f l a t  d a y s

のんべんだらりを夢見つつ、魂に放浪癖のある一社会人が綴る、カウントダウン的日常の身辺雑記。

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肉抱え女 後編

ああ、こんな項目から今月は始まってしまった。
前回までのあらすじ は勝手に見てね。
とにかくタクシーを止めた。っていうより、タクシーが止まった。
横断歩道を巨大箱を抱えてえっちらおっちらしていたら
タクシーの方で、わしの出番や、とばかりに止まってくれた。
タクシーに乗るときは、まず値段交渉から。アジアでの基本である。
「香枦園浜までなんですが、いかほどするもんでしょうか。」
「こーろえんはま? って、どこ?」
私に聞くのかーーー、私に。
会社から自宅への帰り道さえ、やっと説明できるようになったこの私に。
(それまでは、地下鉄の駅まで行ってもらって、忠実に自分が歩いて帰っている道を
たどっていた)
タクシーの運転手さんというのは、日本国中どこでも地名さえ言えば
連れていってくれるのではないのか。月はどっちに出ている。
幸いにも前日、このバーベキュー大会に車で集まる組のために、
私が、道順をメールで回付していた。その記憶がかすかにあった。
「阪神高速を、甲子園を左に見ながらずっと行って、どっかで降りて、
建石の交差点を左折。」
なんでこんなことを私が知っているのか。
しかも、「左折」。左折、と来たもんだ。左折なんてあなた、ちょっと言えますか。
この時生涯で初めて口にした言葉かもしれない。
現金がないので、カードを使えることを確認し、車に乗りこむ。
乗りこんだ途端、いや〜な予感。この特有のにおい。
たばこのにおいも混じっているぜ。かんべんしてくれよ、え。
反対側のドアからすぐに出ようかと思ったが、巨大肉箱が既に
トランクの中に人質にとられている。
電車組のくろちゃんに、携帯でメールをうつ。「車で行く。」
その頃、テニスの友人たちからも、なんやかやちょうどメールが入って
(今日はランチに熊吉ラーメンに行くから、とか、今日はNODAMAPの
前売り発売日、とか)、携帯の小さい画面の文字を追っていると、ますます気分が悪い。
だめだ、こりゃ。だめだ。運転手さんと世間話などしながらも、
心の中の暗雲はどんどん大きくなっていくばかり。
どうするんだ、どっかで降りてまた巨大肉箱を抱えてとぼとぼ歩くのか。
このままがまんして乗りつづけ、一度死んで、浜にたどりつき、そこで蘇生するのか。
「高速乗りますよ」と運転手さん。
「お願いします」。ああ言っちまった。乗ったら降りられないぞ。
高速はスムーズに流れた。しかし、一体どれくらい時間はかかるものなのか。
「すみません、やっぱり、阪神西宮駅まででお願いします」。
そこまでなんとか行こう。そこまでなんとか。生きてなんとか。
香枦園浜よりは近いだろう。そこで誰かに迎えに来てもらおう。
なんせ肉をもってるのはこの私だ。迎えに来ずにはおれまい。
くろちゃんにメール。「気分悪い。西宮駅までにする。」
メールを打つたびにダメージが重くなる。ここで気分が悪くなったら、
せっかくの肉が本番で食べられないぞ。がんばるんだ。
突然ですが、書くのに飽きてきたので、おしまい。
とにかく西宮駅まで行ったのさー。それが思ったより早くて、集合時間より
10分ほど遅くなっただけで、くろちゃんたちが駅で待っててくれたのさー。
そいで、Nさんが連れてきてた4歳の子供さんが、タクシーのトランクから出してきた
巨大肉箱を見るや、「これ全部お肉?」とぴょんぴょん飛びはね続けるうさぎさんに
なってしまったので、なんだかすべて報われたわよ。そうかそうか、食べろ食べろ。
以上。以上ったら以上。おしまい。帰った帰った。
長いものを書くときは、最初に配分を考えるように。
2000.8.6
書き忘れていたが、タクシー代は8千何某だった。

 

消失

(しゃぼん玉のふしで)
データが飛んだ、まるごと飛んだ。
テーブル三つ消えて、クエリーも消えた。
ゼロゼロバイト。ひと月分のしごと。

 

ほぼ1ヶ月かけて作ってたデータベースがとんだ。
今日は強制終了が多いぞ、と思ってたら、
ふと見ると、0バイト 表示になっている。
は、ははははは。んなあほな。んなあほな。んなあほな。
どこいったんやーーーー。帰ってきてくれーーー。
酒もやめるし、たばこもやめるーー。(←こんなギャグあったね)
2000.8.7            

