むらさきぐま日記2001.ミカド杯



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12月29日 神戸ウイングスタジアム 晴
川崎フロンターレVS清水エスパルス

われらがサンフレッチェ広島のトップチームは鬼門・日本平にあえなく沈み、ユースも夢の島で東ガスにより悶絶、もう何もすることはなくなったのだが、そこはそれ、サッカーがあるとなれば行ってしまうのが人というもの。清水との背景バトルに敗れて懲罰の勢いで、そのままレンタル状態ということで清水を応援だ、と、毒連のNaclさんと神戸ウイングスタジアムへと向かう。
とはいっても、Naclさんは広島から、こちらは福山からなので、三宮で落ちあうことにした。
起きたら8時30分。あっ、ちょっと寝過ごした。
J.S.バッハの《マニフィカト》、《昇天祭オラトリオ》、カンタータ第50番《今やわれらの神の救いと力と》(アンドルー・パロット指揮タヴァナー・コンソート&プレイヤーズ)を聴きながらパンを食べ、着替えて家を出る。
最寄の駅に行く途中のローソンでチケットを買おうとしたが、Loppiが表示した画面は、
「申し訳ありませんただいまお取り扱いできません」
ボロ機械め。当地で買うことにしよう。
福山駅に着くとお金を下ろして特急券を買い、10時3分発のひかりに乗って新神戸へ向かった。
・・・某ルーマニア人作曲家の《ヒロシマ》なる作品は、合唱団が「ヒロシマ〜」と無気味なうなり声をあげるという、広島県民なら必聴の曲。・・・
『クラシック悪魔の辞典・完全版』(洋泉社新書、鈴木淳史著)を読んでいると新神戸着。この曲は今度探してみよう。
地下鉄で三宮へ。隣に座った壮年の男性たちが、
「今日はオレンジ?」
「ええ、今日はアウェイですけど、フロンターレが青黒なんでこちらはオレンジのユニ使います。決勝もそうですよ」
「三宮に着いたらどうするんだ」
「地下鉄、乗り換えですよ」
などと話している。見てみると、彼らの装備はオレンジ系。早いな、もう来てるのか。
三宮に着くとNaclさんと連絡をとり合流。どうやら同じ新幹線で来たようだ。OPAの地下で今年のサッカーシーンを簡単に総括しつつ昼食を食べ、時間を見ると12時過ぎ。中途半端な時間だ。
どこかへ行く時間もないので、ちと早めにウイングへ行くことにする。
地下鉄海岸線の切符売り場には若者どもが群がっている。後ろに来た娘どもも、
「どこまで買うん?」「御崎公園」
などと発言。みんな早いな。まあ、年末はヒマだしな。往復を買って地下鉄に乗り込み、御崎公園駅へ。所要時間は約10分。車両の中は異常にオレンジ係数が高い。富士通系は業績不振のせいか、見かけない。
さすがに出来たばかりで小ぎれいな駅を出ると、いかにも海沿いらしい、閑静な住宅街だった。道路だけは多車線で立派だ。道沿いにてくてくと歩いてウイングスタジアムへ。標識によるとウイングまで400mだったが、さわやかな小春日和の青空のせいもあって気にならない。
でも、こういうところに怪獣とか出てきたら壮観だろうなあと思った。
左手の路地のほうをふと見てみると、その奥に巨大な体育館の姿が!いやこれがウイングスタジアムか。でも立地条件と外見からはモロ体育館という印象だ。メインスタンドの一部らしい。ということはもう着いたか。もう少し進むと、パトカーがたむろする交番があり、その隣にだだっ広い空き地が。そしてその奥に、神戸ウイングスタジアムがその威容を示していた。ここから見ると、なるほどサッカースタジアム。
御崎公園駅からは、ウイングのバックスタンド&アウェイゴール裏側入り口に近い。柿落としの神戸VS横浜FM戦では、行き帰りの駅がメインスタンド&ホームゴール裏観客はJR兵庫駅、バックスタンド&アウェイゴール裏観客は地下鉄御崎公園駅、と決まっていたらしい。それにしても今年のえふまりは新スタジアム荒らしだったね。
スタジアム前にはゲートを設置し、当日分チケットからヴィッセル神戸グッズまで売っている。当日自由席を買い、右端の入場ゲートから荷物検査を受け入る。
アウェイゴール裏スタンドを見ると、Naclさんの話の通り後ろ半分が仮設スタンドになっている。W杯後に撤去するらしい。考えてるなあ。
とりあえずスタジアムに入り、ゴール裏へ。
多いな!アウェイゴール裏は清水の持ち場だが、既に結構埋まっている。
