バイク走行動画撮影vol.2

前回の記事で書いた通り、
初めての走行動画撮影ではいくつかの問題があった。
その中でも一番どうにかしたかったのが、
雲台の小ささによる、メーターが大きく写りこむ問題であった。


というわけで雲台をオークションで新調してみた。 ベルボンの PH-360N というやつで、 雲台単体の高さが 13cm ある。 重さも 1kg と結構あるが、その分頑強な感じのする雲台だ。

早速、前回と同じ方法でバイクに取り付けようとしてみる…と、 一つ問題が発生した。 メインのパン棒の取り付け角度が下向きすぎて、 ガソリンタンクに干渉するのだ。 それをかわすには盛大に角度をつけなければならず、 これはどうにかしなくてはならない。

どうにかはしたいんであるが、またまた障害が発生した。 パン棒を、前回同様ノブスターに取り替える事で乗り切ろうと思ったのだが、 パン棒のネジピッチが M でも W でもない、規格外の物だったのだ (サイドのパン棒は W 3/8 インチだったのでノブスターにできた)。 写真では W 3/8 インチのボルトと並べてみたが、 パン棒のほうはピッチがめちゃくちゃに広い。 数ヶ所のホームセンターでも同じサイズの物は見つけられず、 職場で輸入写真機材に使われてみるネジを見てみたりしたが 合う物が見つからない。

仕方がないのでパン棒を切断して乗り切る事にした。 金属用のノコギリでゴシゴシと切っていく。 面倒くさい作業だったが、 比較的柔らかい合金だったのでなんとか切る事ができた。 ちなみに一見、「後戻りできない一線を越えた」ように見えるが、 実はパン棒はベルボンから補修用パーツとして供給されているのを 確認してからの行動である。

2つに切断したパン棒の、ネジが切られたほうを使うわけだが、 「握り」をどうするかという問題は、どうしても解決できなかった。 締め込む動作にはかなりの力がかかるから、 その力を受け止められる加工が必要なのだが 金属加工の機械も持たない素人では無理だし、 鉄工所などに依頼するのも割に合わない。
そこでちょっと考えてみた。 このパン棒はカメラの向きの上下をまかなうのだが、 一度角度を決めてしまえばそう頻繁に動かす必要はない。 ならば、必要な時〜初回とか〜だけ、プライヤーで掴んで 締め付けてやればいいではないか。 プライヤーで掴む事で傷は付くが、 気にしなければいいだけの事である。
そうと決まれば切断したままで用は足りるのだが、 素人作業の切断面があまり綺麗じゃないので、 その辺にあった、パイプの化粧蓋をグルーガンで接着してやった。 カメラ用品っぽい、自然な仕上がりだw

前回同様、寸切の全ネジ等を新しく用意してバイクへ取り付けてみる。 ほぼ完璧な取り付けだ。 しかし…デカイ。デカさが必要でそうしたのだから当然なのだが、 コンパクトカメラにはどう考えてもオーバースペックである。 しかし安定性や剛性に関しては大は小を兼ねるはずだから、 見た目に大袈裟過ぎても構う事はない。


さっそく通勤時に試し撮りをしてみる。 前回の アングルと比べてみるとよくわかるが、 水平線をアングルのセンターに合わせてもメーターがあまり写り込まず、 非常に良好だ。思わずうれしくなってしまう。

ところが、アクシデントが発生した。 撮影中、カメラがフリーズしてしまったのだ。 液晶画面にはよくわからない縞模様が表示され、 操作不能で電源ボタンも使えない。バッテリーを抜く事で元に戻ったのだが、 これはどうした事か。


帰路にも夜間撮影を試みて、帰宅してからPCで見てみると、かなりブレがひどい。 暗所撮影でのシャッタースピードのせいかと思ったが、 交差点で停止した時にはブレていないので、 これはあきらかにカメラブレである。


明るい時の撮影動画もよく見ると、 エンジン回転数によってかなりブレている。 考え方一つではあるが、僕の基準ではこれは NG だ。

走行中にカメラに触ってみると、前回の装置の時よりもかなり激しく振動している。 雲台その物はしっかりした物のはずなので、 原因は、トップブリッジからの距離が伸びた事で振動の振幅が大幅に増加した事と、 雲台自体の自重( 1kg ! )がさらに振動に寄与した事だと思われる。

とにかく、完全に失敗だ。
動画のサイズを 320×240 にする等でブレは目立たなくなるかもしれないが、
それはちょっと本末転倒である。
とりあえず、
・(現状のマウント方法のまま)雲台の高さを上げる事は無理
なので、雲台等の装置は前回の物に戻し、
アングルに不自由が出る事を享受しなくてはならない。

カメラ位置が低い事のデメリットは

・メーターが大きく写るか、空ばかり写る。
  →路面があまり写らず、絵的につまらない
  →空の割合が増えると、露出のコントロールがしにくい
  →メーターの割合が多いと、速度がバレる

という点だ。
絵作りの部分はどうしようもないのであきらめるとしよう。
速度がバレる事は、カメラとスピードメーターの間に
物理的にマスクをする事で何とかできそうだ。
ライダーからはスピードメーターが視認できないとまずいのが、
ちょっと難しいかもしれない。
一番大変そうなのは、露出のコントロールだろう。
露出補正をするのは簡単だが、
刻々と変わる撮影条件には対応しきれない。
撮影テクニックの一つに、
ハーフ ND フィルターを使って空を暗く描写してやるというのがあり、
これは露出計を騙すのにも使える技だが、
コンパクトカメラの EXILIM EX-Z100 のレンズには
適合するハーフ ND フィルターがないだろうし、
流用するにしても ND の境界線の調整がほぼ無理そうである。

測光方式と露出補正の組み合わせで、ある程度は妥協するしかなさそうだ。
まぁ、明るめに振っておいてやればある程度は大丈夫だろうとは思うが、
ちょっと残念な結果となった。
というわけで、さらに精進が必要であり、動画の披露はまたまた持越しである。

−次回に続く−