42ND STREET(来日版)


脚本=Michael Stewart、Mark Bramble
音楽=Harry Warren
作詞=Al Dubin

ルビ吉観劇記録=2004年7月(東京)
【このミュージカルについて】【物語】
こちらをご参考に→42nd STREET

【観劇記】
 “来日公演に当たりナシ”とは俺の持論ですが、今回もそれは変わりませんでした。劇場ではなく大人数収容のホールで上演する荒っぽさ、本国公演とは微妙に違う簡素化された舞台セット、そして見づらい字幕…etc。高額の招聘費用が招くステージは悲惨なものがあります。バブル期の日本なら、きっと日本人のミュージカルに対する目も今ほどは肥えていなかったでしょうから、“本場アメリカ”のショーを有難がって見せていただいたわけですが、今はもう21世紀。海外から作品を招聘するなら、まず品質管理を徹底しろよ!と怒りの一言もぶちまけたくなります。…と、そんなことを言いながらも観に行ってしまうところに、俺のミュージカル好きの性が悲しく光るわけですが(笑)。

 俺はこの公演を渋谷のオーチャードホールで見ました。東京厚生年金会館や大阪フェスティバルホールで見るよりは「マシ」な気がして、いわば魔がさして見る事にしたのですが、これがそもそもの失敗。このホール、舞台位置が高い上にフットライトが邪魔をして、前方席では役者の膝下がなんと見えない!タップ主体のショーで、それは有り得ないでしょう。また列の端に位置する客席からは舞台の1/3が見切れます。そんな席でもS席12,600円を取るのですから、大した商魂です。
 舞台装置もひどいものでした。チラシとかホームページに掲載されているシーン写真を信用してはいけませんぞ。似て非なるものが登場しますから。チラシなどに掲載されている写真は、あくまでも本国の常設劇場の写真かと思われます(←想像ですが)。短期間ずつ日本各地を転々とする今回の来日公演では、そんなしっかりと作った舞台装置はお供できないのでしょう。『42ND』はストーリー性で楽しませる作品ではなく、華やかなショーが見どころなので、見た目の部分は来日公演であったとしても工夫が欲しかった。そこが貧相に見えたら失敗だと思うのですが。

 以上のように今回の『42ND STREET』は大きな魅力をひとつもふたつも欠いてるわけですが、マイナス面ばかりではありません。来日公演版に魅力があったとするならば、役者陣の技量でしょう。特にタップダンスの技量には目を見張るものがありました。この作品は幕開けとラストでタップの大ナンバーがあるのですが、足元が見えなくてもかなりの迫力がありました。40名前後(?)が一糸乱れず踊るタップダンスは、もし何も見切れない中央の席で見られたなら圧巻だったと思います。まぁ、これから観に行かれる方は、くれぐれも席を吟味してチケットをお買い求めになりますようご忠告申し上げます。

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幕間でオヤジが連れの若い女に得意げに話している話を聞いてしまいました。
「やっぱミュージカルはブロードウェイだよね。素晴らしいよ。そもそもがアメリカの芸術なんだからさ。春にどうしてもって誘われて『エリザベート』なんか見に行ったわけよ。
でも全然ダメ。やっぱ日本人がアメリカのコピーをしたってダメ。コピーは所詮コピーなわけよ…(以下延々)」
って言うじゃな〜い♪
でも『エリザベート』はウィーン・ミュージカル!
ブロードウェイではやってませんからっ!
バブル期にわんさかいた偽ウンチク&評論オヤジの生き残り斬り!!

ウンチクは勉強してから、評論は舞台を見てからにしましょうね☆

モドル