f l a t d a y s
のんべんだらりを夢見つつ、魂に放浪癖のある一社会人が綴る、カウントダウン的日常の身辺雑記。
遠隔操作
仕事ばーーーーーーーっか。仕事ばーーーーーーーっかの日々。なんだかもう日にちの感覚も曜日の感覚もわからない。新聞もテレビもここんとこ見てない。「簡単な会社人間の作り方」の実践。そんなにやわじゃないけどね。2週続けて、休みの日まで、会社でしかつながりのない人間から仕事の件で家に電話がかかってきて、2週続けてむかつく。
だいたいやな。はじめるでぼつぼつ。だいたいやな、
人んちに電話して家の人が出たらとりあえず「お世話になってます」くらい言おうや。たとえそれが言われへんでも、家の人に「いつもお世話になっております」って言われたら、「こちらこそ」くらい言おうや。ええ大人やねんから。と言うても、まあ、よその星から来はったお人やから。こんな高度で繊細な大和言葉はちょっと無理かなあ。でもせめて「こちらこそ」は覚えとき。君のあるんかないんかしらん将来の為に言うといたるわ。今後もこの星のこの国で暮らしていく気ならな。ほんでなに、就業ビザはもってんの?以下、電話の内容。異星人は私が会議の為にセットしておいたパソコンのファイルを必死で探している模様。「昨日のファイル、どこに入ってる?」(いきなりです)「どこって、昨日、お見せしましたでしょ、デスクトップにありますよ。」「……言ってることがわからない。」なにがわからんねん。どこがわからんねん。きのう、か、お見せ、か、ありますよ、か。英語でいおか。「ぞぅずぁー おんざですくたっぷ あざい しょうでゅー いぇすたでぃ。」(画面ではわからないが、むっちゃ発音いい。)言ってることがわからんのちゃうやろ。「デスクトップ」がわからんねやろが。聞けや。デスクトップってなんですかって。毎日朝から晩までパソコンに向かって仕事してて、なんでデスクトップがわからんねん。日頃なんかあったらすぐに「お手上げー」とか言って女の子に頼ってばっかしおるからじゃ。そのくせ、部下の女の子には「これも勉強だから」とかぬかしてしょうむない用事を言いつける。ぬわにが勉強じゃ。君に言われたないっちゅうねん。のし袋の、水引のどっちが上かもわからんのはお前じゃ。さかさまに差込んでるの見たときは、最初、ギャグかと思たわ。さむすぎると思たわ。なんかの呪術かけとんのか思たわ。まさかまじぼけとは思わんかったわ。新学期に入ったらますますみんなについていけなくなりますよー。今のうちに勉強がんばりましょうねー。1回、親御さんと来てください。君の将来について相談しましょうねー。続き。「開けた画面上です。最初開けたら画面にフォルダー3つ並んでますでしょ。」「ないんだ」さがさんかいさがさんかい。さがしてから言え。ないんだ、て、君がさわったんちゃうんかい。私は朝からテニス行ってたし、残念やけど君のためにそんな意地悪のひとつもしてやりたくてもでけへんねやんか。「デスクトップですよ。今、そこに画面出てますか。」「別室から電話してるから。どこに入ってる。」なんで、パソコンの前から電話してけえへんねん。社員住所録のある部屋にあわてて戻ってかけてるんやろ。な。目に見えるようや。デスクトップや、デスクトップ。机の上ちゃうで。え。聞け。人の言うことを聞け。きのう、この 私が きちょうな おじかんを さいて、おんみずから、きみに、でもんすとれーしょん、あごめんごめんむずかしい言葉使ってしもた、きみに説明しながら てとりあしとり、ファイルを 開かせて、あげた でしょ。うが。はっはーーー。さては、昨日、コーヒーサーバーの使い方も説明したからそれとごっちゃになっとるな。はっはーん、ごめんごめん。おっちゃんが悪かった。もっかい聞くわ。ええか。君がさわってるのは、テレビみたいな四角い明るい画面とタイプライターみたいな文字盤のついた機械ですか、それとも、水の入った容器が奥に入ってて手前に紙コップを置くスペースのあるさわったらあつーい機械ですか。あつーい方は、コーヒーサーバーです。