ストロベリー・
オンザ・ショートケーキ
第二話
第ニ話 苺のキッス |
僕は、学校が終わると、 いつもいつも君を待っていた。 僕は、幸せだった。 転校早々授業中に居眠りをする唯。 早速まなとのクラスに行き、昼食に誘う。 両親の再婚で、まなとと唯は兄弟になったのだった。 仲の良い二人を見た遥は、 気づかぬままにやきもちをやいていた。 そして・・ まなとの靴箱にはまた一通のラブレターが入っていた。 「午後5時に噴水の前」 からかわれていたラブレターだと思ったが、 5時過ぎに現れたのは、遥だった。 素直に喜ぶまなと、しかしどこか不安なまなと。 彼女の事は好きだけど、本当に好きなのか。 自分から誘った映画も、少し悩んでいた。 両親のHをまなとと二人で見た唯は、 「よかった。ママが幸せになって」と涙する。 次の日には、まなとの父・義理の父を「パパ」と呼んだりもした。 彼女は、 人の幸せは伝染する。ママの幸せが私に伝染して、 幸せのおすそ分けをして欲しい。 悲しい時は、泣かない。悲しみが伝染してしまうから。 そしてまた新しい一日は始まる。 まなとは、 青いラブレターの主が遥だった事、 自分から映画に誘ったが少し悩んでいる事を唯に打ち明ける。 デートをした事もなく、ましてやキスもした事もない事は、 なんとなく隠したが、唯はすぐに見抜いてしまう。 そして・・ 唯はキスの仕方をまなとに指導した。 女の子は顔を近づけるとそっと眼を閉じる。 唯で練習したまなとは、真剣になる。 笑っちゃうほど可愛い年下の唯の指導だった。 もう一歩のところで!、キスはせず。 一方、 まなとの同級、佐伯哲也の実らぬ恋・・・ 前の彼氏を亡くして3年目になる、教師の真理子。 去年もそうだったように、今年もこの季節になると 哲也に冷たかった。 真理子は、不安から自分を支えられなくなるのだった。 前に見合いした男性と、寂しさから再会する真理子。 それを見ていた哲也は、 理由はわかっているのに、自分では何も変えられず、 真理子の寂しさを埋めることが出来ず、 だんだんと寂しさが苛立ち、怒りに変わっていくのだった。 ある日、 その哲也が作曲したピアノ曲を唯は聞いた。 それは、唯が、以前に家の鍵をなくし、哲也に拾ってもらったお礼を言おうと 哲也に会いに来たときだった。 そしてそのピアノ曲は、とても寂しく、半音下がった曲だった。 しかし唯は、 昔亡くしたピンク色のヒヨコを思い出したのだった。 それは、「100年の恋も一瞬にして冷めた」ような思い出だった。 唯は、何を感じたのだろう。 映画を見にいったふたり。まなとと遥。 映画も集中して観れず、 まなとは遥の唇ばかり気にしていた。 そして、手をそっとつなぐ。 帰り道には・・・ 体と心の中が違う自分が嫌いで、 子供の頃から知っているまなと以外の人だと、 とても不安で、すごく怖くなる、と、 まなとへの気持ちを告白する。 そしてまなとは・・・ 妹の唯を思い出しながら、 遥にキスをした。 そして・・ 何時の間にか、妹を、唯を意識し始めていた。 そして・・ 何度も何度も心から君を打ち消そうとしてみた。 甘くて大好きなケーキの上のイチゴを真っ先に食べる君を。 |