フィールドではJユースカップ決勝・京都VSFC東京が行われている。後半も30分を回りいよいよ終盤、2−1で京都がリードしていた。オーロラビジョンによれば、前半5分に東京のエース・馬場ユータが先制したが、京都が後半早々に村尾のゴールで追いつき、さらにオウンゴールで逆転しているらしい。東京が必死の反撃を見せている。素早い攻撃からあわやゴール、の場面も創りだすが、京都DFも素晴らしい集中力で弾き返す。
ホーム側ゴール裏には京都サポ、そしてこちらには東京サポがそれ以上にやって来ていて応援を繰り広げている。なんとまあ、東京の人間はヒマだなあ。まあ、最近失業率が高いからねえ・・・と思っていると、ボールを持ち込んだ京都MF14・六車がPA外から右足を一閃!ボールは飛びつくGKの手を弾いてゴール左上隅に突き刺さった。3−1!時間は後半44分、これで試合は決まった。ロスタイムを消費してそのまま試合終了、京都がJユースカップを制した。
喜ぶ選手やサポーター。そのとき背後からいまいましげな声が。
「喜んでいられるのも今のうちだ・・・」
見ると、磐田のジャケットを着た御仁。
磐田は今年あれだけ勝ったのにぜんぜん喜べなかったもんね。ちょっとわかるよ、そう言いたくなる気持ち。
スタンドには、磐田だけではなくガンバや名古屋ジャケット、はては、さいスタ特派員らしいロッテルダムユニを着たヒトまでいる。みんな好きね。
東京サポはいそいそと撤収。京都サポも撤収。代わってホーム側が青黒に変わっていく。よく見ると、ホーム側のゴール裏に、
「茂原をよろしくFrom神戸サポ」
と書いた横断幕があった。
ここでNaclさんがPUSHさんに電話。位置を確認して挨拶に伺う。
それにしても、清水サポーターは試合開始2時間前というのに凄い集まりだ。スタンドの後ろ半分、仮設スタンド部分は本日立ち入り禁止となっていたが、それでは追いつかないほど、はや飽和状態になっている。当然というか、ほどなく仮設部分解禁となる。そこもみるみる埋まっていった。
さて、ゴール裏中央、中段付近でPUSHさんや橙次郎さんたちに挨拶。Naclさんがお土産に「広島名物・ぷよまん」を献呈、好評を博す。そのまま清水サポーターのなかで観戦・応援させていただくことになる。
周囲にはジャンパルくんが大挙襲来し腰掛けていた。ゲート上に座ってフラッグを掲げている者までいる。かなり壮観だ。
でも客の多さに、ジャンパルくんが席を占拠しているのが気まずくなった親御さんたちは、
「未就学児童は膝の上にのせてご覧下さい、なんて言われたりするんじゃないか?」
「ていうか、こいつらはそもそも就学するのか?」
などと心配。それも、スタンド上側開放で解決、だにえれ君をはじめとするジャンパルくんたちはほっとする。
ジャパ連の人が次々にやってくる。ジャンパルくんはなにぶん大きいので、スポーツバッグにギリギリ入るくらいだ。それを取り出す、というか引きずり出す、という光景は、この前サンフVS清水の現地バトルで見たことはあるが(ふるまきさんのまるぐれ君)、なんかシュールだった。出産風景ってこんな感じ?
オーロラビジョンでさいスタでの浦和VSセレッソの中継が始まった。その場のみんなが当然というかなんというか、セレッソを応援。心情的、実利的ともに兼ね備えた、人間として当然の選択だろう。セレッソの大柴がGKをかわしシュート!しかし左に外す。スタンドため息。それにしてもセレッソ強い。ユン・ジョンファンを中心に両サイドが、森島が、大柴が次々に飛び出していく。ゴール前でのコンビネーションも素晴らしく、次々にチャンスを創り出す。なんでJ2に落ちたのかわからない。西村監督の手腕なのか。ワールドユースではちょっと評価を落としたが、ただの戦術マニアではなかったということか。
セレッソ押し気味で前半0−0で終了。ここで中継が途切れ、コカ・コーラのCMに。
選手たちがピッチに出てきてウォーミングアップをはじめる。体調不良で出場が懸念されたアレックス(三都主アレサンドロ)も姿を見せていた。川崎には、このたびさいたま復帰が決まった(ただし大宮)国産電柱・モリツァの姿が。情報では、出場停止の阿部に代わって先発らしい。みんな笑う。今日は清水のバロンとの電柱対決が見ものだ。両サポーターが一斉に声を上げはじめる。私たちも加わる。サンバのリズムで非常にノリがいい。ウン・ドイス・トレース・クアトロ!
