【2006年京都公演の感想】
 う〜ん、やっぱり面白い。前回も書きましたが、俺はこの『クレイジー・フォー・ユー』を20回以上見ています。それでも毎回新鮮に面白いと感じられるのは、よほど自分の好みに合っているんでしょうね。こう言ってはナンですが、大したストーリーじゃないんですよ。単純なボーイ・ミーツ・ガールものだし。それでもガーシュインの音楽とタップダンスの魅力が加わるだけでストーリーは大きくなり、ステージは極上のエンターテイメントになるわけです。まさしく「これぞミュージカル!」なのであります。

 さて、今回の京都公演。ポリー役を初めて樋口麻美で見ました。樋口さんはこれまで『ライオンキング』『夢から醒めた夢』『マンマ・ミーア!』などで見て来ましたが、今回のポリー役がいちばん合ってるかもしれない。彼女自身がずっとやりたかった役だったそうで、きっと気合も入っているのでしょう。楽しんで役を演じている感じがしました。こういうハッピーなミュージカルでは、少なくとも客にそう見えることは大事ですよね。

 日本初演以来13年の歳月を経て観劇した『クレイジー…』ですが、出来栄えは更によくなっていると感じました。ダンスも歌も芝居も。特にアンサンブルの美しさは特筆。この作品のようにアンサンブルが一糸乱れず踊るところに魅力がある舞台は、主役だけが抜きん出ていても意味がありません。こうした“揃う”美しさを見せる作品は、四季のようにひとつの劇団として運営しているカンパニーが上演するに相応しい。
 ひとつだけ難を言えば、13年の間にお年を召され役に合わなくなってきた方は、次世代の役者に役を譲るべきでしょう。ボビー役の加藤敬二さんは今年はギリギリOKだとしても、そろそろ…という感じです。そして大問題は実際のお年は50代かと思われる末次美沙緒さん。ボビーの婚約者アイリーンを演じるのはいい加減いかがなものかと…。アイリーンは後半でブチ切れてセクシーなダンスを披露するシーンがあるのですが、
足をおっ広げてオマタ全開のシーンなど、50代のオバハンにやられたら「オエーッ」っすよ、まったく。「女優に年齢はない」なんてことを言いますが、ハッキリ言いましょう!年齢はあります!少なくとも見る側にはね。そんなわけで『クレイジー・フォー・ユー』は楽しいですが、何役かはそろそろ世代交代を…ということで。


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