コーヒーサーバーはコーヒー出す機械です。コーヒーサーバーにはデスクトップありませんから。フォルダー入ってませんよ。四角い機械の方ね。いいですかー。ついてこれない人、おいていきますー、義務教育とちゃうんやからねー。(大空テントへのオマージュ)しょうがないから、1回立ち上げなおして、パソコン持ち上げて高い高いするんちゃいますよー。1回おとして。ほんまに上から落としたらあきませんよー。1回終了させて、「1回、スタートメニューから終了させて、再起動してみてください。」そこまで言わな電源いきなりぶちっと切るやろ。な。はい、復唱!「スタートメニューから…」こんなん連れてやってまんねん。ほな、さいならー。2000.2.5追記:人間失格し、信じられない。考えられない。夢じゃないの。日付書いてて愕然。本日は、2月5日!! カールスバーグ杯、日本VSメキシコ戦の日ではありませんか。今、もう21時すぎ。…な、なんということか。ええええええ。見てなかったじょおおおおおおおおおおおおおお。(T_T)wowowがせっかく無料放送してくれたのにーーーーーー。そう言えば、おっさんが電話してきたくらいの時間じゃああ。おっさんんん。代表の試合を見逃すなんて、何の為に生きてるんだか。何の為にこんなくだらない毎日を送ってるんだか。何の為にいろんなことがまんして日々働いているのか。ううううう。だめです。私。明日死んだら死にきれない…。ショックです。代表の試合を忘れるなんて…。あほじゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
暗い話:京都の小学生殺害事件のきらいな人は読まないようにいろんな、夢の中みたいな事件が起こる。起こりつづけてる。京都の小学生を殺した容疑者が自殺、した。らしい。第一報を耳にした時は、自殺するくらいなら、最初からあんな見てもらうことを意識した事件なんか起こすな!関係ない小さな子供を殺して!と頭に来た。怒りまくった。だが。容疑者のプロフィールを聞くにつけ、悲しい悲しい、悲しい思いにとらわれる。TH。(彼の識別番号)小さな弱い弱い魂。あの、真っ暗で不安で危うい不安定な、どちらにもころびかねない季節を、私は乗り越えた。彼は乗り越えられなかった。彼は乗り越えられずにそのまま引きずった。
THの家に、犬やねこはいなかったろうな。マンションだったしな。セキセイインコの1羽でも飼ってれば、ちがったかもしれない。一笑にふさないでほしい。私は、物言わぬ1羽の小鳥にどれほどか救われた。家に帰って勉強もしないで家にとじこもり眠っていないときは鳥の相手ばかりしていた。家の中に鳥を放して。音楽をかけて。本を読んでると鳥が飛んできて、肩にとまり、私の読んでる本のページを端から一所懸命かじった。肩や手に感じる小鳥の重みが、鳥にかじりとられた紙の形が、当時の私にとっての「現実感」だった。THには何があったろう。彼をやさしい気持ちにさせる何が。
私は、彼が、自殺じゃなかったらいいと心から思う。その自殺で彼の立てた計画が完結するなんて、それが彼が願い、自ら向かった結末だなんて、それで予定どおりだなんて、あんまりだ。あんまりの21年の生涯だ。21年。小野くんや、俊輔と変わらない。かわいそうな彼の魂。目を開けることもなく弱くて貧しくて閉ざされたまんま。せめて、せめて、自殺するつもりであのマンションに駆け上がったが、実際に自殺しようと思ったすんでのところで思いとどまり、または勇気が出ず、躊躇したところを足をすべらせた、とかせめて、最低でもそんな風であったらいい。それで何がちがうといわれてもよくわからないが、何をおいてもまっすぐに駆け上がり、迷うことなくまっさかさまに落ちたよりは、いくらかでも、ましではないか。彼を一瞬でも思いとどまらせる何かが、ふとつながりを思い出させる何かがこの世界にわずかでもあったことを願わずにはおれない。でなければ、救いがない。なさすぎる。こんなはずではなかった、こんなはずではなかった。彼はずっと思ってただろう。こんなはずではない。
