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4. 本論文は，学位請求論文提出時（2006年9月）までの既発表論文を基礎にしていますが，一つのテーマのもとに再構成し，大幅に加筆するとともに，既発表の記述内容も一部訂正・修正しています。

告訴権・親告罪に関する研究

目　次

序　章                                                                       　1

第１章　刑事司法における犯罪被害者の法的地位                                 　3
　　第１節　刑事司法における犯罪被害者の法的位置づけ                         　3
　　　　一　事件・犯罪発生から警察段階                                       　4
　　　　二　検察段階                                                         　6
　　　　三　裁判段階                                                         　8
　　　　四　処遇段階以降                                                    　10
　　　　五　刑事手続全般にわたるもの等                                      　11
　　第２節　従来の代表的見解からみた告訴の法的位置づけ                      　11
　　　　一　定義                                                            　12
　　　　二　法的効果・機能                                                  　13
　　　　三　類似の制度との比較                                              　15
　　　　四　法的性質論および訴追理念との関係                                　17
　　本章のまとめ                                                            　19

第２章　告訴権・親告罪の歴史的展開                                          　27
　　第１節　わが国における告訴権・親告罪の歴史的展開                        　27
　　　　一　仮刑律，新律綱領・改定律例                                      　27
　　　　二　旧刑法と治罪法                                                  　34
　　　　三　明治刑事訴訟法                                                  　43
　　　　四　現行刑法                                                        　44
　　　　五　大正刑事訴訟法                                                  　44
　　　　六　現行刑事訴訟法の成立と現行刑法の改正                            　46
　　　　七　近時の法改正と現在の規定                                        　47
　　第２節　ドイツにおける告訴権・親告罪の歴史的展開                        　49
　　　　一　古ドイツ法（16世紀初頭まで）                                    　49
　　　　二　カロリナ法典（16世紀初頭）                                      　51
　　　　三　プロイセン一般ラント法典（18世紀中頃）                          　51
　　　　四　ライヒ刑法典とライヒ刑事訴訟法典（19世紀後半）                  　54
　　　　五　第二次大戦後の展開（20世紀後半）                                　55
　　　　六　現行法における告訴権・親告罪規定                                　55
　　本章のまとめ                                                            　58

第３章　告訴権・親告罪の法的性質論                                          　77
　　第１節　1995年の刑法の平易化と告訴権・親告罪                            　77
　　　　一　1995年の刑法の平易化                                            　77
　　　　二 「告訴ヲ待テ論ス（可キ罪）」                                     　78
　　　　三 「首服」規定                                                     　79
　　　　四　小括                                                            　80
　　第２節　ドイツにおける議論の概要                                        　80
　　　　一　訴訟法説                                                        　80
　　　　二　実体法説                                                        　81
　　　　三　訴訟法実体法混合説（二重性質説）                                　82
　　　　四　親告罪類型区別説                                                　83
　　　　五　小括                                                            　84
　　第３節　告訴権・親告罪の法的性質論序説                                  　85
　　　　一　ふたたび1995年の刑法の平易化と関連して                          　85
　　　　二　各親告罪への法的性質論の展開可能性                              　86
　　本章のまとめ                                                            　88

第４章　修復的司法としての親告罪？ ―告訴権・親告罪制度の根拠論と関連して― 　95
　　第１節　修復的司法の可能性                                              　95
　　　　一　修復的司法論と損害回復論                                        　95
　　　　二　わが国における修復的司法の実現可能性                            　99
　　第２節　告訴権・親告罪の根拠・趣旨論                                   　101
　　　　一　わが国における告訴権・親告罪の根拠・趣旨論                     　102
　　　　二　ドイツにおける告訴権・親告罪の根拠・趣旨論                     　104
　　　　三　学説の総合的検討                                               　117
　　　　四　わが国の親告罪の個別規定における根拠・趣旨の検討               　123
　　第３節　告訴権・親告罪と修復的司法                                     　128
　　　　一　親告罪における宥和・和解思想                                   　128
　　　　二　親告罪における損害回復                                         　129
　　　　三　私人訴追制度との関連性                                         　130
　　　　四　いわゆる「首服」（刑法42条2項）の意義                          　131
　　本章のまとめ                                                           　133

第５章　ドイツにおける条件付親告罪の構造から考察する限界事例の刑事対応論   　147
　　第１節　条件付親告罪の構造                                             　147
　　　　一　名称に関する争い                                               　147
　　　　二　基本構造と立法根拠                                             　148
　　　　三　刑事訴追に対する特別な公益                                     　150
　　第２節　条件付親告罪と訴追原理                                         　151
　　　　一　職権主義・国家訴追主義との関係                                 　151
　　　　二　起訴法定主義との関係                                           　151
　　第３節　条件付親告罪の問題点                                           　153
　　　　一　親告罪の本質との矛盾                                           　153
　　　　二　「刑事訴追に対する特別な公益」に関する判断の不確実性（恣意性） 　154
　　　　三　私人訴追制度との齟齬                                           　154
　　第４節　親告罪と非親告罪のはざま                                       　155
　　　　一　大正時代の臨時法制審議会での議論                               　155
　　　　二　限界事例の訴訟法的処理と実体法的処理                           　156
　　本章のまとめ                                                           　158

第６章　告訴権の現代的展開と再構成                                         　162
　　第１節　告訴の主体・対象                                               　162
　　　　一　告訴の主体 ――「犯罪により害を被つた者」（刑事訴訟法230条）   　162
　　　　二　告訴の対象                                                     　164
　　第２節　告訴権と捜査                                                   　166
　　　　一　実務の動向                                                     　166
　　　　二　告訴権の再構成                                                 　168
　　本章のまとめ                                                           　174

第７章　告訴期間制度の批判的検討                                           　181
　　第１節　類似する他の制度との比較                                       　181
　　　　一　公訴時効制度との比較                                           　182
　　　　二　期間制限がなかった親告罪における告訴との比較                   　186
　　　　三　訴訟条件である告発・請求との比較                               　187
　　　　四　民事法における消滅時効および除斥期間制度との比較               　187
　　第２節　告訴期間制度の存廃論                                           　188
　　　　一　2000年の刑訴法改正をめぐる議論                                 　188
　　　　二　ドイツにおける議論                                             　190
　　　　三　告訴期間制度の撤廃による捜査への影響                           　191
　　第３節 「犯人を知つた」の意義                                          　192
　　　　一　問題の所在                                                     　192
　　　　二　判例の立場                                                     　193
　　　　三　評価 ── 親告罪の根拠・趣旨との関係                           　194
　　本章のまとめ                                                           　194

終　章                                                                     　201

参考資料                                                                   　202
　　別表１　わが国の刑法典における親告罪等
　　別表２　ドイツの刑法典における親告罪等