秋の七草と薬効

98年秋 漢方野外教室資料    

秋の七草  あきのななくさ

秋に花の咲く草の中から代表的なものを7種選んだもの。《万葉集》の山上憶良の歌

萩が花尾花葛花撫子の花女郎花また藤袴朝顔の花

による。ハギ,オバナ(ススキ),クズ,ナデシコ,オミナエシ,フジバカマ,アサガオであるが,このアサガオは今のアサガオという説と,ムクゲ,キキョウ,またはヒルガオという説もある。  マイペディア97(C)株式会社日立デジタル平凡社

山上憶良(660-733)やまのうえのおくら

万葉歌人。出自については不明で,百済系渡来人説など諸説がある。702年遣唐使の随員として渡唐。帰国後,伯耆(ほうき)守,東宮侍講を経て筑前守となり,大宰帥(だざいのそつ)大伴旅人と交遊を深めた。《万葉集》に長歌11首,短歌68首,旋頭歌(せどうか)1首(作者に異説のあるものを含む)のほか漢詩,漢文の作品もあり,〈貧窮問答歌〉にみられるような思想性・社会性を特色とする。また和歌の編纂(へんさん)物《類聚歌林》があったというが現存しない。  マイペディア97(C)株式会社日立デジタル平凡社

はぎ、すすき、くず、なでしこ、おみなえし、
ふじばかま、ききょう

 

春の七草は根菜で食べられるものになっていますが、秋の七草は鑑賞にたえる美しさで選んでいます

良い香りのふじばかま・・・古く中国から導入されて香料として用いられた。乾燥させると芳香を放つようになります。花の美しさよりもニオイで選ばれたと思われます。

オミナエシは臭い?・・・漢方薬名の敗醤は醤油が腐ったようなニオイから名付けられた。白花のものはオトコエシ(男郎花)で線が太い。

おいしいクズ・・・くずきり、くずもち、くずまんじゅうなどはクズが原料の銘菓。

あさがお は ききょう?・・・桔梗の字に阿佐加保のフリガナがつけられていることなどが根拠となっています。貝原益軒は朝開いて夕方にはしぼむ木槿(むくげ)をあてていますが、花の美しさではやはり桔梗に軍配?

はぎ は草じゃない・・・厳密にいうと萩は落葉低木で草ではありませんから「七草」とはいえませんが、まあ堅いことはいわないでおきましょう。

 

漢方薬としての秋の七草

根を夜関門といい咳止め、去痰、胃の痛み、下痢などに用いる。

芒or薄

根茎を利尿薬として用いる。

根を葛根という。風邪薬で有名な葛根湯の主役。風邪のほか肩こりや神経痛などにも用います。

撫子

漢方では全草を瞿麦(くばく)、種を瞿麦子という。むくみや高血圧に煎じて飲む。

女郎花

根を敗醤根という。消炎、排膿作用がある。

藤袴

全草を乾燥させたものを蘭草という。糖尿病に効く。お風呂に入れてかゆみをとる。

桔梗

根は昔から咳止め、去痰薬、のどの痛みの薬として有名。毒性があり、多量では胃腸のただれ、下痢、嘔吐を起こす。

他の美しい秋の薬草 リンドウ、トリカブト サラシナショウマなど

 
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