むらさきぐま日記2003.ユース編:Jヴィレッジ


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クラブユースU−18:
(Jヴィレッジ)
クラブユースU−15:
(Jヴィレッジ)
7月27日 ○7−2 VS塩竈     8月 9日 ○3−0VS川上
7月28日 △1−1VS三菱養和     8月10日 ○4−0VSヴィヴァイオ船橋
7月30日 ○7−1VSG大阪     8月11日 △0−0VS清水エスパルス
決勝トーナメント:
7月31日 ○3−0VSG大阪
8月2日  ○2v−1VS横浜FM
8月3日  ○3−0VS浦和
優勝。
    13〜17日:決勝トーナメント
8月13日 ○3−1VS京都パープルサンガ
8月14日 ○2v−1VSヴェルディ
8月16日 VSFC東京
全広島サッカー選手権:
8月30日:準決勝
VS広島修道大
(吉田サッカー公園、11:00)
8月31日:決勝
VS・・・?
(広域公園第一球技場、13:00)

8月12日 晴
移動日

 福岡3−1広島。何じゃそりゃ。あまりにも馬鹿げた失点シーンやDF二枚が林(福岡のね)に無様になぎ倒されるシーンを見て絶望に似た感覚が心を支配する。こいつら、ウケ狙いでやってんのか。いい恥さらしだ。なんてメンタルの弱い奴らなんだ。下田や上村とかいうベテランまで。頼みの沢田さんは負傷中だし。もうあいつらには期待できないかもしれない。もう高校生の高萩や一誠に頼るしかないのか。情けない。
 ところで自分はこの盆休みをブルーなまま過ごさないといけないのか?冗談ではない。そんなことは許さない。ではどうするのか。

J−VILLAGE

 ちょっと前にユースが堂々の優勝を飾った日本クラブユース選手権U−18。現在はU−15の大会が行われており、こちらにもわれらがジュニアユースが出場している。で、グループリーグを首位で突破して明日からの決勝トーナメントに駒を進めていた。最近全く点を取らないトップチームのFWとは違い、こちらは平繁龍一・横竹翔という、各年代屈指のストライカーを擁している。こいつらのゴールを見に行くよ。それに、こういう機会でもないとJヴィレッジには行くことなさそうだしなあ。で、ほぼ発作的に福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字美シ森8へ行くことに決定。まあ無茶苦茶だが、気にしない。したら行けるかっちゅーねん。
 正午過ぎの福山駅。家を出る前にいわき駅までの時刻表はチェックしていたので、みどりの窓口で当該切符を買う。こだまで岡山まで行き、そっからのぞみで東京まで、それから上野へ渡ってスーパーひたちでいわき着だ。もちろん指定席で。しかしのぞみの禁煙席はすでになかった。んーまあしょうがない4時間くらいなら我慢しよう、寝てりゃいいや。それに最近は案外吸う人多くないし。では行こうか。ところで宿はどうするのか。知らん。いわき市なら空いてるとこどっかあるだろ。たぶん。
 岡山からのぞみに乗り、読みかけだったちくま学術文庫の『宗祖ゾロアスター』を読み終えると眠りにつく。で、新横浜あたりで起きた。ちょっとi-modeにつないでみる。
・・・・・・・・・え?

眞中靖夫キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

ええええええええええええマジマジマジマジ?この前鹿島戦出てゴール決めとったやんか!!レンタルやけどよう出しよったな桜。実戦的ベテランストライカーの加入で、サンフも生き返る、か?話によるとすでに広島入りしたらしい。横浜FC戦、いけるのか?なんか俄然期待が持てるようになってきた!!
 東京駅から京浜東北で上野へ、そこから常磐線の特急のりばへ・・・と、事故か何かでダイヤに乱れがあるようだ。一つ前のが20分ほど遅れて発車とのこと。自分が乗るスーパーひたちは定刻どおりに出るものの、前の特急が遅れているため、いわき到着はやはり20分ほど遅れることになる。でも20:30過ぎには着けるだろうし、それから宿を探しても問題あるまい。
 外はもう暗くなっているので、車外を眺めても仕方がない。一眠りする。起きると、しばらくして高萩駅を通過した。やはり高萩洋次郎の先祖はここ出身なんだろうか。湯本温泉駅着。ここに泊まってもよかったか。そしてほどなく、いわき駅に到着した。都合8時間ちょっとで福山からいわきか・・・日本も狭くなってるなあ。しかし、辺りの人々が聞き慣れないイントネーションで「〜だべ」とか連発しているのを聞くと、思えば遠くに来たもんだと実感した。
 駅から出ると、まだ21時にもなってないのに駅前は暗い。うーんそんなもんか。正面にホテルが見えたので、あそこでいいやとチェックイン。まあ許容内の宿泊料だった。荷物を置いて近くでメシを食う。TVでG−D戦やっていた。おかみさんはG党のようだ。やっぱりこういうところはG党が主流なんだろう。自分はもちろんアンチGだが、今投げている桑田は嫌いではない。と思っていたら9回からサンタナをリリーフに送りやがった。Gもメキシコから柱の男を呼んでくるとは、もうなりふり構ってられないといったところか。つーかなんで絶賛ブービーのカープがマジック対象チームなんだよ。
 そうこうしているうちに試合終了。こちらもお金を払って店を出て、そばのコンビニでちょっくら買い物して、いわき駅へ。時刻表をチェック。8時には仙台行き一本もないのか!となると9時台の1本に乗るか、7時58分発で早めに出るか・・・うん早めに行ってみよう。
 ホテルに戻り、TVをつける。えーとこのへんは民放4局、広島と一緒なのか。特にすることもないので、早めに寝る。さて、明日はどんな一日になるのか・・・

8月13日 Jヴィレッジ 晴
日本クラブユース選手権U−15・決勝トーナメント1回戦
VS京都パープルサンガジュニアユース
(付・FC東京U−15VSガンバ大阪ジュニアユース、
ヴェルディジュニアユースVS FCひがし)

 6時に目が覚めた。TVをつけてニュースをぼーっと見ているうちに7時になったので、睡眠中に爆発していたアタマを水で撫でつけて朝食に下りる。手早く片付けてコーヒーを飲み、部屋に戻って荷物をまとめ、チェックアウト。さて、いこーか。空は曇り。やはり広島に比べると涼しい。
 7:58発仙台行き各駅停車。発車時の音楽はアンパンマン主題歌の第十五変奏(適当)みたいな風情。ちょっとイカス。
 発車してしばらくすると空が晴れてきた。みるみる一面の青空となり、のどかな田園風景を夏の日差しが涼やかに照らす。これくらいなら過ごしやすいんだろうなあ。朝のニュースでは、大阪はもう摂氏25度突破って言ってたっけ。トンネルをいくつか越えると、右手に海が見えてきた。隣に女の子が座っていたが、いきなりうすた京介のマンガを取り出して黙々と読み始めた。ウォンチュウなお人だ。
 前方に白い煙突が数本現れた。あれらは広野火力発電所の煙突、ということは広野駅は目の前。ほどなく、広野駅に到着した。いわき駅から30分弱、というところ。下りてみる。駅前はちょっとした広場になっていて、大きな周辺絵地図板が正面に立っている。タクシーが数台、駅前で待っていた。北のほうには緑の中、純白の煙突が数本屹立している。耳に入るのは遠くから聞こえる鳥やセミの声くらいで、とても静かだ。
 地図板の前に歩いて行って見上げる。Jヴィレッジは火力発電所のさらに向こう、ここから約3.5kmのところにあるようだ。歩くか、タクシーか、しばし逡巡する。

結論。

徒歩は2kmまで!