 

人運
データは消えたままで、まあ、データは取り直せばいいんだが、
ASPページや検索ページとの連繋が取り戻せない。ああああ。
どこへいったの。君たちの絆はたかだかそんなものか。
一瞬見失ったからといって、もう知らん顔か。
そういったわけのわからない仕事運はともかく、
今の私には人運がある。
NEWSに書いたようなバイト話がぷーさんのおかげで舞い込み、
その関係の人たちがみんな感じいい人なのでありがたいのと、
先週突然、何年も前に会社を辞めたMさんが近くまで寄ったから、と
子供連れで寄ってくれ(Mさんの旦那さんが、リンクのさんちゃんです)、
と思ったら、今度はめちゃ懐かしい友人、かんぱく薬局店主(リンク参照)から、
HP開設のお知らせ、相変わらずでうれしい、
そして、中田のファンページやってるERIKOさんからも
ひっさびさの長いメール。ちょっと会わない間に立派なサッカーフリークになっている。
そして、会社では、アメリカに駐在してたげんちゃんがやっと帰ってきて
人なつこい顔をのぞかせてくれる。
こんだけなつかしい人たちシリーズが続くと、死期が近いのではないか、などと
考えてしまう。いやいや、W杯までは死なんぞ。おー。
というわけで、しあわせのお裾分けに、トップページの改造などしてみました。
2000.8.9            

 

田舎の暮らし

ああ、クーラーのある生活に戻ってきたぞ。涼しいぞ。がるるるるる。
13日から15日まで、祖父の家に行ってきた。
祖父の家と言っても、祖父は亡くなっていて、普段は誰も住んでいない。
母が10日に一度ほど、趣味で作ってる畑や庭の草木に水をやりに通っている。
うちからは電車で1時間半ほどの、山の裾に構える家。
兄貴たち一家(つくば在住)がその家に帰省してきたので、私も駆り出されてきた。
田舎の暮らしは独特で、むこうに滞在してると、体内時計も切り替わり、
朝早くから目がさめ、夜はさっさと眠くなる。
価値観も揺らぐ。そういう自然のサイクルに合わせることが
日々の生活の、基本的かつ重要な要素になるので、自分の都合だけで生活はできない。
暑けりゃクーラーつければいい、という大阪での暮らしとはかけ離れている。
暑い日中は無理しない。仕事は、朝夕の涼しいうちに片付ける。
夜はまっくらになるので外でうろうろできない。
長い廊下のたくさんの雨戸は、すっかり暗くなる前に
次々と閉める。これも一仕事。
蚊やよくわからないが田んぼにいる虫にあっちこっちかまれる。
そんな日常の中、個人的な自分中心の世界は吹っ飛ぶ。まずは、生活。
小さい頃は、見たいテレビがやってない、とか、
見たい番組はあっても、おじいちゃんたちがいるし、主張できない、とか、
本屋がない、自分のおもちゃがない、友達がいない、お店がない、
お行儀よくしてないといけない、などなど
あまり楽しく過ごした覚えはない。
だが、そういうのもよかったのだ、と今になって思う。
いつも自分を取巻いてる日常だけが、日常だと思いこんでしまわず、
あんな日常もあれば、こんな日常も実は当たり前にあるのだ、という体験をした方が、
ものの見方も増えるし、価値観の引出しも増える。
実は休みを取る直前の金曜日、仕事がすごくいい感じで進んでて、
月・火に休みを取るのがなんとももったいなく感じられていた。
せっかくここまできてるのに、休みたくないなーと思いながら
祖父の家に行ったわけだが、今度は全く大事なものがちがう世界。
私は、家という世界の中の重要な一構成員となり、
生活の優先順位も、自然を考慮した暮らしのサイクルをベースにした上で、
兄貴の子供、甥っこたちが楽しいこと、元気でいてくれること、たくさん食べてくれること、
がなにより上位にくる。
あと、私の場合は、多分、母が一番大変なので、なるべく無理させたくない、
ということ。
朝早くから起きて仏壇に供えるお膳のための煮炊きをし、
夜はみんなが順番にお風呂から上がるのを待って最後の最後に入り、
朝から晩まで、食事が終わる都度洗い物に追われ、すぐにまた
次の食事の用意に追われ、しょっちゅうお湯をわかしては麦茶を作り、
氷を作り、一日に何度も洗濯し、あれはどこ、これがない、とみんなに聞かれ、
それでも、にこにこと文句ひとつ言わず、まっさきに腰をあげて
家事をこなしていく母は、えらいなー。
そんな母を及ばずながら手伝ってると
いつもは見逃したくないと思ってるテレビをうっかり忘れても、
そんなものの優先順位ははるか後方にぶっとんでてなんとも思わない。
はー。つくづく結婚なんざまっぴらだ、と思うね。
私には、会社という大義名分があって、15日の晩には一足お先に
大阪の我が家に帰ってきたが、母はまだそのままむこうで
一家の面倒をみてる。
全部終わったら、どっか豪勢に食事に行こうね。バレエでも見に行こうね。
でも、今回は、母の念願の「庭でバーベキュー大会」ができてよかった。
準備は大変だったけど、おいしかったし、子供たちも喜んでくれて
よかったね。
さ、いつもの世界に戻りらなくっちゃ。
2000.8.15            

