http://www.aurora.dti.ne.jp/~mutsumi/study/ronso886.html
2016-04-12Web掲載，2017-02-03最終更新
黒澤睦「ドイツの性犯罪における条件付親告罪規定――わが国の性犯罪は非親告罪化するしか道はないのか――」法律論叢第88巻第6号（明治大学法律研究所，2016年3月25日）51-110頁。
Mutsumi KUROSAWA, Die bedingten Antragsdelikte bei den Sexualdelikten, The Meiji Law Review, Vol.88 No.6, 2016, The Institute of Law, Meiji University, pp.51-110.
- 要旨・目次
- 全文ダウンロード
- 訂正・補遺（必ずご参照下さい）
要旨
ドイツの性犯罪における条件付親告罪規定を参考に，わが国の性犯罪の非親告罪化について検討を加えた論文。一で，わが国の近時の動向を概観し，その課題を確認した。二で，1876年に行われたドイツの性犯罪における原則的な非親告罪化と，現代ドイツの一部の性犯罪における条件付親告罪規定について検討を加えた。三で，性犯罪においては，親告罪よりも非親告罪の方が適切であるが，よりも適切な選択肢として条件付親告罪制度または条件付異議申立制度を検討すべきとした。
目次
はじめに
一 わが国における性犯罪の非親告罪化をめぐる近時の動向
１ わが国における性犯罪規定と親告罪制度の歴史的変遷
２ 性犯罪の非親告罪化への動因――二つの大きな流れ
(一) 第一の流れ――非親告罪化が明示されていないもの
(二) 第二の流れ――非親告罪化を明示的に要請するもの
(三) 法務省「性犯罪の罰則に関する検討会」と同「取りまとめ報告書」（2015年8月6日）
３ 留意すべき第三の流れ
二 ドイツの性犯罪における条件付親告罪規定
１ ドイツの性犯罪における親告罪規定の歴史的変遷
(一) カロリナ法典（1532年）――性犯罪は私人訴追犯罪ないし親告罪
(二) プロイセン一般ラント法典（1794年）――性犯罪は条件付親告罪
(三) ドイツ連邦（1815年～1866年）における地方特別法と学説
(四) 北ドイツ連邦（1870年）、ライヒ刑法典（1871年）とライヒ刑事訴訟法典（1877年）
――性犯罪の親告罪化（1870年、1871年）と法改正による非親告罪化（1876年）
(五) その後の展開
(六) 第二次世界大戦後の展開
(七) 小括――問題の所在
２ 1876年に実施された性犯罪の原則的な非親告罪化
(一) 1876年改正前の規定
(二) 改正理由（性犯罪の原則的な非親告罪化の趣旨）
３ 少年性的虐待罪における条件付親告罪規定（ドイツ刑法182条3・5項）
(一) 改正前の条文
(二) 条件付親告罪規定の立法理由
(三) 改正後の条文をめぐる評価等
４ 補論――露出症行為罪における条件付親告罪規定（ドイツ刑法183条1・2項）
(一) 改正前の条文
(二) 改正とその理由
(三) 改正後の条文をめぐる評価等
(四) 少年性的虐待罪における条件付親告罪規定との差異
三 試論――もう一つの選択肢としての条件付親告罪制度・条件付異議申立制度
１ 親告罪、非親告罪、その中間の選択肢
２ 立法論としての条件付親告罪制度・条件付異議申立制度、運用上の留意点
むすびにかえて
明治大学学術成果リポジトリから，［PDF版］全文をダウンロード できます。
※ 本論文には 訂正・補遺（後掲） があります。必ずご参照下さい。
本論文に誤り・遺漏がありましたので，下記のとおり訂正・補足いたします。
- 85頁16行目 ＜2016年4月12日訂正＞
（訂正・補足前）「……性犯罪の大部分は被害者が21歳（1994年以前は18歳）になるまで公訴時効が停止する（刑法78条b第1項）が、その対象から182条・183条は除外されている……」
（訂正・補足後）「……性犯罪の大部分は被害者が30歳（1994年改正で18歳、2013年改正で21歳、2015年改正で30歳）になるまで公訴時効が停止する（刑法78条b第1項1号）が、その対象から183条は除外されている（182条は2015年改正で公訴時効停止の対象となった）……」
http://www.aurora.dti.ne.jp/~mutsumi/study/ronso886.html
Copyright (C) 2016-2017, Mutsumi KUROSAWA, All rights reserved. mutsumi@aurora.dti.ne.jp