というわけでタクシーに乗って、「Jヴィレッジまでお願いしまーす」(<虚弱)。
 駅前の小道を北へ抜け、国道6号線に合流してしばらく走ると、右手の丘の上がJヴィレッジ。交差点を右折して丘を登り、ロビー正面玄関で降ろしてもらう。1400円也。まだ9時前だ。試合開始は11時。何しよう。とりあえずロータリーになっている玄関前をぐるりと回り、駐車場の車を見て回る。この周辺だけでなく関東ナンバーの車も多い。神戸ナンバーもある!ホントに神戸から来たのかはわからないけど。時間が経ったらまだまだ来そうだし、この期間中はけっこう賑わうものなんだな。
 ロビーに入ってみる。さすがに早すぎるので閑散としているが、奥のガラス越しに見えるトラック付きフィールドではここで合宿中の団体が早くも練習を行っているのが見えた。それにしてもサッカー専用フィールドがめったやたらとある。ここから見えるだけでも右に二面、その内側に三面、その隣に少年達が練習中のトラック付き人工芝フィールド、その奥にフットサル用四面とサンドサッカー用一面、そして左に六面と、あきれるほどある。さらに玄関前のロータリー逆側には雨天練習用の屋根付き練習場、そして南側には五千人収容のサッカー専用スタジアムが。さらにホテル、コンベンション・センターとしての機能も兼ね備え、もし自分が富豪だったら夏はここで過ごすね、と思わせるほどの充実っぷり。とはいえサンフの本拠・吉田サッカー公園も小ぶりとはいえよいところなので、デカルチャー!と衝撃を受けることはない。
 売店はもう開いていたので、物色してみる。そういやお土産も買わんとな。ゆべし・・・あべしみたいなのでパス(何じゃそりゃ)。普通にサブレを買う。Tシャツも買っとく。寝巻き代わりだ。

 9:30ごろになると、折りたたみイスを持った人たちがゾロゾロとやってくるようになる。京セラシャツを着た少年達が数人ロビーにやってきた。今日の敵さんどすな。試合会場ではテントの設営が始まる。先ほどの京セラシャツくんたちのうち、11番と26番が売店を物色していきますた。女性審判の方々が次々に行きかう。一旦お手洗いに行って戻ってくると、川崎フロンターレご一行様がロビーを占拠していた。さっきまで自分が座っていたところも。この糞(ファッキン)チビども!と思ったが彼らは限りなく全員自分より背が高いという罠。退散。フィールド側のテラスへ出てみる。眼下の、決勝トーナメント組み合わせの記されたボードのところに川崎のロゴの入ったワゴンが停まっていた。スタッフが荷物を下ろし始める。しばらくすると、浦和レッズ、鹿島アントラーズ、エスペランサいわき、京都、三菱養和のワゴンがやってきて、選手達も交えて荷物を下ろし、トラック付きフィールドで三々五々アップに入る。少し遅れてサンフレッチェ広島、清水エスパルスが到着、11時試合開始のクラブがすべて顔をそろえた。ロビー、フィールド双方とも賑やかになってくる。
 とはいえこっちとしては何もすることはないので、ホテルのほう行ってアイスティーを飲んで一息。周囲ではトーナメント表を広げたりパンフレットに見入りながら選手達のご家族の方々やユース・フリークたちが語り合ったりしている。中にはとりあえずここに来て、今日応援のクラブが負けて帰ってしまう人のキャンセル待ち、という人もいるみたいだ。
 そろそろ時間、第3グラウンドへ。選手達もこちらへ移ってきていた。サンフがホームのヴィオラ、京都がアウェイの白を着ている。ビブスを脱いでいる先発組は、1〜11番の11人。アップを始める。京都は関西2位で本選出場、グループリーグも2位。苦戦続きとのことだが、何と言っても京都パープルサンガ。角田誠や六車拓也を輩出したところ、あなどれるわけはない。監督も「探偵!ナイトスクープ」でお馴染みの北野誠さんだし!(<別人だ!)

