エンキドゥの葬送


朝がやってきた。
ギルガメシュは今や冷たくなってしまった友に向かって語りかけた。

「わが友エンキドゥよ、あなたはカモシカと野生の騾馬によって養われた。
獣たちはその乳もてあなたを育てた。
獣たちはあなたを草地に導いた。
エンキドゥの道は香柏の森に通じていた。
彼らが日夜、あなたのために泣き、黙すように。
囲いのある広大な町ウルクの長老たちがあなたのため泣くように。
山の人々があなたのために泣くように。
草原があなたの母のように嘆くように。
糸杉、香柏があなたのために泣くように。
  われらはその中に怒りもて入っていったのだ。
熊が、ハイエナが、豹が、虎が、角鹿が、チーターが、ライオンが、野牛が、大鹿が、山羊が、荒野の獣たちがあなたのために泣くように。
聖なるウラヤ河があなたのために泣くように。
  われらはその岸辺を堂々と行き来したのだ。
清きユーフラテス河があなたのために泣くように。
  われらは皮袋に入れた水を捧げたのだ。
囲いのある広大な町ウルクの男たちがあなたのため泣くように。
  われらが天牛を打ち倒した時、彼らはわれらの戦いぶりを見たのだ。
農夫があなたのために泣くように。
  彼は歌声もてあなたの名を高めたのだ。
牧人があなたのために泣くように。
  彼はバターと混合ビールをあなたの口に供えたのだ。
神殿娼婦があなたのために泣くように。
  彼女はあなたに良質の油を塗ったのだ。
義理の家族があなたのために泣くように。
  彼らは指輪をあなたに贈ったのだ。
男たちがあなたのために泣くように。
  姉妹のように、あなたのために髪をかきむしるように。

エンキドゥのため、彼の母、彼の父のように、
私も彼の荒野で泣こう」

ギルガメシュはさらに嘆きの言葉を連ねると、衣服を引き裂いて投げ棄てた。
ギルガメシュは国中に呼びかけ、友の像を作らせた。
それはラピス・ラズリ、金などで造られた素晴らしいものだった。
ギルガメシュはさらに嘆いた。
そしてやがて、エンキドゥの埋葬に取り掛かった。
死者に対する儀礼が執り行われ、充分な副葬品が調えられ、それは太陽神シャマシュに示された。
ギルガメシュは副葬品の各々についてシャマシュに示しながら祈った。
「それは喜び、彼の傍らを行くように・・・」
葬送儀礼が終わると、ギルガメシュは荒野へと出て行った。エンキドゥのために泣くために。


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