!だあああああああ元ブラジル代表ならそんぐらい決めろ!高橋なら余裕でキメているぞ。
 それからも拮抗した試合が続く。甲府はサイド攻撃から小倉にボールを集めるが、スリーバックは集中してそこから決定機にもっていかせない。緊迫のゲーム、しかし新潟戦に続き主審が糞。今度は辺見。副審にも柿花がいるという絶妙コンボ。かてて加えてもう一人の副審はほぼ素人。これを最悪といわずして何というのか。次々と繰り出される不可解な判定、曖昧な基準。特に辺見は、広島に悪意を持っているとしか思えない無茶苦茶なジャッジ連発。ゴール裏では彼に対する怒りを倍増させていった。前半はそのまま終了。審判に対する怒りのコールが飛ぶ。
 ・・・・腹へった。昼を食べてないので、もう目が回る。ふらふらとバックスタンドへ。売店はホーム側ゴール裏との境に行かなければ無い。甲府サポーターさんたちの前を通って売店へとたどり着き、おでん買う。飲み物買う。帰る。その時には後半が始まろうとしていた。急いで食う。このまま審判に負けてたまるか。勝つぞこの。
 サンフゴール前で甲府の選手が倒れて一時中断。ちょっとお手洗いへ。トイレの数が少ないので、アウェイ側のトイレはまだ列をなしていた。サンフ、甲府双方のサポーターが仲良く用を足している。呉越同舟。違うか。でもここはある意味緊急事態にある者が集うところだしそれほど間違ってはいないと思うが。しかしそんなことはどうでもいい。
「今日地元から来られたんですか?」
と、隣の甲府サポさん。
当然です。昼は国立にいましたよ。
「凄いですね!」
真顔で感心される。そのうち貴方もそうなるかもしれませんよ、近い将来貴方のクラブが昇格を争うようになれば。
 戻ってくる。この間に「スローインオフサイド事件」があったらしい。糞審判(ファッキン・レフェリー)ども、もう一回ルールから勉強しなおせ。まあオフサイドの判定はゴール裏からでもわかるほどスットコだった。松下のFK,キック!鶴田セーブ!
 服部がたびたび左サイドを切り裂こうとする、しかし鋭く切り返そうとするたびに芝に足を取られ滑ってしまう。これが恐怖の小瀬芝だ。中盤の素早いパスから前線へ!マルセロ抜け出す!ドリブルで突っ込み、PA侵入、したところで後方からタックル!宙を飛んで転倒するマルセロ!PKだろ!しかしイエローカード提示!マルセロのシミュレーション!てんめーこの辺見!!以下略。とりあえず拘束制御術式三号二号一号開放で犬のエサにしてやりたい、そんな気分。
 それから甲府が攻め込み、何度かサンフゴール前に迫ったが、強靭さを取り戻しつつある上村が体を張って守る。そしてサンフ攻勢に。眞中投入、その眞中がフィードに飛び出しGKと一対一・・・直前で池端にクリアされる。サンフ押し込む、しかし甲府も集中力高く、ゴールを割らせない。右からの折り返しからニア眞中シュート!バー直撃!!サンパイオのシュート!DFに当たる!時間は過ぎる、浩司に代わって入った大木、中盤でボールに絡んで展開する、しかしゴールは遠い。人は城、人は石垣人は堀。甲府は最後まで守備の集中を切らさずそのままタイムアップ。0−0、白熱の鍔迫り合いは勝負ナシのドローとなった。
 辺見のAHO−。あんたジャマ。でもそれさえなければ見応えのあるゲームだった。川崎と新潟にもその調子でやってくれ。勝てなくて悔しいけど・・・
 外に出る。バスはホーム側メインスタンドとゴール裏間の同じゲートから出るようで、甲府・広島双方のバスが仲良く並んでいた。両サポーターたちが入り混じってバス待ちしている。しばらくだべりながらそこにいたが、21:37の最終電車に乗り遅れてはいけないとそこを辞し、タクシーを捜す。ちょうど駐車場へ空車が来たので、早速乗らせていただく。甲府駅へ。途中運転手さんとサッカー談義。小瀬へ客を取りにやってきただけあってなかなか知っておられる。無線から、広島某民放の某アナを乗せました!って会話が聞こえてきた。お疲れ様です。
 甲府駅に着くと、先に来ていた顔見知りの方と会う。一緒にマクドでハンバーガー買って、最終に乗り込み今日のユースなどについていろいろと話す。その方は日本海方面経由で戻られるとのことで途中で別れ、自分は列車に残る。どこで降りようかと思っているとそのうち寝てしまい、気づくと終点の東京駅だった。出てみたが、周囲には何も無い。交番で聞いてみたが、24時間サウナしか休めるようなところはないだろうとのこと。仕方がない。朝ののぞみで福山に戻って高円宮杯U−15広島県予選観なければいけないので、そこに入って湯につかり、仮眠。