 

会社暮らし
水曜日、久々に会社に行ったら、元の標準の価値観が戻ってこない。
会社行くにも、そもそも9時に行く必要がなぜあるのか、遅れたから
なんだというのか、とか(これは前からあった傾向か)、行って仕事はじめても、
なんだ、私はこんなとこで何してるんだ、誰でもないただの労働力として、とか。
会社に着て行く服にしたって、何を着飾る必要があるのか、
なんだっていいじゃん、仕事すりゃいいんだろ、と
危うく、Tシャツ・短パンでいくとこだった。
首の皮一枚の理性がそれをはばんだ。今、理由はわからんが、とりあえず、
それはやめといたほうがいい、とまだめざめきれぬ理性の声が聞こえた。
考えてみれば、わけのわからんルールが多い。
人間は、ルールが好きだね。働かなきゃいけない、税金納めなきゃいけない、
電車は決めた時刻に駅に着くように走らなきゃいけない、
9時までに会社に来て5時15分まではいなきゃいけない、
短パンで会社に行ってはいけない(とは誰も言ってないが、
やってみたら多分大変なことになりそう。会社にもよるだろうが。)
どうだっていいじゃん。どうせ自分らで決めたことなんだからさー。
自分らで破ってどこが悪い。
人間って不思議な生き物だねー。なにをやたらめったら細かく細かく
規則作って、自分らで自分らのこと律してるんだろう。
そんだけ自分ら自身を信用してないってことなのか。
もっと気楽にやりましょやー。食べて寝てわろてたらそんでよろしやんー。
自殺とかあほらしでー。やめときやめときー。気楽にやりましょー。

 

そんな本人の往生際の悪さとは裏腹に、会社は人が少なくて、仕事がはかどった。
2つも仕事の山を完成させた。えらいぞー。
でも、熱中しすぎて、他のルーティンワークが上の空で、穴だらけ。
他のことがどうでもよくなってしまうのは、よくない性癖だ。
自分では、自分はバランスとれてると思ってるのだが。どうも
いっぺんに二つのことはできないらしい。友人Nも言っていた。
だから運転はしない方がいいんだって。
そんなこんなで、盆が終わり、世間もいつもの世界に戻っていく。
私も飼いならされた社会人に戻っていく。
つまんねーーーー。
2000.8.19            

 

 

会社でずっとイントラをさわってるので、

家に帰ってまでおんなじようなことをする気になれなくて、

ご無沙汰っす。

最近のことごと総括。

 