 そして時間が来た。両者整列し、キックオフ!
11横竹 10平繁
9植野 6天根
8竹林 7保手濱
>18加藤
5梅本 4田中尚
>19沖田
3林 2高橋勇
1山木戸
 サンフは中国地域予選では3−5−2だったが、本選では4−4−2でやっている。まずはサンフ、スローインを京都がバックヘッド、それを奪った平繁が突破するが、DFがクリア。京都、右サイドからのアーリークロス、これにFW17恒松が反応してヘッド!上へ外れる。さらに京都、左CKゲット。MF10三戸のキック、DF田中尚クリア、京都がこぼれを拾ってまた入れ、ゴール前混戦となるも何とかクリア。京都は前線からのプレスでサンフのパス供給を封じ、クリアをことごとく拾って次々に波状攻撃を仕掛ける。センターの三戸から左サイドのMF11森、という展開で次々にチャンスを作り出す。サンフはセカンドボールが全く拾えず、押し上げられない。京都のツートップは高さがあり、さらにサイド攻撃も鋭いのでどうしても引き気味となってしまい、京都の攻勢を許してしまう。それでも右サイドバックの高橋勇気がカットから猛然とドリブルで攻め上がり平繁にパス、平繁が左へドリブルで抜けつつループシュートを放ったが、これは上へ外れた。
 相変わらずペースは京都、セカンドボールと中盤を支配して攻め立てる。サンフはボールを繋ぐことができないが、両サイドの粘り強い守備で対抗、京都にシュートまで持っていかせない。息詰まる攻防の中、しかし不意に試合は動いた。左サイドで竹林がボールをカットする。飛び込んでくる京都のプレイヤーを軽やかにかわすと、ここぞ!と始動した左サイドのドリブルマスター・植野に開く。植野はトップスピードでボールを受けると一気に中へ切れ込み、DFを引きつけると、中央へ走り込む平繁にパス!平繁、シュート!は飛び込んだDFにブロックされ、ボールが浮く。体勢を崩しかけていた平繁はしかし、そのボールに食らいつき、倒れ込みながらボレーシュート!ワンバウンドしたボールはGKのセーブをかいくぐり、ゴールネットに突き刺さる。
ゲット!前半21分サンフ先制!!
劣勢の中、一瞬の電光石火カウンターで京都を出し抜いた。
 これで動きの良くなったサンフ、京都の攻撃にも冷静に対処できるようになり、徐々に押し返していく。京都中盤からFW15上田にスルーパス、抜けかけるがDFが体を寄せてクリア。平繁がボールを受けてキープ、一転ドリブルでタテに抜けてセンタリング、中央走り込んだ横竹がジャンプ一番ヘッドで叩きつける!がわずかに左。サンフ、京都の攻撃を防ぎ止め、クリアしたボールを横竹がヘッドで競り勝ち落としたボールを平繁が受け、前を向くやロングシュート!上へ外れたが、平繁、気合が入っている。そして再びチャンス、左サイドを梅本・植野のコンビで切り裂き、植野がセンタリング、中央平繁がヘッド!寸前でDFがクリアしCKに。左CK、梅本が向かう。右足のキック!鋭く曲がり落ちるいいボール、しかしちょっと大きくファーへ流れる、そこへ京都DFが飛びついてヘッドでクリア!・・・と同時に、そばにいた横竹が手を上げてアピール!なんだ?同時にホイッスルが鳴り、主審がペナルティスポットを指す。PK!今のクリアはハンドだったッ!!京都痛恨の勇み足。さてこの幸運に得たPKは確実に決めときたい、キッカーはエース平繁。先日のマンチェスター・ユナイテッドカップではPK失敗で星を落としているだけに、プレッシャーはどうか・・・ゆっくり下がって―――ホイッスル―――助走から―――ゲット!!GKの逆を衝いてゴール右スミに蹴り込んで2−0突き放す!前半終了間際、これは大きい。
 京都、選手交代。MF森に代わってFW25寺田投入。でかい。178cmだ。FWだった恒松が左サイドに回る。しかし、この交代が効力を発揮する前に前半が終了した。
 セカンドボールを拾われまくって攻撃にさらされ続けて最初はどうなることかと思ったが、カウンターで先制してからはペースを引き寄せ、保手濱・竹林のコンビで中盤のパスの出所を押さえ、サイドに出たボールもサイドの二人できっちり奪えるようになった。ことに右サイドバックの高橋勇気の奮闘ぶりは目覚しく、途中からは京都の左サイドアタックを完全に封じ込んでいた。このままいけば勝利は堅い。あと1点取れば勝負は決まるだろう。
 ハーフタイムになりすっかり静かになってしまったJ−ヴィレッジ。ベンチでは上野監督からいろいろな指示が出ている。そのうち、時間が来た。上野監督がピッチにいる控え選手を呼び戻す。全員が円陣を組み、気合一閃!メンバー交代はなし。前半と同じメンバーがピッチに戻ってゆく。さあ後半戦だ。
 京都、MF8金沢に代わりDF2旭を投入。DF登録だが、右サイドの攻撃的MFの位置に入っている。背番号からして、おそらくは右サイドのスペシャリスト。要注意か。
 ホイッスル。平繁・横竹が前線から猛然とプレスをかけていく。右サイド天根が浮き球を軽やかに操って一人を抜き、中へ切れ込んでグラウンダーのクロス、PA外でこれを受けた平繁が飛び込んでくるDFを鋭い切り返しでかわしざまにシュート!!GKセーブ、こぼれ球に植野が飛び込んでミドルシュート!は当たり損ねて枠を外れる。さらに天根が右サイドからトリッキーな浮き球のパス、内側を上がってきた横竹がこれを受けて突進、DFのチェックに一旦前へ蹴り出し振り切ろうとするが、進路上に体をねじ込まれ抑えられる。ファウル!FKゲット。正面やや右、ペナルティアーク後方。平繁が向かった。助走を取り、キック!強烈な一撃だったが、抑えが利かず上へ外れる。
 京都、左サイドバックの20高田に代わりMF24吉野投入。ゆっくりと外に出る高田に対してチームメイトより、
「ハリーハリー!早よ出ろって!」
と声が飛ぶ。そう、2点のビハインドなのだ。1秒たりと惜しい。
 しかしサンフの攻勢はやまない。右サイドでボールキープする高橋、逆サイドスペースへ走り出した平繁とアイコンタクト、一気にサイドチェンジ!!ピタリのパスを受けた平繁、ぽーんとループパスをゴール前へ、それに横竹が走り込む!DFがぴったりと身を寄せる、横竹それに負けず胸でトラップしてボールを支配下に置くと左足シュート!しかし、胸トラップの間に左サイド角度のないところまで流れてしまい、枠を捉えられず。京都、ゴール前クロスのこぼれ球をボランチのMF14吉田がミドルで狙うが、右へ外れる。
 また左サイドに開いた平繁、ボールを受けキープ。後ろから梅本がフォローに上がってきた。それを囮に中へ切れ込もうとするところ、ファウルを受けFK奪取。蹴るのは梅本。先ほどはPKを誘うCKを蹴った。今回もいいの頼む。左サイドからの右足のキックは、ゴールに向かって行く弾道になる。ゴール前うまく飛び込めるか。ほぼタッチライン際から、梅本のFK!左旋回するボールがゴール前に落ちる弾道を描いてゆく、その軌道上、ニアに飛び込んだ横竹がジャンプし頭を振る!やったか!と思ったがボールはその上をかすめていった。ああだめか・・・と思った時、横竹の向こうに消えたボールが突如軌道を変え、ゴールネットに突き刺さった。ホイッスルが鳴り、副審がハーフウェイライン向け駆け戻ってゆく。
ゴールだ!!3−0!!誰だ?誰が決めた?と、背番号4がチームメイトの祝福を受けながら、歓喜しつつゴール前から飛び出してきた。DF田中尚!!横竹の後ろから中央飛び込み、おそらくは右足ダイレクトで合わせてキメたか!ファインゴールだ。これでこの試合、もらった!
 サンフはさらに攻勢、カウンターから右平繁が中央横竹へパス!横竹走るが、GKが一歩速かった。
 京都、もう総攻撃しかない。DF19北川をDF5本庄に交代。両サイドを上げ、前線には寺田、上田、恒松を張り付かせ、とにかくロングボールを彼らに当ててこぼれを狙う。サンフもセンターバックとボランチが集中高くはね返す。
 またも平繁が右に開いてボールをもらい、ループパスを中央へ!DFラインの裏へ飛んだ絶妙極まりないボールに横竹がDFを振り切り完全に抜け出す。GKと一対一、シュート!GK反応するがすでに手遅れ、ボールはゴール左スミに吸い込まれ―――ず!!左ポストにコーンと当たって内側に跳ねる。それでもラインを割ればよかったのだが、ボールはそのまままっすぐにゴール前を横切って右へ流れて行ってしまった。ムキャー!!これ決まれば完全に息の根を止められたのにー!!
 サンフ、保手濱に代わって加藤。
 黄色と緑の一団がホーム側ゴール裏に現れた。午後からの試合となるジェフユナイテッド市原ジュニアユース舞浜の子犬たちだ。一旦は荷物置きに消えたが、すぐに戻ってきた。
 京都、右サイドからアーリークロス!ゴール前危険なボールが飛ぶが、GK山木戸が飛び出してがっちりキャッチする。うん、これはこのままいけそうだな。京都、右サイドでFKゲット。三戸が向かう。キック!!ゴール前クリア、しかしこれが小さい、もういっちょだ、しかし京都の選手がそのこぼれに走り込んで、コースを狙って右スミに蹴り込む!!ゴール、3−1!京都、すぐさまゴールに飛び込んでボールをむしり取るとセンターサークルへ全速で戻って行く。
 左からのスローイン、横竹が一人かわしループシュート!は当たり損ねて右に外れる。どうも今日は横竹の日ではないようだ。と、左手のほうから何やら少年達の大合唱が聞こえてきた。
「バモスト〜キョ〜、バモスト〜キョ〜♪」
FC東京U−15キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
今日はガンバ大阪との東西対決。しかしノリのええ奴らやな。
 京都は右サイドの2番・旭怜佑の鬼気迫る個人技からクロスの雨あられ。DF必死にはね返す。GK山木戸も果敢に飛び出してきっちり対処する。京都24番吉野ミドルシュート!上へ外れる。天根が競り合いから頭を蹴り上げられて倒れる。間接FK。しかし大丈夫か?・・・と、すぐに立ち上がった。根性あるね。サンフもやられっぱなしではない。平繁が高い位置からのプレスから強引にボールを奪い取り、そのまま突破してクロス!中央走り込んだ横竹がDFともつれて倒れる!が笛はなし。その後のプレイでサンフのクリアボールがタッチラインを割り、サンフのベンチ前に転がる。アップしていたFW村松がそれを拾おうとした時、平繁の鋭い声が飛んだ。
「取るな!!」
村松くんビックリしてボールから離れる。平繁、やはりユースでもまれているだけあって勝負事には容赦なし!
 京都、誰か(見てない)に代えてFW18安田投入!五人目の交代、最後のカードを切った。京都カウンター、右からクロスを上げる、京都攻撃陣一斉に飛び込む、DFはね返す、こぼれを京都がダイレクトシュート!枠に飛ぶ、しかしGK山木戸横っ飛びでスーパーセーブ!弾き出してCK。左CK、中央ダイレクトで右サイドにはたいてセンタリング、中央もつれる、GKニアに出ていてゴールがら空き、京都シュート!しかし当たりそこねて勢いなし、ライン上クリア!CKへ。サンフの選手が一人倒れて動けない。DF田中尚だ。うわマズー!外に出される。DF沖田がピッチサイドに出てくるが、間に合わない。守れ!!CK!ファーへ飛ぶ、しかし京都が何としてもキープしようとハンドを犯してしまい、一息。田中尚に代わって沖田が入る。
 右サイドから天根がドリブルで持ち上がり、平繁へ。平繁、ダイレクトでリターンパス!天根はがら空きのスペースを疾走し、飛び出すGKの頭を越すループシュート!わずかにGKが触ったためコースが変わり、左に外れてラインを割った。CK。もう誰も上がらない。ツートップと植野くらいしかいない。梅本キック!はさすがに合わず、京都クリア。そしてカウンター!しかしあらかじめ引いていたサンフ守備陣が対応。
「ハナー(植野の愛称)!!チェックにいけー!!」
上野監督の声が飛ぶ。こちらもカウンター、植野がドリブル突破、抜ききらずクロス上げるか、しかし上野監督からは
「勝負だー!」
の指示。この試合終了間際にキッツイこと言われますなあ監督はん。植野、勝負!しかしDF二枚に引っかかってボールを奪われ、カウンター!追えー!京都の捨て身の攻撃は凄まじく、とても京都人とは思えないほどだったが、サンフは最後まで集中を切らすことがなかった。そして、ホイッスル!!最後は苦しい展開だったが、3−1でサンフが勝利、準々決勝進出を決めた。
 うー、涼しいとはいえ直射日光にさらされ続けると疲れるー。ロビーで一休みしよう。戻る途中、ヴェルディユースが意気揚々とアップに向かうのとすれ違う。なんかもう勝ったような雰囲気だな。ヴェルディとひがしの勝者が明日サンフと対戦することになっている。
 ロビーに戻る。入り口そばに立てられた巨大トーナメント表にただいまの結果が記入された。