で、こっちに続く。
 ...    

9月23日 広島ビッグアーチ 曇時々雨
VSアルビレックス新潟

 来た。ついに来た。広島を「弱いなー」呼ばわりしたあの反町に鉄槌を喰らわせる日が。首位・新潟の背に刃を突きつける日が。まあ新潟は今日は引き分けでもいいし、最悪2位以内に入ればいいんだから今日負けてもまだ余裕はあることはある。しかし!勝ち点3差に迫れば、そして川崎もぴったりと付いて来れば、例年第4クールで失速する新潟には大きなプレッシャーとなる。今日は絶対に勝たねばならない。勝利以外はありえない。クラブの営業サイドも3万人動員を目標に必死の活動をしているみたいだし、ローカル局も、新潟戦に向けて「滝に打たれるサンチェ君」CMで機運を盛り上げていた(どっちかというとユーモラスだったが)。新潟での屈辱を雪ぐべく、広島が一丸となって臨むこの一戦の帰趨はいかに。
 試合開始は18:30だが、10時にビッグアーチ向け発つ。今日は3万人とはいかないまでも、2万人近くは来るはず。4時間前には行っておかないと、ビッグアーチ正面駐車場にはとても止められまい。

汝らイスラエルの子らよ、すべての支族よ出でよ、
感謝の歌と賛美を天に昇らせよ。
ギルガルにて、そしてヨルダンの川辺にて宣言せよ、
唯一の初めなる、唯一の偉大なる、唯一の主の御名を。


ヘンデルのオラトリオ《ヨシュア》を聴きつつ山陽道を走る。荒野を彷徨ったイスラエルの民は、いまやヨルダンの川を渡りカナンの地に迫る。その前に立ちはだかるのは、堅き城塞都市エリコ。サンフも、今しも昇格への障壁、首位・新潟への戦いへと臨む。先日は一敗地に塗れたものの、今は違う。不遜を承知であえて比定するならば、今のサンフにはモーセたる眞中靖夫、その後継者ヨシュアたる中山元気、若き戦士オトニエルたる井川祐輔、カレブたる大木勉がいる(モーセはこのときはもう没しているが、そこはそれ)。そして、エリコの城壁を崩壊させたイスラエルの民の閧の声は、すなわちわれわれビッグアーチに集うサポーターの声。広島のすべての力を結集して、新潟を剣にかけて打ち倒す!