その1.差別

ある夜、居室のガラス戸のすぐ外で、なにやらかさかさと音がする。

紙の上を、多分、先が細くなった節足でもって進行している系の音だ。

え、するってえとなにかい。

ガラス戸一枚越しに、そこに、あの、黒くてぎらぎらしたコックローチがいる

とでも言うのかい。

私は怯えた。トイレに行けないじゃないか。戸を開けたすきに、

待ち伏せしてた奴が長い触角をひらひらさせて、すいと部屋に入ってきたら

どうするのか。部屋のどこかに奴がいる、と音がするたびに怯えながら

毎日を暮らさねばならないのか。

目の端に黒い影をみつけるたびに、それが願わくば上の方に向かっていかない

ように、部屋の片隅でふるえながら祈る毎日を過ごさねばならないのか。

しかし。やがてそのときはきた。

どうしても、戸を開けねばならず、息をひそめそっとのぞいてみると、そこには。

玉虫色に光るかなぶん。

ビデオテープを入れた紙袋の中でかさかさやっていた。

なんだ、君だったの。

コックローチでなかったというだけでこの安心。

かなぶんだって飛ぶぞ。なんだろう、この差は。

なんだかわからないが妙に安心して、かなぶんのことをすっかり忘れ、

気がつくと、翌日の晩にもまだかさかさ音がしていた。

出られないらしい。悪いことをした。翌朝、窓を開けたときに、紙袋を

窓んとこでひらひらさせ、放してやる。かなぶんは、羽音をさせて

飛び去っていった。

しかし。つくづく、コックローチというのはすごい存在だ。

なにがそんなに恐ろしいのか。かなぶんとどこが違うと

いうのか。コックローチもきれいな色をしていれば愛されていたのか。

よくわからないが、恐ろしいものはしょうがない。奴らは共食いするしな。

頭のちっちゃさが嫌だ。なんだか。悪いんだけど。

というわけで、一昼夜も監禁してごめんよ、かなぶん。

 

その2.不毛

3ヶ月ほど前に買った、バレエのチケットがない。

ずっと手帳にはさんでいたのだが、まだまだ先なのに、いつもいつも

こんな風に持ち歩いていてはいつか無くしてしまうぞ、と思って、

どこかに置いたのだ。

それがいけない。たいてい、よかれと思って2番目に置いた場所は忘れてしまう。

あちこち探した。はは、こんなとこにあったか、と思うようなとこに入ってるぞ、

と最初は余裕で探した。状差しか、引出しか、机の上の手に届くところ。

なかった。

もしかして、会社においてたかもしれない。会社の引出しに入れてたかも。

なかった。

やっぱ家か。どれかちがうかばんの中に入ったままかも。

なかった。

なんだかんだ紙袋の中。ない。最近買った雑誌の下。ない。

ベッドの脇の寝る前に読む本とかビデオとか積んだとこ。ないないない。

なかった。

言っておくが、バレエのチケットというのは高いのだよ。

誘った友人が、お金がないからと、逆に、横浜国際へキリンカップ見に行く

方を選んだくらいだ。

さがしてる間に、3月に行った、リチャード三世のなくしたチケットが

出てきた。これはこれは。こんなとこにおいででしたか。

なんかタイムポケットがあるんだね、どっか、この部屋にはね。

バレエのチケットも半年ほどしたらおなじ場所から出てくるかもしれないね。

結局あきらめる。4万5千円ほど損したことになるのか。よくわからないが。

探すとこは全部探したし、ないものはしょうがない。

もしかしたら、かなぶんが持って逃げたのかもしれない。あわててたしな。

あんまりくよくよする人でなくてよかった。(ちょっとはくよくよした方がいい)

バレエは見たかったが。ばーかやろ、私が行ったら、きっと

ホールの天井が落ちたり、テロリストが爆弾しかけたり、

隣に変質者がすわったり、きっとろくなことが起きなかったんだってばよ。

このようにして、過ちは繰り返されるのであった。それを過ちと自覚しない限り。

学習しないにもほどがある。

おまけに、バレエを見に行けなかった腹いせに、会社帰りにデパートで

すっごいかわいいが絶対に使いみちのないバッグを衝動買いする。

普通、損した分、節約に走らないか。

 

その3.恵まれた休日

かわぼうが京都の実家に帰ってきたので遊びに行く。

そこにはかあいい1歳の双子ちゃんがいる。

自分のおもちゃみたいな椅子をもってきて勧めてくれるジェントルメン。

いいんですかい、あっしがすわるとこわれますぜ。

旦那様のdog氏はカメラマンで、いろんなCMやプロモとか撮ってる。

(ドゥンガの缶コーヒーのとかね。サッカー選手って知らなかったらしいよ、

バスケ選手? とか言ってなかったか、君たち夫婦は)

郷○○みは、あんなだけど、普段はすごくいい人らしい。

○田恭○は周りが扱いをまちがってるので、勘違いしてるらしい。

○嶋菜○子にはカメラに見せない痛いアングルがあるらしい。

などなど、いろんな話を聞く。

秘密の写真も見せてもらったぜ、べいびー。それは秘密。

なんだか人の家なのに妙にリラックスして、私は寝てしまう。

人の家で。うとうとじゃないぞ。意識なかったぞ。とうとうここまで来たか。

こんな風に、会社で出会った人たちと、会社を辞めて何年たっても

ずっと仲良くいられるのは本当にありがたいことだ。

かわぼうんちへ行こう、と声をかけてくれる友人、

快く迎えてくれる友人、車で家まで送ってくれる友人、

当たり前と思っちゃいかんよね。ほんとに恵まれてるんだ、私は。

 

まだまだ書くことがいっぱいあるのだが、待て次号。

2000.8.30

泣くな、伸二! こんなもの最悪であるものか。

                              

 

 

 

 

 

 


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