【終了】 2014年度「刑事政策」（金沢大学法科大学院，1年以上，集中講義，2単位）

シラバス
授業日程

シラバス（演習案内）

＜参照＞ Kanazawa University Syllabus

キーワード

司法試験科目：刑法，刑事訴訟法
裁判官（刑事），検察官，弁護人

授業の主題

　刑事政策とは、犯罪への事前・事後の対応を通じて、社会を構成する個人や集団の調和を図るために行われる、国や地方公共団体などの公的機関による施策、さらには市民による活動のことをいう。学問としての刑事政策学は、犯罪およびそれらの施策・活動について、関連諸科学を駆使して実態を実証的に把握するとともに批判的に考察し、より合理的かつ効果的なものへと体系化しようとする試みである。そして、そこで得られた知見は、刑法学や刑事訴訟法学においても、法解釈論、法適用論・制度運用論、立法論など、様々な場面を通じて活かされている。
　この授業では、まず、刑事政策の歴史を取り上げ、刑罰などに見られるこれまでの犯罪対策とその理念がどのように展開してきたのかを確認する。次に、刑事政策を考察するにあたって注意すべき基本的視座を提示した上で、犯罪原因論とそれを踏まえた犯罪予防論に関して、現在までの学問の到達点を確認する。
　続いて、犯罪対策総論として、わが国の刑事司法制度の全体像を示した上で、個々の刑罰の内容および施設内処遇・社会内処遇の実態を確認しつつ、それらをめぐる議論を紹介・検討する。またあわせて、近時大きな展開が見られた犯罪被害者への対応を取り上げる。
　さらに、犯罪対策各論として、とりわけ学問的に注目されている、少年犯罪・少年非行、DV、児童虐待、高齢者虐待、薬物犯罪、暴力団犯罪、交通犯罪、企業犯罪、精神障害者の犯罪、女性の犯罪、高齢者の犯罪、再犯者・常習犯罪者の犯罪、来日外国人の犯罪、犯罪の国際化とその対策などを取り上げる。
　刑事政策は生きた学問である。授業で取り上げるテーマはこれらに限定されず、直近の犯罪動向や学問的知見も反映したものにする予定である。

授業の目標

　この授業の目標は、（1）刑事政策を考察するにあたって注意すべき基本的視座を身につけること、（2）犯罪原因論および犯罪予防論などに関する現在までの学問の到達点を理解すること、（3）わが国の刑事司法制度における刑罰や施設内処遇・社会内処遇の実態を把握すること、（4）現代社会において生起する犯罪をめぐる諸課題を、関連する諸科学を駆使して考察できるようになること、である。

授業の概要

１．刑事政策の基礎（1）刑事政策の概念と歴史
２．刑事政策の基礎（2）犯罪と犯罪統計
３．犯罪政策の基礎（3）犯罪原因論
４．刑事政策の基礎（4）犯罪予防論
５．犯罪対策総論（1）刑罰と量刑、保安処分、保護処分
６．犯罪対策総論（2）施設内処遇
７．犯罪対策総論（3）社会内処遇
８．犯罪対策総論（4）犯罪被害者対応
９．犯罪対策各論（1）少年犯罪・少年非行
10．犯罪対策各論（2）DV、児童虐待、高齢者虐待
11．犯罪対策各論（3）薬物犯罪、暴力団犯罪、交通犯罪、企業犯罪
12．犯罪対策各論（4）精神障害者の犯罪
13．犯罪対策各論（5）女性の犯罪、高齢者の犯罪、再犯者・常習犯罪者の犯罪
14．犯罪対策各論（6）来日外国人の犯罪、犯罪の国際化と国際犯罪対策
15．刑事政策の最新動向、まとめ
※授業内容は必要に応じて変更する可能性がある。

評価の方法

標準評価方法
　本研究科成績評価基準に基づき評価する。

評価の割合

学期末試験 100%

テキスト・教材・参考書等

テキスト：大谷實『新版刑事政策講義』（弘文堂、2009年）
参考書：法務省法務総合研究所編『平成○年版犯罪白書』（比較的新しいもの）
　　　被害者法令ハンドブック編纂委員会編著『被害者法令ハンドブック』（中央法規出版、2009年）
配布物：レジュメ

その他履修上の注意事項や学習上の助言

　集中講義のため一日あたりの進む量が多いので、教科書の該当箇所を事前に必ず一読しておくこと。
　素朴な疑問でも積極的に質問すること、また、教員からの質問には間違いを恐れず回答すること。

オフィスアワー等（学生からの質問への対応方法等）

　メール（mutsumi@aurora.dti.ne.jp）により，可能な限り対応する。

追加の連絡事項など

授業日程

2014年8月
　26日（火）2限，3限，4限，5限
　27日（水）2限，3限，4限，5限
　28日（木）2限，3限，4限，5限
　29日（金）2限，3限，4限
2014年9月
　2日（火）4限（14：45～16：15）　学期末試験

http://www.aurora.dti.ne.jp/~mutsumi/edu/2014/kanazawa_criminal_policy.html