ビッグウイング


第八話

 第八話 ああ涙! 母子、八年目の再会
久美子は誰かを待ってる様子の少年・シンヤ君を何度も見かけ心配していた。
シンヤ君は旧ターミナルの写真の前で、
赤いTシャツを大事そうに持ち、泣いている様子。
栗山の話では、この時期になると決まってやってきて帰らない母を待っているらしい。

その頃、TVプロデューサーの京子という江頭の友人が
久美子を密着取材し始めていた。

「5歳の頃、母が「アイスを買って来るから待ってろ」と言い、
それきり戻って来なかった。
その時今度の誕生日にはディズニーランドに行く約束をしていたから、
毎年ここで待っている。時が経って自分の事がわからないといけないから、
目印として、当時来ていた赤いTシャツを持っている。」
と、シンヤ君から事情を聞いた久美子は、
一緒に待ってもいいか?と優しく声をかけた。

栗山は、
「取材人にあの子を興味本位で取り上げて欲しくない」と言っていたのだが、
久美子はカメラが居ないからと安心し、シンヤ君とお昼を一緒に食べていた。
そして母の名前は「やすこ」と教えてもらうのだが、
久美子も一緒にいるシンヤ君も、全て物影から撮影されていた。

ある日、「太田シンヤ様」の呼び出しがされる。
とうとう母が迎えに来たのだ!と喜ぶシンヤ君と久美子、
ずっと待ちつづけていた母に会い、抱きつくシンヤ君。
しかし・・・
これは「やらせ」だった。
前日シンヤ君は、京子から
「芝居がうまく出来たら本当のお母さんを探してあげるから」と言われていたのだった。
これは取引ではなく「利用だ」という久美子、江頭、栗山、花村。
京子は、女が独りで上りあがっていくには色々あるんだと言うが・・・

そして、本当のお母さんを一緒に毎年待とう!と約束した久美子だったが、
突然腹痛で倒れてしまった!
慌てまくる栗山!江頭、花村。
久美子は軽い腹膜炎で数日入院する事になってしまった。

久美子がどんなに大切な人か、皆少しずつ気がついてきたようです。
人は誰でも独りではない。
求める心があれば、答えてくれる人がいる。
心から信じられる大切な人は、意外と近くにいるかもしれない。



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