サンフVS京都は3−1サンフ。
エスペランサいわきVS清水エスパルスは1−4!ともにオレンジの“ESP”対決(つづり自体は違うけど、発音で)は清水に軍配が上がった。どんな戦いだったんだろう。やっぱバビル二世とヨミの激突級のESP対決だったのか?(<ESPの意味が違います)
浦和レッズと鹿島アントラーズの赤対決は1−2、鹿島。
三菱養和と川崎フロンターレの戦いは1−0、三菱養和。

 はらへった。何か食おう。ホテル側のレストランへ。

待ち時間30分

_| ̄|〇

 ロビーに戻ってしばらくぐったり。もう一度行ってみると、15分になっていた。ノートに名前を書いて待つ。次いで女性の三人連れが記入。・・・・・あれ、この名前は・・・その方たちに一人の男性が声をかけた。見てみると、
大仁邦弥さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
うわあ生大仁さんだよ。大仁さんは彼女達に「廊下の椅子に座って待ってなさい」と言い残し、大会本部のほうへ向かわれた。
 ほどなく、上野監督と長野コーチが前を通っていかれた。「お疲れさまでしたー」と会釈する。明日も勝て!そのうち時間が来て、中へ案内された。案内された方はえらくきたろうに似ていたが、黙っておく。バイキング形式だったので、手早く集めて食べる。トルシエ命名「マミーすいとん」は旨かった。13時27分、あ、もう始まる。行かな。
 さっきサンフが試合した第3グラウンドではFC東京U−15とガンバ大阪ジュニアユースが、その奥の第4グラウンドではヴェルディジュニアユースとFCひがしが対戦する。その間のスペースへ入り込んだ。両方観よう。
 試合開始。
 いきなりゴルキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!ゴールしたのはまさかのFCひがし・FW11窪田。中央ドリブル持ち上がって豪快にゴール左上スミに突き刺した。ヴェルディ、先制される!

