『レ・ミゼラブル』大阪公演(2005年12月〜2006年1月) 福岡公演から2年ぶりに『レ・ミゼ』を見ました。今回の目的はマリウス役の藤岡正明さん、そして『アイーダ』京都公演でも大活躍だったシルビア・グラブさん。彼女はファンテーヌ役。そしてそしてWAHAHA本舗の座長・佐藤正宏さんのテナルディエも見どころ。そのほか、という言い方も失礼ですが、俺は山口祐一郎さんのバン・ジャルバンも初見でしたし、『エリザベート』のトートダンサーでお馴染みの東山義久さんがアンジョルラスを演じるということも楽しみのひとつでありました。『レ・ミゼラブル』は鬼のようにキャストを入れ替えて上演するので、こうした新キャストや初見のキャストをお目当てに足を運ぶ楽しさがあります。何十回、何百回と通うマニアが大勢いるのも納得です。 さて感想ですが、まず抜きん出て素晴らしかったのはマリウス役の藤岡さん。俺は 全く知らない若者だったのですが、現役の歌手だそうで「ASAYAN超男子ヴォーカリストコンテスト」からデビューした人らしいです。彼はとにかく歌が上手い。梅田芸術劇場の大ホールいっぱいに響き渡る声量、そして伸びやかな声質はいずれ『モーツァルト!』のタイトルロールを務められるのでは?と思えたほどです。ミュージカル界の新星と 言っていいでしょう。 シルビアさんは『アイーダ』のアムネリス王女役が記憶に新しいですが、今回も切なく悲しい女を見事に演じきっていました。彼女のノーブルな顔立ちは王女役はもちろんのこと、社会の底辺を這いずり回るファンテーヌ役でも、ある意味ピッタリだと思いました。本編でファンテーヌの役どころはそれほど多くは語られませんが、シルビアさんが演じていると「きっともとはいい暮らしをしていた人がここまで落ちたんだなぁ」と潜在的に思わせる雰囲気があるのです。顔立ちと役どころのギャップがあればこそ、彼女のソロ ナンバー「夢やぶれて」のせつなさもひとしおというものです。 佐藤さんは期待通りの面白さ。WAHAHA本舗ですから面白くないわけがない。俺個人的には歴代観劇したテナルディエのナンバーワンです。この役にコメディアンをキャスティングするとは、本当に嬉しい裏切りです。ちなみに佐藤さんは歌も上手くて驚きでした。驚いたと言えば、アンジョルラスの東山さんもそうでした。ダンサーとでしか認識していなかったキャストですが、歌も上手いし芝居もしっかりとしたもので感心。ダンサーが本業(?)だからでしょうか、身のこなしのひとつひとつが優雅なアンジョルラスだったのも、この人だからこそなんだろうなぁと思いました。 …と、言うように久しぶりの『レ・ミゼラブル』は大満足。大いに泣けましたしね。 ところで福岡公演の時も思いましたが、初演から18年以上も上演し続けてきた『レ・ミゼラブル』。舞台の出来栄えとしては熟成感が漂っています。キャストの歌も芝居も見る度にレベルアップしているし、長く上演し続けてもダレることがない。常に新しい血を投入して新鮮さを保ち、作品の完成度を高めている『レ・ミゼ』はミュージカル界の財産でしょうなぁ。褒め過ぎ? |
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