 11時50分、五日市ICを下り、ビッグアーチへ上る交差点に差し掛かると、オレンジ色の一団が三々五々アストラムラインへの階段へと歩いていくのが見えた。家鴨アルビツアーご一行様、早くもご到着なさっている。市内観光にでも行かれるのか。でもそのオレンジは浮くからやめなさいと思った。
 ビッグアーチ正面駐車場へ。いっちゃん上の砂利駐車場へ入る。
ゲェーッ!もうほとんど埋まっているッ!!
6時間半前ですよ。あなたたち気が早すぎデス!って自分もか。下のほうのアスファルト舗装駐車場には新潟交通のアルビバスが三台停まっており、長旅で疲れた羽を休めていた。どてっ腹には緑のラインでNのマーク。車種は52人乗りのハイデッガー?みたいなので、それが3台ってコトは150人くらいか?
 はらへったので、下の交差点のところのジョリーパスタでパスタをズビズバーと食べる。イカスミじゃなかったけど。徐倫パスタっていうのをちょっと想像してしまったが、そんなことはどうでもよかった(なら書くなよ)。一時間ほどゆっくりし、それから交差点のほうに出てみると、交通整理のにーちゃんが「満車」のボードを持っていた。
満車キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
まだ13時だってのに。これは、今日はかなり来そうだ。
 さて、開場するまで何もすることはないので、第一球技場へ。今日は第一球技場と第二球技場でチチヤスサンフレッチェカップU−11&U−9が行われているが、U−11のほうへ向かう。スタンドへ上ってみると、四面に分割されたフィールドの中で、小さな(ていっても結構大きいが)選手達が入り乱れて駆け回っていた。ドリブルスキーやキープスキー、キラーパススキーやミドルスキー(しかもわざわざカーブ掛け)など、各自の得意とするプレイをこれでもかと出しまくっていて、非常にわかりやすい戦いが繰り広げられてる。しかしその中でもたとえば廿日市FCなどは、時折狭い地域でのパスワークなど組織的なプレイを見せて次々にゴールを奪っていた。廿日市FCはそのまま無敗で優勝したようで、それも当然のチームだった。サンフジュニアも出場していたが、他のチームに比べるとちと小さめで、ボールの受け方やテクニックはさすがと思ったが、一対一で強引に来られたりすると苦しかった。8人制で、ほとんどのチームがスリーバックにするところツーバックでやっていたので、後半選手が入れ替わるとどうにも圧倒されて逆転されていたが、これは致し方ないか。それでも、8番のテクニックや、11番の少女ドリブラーの鮮やかなフェイントからの突破には胸のすくような思いだった。男子を翻弄しつつゴールに突き進んでいた彼女には、ぜひ将来の日本代表を目指してほしいと思う。他のチームにも女子プレイヤーは結構いて、繊細なテクニックを見せ付けていた。
 場内アナウンスで、
「参加賞のチチヤスヨーグルトをまだ受け取りに来てないチームは早く来てください」
さすが今日のスポンサー、太っ腹ですね。
 日曜出勤の疲れでうつらうつらしかけたとき、naokiさんとjunkoさんがやって来た。当初は東城陽のJユースカップ・京都VS広島を観戦予定のところ、急遽駆けつけたのだ。またしばらく観戦し、一区切りついたところで席を立つ。時刻は16:00、いい頃合だ。他の人たちも同じ考えなのだろう、ぞろぞろとスタンドを下りてゆく。さて、列に・・・
何ィ―――!!(ガビーン)
ホームゴール側入場口から続く人の行列は、自由席チケット組は補助グラウンドまで達し、そこをぐるりと囲みはじめんとしていた。年間パス&五万人の会組の行列はそれよりも少ないものの、スタッフや報道関係の車が停まっている駐車場の中にまで達している。凄い。こんなのは初めてだ。今日はいったいどうなるんだろう・・・開場時間が16:30から15分繰り上がる旨のアナウンスがなされる。当然だ。雑談をしながら、のろのろと進んで行く。そして17時になろうとするころ、ようやく入場口をくぐり、スタンドへと入った。
キテル━━━━(゚∀゚)━━━━!!
すでにバックスタンド通路下方の席は完全に埋まっており、SC席はまだ半分といったところだがその周囲まで埋まり始めている。そこからゴール裏にいたる席も前段は完全に埋まっていた。この時点で一万は来てるんじゃないか。まだキックオフ一時間半前なのに。売店に行ってもスデに長蛇の列ッ!食べ物はあきらめて、飲み物だけ買いだめした。そんなこんなで17時30分となる。J1のほうは続々と試合が終わっていくが、J2は、湘南を除けば、18時スタートの福岡と山形を皮切りのナイトマッチだ。緊張が高まる。人の列は次々とゲートから出てきてとどまるところを知らない。
今日のスポンサーのチチヤスからの「チチヤスクイズ」の答え発表。( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー
さて。ここでスタジアムジョッキー・石橋さん登場。新潟サポーター達に、ようこそ!今日はいい試合しましょう!と挨拶したあと、
「今日はるばるやってこられた新潟サポーターの皆さんには・・・
敗北をお土産に用意いたしました!!」