ヴェルディ:GK1中根、DF20古川、2金沢、5笠松、3落合、MF8高橋大、6村杉、11高橋賢、10新福、FW17森本、7征矢。
ひがし:GK1高浦、DF5堀、3会沢、4高嶋、2金山、MF10森、6今川、8成瀬、7佐伯、FW9高橋駿太、11窪田。


 FCひがしの9番高橋駿太だが、えらく横幅がある。どちらかというとラガーマンと言った趣だ。173cm73kg。CFでもいいと思うが、左に思い切り張り出していた。WTB(ウイング・スリークォーターバックス)かよ。でも富山は以前ちょっと住んでたこともあるし、応援するよ・・・ひがしはフィジカルが鍛えられていて、中盤で体を張ってヴェルディの攻撃をはね返している。いい感じだ。えーと、東京VSガンバは・・・

トキオ:GK16権田、DF13椋原、4吉本、3高橋、6森村、MF10中野、18萩原、2稲葉、7寺島、FW9蛯原、17蓮見
ガンバ:GK1久保見、DF22蒲原、3池田、5原、4下平、MF10倉田、24池、20二戸、8堺、FW12寺本、9角島。


4バックのガンバって違和感あるなあ。東京、森村シュート!ポストー!!蛯原が最前線でキープ!凄いテクニックで全くボールを奪われない。やるなこの海老!と思ってるうちにヴェルディの右サイド高橋賢がドリブルで右サイドを疾走、センタリングに新福が駆け込んで合わせ、1−1に追いつく。さらに直後、エース森本もゲットゴールしてたちまち逆転した。
 あう・・・ひがしもこれまでか・・・と、今度は東京、左からクロスを上げる。これがゴール前を素通り、ガンバ誰かクリアに行けよと思ったらファーサイドでやっとクリア。しかしこれが小さすぎ、ボールは蛯原の前へ。プレゼントをいただいた蛯原はこれをゴール左上スミにぶち込んで東京先制!!これで東京の一方的展開になった。とにかくガンバはパスさえつなげない。東京のプレスにあっという間に引っかかってボールを奪われ、サイドをズタズタに切り裂かれ、ゴール前に張り付いて守勢一方。東京、右MF稲葉のミドル!GK久保見パンチ!今度は中央から左に展開、開いていたFW蓮見がダイレクトでDFライン裏へ折り返し!これに中央蛯原が抜け出しGKと対峙、と、そこへDF決死の飛込み!しかし蛯原はこれを柳に風と軽くかわし、すっと持ち込んでGKをつり出すと、彼の絶対に届かないゴール左スミへパターショットのように転がして2点目をゲットした。海老またキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!まったく何ていう落ち着き払いっぷりでしょう。脱帽。
 ふと振り向くと、FCひがしのボランチ10森がミドルシュート!グンと伸びたボールがゴールを襲う!がポスト直撃−―――――!!だああ惜しい!東京さらに押し込んで海老がこぼれ球を拾い、マーカーを抜ききらないまま反転シュート!GKセーブ!面白いな海老。そしてこのまま双方前半終了。ひがしも一発があればまだわからない。東京はもうこのまま押し切っちゃうんだろうなあ。
 後半、もっと「東京の海老」を見るためにガンバのエンド側へ移る。と、サンフの監督以下スタッフの皆さん勢ぞろい。高橋真一郎さんもいらっしゃる。昨年まではガンバ所属だっただけに、前半の惨状にはいたたまれない思いだろうか。
 後半開始。交替選手いろいろあるみたいだが、そこまでチェックできませぬ。と、ヴェルディ追加点!左サイドをドリブルで突破したボランチ村杉がPA外から右足ループシュート!前へ出たGKの上を越え、美しい軌跡を残してゴールに飛び込むレインボーループでひがしを突き放す。この村杉、少々プレスかけられても細やかな一瞬のボールタッチでそれをかわしてパスを出すなど、相当にできる。明日は要注意だ。FW森本がキープ、DFをかわしざまに超ド級シュート!!凄まじい威力のボールにGKはじくのが精一杯、これに詰めていた後半より出場のFW22宮川が押し込んだが、オフサイドの判定でノーゴール。
 さてガンバ。盛り返してきた!東京を完全に押し返し、反転攻勢に。角島が左に流れてキープし、中央に折り返して後半より出場のFW11星原がミドルシュート!上へ外れる。次いで速攻、中央倉田からダイレクトで左サイド角島に展開、ドリブルからセンタリング!これをファー走り込んだ星原、今度は確実に蹴り込んで反撃の狼煙2−1!ヴェルディも途中出場のMF9奥田が早速ゴールで4−1。ヴェルディは勝利を確信してホイホイ選手交代を始めていた。

 東京反撃、蛯原が素晴らしいキープから萩原に渡し、萩原ミドル!GKセーブ。あ、ヴェルディ、森本まで引っ込めちゃった。ガンバは10番倉田のパスワークからサイドを徹底的に突く。右FK、中央原がヘッド!左に外れる。
 ひがし、1点返した!4−2。ヴェルディベンチは勝ってるのに徐々にヒートアップしてくる。監督とかコーチが。
「ファールじゃん!!」
「引っ張った引っ張った!!」
「さっきのはファウルとって今のはとらないのかよ!!」

エリア外まで出て行って審判集中攻撃!そして注意キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
とはいえヴェルディ、さっきゴールを取り消された宮川がユニを引っ張られながらもループシュートを決め、5−2とする。
 蛯原右サイドでキープ。二人に囲まれた。一旦戻すか。と、一瞬の反転から右サイドをフリーで駆け上がる味方の前方スペースへスルーパス一閃!ウヒョー!極上の海老ですね。時間が迫ってきた、ガンバ、右サイドから速攻、折り返して途中出場MF安本のミドルシュート!は上へ外れた。そして試合終了。ヴェルディ5−2ひがし、FC東京2−1ガンバ。高橋さん残念そう。他のスタッフがヴェルディ偵察とかしてる中、ずっとガンバ戦を観ておられたが・・・

 ヴェルディは単純に強い。ジャイアンみたいに傍若無人の強さ。「そうだ、吸血鬼はとっても力持ちなんだよインテグラ」って感じ。単一能としてではなく彼らの理知(ロジック)を持って力を行使する「暴君」・・・ヴェルディとの近接戦闘は死を意味する。ヴェルディとは知性ある11人の技能集団なのだ。これを最悪といわず何をいうのか。どうやって勝てばいいのか・・・やはり組織力しかないかなあ。化物(フリークス)を倒すのはいつだって人間だ。やってやるう。
 FC東京はスマートなチーム。みんな走れてパスが出せてきっちり繋げる、約束事のハッキリした好チームだ。以前国見VS東京U-18をTVで観たときには、東京U-18のなんちゃってカウンターの嵐に「クラブユースの名を貶めるのはやめてくれええええ」と泣きそうになったが、これならOK。海老(・∀・)イイ!
本日の特選素材に認定。

 ロビーに戻る。ジェフ舞浜がセレッソを5−0で一蹴、そして横浜F・マリノスVSジュビロ磐田・沼津は1−1で延長らしい。J1ファーストステージで最後まで競った両者、ここでも白熱だな。じーっと待ってると、えふまりVゴール!の報が入る。かくて準々決勝の組み合わせは、