天国に行けるといいね。でも、わざわざ冥福を祈ることはしないよ。君の為に冥福を祈る人がいることを祈る。いるよ、必ず。2000.2.11
バレンタイン大作戦
私はこう見えても、犬と人間の平和友好大使のほかに、部のバレンタイン大臣も再任に再任を重ね務めておる。お忙しいことだ。自分で皮肉を言ってどうする。この時期は毎年忙しい。ここ2、3年、ベビースターラーメンとかビスコの小袋とか、ゆかりのえびせんとかカレーせんとか、何パックか入りの袋を買ってきて、それを一人ずつに分け、きれいにラッピングして、バレンタインの朝机においておく、というパターンが続いた。毎年「ヘルシー指向」とか「昔なつかしお菓子シリーズ」とか趣向を決め、結構楽しんでやっている。男の人たちも、チョコもらっても好きな人も少ないし困るだろう、という配慮である。それに残業の友としても食べ応えがある。あえて、そういう中でも、年配組には、たねやのまんじゅうとかくず湯とかを織り交ぜて入れておいてあげてたのに、仲良しの副本部長から、昨年、「色気のない」というお言葉。ええええーーーー。こういうのに、色気を求める人がいるなんて。でもまあ、この世代というのは、案外そうなのかもしれない。残業の友というよりは、家に持って帰って、「おとうちゃんこんなんもろてんで」と見せびらかしたいのかもしれない。食べ応えのある実用的なお菓子がいろいろ入った詰め合せよりも、美しくラッピングされた、市販のチョコレートにロマンを求めるのかもしれない。進駐軍のトラウマだな、きっとな。ぎぶみーちょこれーとってジープ追いかけたクチだな。もしくは、あんな鬼畜の食い物死んでもいるもんかーーって、歯くいしばって耐えてたかだな。てことで、今年は、年配組は、工夫もなんにもない、ただの市販のまあおいしいにはちがいないがラッピング代で2〜300円はとられてるようなゴージャスなチョコ。(大臣は不満らしい)そして、若者組はいつもよりちょっと高級感を求めた詰め合わせ。それも宝さがし形式で。ふぉっふぉっふぉ。それぞれの若者の机の上に、「愛って意味を知ってる?」とか「LOVEの意味を知ってほしいの」とか書いたメモと、それぞれ「日本語大辞典」や「英和辞典」などがおいてある。そして、「愛」なら「愛」、「LOVE」なら「LOVE」をそれぞれの辞書で引くと、そこには次の指令が。ある人には「のどが乾くの。加湿器の水を入れてきて」とかまたある人には「地球にやさしい人が好き。リサイクルボックスの底をみて」とか書いてあって、加湿器の中や、リサイクルボックスの中にお菓子が隠してあるという寸法じゃ。ふわっはっは、楽しいのお。年中こんなことやってたいのぉ。ああ楽しい。だから、バレンタイン大臣はやめられんのじゃ。ほとんど道楽じゃ。想い人
そうそう、件の美しい傘をゲットじゃ。現金9600円プラス商品券3千円分でな。ざまあみろじゃ。テニスの帰りに行ったので、まさかこんなこぎたないかっこの奴が買うとは思わんかったじゃろう。店員も。私が広げて見てた傘を、ご親切に「あ、ちゃんと直しておきますので」と言いよったが、買うのじゃーーーーー。このこぎたない私が買うのじゃーーーーーーー。おどろいたかーーーーー。今から、耳をそろえて買うのじゃああーーーーーー。ふぉっふぉっふぉ。これまたきたない財布から、いろんなレシート(バレンタインの買い物のレシートである)にまみれた商品券と1万円札をひっぱりだしてきたのを見たときには、どれほどの苦労を重ねてこの傘を買いにきたのかと思ったことじゃろう。そう思ったら、ちょっとはまけろーーーーー。
まあ、そんなこんなで正々堂々と傘をゲットした私である。この傘はなくさないぞーーー。2000.2.13
旅の極北
朝4時半起きで、北欧へ。デジカメで撮った美しい風景をお見せしよう。
美しい針葉樹の森
やっと夜明け やはり北欧は風景がちがう