石橋吹いた――――――ッ
そこまで言っちゃって大丈夫ですか。
 新潟のサポーターたちは、サンチェ君とフレッチェさんがやってくると拍手したり、イベントに好意的に反応するなど、かなり温厚な人が多いようだ。オーロラビジョンの「11.30→11.23」が終わったときにも拍手してたし。やっぱり稲作地帯の人はのんびりしていておおらかなのか。
 両チーム登録選手発表。新潟選手紹介では怒涛のブーイング、そして反町には一番大きい声の塊が。スタメンはすでに発表されており、携帯で確認済み。

GK下田、DF井川、リカルド、上村、MF松下、カズ、サンパイオ、服部、浩司、FW元気、マルセロ
リザーブ:林、八田、高木、大木、眞中
GK野澤、DF三田、アンデルソン、丸山、鈴木、MF山口、秋葉、深澤、宮沢、FW上野、マルクス
リザーブ:前田、杉山、本間、栗原、船越


双方とも、小細工なしの固定メンバーで臨む。「うちはスリーバックのチームには負けない」と豪語する反町。ではそれを打ち砕いて見せよう。
  そして、今日の中国新聞の朝刊の紫の紙面、アストラムライン使用者に渡されたミニフラッグ、先着三万名に渡されたマフラーの使い方をみんなで実演。みんなが一斉に紫を掲げる。と、バックスタンドからメインスタンドが一斉に一面の紫に変わった。