えふまりVS清水
鹿島VSジェフ舞浜
ヴェルディVSサンフ
三菱養和VSFCトーキョー


となった。
 さて・・・本来はこれで東京に戻って一泊し、神田の古書街や渋谷のHMVやタワーレコードや秋葉原の各所や上野の国立博物館や東京都美術館巡って帰るつもりだったが、選手達の親御様方に「明日も応援しましょう、人数少ないので」とお願いされたり、また、やはりこの精強ヴェルディにサンフがどう立ち向かうのか見たくなったので、泊まることにした。でもお金ないなあ。いわきまで帰ったらジ・エンド。このへんの宿屋なんかすでに押さえられまくってるだろうし・・・おろしに行くか。フロントへ。ATMどこにありますか。すると地図を頂く。
「北に行ったらいわき信用金庫があります」
見た感じ2km余。
・・・・・・・・・・・・・限界ギリギリか。えい、行くしかない、行軍開始!
 てくてくとJヴィレッジを出て、国道6号線を北へ。夏の日差しは鋭い。これで気温があと3度高かったら死ぬかもしれん。車がどんどん追い越してゆく。福島ナンバーやいわきナンバーに混じって、ていうかこっちのほうが多いのだが、関東各所のナンバーの車がどんどん過ぎて行く。その中の一台の助手席に座っていた子供が、こっちを指差しながら何か笑っていた。このガキー、今に見とれよ(何をだ)。
 途中コンビニで一息つき、やっとの思いでいわき信金着。お金を下ろし、JR木戸駅へ。狭い道をいくつも抜け、到着。しばらくぐったり。列車の来る時刻が近づくと駅員さんがやって来られたので、切符を買って高架を渡り、電車に乗る。
 いわきに戻ると、昨晩と同じホテルにチェックイン。部屋のタウンページでインターネットカフェを探してメモり、フロントへ下りて行って場所を訊く。
「一番近いところでもここからは徒歩で15分くらいかかりますね。でもここから近いワシントンホテルの4F・5Fが市の生涯学習施設になっていて、そこで20時まで無料でインターネットができます。お盆期間中なので、やってるかどうかわかりませんが」
行ってみる。開いてた!早速手続きして、ここの掲示板に京都戦の結果を簡単にアップ、あとは20時までサーフしまくった。cgiページや2chに入れないのは役所管轄ならでは、か。あと、明日のタイムテーブルを簡単に作成。
 時間が来たので下に下りる。1Fにはレストランが二つ。中華とスペイン&イタリア料理店。中華は昨日食べたし、スペインにするか。メニューは、パエリアかパスタがメインのようだ。じゃ、パエリアで。
「40分かかります」
かかりますか。サラダとワインで間を持たせ、パエリアをたらふく食って外に出る。しかしこの周辺、風俗街か?ソレ系のねーちゃん多いぞ。そして、東南アジア系のねーちゃんに、
「マッサージしませんかー」
と声をかけられる。
「ああ、いーです、ハイ」
とやんわりと断ってホテルへ急ぐ。コンビニで下着を買って部屋へ戻り、ちょっとは観戦記まとめとこかと思ってノートに書き始め、ふっと気づいたら2時40分。

_| ̄|〇   寝てもうた。やめやめ!シャワー浴びて寝る。

 

8月14日 Jヴィレッジ 雨
日本クラブユース選手権U−15・準々決勝
VSヴェルディジュニアユース

 7時になると、早速メシ食べて荷物をまとめ、チェックアウト。外は雨か!!ダッシュでいわき駅へ。さてさて、この雨が今日の試合にどう影響する?
 みどりの窓口へ。今日のタイムテーブルは以下のようになる。

11:00〜12:15 準々決勝、その後タクシーでいわき駅へ
13:19〜15:34 スーパーひたちにて上野駅へ
16:00〜17:00 東京国立博物館・アレクサンドロス大王と東西文明の交流展
18:03〜22:22 ひかりにて福山駅へ

広野・木戸よりいわきへの本数が少なく、タクシーを使うしかないのが痛い出費だが、もう一泊することを考えればそう高くはない。国立はぜひ観て帰りたいし。
 指定席は取れた。あとはサンフが時間内にきっちり勝ってくれることを祈ろう。
 広野駅への道中、雨模様は変わらない。海上も霧に煙っている。駅に着くと、躊躇なくタクシーへ。雨だし。タクシーの運転手さんはJヴィレッジの動向に詳しいらしく、自分が「広島から来ました」と言うと「この前広島のユースが優勝しとったね」とすぐに反応してくれた。しばしお話。
 Jヴィレッジ着。残ったチームが半分になったせいか、さすがに昨日よりは閑散としている。何しよう。4Fへ上がってみる。
 エレベーターを下りて右手のロビーを見ると、そこに「蹴球(サッカー)神社」があった。これはキテレツな神社ですね。いちおう今日の試合がいい試合になりますようにとだけ心の中でお願いしてテラスへ出る。10以上のフィールドを一望する。昨日上がっとけばよかった。火力発電所の煙突も霧に隠れていて見えない。涼しいのはいいけど・・・
 1階に下りると、サンフの選手の親御様方と高橋真一郎さんが歓談されている。高橋さん最後に、
「いやー、今日はダメでしょう。荷物の用意されたほうがいいですよ」
と冗談めかして去って行かれた。親御さん方ちょっとムカー。
 売店でまた何か買おうと思ったが、合宿中の少年達が大挙押しかけたので、待つ。南葛10番のレプリカユニを着た子がいた。と、ここでジェフ舞浜の面々が到着。ロビーでしばし待機する。売店が空いたので、またちょっと買い物。縁起物でJベアー買っとこう。とりあえず不要の荷物を全部箱詰めにして宅急便で家に送ることにする。フロントへ。ついでにタクシーも今から呼ぶように頼んどく。
 そうこうしているうちに10時を回った。雨は止む気配がない。傘を買い、あとフロントでゴミ袋をいただく(スポーツバッグ保護用)。
 第4グラウンドに両チームの選手が現れた。ヴェルディは緑、サンフは紫、ともにホームユニをまとっている。雨は降り続いているが、ピッチ状況はさほど悪くない。
11横竹 10平繁
9植野 6天根
8竹林 7保手濱
5梅本 4田中尚 3林 2高橋勇
1山木戸
 メンバーは京都戦と同じ。田中尚くん(控えに田中貴政くんがいるので。ちなみに高橋勇気くんも、控えに高橋翔太くんがいるため上のように表記)の怪我は大丈夫のようだ。
 ヴェルディのメンバーは、