日帰りだったがね。ほんとは朝いちののぞみで、突然の東京へ日帰り出張。美しい美しい雪景色。大阪を出たときは全然だったのに、関が原付近は吹雪いてた。降りしきる雪、雪、雪。あざむきやすい雪の白さ。だれもが信じる雪の白さ。50分の遅れだったらしいが、全然苦にならない。雪の地方の徐行運転はサービスかと思えるほどありがたかった。ひとりで、窓にかじりつきで、「すっげえ、すっげえ」を連発しながらシャッター押しまくってた。びゅーちふる。2000.2.18
鍋パーティ
こなさんちですき焼きあんどキムチ鍋パーティじゃ。はっはっは。メンバーがそれぞれに傍若無人ですばらしい。食って食って食いまくった。私は鍋はそこそこいったが、デザートの部でさすがにギブアップ。なんだか、ずっと食べつづけてる人もいたぞ。北欧帰りの私は、目は開いていたが、早い段階で意識は遠かった。2人ほど交代で、またがれてもクッションにされても熟睡してる人たちがいた。こなさんがローチェすとの上に飾ったおひなさま。↓おまんじゅうは、とびい(バレンタインに色気を求める仲良しの副本部長)が買ってきた、美しいたねやの一口サイズのものです。こなさんは、雑貨とかインテリアとかガーデニングとかが好きなのです。ランチョンマットは地模様のあるパステル色の厚紙を切って、その上に、いろんな色小さなさくらの花型を散らして貼りつけてあったりして、器もさりげに、桜の花柄で(って、食うのに夢中で見向きもされていなかったが)、豊かな気持ちになれた。あんまし、こういうかわいいこと書きたくないんだけどね。写真を載せたかったものだから。しょうがねえや、しょうがねえしょうがねえしょうがねえ。(昭和のいるこいる)2000.2.19
見たい見たい見たい
何が見たいって、スリーピーホロー。もう見たくて見たくて見たくて。私が金持ちなら、私のためだけに試写会をさせている。北野劇場貸切でね。ワグナーとルードヴィッヒみたい。こんなに、新作を心待ちにできるのは、かつては、ポランスキー(注:昔は変な映画ばっか撮ってたが、ほのかに文学的香りがするので、変な映画愛好家にとって変に見られなくってありがたい)、クローネンバーグ(注:変に見える映画を撮るが、正統派美的感覚をもってるので、案外受け入れられやすく、変な映画愛好家にとってあんまり変に思われなくってありがたい。見えないとこで思いっきりねじれてるスピルバーグとかよりよっぽどまとも)、大友克洋のAKIRAの新刊、おはずかしいがYMOの新盤、そして、今の私にとっては、ティム・バートン。YOU ARE NO.1!はっはっは。おかしい者同士。なんやと。ティム・バートン。奴は絶対おかしい。目に見えておかしい。でも好き。新作を待つことができるこの身の幸せ。同時代を生きた者だけの特権だからね。まだだれにも評価されていない、もしかしたらものすごい駄作かもしれないし、ものすごい名作かもしれない、彼が作った一番新しいもの。考えるだけでわくわくする。ありがたいなあ。なまんだぶなまんだぶ。いくら自分にとっては初めてでも、ヴィスコンティなんかはすでにあったからね。(注:この人は、上の人たちの分野とは全くちがう、もうそれはそれは巨匠なんだからな。オペラだって舞台監督しちゃう、もう、それは美青年好きでそれは美しい映画を撮る、本物の芸術家なんだからな。ほんものの貴族だしな。)すでにある名作群を、追っていくって感じだったからね。心配なのは、ジョニー・デップ。シザーハンズ以来、ティム・バートンとすっかり意気投合してるみたいで、それはいいんだけど、いや、実は、彼は私のいっちゃんいっちゃんいっちゃん(日本語訳:一番)好きな俳優なんだけど、好きな監督の映画に好きな俳優が出てくれるのはとてもありがたいんだけれど、それでも心配せずにはおれない。大丈夫か、ジョニー・デップ。こんな奴の映画ばっか出てて。(他にももちろん出てるけれども。ノイズもおもしろそうだしね!)エド・ウッドの時にも、いいかげん勘弁してやってくれ、だった。(女装趣味の、「史上最悪」といわれる映画監督の話です。ジョニー・デップが)まあ、そういうのにあえて出つづけるから、ジョニー・デップはセンスいい、とも言えるんだけど。