・・・・・・・・・
スゲ―――――――


そしてセットプレイ時のフラッグ&マフラー回し。

きたああああああああああ

スタンドが一斉に紫に沸き立つ怒涛の迫力!おいおい!ここは本当に広島か!広島です!!そう、事件はビッグアーチで起こっているんだ!そしてオーロラビジョンの「11.30→11.23」、次いで両チームのスターティングメンバー発表、そして吉田町の有志が毛利武士に扮し、一文字三ツ星の旗とともにメインスタンド前に整列。そして選手入場時には法螺貝が鳴り響く!あとでNHKの録画見たときはスゲーこっ恥ずかしかったがッ!!スタンドは総立ちで「J1←J2マフラー」や中国新聞の紫紙面を開く!その状況は広島県サッカー協会のトップページを速攻でチェックしていただければよくわかるが、バックスタンドの最上段までも紫に染まったのなんて、もう94年のチャンピオンシップ以来じゃないだろうか。その光景に涙が出そうになった。そして、運命のキックオフ!
 まずは新潟が早めに繋いで前線にボールを送り、押し込む展開。深澤、宮沢がサイドを駆け、上野優作のポストプレイからマルクスが飛び込んでくる。しかし、井川・リカルド・上村のスリーバックにサンパイオ・カズのセントラルMFがしっかりと守って決定機を許さない。攻撃陣は新潟の素早いプレスの前にボールがうまくつながらず、イライラする時間帯が続くが、そのうちサンフが押し返し、新潟陣内へと侵入してきた。今までは比較的堅実な守備に徹していた松下が、右サイドの動きがわかってきたのかかなり高い位置に進出し、ゴール前にクロスを次々に供給する。新潟は長身・アンデルソンがこれを迎撃するが、今度は左サイド、サンパイオのパスから服部がタテに抜け、切り込んでセンタリング、ニアに元気飛び込む!がDF二枚が挟み込んでクリア!中央フリーで飛び込んできた浩司が悔しがるッ!しかし形が出来てきた!松下のCK、スタンドの紫マフラーが一斉に旋回!何つう壮観な光景なんだ・・・キック!ファーでサンパイオがヘッド!は枠を捉えず。サンフがしばらく攻め込むが、新潟も粘り強く守ってはね返し、中盤でのせめぎ合いとなった。息もつかせぬ攻防・・・っ!
 しかし、その空気を読んでいない奴がいた。柏原丈二。悪名高いこの男が、このゲームを壊しにかかった。まずは浩司にイエロー。そんなにひどいプレイではなかったが・・・そしてボールキープしたマルセロが背後から倒され、当然ファウルとボールを抱える。と、柏原はホイッスルを吹いてハンドの判定。怒ったマルセロが何か言って立ち上がると、すかさずイエロー提示。はあああああああ!?ふざけんな完全に後ろからいってただろどこ見てんだそれにまずイエロー出す前にマルセロに今のプレイについて説明しろその上で異議を唱えたならカードだろう。マルセロが何を言ったか理解できるのなら、当然彼に説明できるよな柏原。それからも彼の判定基準はあいまいで、かなりきつく行っても取らなかったりちょっと行っただけでも取ったりと、もうどうにも止まらない。反町も「あれほど言ったのになあ」という感じだろう。概ね新潟有利な判定だったので、「まあいいや」と思ったかもしれないが。
 せめぎ合いの中から、新潟の攻撃の手を封じたサンフが、攻め疲れて甘くなったその守備を突き始めた。右サイドに開き、松下のクロスをマルセロが胸で落とし走り込んだ浩司がダイレクトシュート!地を這うミドル、枠を捉えたがGK野澤がキャッチ!今度は遠目からのFK、松下が直接狙う!矢のように放たれたキックがゴール左スミに曲がり落ちるが、これも野澤が右手一本で弾き返す!さらに新潟CKからのカウンター、浩司が拾ってマルセロへ、マルセロのリターンを浩司が右のオープンスペースへスルーパス!これに抜け出した元気が突進、DF二枚が来るのを見ると左へクロス!新潟もう一人戻ってくるが届かない、このボールに浩司が走り込み、ゴール前にクロス、そしてマルセロが飛び込むが背が低い―――――!!ほんのわずか届かず!終了間際には浩司のCKをファーでヘッド折り返すも、誰も触れず!あともーちょっとというところで前半が終了した。
 サンパイオがかなり上がってボールをさばく場面も見られ、浩司も高い位置でボールに絡めている。元気とマルセロの動きもよくなってきた。守備陣は、上村の状態がかなりよくなってきたみたいで、ヘッドでの競り合いも負けず、時には自分で切り込んで行く場面も見られる。パスミスがあるが、それくらいはあきらめるしかない。そして井川。堅実な守備は相変わらずで、前半終了間際の新潟のカウンターで、ドリブルで突進してくるマルクスからすれ違いざま一発でボールを奪い取ったプレイにはシビれた。マンガなら「スパァン」とか擬音出そうな、鮮やかなカットだった。もう最高。リカルドは万全のカバーリング。このまま行けば勝てる!
 ハーフタイム。川崎はやはり鳥栖からリードを奪っている。Jユースカップの試合結果はどうすれば知ることができるか・・・と考えていたが、京都のオフィシャル見てみるか、昼にトップの試合終わってるし、と思って確認。あった。1−1か。勝てない相手じゃないと思うが・・・しかしその時には、「先制され二人退場して九人になりながらも追いついた」という激闘だったとは思いもしなかった。
 いよいよ後半が始まる。持ってきていた「Jベアー」(名前はまだない)を項の襟にパイルダー・オン(参考画像)。横浜戦ではこれ装着して3点入ったしな。では行こう。
 後半キックオフから、サンフは新潟陣内に進出して押し込む。そして、リカルドが中盤で相手の前に出てパスカット、マルセロに入れる。マルセロは右の浩司に出し、浩司はタテに抜ける、と見せて切り返し、左足に持ち替えてクロス!ゴール前!誰か・・・いた!
ヘッド!

野澤飛びつく!

届かない!!

ネットが揺れる!!

瞬間、ビッグアーチ爆発!全員が飛び上がり、マフラーや旗を振り回す。スタンドが紫と白で大沸騰!バチッと火花の大銀河だ!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!元気か?元気なのか?しかしこっちに走ってきたのは、何とリカルド!え?え?何でおまえが?おまえ決めたの?何でゴール前におまえがいたわけ?リカルドは喜びつつも当惑しているB6サポーターの前で歓喜のポーズ!!サンパイオがそれを抱きしめて一緒にポーズ!なんだかわからないがこの野郎!決めたんなら祝福するぜYa―Ha――リカ―――!!
 後で見てみると、リカルドはマルセロにパスした後そのままゴール前へ上がっていた。元気がそれに気づいてニアに走ってDFを一枚ゴール前から剥がし、リカルドをフリーにしていたのだ。三田も付いていることは付いていたが、リカルドの後ろにいたためヘッドの瞬間は何も出来なかった。さしもの新潟守備陣も、まさかのリカルドオーバーラップは予測不能、無防備だったッ!
 先制点で意気上がるサンフはさらにパスを繋いで新潟を攻め立てる。いける!いける!勝てるぞ!このまま圧勝だ!と思っていたとき・・・マルセロが相手にチャージ。ん?ファウルか。でもそんなにきついファウルじゃないだろ。今までもそんなの流してたくせに。すると、柏原はマルセロにイエロー提示。え?
なっ!何をするだァ――――ッ!
許さんッ!!

