大阪四季劇場オープン
『マンマ・ミーア!』大阪公演開幕


大阪四季劇場は、劇団四季にとって大阪で初めての常設劇場。専用劇場はこれまでにもありましたが、いずれも期限付きの仮設劇場。常設となればこそ、これまでのMBS劇場などと違い、ロビーまわりに重厚さが感じられます。すでにある東京の常設劇場なども含めて四季の劇場ロビーって、シンプルで“特徴がない”のが特徴(自由劇場だけは違うか)。ロビー周りの造りって俺には重要で、観劇前や幕間の気分高揚はこうした空間デザインに拠るところが大きいと思います。俺のナンバー1劇場・博多座に次いで、地元大阪にもようやく好きな劇場が誕生してくれました。

さて、『マンマ・ミーア!』。13ヶ月ぶりに見ましたが、相変わらず楽しい演目です。
そして今回は4度目の『マンマ−』観劇となりましたが、見るたびに発見があったり感動するポイントが変わったりと、俺的にはまだまだ飽きることがありません。

今回は初めて2階席で見ましたが、まったく印象が変わります。1階席では床照明があることくらいはわかりますが、床の照明デザインを楽しむには物理的に難しい。しかし
2階席ならバッチリ。すごくキレイで感動的。舞台そのものの印象も違って見えます。
ビジュアル面での発見もさることながら、今回の観劇ではあらためてこの作品の“本”の素晴らしさを感じました。何かとアバの音楽ばかりが謳われがちですが、芝居としての本もよく出来ているなぁ、と。物語が身近な設定な分、見る人それぞれの実生活や実体験によって、或いはその時の気分によって色んな感じ方が出来るように作られていると思います。もちろん怪人だとかハプスブルク家に嫁いだ女、猫やライオンなどの気持ちっていうものに対しても、理解したり感情移入したりすることは出来ますが、決して身近とは言えません。しかもミュージカルって意外にも、こういう現実感のない設定を持つ作品が多い。そういう意味ではシンプルな現代劇である『マンマ・ミーア!』は貴重な存在と言えるでしょう。

大阪の開幕キャストは、女性陣は東京公演のオリジナル・キャストでした。やっぱり
ターニャは森以鶴美がいいと痛感。前田美波里じゃキレイすぎて。この作品はそこそこレベルの容姿で、ちょっと個性的くらいの女性の方がリアルで面白い。青山弥生のロージィなんてウチの会社にゴロゴロいてそうなオバハンっぷりで、そういうところが身近で面白い。ソフィは樋口麻美だったのですが、保坂知寿の娘として登場するなら吉沢梨絵の方がしっくりくる。男性陣の主役4人は、内2人が初見。サムの渡辺正、ハリーの明戸信吾。渡辺さんは若すぎる…!でも超オトコマエ。惚れ惚れしちゃいました。明戸氏は相変わらずのエエ声で、こちらは声だけ惚れ惚れ(笑)。ちなみにビルは野中万寿夫、スカイは鈴木涼太でした。ま、この2人はどうでも…。

余談ですが、プログラムを見るとドナ役に4人がキャスティングされていました。保坂さん、早水小夜子久野綾希子、そしてなんと前田美波里。4人もキャスティングしておいて、保坂さん以外の3人に本当にドナを演らせる気があるのでしょうか?!早水さんなんて東京初演からずーっとキャスティングされてるのに、未だ出演出来ず…。一体、早水さんのどこに問題があるのか?本人でなくとも一度聞いてみたいものです。ま、四季にはよくあるサラシ状態なんですけどね(笑)。


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