【ミー&マイガール2006年版】 『ミー&マイガール』、やっぱり楽し過ぎ。一ヶ月に2回も行ってしまいました。わざわざ大阪から。俺の中では「これぞミュージカル!」という、ミュージカルを代表する作品 なのであります。 実は公演の発表時に主演2人の発表もあったのですが、そのときは「井上芳雄と笹本玲奈が主演って、なんと華のない…」と思っていました。前回公演が唐沢寿明と木村佳乃ですし、その前に見た宝塚版は天海祐希が主演でしたから。で、実際に公演を見ても、舞台をパァーッと明るくする華はふたりにはありません。むしろ脇にいる涼風真世や純名りさ、村井国夫が放つオーラの方がはるかに強い。しかし新人に近い2人が諸先輩の中で一生懸命芝居をし、歌い踊る姿は見ていて悪くありません。そういう構図はストーリーとも合っているようにも思えました。また26歳と20歳という若さも溌剌とした空気を醸し出していて、舞台全体を活気付かせていたようにも思えます。てなことで2006年版『ミー&マイガール』はこれまでと違った味わいがあり、それはそれでアリ。充分楽しめる作品に仕上がっていたのでした。 今回の舞台構成は前回の唐沢・木村版と大きくは変わっていません。主演2人によるダンスシーンなどは多少違っているように思えましたが。 大きな違いがあるとするなら、今回はかなり“客席巻き込み型”の演出意図が感じられました。もともと一幕最終場の「ランベス・ウォーク」ではメインの俳優たちが客席に下りてきて歌い踊るのですが、今回は開演前のロビーでキャストによるそのシーンのフリに関するレクチャーがありました。これによってこのシーンになるとお客たちもノリノリ。またカーテンコールも同様の演出があるため、この時は客も一緒に踊って大盛り上がり。客席は『マンマ・ミーア』のカーテンコールの様な雰囲気に包まれて、誰もがハッピーな気分で劇場を後にしたのではないでしょうか。 キャストについて少し触れておきましょう。まず抜群に良かったのはサリー役の笹本玲奈。まだ20歳という若さながら、芝居はしっかりしているし、歌もダンスも素晴らしい。見る度に成長している若手女優です。ビル役の井上芳雄は身長も高く見映えはするのですが、如何せん顔立ちが地味過ぎるのが残念。また品のいいお坊ちゃま風情の人なので、一幕の“礼儀もわきまえない下町の青年”を演じている時は違和感が強かった。歌に関しては歴代ビル役で文句なくイチバン上手いでしょう。とても良かった。 3年前の公演ではジャッキー役を務めた涼風真世は、たった3年で2、30歳年上のマリア公爵夫人役にスライド。立ち姿は上流階級そのものの品格があり見事。ソロ・パートである「ヘアフォードの歴史」でも堂々とした歌いっぷりでさすが。しかし台詞回しは妙に軽くて、役柄でもある頑固ババァの雰囲気は伝わらず残念でした。涼風真世の後を次いでジャッキー役を務めたのは純名りさ。俺の中では歌の上手さばかりが印象的な女優なんですが、この人、ダンスも相当なもの。立ち居振る舞いや身のこなしなども、指先まで神経が行き届いている感じがします。若くから一線で活躍してきたプロの魂を感じたのでした。 |