マルセロ、2枚目のイエローで退場!こっ、この男!主審の分際で、この素晴らしい戦いを破壊する気かっ!!ここから生きて帰れると思うなよ、ぶち殺すぞ人間(ヒューマン)!!と、わっちがアーカードならば即刻ジャッカルで撃ち抜いている所だが、運がよかったな柏原。しかしトルコじゃあピッチにミサイルが撃ち込まれたという話だ。アンタ、そんなことばかりやってると、そのうち大変なことになるよ?
 言っておくが、二枚ともイエローに値するプレイではなかった。軽率だったとすれば、マルセロも、「相手が柏原丈二である」ということをしっかり認識すべきだったということ。ともかくマルセロはピッチを去り、サンフはロスタイムも含め残り40分余を10人で戦うという試練に挑むこととなった。
 前線が一人になったことでボールの落ち着かせどころがなくなり、元気が必死にクリアボールを追いまわすのだがとてもフォローできるわけもなく、サンフはクリアボールを拾われまくってサイドからクロスを入れまくられ守勢に回る。それでも当初は松下がループシュートを出したり、上村が攻めあがってミドルを撃ったりとカウンターを繰り出していたが、新潟が船越を投入し、さらにアンデルソンを前線に張り付かせると、もう防戦一方となった。上野・船越・アンデルソンのトリプルタワーがゴール前でボールを待ち構える。後方からはマルクス、そして交代出場の栗原が飛び込んでくる。アンデルソンのヘッド!下田横っ飛びでセーブ!山口のミドル、栗原のミドル!いずれもわずかに外れる。そのたびに悲鳴が上がる。松下に代え八田投入、迎撃要員追加。負けるな!声も限りにサンフレッチェ・コール。ベンチでは望月コーチがメインスタンドを煽っていたらしい。そして今日の入場者数発表、26,158人!!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!過半数突破!この力を、ピッチの選手達へ!元気を分けろ!
 鈴木、三田がサイドからクロスの嵐!しかし、単純な放り込みは、守っているうちにリズムが出てきて、案外守れちゃったりするもの。ハラハラするものの、なんかいけそう・・・下田飛び出してキャッチ、頭から落下!アブねー!ゆっくり休め!時間使え!またも飛び出し、二人と競り合いパンチング!さらに危険なクロスには上村が宙を舞ってことごとく迎撃!強い!!こんなに強い上村を見るのは久しぶりだ!「上村健一」が帰ってきたぞ!サンパイオも身体を張ってボールをはじき返し、飛び出してボールカット、森崎兄弟に預けてキープを図る。しかし二人とも疲れてしまってキープもおぼつかない。元気も精神力フルパワーで走り回るも、ボールコントロールも出来なくなった。だがここで眞中靖夫登場!前線へのクリアボールを追い回す。走れ!もっと走れ!40分を回る。サンフの守備はまだ破綻しない。43分、44分・・・浩司のFK、しかし抑えが全く利かず宇宙開発。新潟、後方からとにかくロングボールを放り込む、しかしタテのボールは怖くない。大丈夫はね返した。ロスタイム何分?げ、もうロスタイム入っちゃったのか。見逃した。3分くらい?(実際は4分)えーい10分もないだろあと少しだ、頑張れ!サンフレッチェ・コールを喉も破れんばかりに張り上げる。八田のクリア!眞中に遅延行為イエロー!柏原が時計を見た、もう少しだ、新潟放り込む、ボールが裏へ抜ける!がリカルドがうまくブロックしてボールをゴールラインへ追い出し、ゴールキックに。よしッ!OK、ゆっくりだ。ゆっくり蹴れ・・・下田キック!ややダフってボールはスライス、バックスタンド側タッチラインを割る、あーもーちょっと遠くへ蹴れよう・・・と、柏原が右手でホイッスルをつかみ、左手を高く挙げた。
試合終了!!