もう巷に氾濫するあらゆる「スリーピーホロウ」に関する情報をシャットアウトして、あとは封切りを待つだけ。今度はどうでる、ティム・バートン。いざ、行かん。2000.2.25一旦書いたあと、それぞれの固有名詞にいろいろ注釈を入れてみました。勝手につっぱしるけど、ごめんね。ぺだんちっくだったね。人にやさしく、だったね。聞こえてほしいあなたにも。ガンバレ!ちなみに、ポランスキーは、「ローズマリーの赤ちゃん」「マクベス」あたりで知られてます。よね。たのむよ。他には、水の中のナイフ、吸血鬼、反発、袋小路、チャイナタウン、箸にも棒にもかからんテス、最近では、なんだ、フランティックとか赤い航路とかあったけど、私が好きなのは、チャイナタウンあたりまでです。さまよえるコスモポリタンです。クローネンバーグは、みなさんきっと知ってる。1個は見てると思う。スキャナーズ、脳みそばーん! デッドゾーン、炎がめらめらああ、ビデオドローム、体がどろどろぉぉぉ、ザ・フライ、耳もぽろろおおおん、戦慄の絆、裸のランチ、などなど、楽しい映画ばっか。ね、結構、メジャーでしょお。こんなとこに並べて大変失礼ですが、ヴィスコンティは、夏の嵐、山猫、地獄に墜ちた勇者ども、ベニスに死す、ルードヴィッヒ、イノセント、家族の肖像などなど、どうよ、この項だけで3MBくらいいきそうなこの重厚なラインナップ。巨匠なんだって。ザ・フライと並べるなって。
いっこく堂になれるかな
病気ではないのだが、病院へ行った。私はおかげさまで(いい言葉じゃないか、え)大病したことないし、風邪は寝たら治るし、生来の健康さゆえに(胃腸は弱いけど)、医者に行くということがない。たいての人が子供のうちにかかるような病気にもかかったことがなく、入院もしたことがない。去年もおととしも、会社の健保から、「保険使わなかった表彰」をされたくらいだ。そんなもんで、体の悪い人には申し訳無い言い方だが、たまにどっかちょっと不都合なとこがないと、「体」という、人間の外側について考えることがない。ただの外側ならいいのだが、もちろんそこには私が入ってるんだから外側であり中身でもある。私と外界をつなぐ、現象としての器。その器に少々不都合が生じた。口が開かなくなった。横には開く。縦には指一本分(足の指は不可)くらいしか開かない。しゃべるのに不自由はないが、食事には著しく不自由だ。スプーンや箸で、その上下の歯のあいだに入る大きさにした食べ物を、「運んで」、下の歯の内側に、「置いて」やらないといけない。なかなかに不便だ。今までは、実は、結構、口の方からも迎えにいってたし、人間は、ものを食べるときには思ってるよりも大きく口を開けてるものだったのだ。病院に行くと、まるでまな板の上の白魚。なんだかレントゲン撮るにもねっころがって、白い天井見上げて、いろんなわけのわからない器具に囲まれて、無防備で、これがもっと大病だったらどんなにか不安だろう、口をあけて、力をぬいて、じっとして、もう一回、がんばって、口をあけて、ほんとにストレスのたまるところだ。いや、スタッフの皆さんはもちろんがんばってくれてるのだけれど。こっちの不安感の問題。口がうまく開かないので、レントゲンはあまり効果的でなかったらしい。口腔外科というところが担当だそうだ。先生は、頭蓋骨を手に持って(「これは死んでる骨です」)、口を開けるということはどういうことか、その仕組みを説明してくれる。ただ、あごの骨が下に開くのでなく、開いてから、前へすべり出、それで初めて口が開く。なるほどねええ。その骨と骨の間のなんとか板というやつがなんかの拍子に前にずれちゃって、それが挟まって、あごの骨が、前に動こうとしてもロックされてて動かない、というのが原因らしい。厄介だそうだ。森高千里気分だった私も、家に帰るとすっかり疲れて、2時間半も爆睡。マウスピースを入れるらしい。「あい〜ん」2000.2.28
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