GK:1中根
DF:20古川、2金沢、5笠松、3落合
MF:6村杉、19柴田、11高橋賢、10新福
FW:15木村、17森本

中盤の主導権争いが主眼となるだろう。とくにボランチの村杉はフリーにしたらナイスなパスをサイドに通しまくるので、前線からのプレスで潰したい。
 テントの上に水が溜まっていたので、控え選手達が下から突き上げて落とそうとする。と、予想外に多量の水が降ってきてビックリ。上野監督にもかかりそうになった。それを見て、
「おいおい、そんなことしたら酸性雨で今以上に頭薄くなっちゃうぞ」
と長野コーチが笑う。
 アップも終わり、両軍がピッチ上に展開する。と、ヴェルディの選手達がゆっくりと手拍子を取り始めた。みんなで拍子を合わせながら、それぞれの持ち場につく。コンセントレーションを高めているのか。コンセントレーションといえばコスモスストライカー・・・あ、何でもありません。それではキックオフ。
 右サイドで平繁がキープ、ファウルを受けFKゲット。梅本のキック!ヴェルディ(以下、だいたい緑と表記)クリア、これを拾ってもう一度入れるが緑はまたもクリア。このこぼれを森本が拾う。森本、そのまま猛然とドリブルで持ち上がり、ロングシュート!枠を捉えず。緑も左CK、高橋賢人が蹴るが高橋勇気がクリア。 緑、バックパス。とこれが弱く、平繁がこれをかっさらって中央ドリブルで抜ける!ところを笠松が背後から倒してイエローカード。FK遠目、平繁が直接狙う!壁に当たるがこぼれを左に展開、梅本から植野に入れ、植野がDF二人の間をドリブル突破しセンタリング!ニアにDFと競り合いつつ平繁飛び込みダイレクトシュート!は左に外れた。平繁はなおも積極的に右からドリブルシュート!GKキャッチ。緑も反撃、後方からのロングフィードにゴール前走り込んだ木村が足を伸ばして合わせる!がさすがにコントロールはきかず大きく外れた。そして今度は森本、中盤の競り合いからボールがタテに出て、森本に入る。トラップでボールが浮いてしまったが、森本はDFをブロックしつつ浮き球をコントロールして前を向き、グイッと持ち込んでDFを振り切ると、まだ浮いていたボールをボレーシュート!!GK山木戸反応してセーブ!と思ったがボールはそれを突き抜けるとゴール内でバウンドし、上方ネットを突き上げた。ヴェルディ先制!!

先生!日向小次郎がいます!!

なんてテクニックとパワーだ森本。しかし崩されて失点したわけじゃない。まだまだこれからだ。
 失点後に平繁からDF林に叱咤の声が飛んでいた。取り返したい。緑、森本のポストから左に展開、センタリング!はサンフクリア。サンフ、失点後はちょっとバタバタしていたが、そのうちに盛り返し、互角の展開になってきた。緑のパスワークに森本の個人技は脅威だが、サンフは前線の二人がきっちりとプレスをかけ、ドイスボランチの保手濱と竹林がハードワークでボールを奪ってサイドに散らし、天根・植野が突破を図る。ともに4−4−2DVシステムであることもあってか、文字通りがっぷり四つとなる。サンフ右からのクロス、DFがクリアミスでCKに。梅本のキック、DFクリア、こぼれたボールに保手濱が食らいつくが相手選手を押してしまいファウル。平繁から植野へ展開、植野がタテに抜ける!これに古川がレイトタックルでイエローカード。梅本のFKはDFがクリアしCKに。右CK、天根と梅本が向かう。ショートコーナー、しかしコンビネーションが乱れてボールを奪われ、カウンターを食らう。左へ展開し、新福がドリブルでえぐってセンタリング!何とかクリア。双方とも中盤で激しくせめぎ合ううちに0−1で前半終了。
 サンフは1点先制されたものの、中盤でよく守り、緑攻撃陣を抑えている。緑DFはバックパスミスやクリアミスなどやや集中力を欠いたプレイが散見され、さらに二人がイエローをもらっているので、充分付け入る隙はある。
「下を向くな。誰かに厳しいことを言われても、それは励ましの言葉と思って、一人が声を出したら、みんなで声を出し合おう」
「こぼれ球は積極的に狙っていこう」
上野監督の指示が聞こえる。そのうち、後半開始の時間が来た。上野監督がピッチ上の控え選手を呼び寄せ、全員で円陣を組み気合を入れる。
 後半戦開始。
 緑はFW木村に代えFW14皆川を投入。開始早々緑のカウンター、左からクロス、右へ流れるところをバックパスから村杉のミドルシュート!わずかに左に外れる。そいつフリーにするな!サンフ、緑のバックパスミスからCKゲット。梅本のキックに平繁が競り合うが、DFが頭に当て、浮き球をGK中根がキャッチ。緑、中央に入ってきた新福が右の高橋賢へ鮮やかな展開のパス!高橋がそのまま右サイドを破ってクロス、DFに当たってCKに。右CK、ニアで森本が合わせる!が左に外れた。危なかった。サンフも横竹が右サイドからドリブルで進撃するが、DF3枚にブロックされる。転倒してしばらく起き上がれなかったが、立ち上がった。右サイド、高橋勇気が持ち上がって中の横竹へ、横竹が右に開いた平繁にパス、平繁が右サイド持ち上がりクロス!DFクリアに竹林が詰める、シュートだ!しかし竹林は確実に行こうと思ったかキープしてしまい打ち切れず、カットされてしまった。長野コーチが舌打ちして天を仰ぐ。
 右サイドで天根がボールを競り合い、ボールを奪うと相手選手をブロックして振り切りドリブルに入った。自分よりも体格の勝る相手によく競り勝ったなあ、と思っているうちに天根は右サイドを駆け上がって中の平繁に横パスを出す。平繁トラップ、目の前のDF二枚と対峙する。細かなタッチで相手の注意を完全に引きつけると、一転その間をズバッと通すスルーパス!その裏に天根がそのまま走り込んでいたッ!!天根はトラップするとGKと一対一、しかし落ち着いてゴール左スミに蹴り込む!GKも反応したが及ばず、ボールは左サイドネット内側に突き刺さった。
天根ゴルキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!1−1追いつく!!
 天根は一目散にサンフベンチへとダッシュしてスライディング!!みんながわっと折り重なる。あと1点!
 左サイドから右へ展開、天根がドリブルからミドルシュート!GKキャッチ。ゴールで天根が生き生きと躍動、雰囲気を変えた。天根、右サイドで粘ってFKゲット。梅本のキックははね返され、森本が拾って一人カウンター!止めろー!!勇気が中を切りつつディレイ、竹林が背後からカット!危機を脱する。こっちも負けるか。左から横竹にボールが入る。ディフェンスを背負った状態から反転、左へ開く!植野がボールを受けてタテに抜け、クロス!低いクロスに中央平繁がヘッドで擦らせる!が惜しくもわずか上に外れた。さらに保手濱のカットから平繁にクサビ、平繁はぱっと反転して一人をかわすとタテに抜けてシュート!右に外れる。
 緑、DF5笠松に代わりDF13小坂。
 天根>横竹>植野と展開し、植野センタリングに中央平繁トラップ!撃て――――!!しかしDFがブロック、ボールがこぼれる。植野が追うがオフサイドの判定、緑のFKに。惜しかったな・・・と思ってると緑の反撃、森本が前線でキープ、一旦戻したところへ村杉のスルーパス一閃!皆川飛び出す!うわ!!しかしGK山木戸が素晴らしい飛び出しからこれをキャッチ!天根がまたも右サイド突破、村杉が背後から体をねじ込み倒してファウル、イエローが出る。緑ベンチから不満の声が飛ぶが、いやボールに行く前に倒したじゃん。梅本のキック、DFクリアを竹林がヘッドでゴール前に送り、反応した平繁がヘッド!しかしオフサイドフラッグが上がる。
 少年たちの合唱が聞こえてくる。またFC東京U−15キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!彼らはホーム側ゴール裏で観戦に入った。