UOOOOOOOOOOOOO

凄まじい歓声が沸き起こった。B6周辺が飛び跳ねながらマフラーをぐるぐる回す。スタンド全体(アルビ除く)も総立ちでそれに続き、まるで優勝したかのような、何といっていいか、凄いとしかいいようのない空間が現出した。選手達も抱き合ったり、ばったりと倒れたりで、もうみんなこの試合に賭けてたんだなー、と改めて思った。今までの試合でもそれくらいやっててくれれば・・・というのは今はナシ。整列がちょっと遅れてしまったけど、最後の挨拶でもう一度怒涛の歓声。新潟イレブンはアウェイゴール裏へ。アルビサポは暖かい拍手と歓声で彼らを称えていた。あんたらホンマ強かった。でも「広島」の執念がギリギリのところで運を引き寄せた、というところだろうか。リカルドと上村がインタビューに呼ばれ、残った八人がバックスタンドからゴール裏、メインへと挨拶に回る。サンフレッチェ・コールと盛大な拍手が、絶望的な試練を達成した勇者たちに降り注ぐ。見事にゼロで守りきったディフェンス陣の名前がコールされる。そしてリカルドと上村のインタビュー。絶対に勝ちたいという思いが、あの場面でリカをゴール前に走らせたんだろう。上村も、最初は感極まって声が出ないようだった。「守ってるのは苦しかったけど、愉しかったですね」マゾですかあんたわ。でも、頼れるキャプテンがやっと帰ってきて、この二人と井川があわさった守備はもう鉄壁だ!
 リカルドと上村がやってくる。リカルド・コール、そして久しぶりの「健一!健一!ウ・エ・ム・ラ・ケンイチ!」コール。上村は深く一礼して、戻って行った。
 人の波が去り、ビッグアーチは静かになった。双方死力を尽くした激闘は終わった。だが、戦いは終わらない。次のホームは10月4日、札幌戦。今日来てくれた人、今度も来てくれるだろうか。この日、皆が心をひとつにして体験した至上の至福を、また分かち合うことができるだろうか。今日来てくれた人々だけでなく、もっとたくさんの人々と、ビッグアーチで、また広スタで、これを体験したい。そして、J1への昇格を喜びたい。
 B6周辺をゴミ拾いも合わせて片付け、バス待ちに出る。バスが出るまで、スーツに着替えた選手達はサインに応じている。小野監督まで出てきて、みんなと話を交わしたりしていた。森崎兄弟への女性の歓声は凄かったが、いまや井川はそれ以上の人気を獲得したようで、彼が出てくるなり黄色い歓声がドッギャーンと飛んできた。すごいな。そりゃー容姿に実力ともに備わってるんだから人気が出ないほうがおかしい。井川祐輔男前。
 やがて車がはけ、バスが出て行った。その直前に、疲労と興奮のためかバス待ちをしていた一人が倒れてしまって医務室に運び込まれ、ほどなく救急車がやってきた。警備のにーちゃんに聞いてみると、ひきつけを起こした、とのことだった。大丈夫かな。
 0時5分からのNHK録画放送を録画するために、ビッグアーチを辞し家へ急ぐ。しかしガソリン尽きかけなのをすっかり忘れていた。五日市で乗ったけどすぐに広島で下り、給油してまた山陽道に乗って家路へ。途中小谷SAでソバをすする。NHK、J2スルーしやがったな。アルビ・ツアーの方々もここでお土産を買ったり食事をしたりしていた。ここではアルビにホームジャックされてたね。
 家へ帰って録画セット、で見る。後半は体がガタガタ震えた。試合終了の時は思わずガッツポーズ!泣きそうになった。小野監督声上ずりすぎ!リカルドも上村も目が真っ赤じゃないかっ!次の日の朝もう一度録画見た。今度は本当に泣いた。


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