 両者譲らぬまま時間が押し詰まってくる。緑、落合からロングフィード!誰もいないところに飛んで行く。勇気が追いかけて行ってトラップ、しようとしたところへ、逆サイドから森本が物凄い勢いで走ってきてバッと体を入れ、ボールを奪ってしまった。何じゃそりゃ―――!!森本はすぐに味方に繋ぎ、あっという間に中央に回して村杉ミドルシュート!右に外れる。しかし森本、化け物か。巨人族の子孫か何かですか?息つく間もなく今度はどフリー新福のミドルシュート!山木戸セーブ!!こぼれを拾われるが、DF陣が素早く寄せてゴールキックに持ち込んだ。ロスタイムは1分、あっというまに経過し、試合は延長戦に持ち込まれた。
 たとえるならば土俵中央がっぷり四つ、双方譲らずの大相撲。どうなるのか予想もつかない。もちろん広島が勝つことを信じているが。頼んでおいたタクシーはもう来てるだろうな・・・でもいまさらここを離れられるわけはない。最後まで見届けなければ。
 選手達がうつ伏せになり、控え選手達に脚をストレッチしてもらっている。交代はないようだ。森本と平繁がコイントス。サンフがホーム側の陣を、緑がボールを得たようだ。さあ・・・運命の延長戦。
 緑のキックオフ、そしてその勢いのまま一気に押し込む!いきなりCKを奪い、ショートコーナーからクロス、森本がジャンプ一番宙を舞う!ウギャー!!しかし届かず。しかし逆サイド流れたボールを緑が拾い、クロス!DFブロック、またCKに。CK、クリアしタッチラインに逃げる。踏ん張れー。緑、なおも攻め立てるが、サンフも中盤が素早く寄せて対抗、ゴール前から押し返す。そして―――
 中盤の激しい競り合いの中からサンフが左にボールを出した。植野が受ける。緑は立ち上がりからの攻勢でラインがかなり高くなっており、すなわち絶好のカウンターチャンス!植野は一直線にドリブル開始。横竹・平繁のツートップもゴール目がけ走り出す。緑守備陣も植野相手にうかつに飛び込むことはできないので、ディレイでズルズル下がってゆく。中央の三枚のディフェンスもこの状況でオフサイド取りに行くのはさすがに怖いのだろう、平繁と横竹にくっついて下がってゆく。植野はディフェンス二人と対峙しながら左サイドを持ち上がり、PAに迫ってきた。ツートップもPA付近にまで上がってきている。クロスだ!とその時平繁がス・・・とポジションを下げた。植野すかさず横パス!平繁がボールを受ける。DFが一枚飛び出してきた。平繁は前を向くと、パシッと前に出す。横竹が受けた。その背後には、DFが一人のみ。平繁が一旦下がったことでDFが一人釣り出され、この一瞬、横竹は一対一の状況となった!
 横竹、すっと右に持ち出すとクルッと反転して一気にDFを抜き去る。ちょんと蹴り出し、完全に抜けてGKと一対一、もう一枚のDF間に合わない、横竹、右足を振り抜く!
Ya――――Ha――――!!!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
Vゴ――――――――ル!
ゴールデンゴ――――――ル!!
いやむしろスタープラチナゴ――――ル!!!
 シュートはゴール右上スミにぱさぁー!!
「ぃやったぁぁぁあ――――!!」
思わず傘を放り出し、大木みたいにガッツポーズしちまった>わし。ベンチも大騒ぎ!監督、コーチも歓喜爆発!
 横竹はもの凄い勢いでピッチを飛び出し、応援の親御さん方のいらっしゃる前へ走って行ってガッツポ―――ズ!!攻撃陣の面々がわっと群がる。次いで控え選手たちが、遅れて自陣から走ってきた守備陣が群がる。その後ろ、ピッチ上に倒れ伏して動けないヴェルディ。残酷な対比。やがて副審に促されて紫の一団が戻ってきた。やったよー!お前らホントに凄いよー、あのヴェルディを倒しちまった!
 それにしても、得点シーンは本当に「神様がくれた時間」のようだった。ヴェルディは一気呵成の中、エアポケットに入ってしまっていたか?中盤の戻りがなかった。その一瞬の隙を確実に決めた・・・しかし平繁、あそこでクロスを待つのではなく一旦戻ってボールを受けてDFをつり出し、横竹一対一の状況を作り出して後は彼に任せたあのプレイ、素晴らしい。純粋ストライカーかと思っていたけど、今日は見事な2アシスト。昨日から全得点に関わってる。さすがナンバー10、極上だぜ・・・と思っていたらまた大仁さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!ピッチサイドをスタスタ歩いて戻ってゆかれました。
 みんなが整列に向かう。自分は親御さん方の方に戻って行く。皆さん泣いておられた。さもあらん。自分もVゴールなんて生で見たのはいつ以来だろう。親御さん方と勝利を喜び合っていると、整列を終えたヴェルディの選手がサンフのベンチ前に。拍手。強かった。いいゲームだった。次いでサンフの選手と監督・コーチがこちらへやってきて挨拶。お疲れ!!
 さて帰らないと。タクシーも待ってるだろうし。と、急いで暇乞いをして走り出そうとした時、聞き覚えのある歌が流れてきた。
さあ行こうぜどこまでも 走り出せ 走り出せ
輝け俺達の誇り 広島 広島・・・
見ると、ジュニアユースの面々が円陣を組み、飛び跳ねながら『HIROSHIMA NIGHT』を大合唱していた。うわ!覚えてるのか!感動するじゃねーかこのやろう!!存分に走れ!!
 自分も存分に走る。ロビーに急行してタクシーに案内してもらって飛び乗り、いわき駅へと急行してもらう。雨のせいか、国道6号線はやや混み気味。「次のになるかもしれませんね」と言われる。うー。しかし車線が増えるとスイスイと流れはじめ、そのままいわき駅前へ滑り込んだ。13:08。間に合った。7880円。スーパーひたちに乗り、ふうと一息。沿線の景色や駅をぼーっと見る。日立を過ぎると寝てしまった。
 上野に着くと、雨の上野公園を過ぎり、国立博物館へ。アレクサンドロス大王関連かと思ってたら、ギリシア文化の日本への伝播を中央アジア・インドの遺物により実証するという試みで、なかなか面白かった。執金剛神(ヴァジュラパーニ)の原型がヘラクレス、毘沙門天の原型がヘルメス、風神の原型がボレアースとか。いろんな図像のドラクマ銀貨とか多くて、それも楽しかったり。
 17:00になったので、上野駅に戻ってホームに上がる。京浜東北閉まっちゃった、なら山手だ。追っかけろ!東京直前で鍔迫り合いとなったが、ほぼ同時に東京駅着。もっとドリフトとかしろよ。ウソです。東海道新幹線ホームに上がると、外人二人組がいた。まわりの人が数人サインをせがんでいた。誰だ?まあいいや誰でも。だるいし・・・
 以下、ひかり号に乗って福山まで寝て、帰宅。