先発が発表される。
川崎:GK吉原、DF伊藤宏、飯島、土居、MF鬼木、高田、塩川、桂、今野、FW我那覇、モリツァ。
リザーブには、元清水で今季限りで引退する向島建の名がある。
清水:GK黒河、DF森岡、大榎、古賀、MF平松、戸田、吉田、アレックス、澤登、FW久保山、バロン。
戸田の顔写真は、はっきり言って別人のでしょう。
リザーブにはJ出戻りFW山崎光太郎の名がある。訊いてみた。
「山崎光太郎ってどうなんです?」
「試合に出ないからねえ・・・」
がんばれ光太郎。
それにしても、選手一人一人でコールのバリエーションがすべて違うんだなあ・・・
ここで清水サポたちの携帯にさいスタからの速報が入る。セレッソ、杉本のゴールで先制!沸き上がる。反対側でも同じリアクションだろう。
オーロラビジョンに再びさいスタが映る。なおも1−0、ロスタイム突入。ファウルを受けて転倒した森島、転げ回る。それに詰め寄った井原、無理やり森島を引っ張り立たせようとする。両チームの選手がこれで荒れそうになったが、主審の岡田さんが冷静に分けて再開させる。そしてセレッソはロスタイム確実に時間を稼ぎ、ホイッスル!決勝進出を決めた。ウイングスタジアムからも一斉に歓声が上がった。
さあ、こんどはこちらの番だ!
試合開始。清水が立ち上がりからペースをつかむ。素早いパス回しから平松・アレックスの両サイドに開き、ポストのバロンが広範囲に動き回ってクサビとなる。ベテランの澤登も溌剌とした動きで攻撃にアクセントをつける。この日は、隣に戸田がいることで攻守のバランサー役を務めていた吉田は、かつてサンフでやっていたように抜群の判断力でゲームに絡んでいく。いいねえ。平松も爆発的なスピードとテクニックで積極的に川崎陣を蹂躙する。ファンタジスタ・古賀のファンタジー、大榎の時折見せるやばいプレイ、体調の万全ではないアレックスの不用意なミスが散見されるものの、川崎を押し込み続けて26分、左サイドからアレックスが、これも左に流れてきたバロンにクサビのパス。バロンはDFを背負いつつトラップ、すかさず反転して中央へパス!走り込んだのは澤登、寄せて来るDF2人より早くダイレクトシュート!これが鮮やかにゴール左隅に突き刺さり、清水先制!爆発するスタンド、翻るフラッグ、そしてジャパ連のフライ・ハイ!ジャンパルくんたちが立て続けにくるくると宙を舞う。スワローズの若松監督やゲームセンターあらしも裸足で逃げ出す華麗な空中回転。いいなあ。風よ雲よ天まで届け。
さて、ある意味この試合の目玉であるモリツァについても言及せねばなるまい。彼は基本的にポストとしてボールを捌いたり、ハイボールに競り合ったりがお仕事なのだが、キープがままならない。たまに3秒くらいキープしたら、おおっ、と驚きの声が上がる。ポストプレイについては、彼から出てくるボールは絶好のインターセプトの対象になっていた。それだけに、たまに決まると川崎の絶好のチャンスになるのだが。ハイボールにも、古賀に競り負けたりどつき倒されたり、フリーなのになぜかかぶったりで、彼を見ているだけで大変面白うございます
でも、大宮の人は頭を抱えたかもしれません。
それにしても、電柱対決の相手・バロンはとにかくよく動く。右に左に前に後ろに走り回ってボールを受け、前線で攻撃の起点となる。おかしいな、彼はこんなよく動くプレイヤーじゃなかったはずだけど・・・訊いてみる。
「バロンって、ああいうキャラでしたっけ?」
「最近、改心したみたいです」
なるほど。
そのまま前半終了。このまま押し切れそうな雰囲気だ。
後半、石崎ノブリンは我那覇に代え伊藤彰を投入。攻勢に出る。両サイドの塩川・桂に高田が絡み、効果的なサイドアタックを繰り出す。特に平松の裏のスペースを塩川に活用され、何度か破られる場面が見られた。ちょっとまずいかな・・・その中、PA内でモリツァが清水DFと交錯、転倒。笛はない、試合続行だ。クリア!ボールは川崎左サイド、塩川のもとへ。塩川はゆっくりとボールキープし、立ち止まった。モリツァは立ち上がりかけだ。試合を止めるのか?・・・その瞬間、塩川が猛然とドリブルを開始した。虚を突かれた清水DF陣があわててチェックに行くものの、塩川は委細構わず突破、2人を振り切ってセンタリング!これに反応したのは伊藤彰、フリーでニアに飛びこむとヘッド!絶妙に方向の変わったボールはGK黒河の頭上を越え、ゴール右サイドネットを揺らした。1−1同点!目の前のゴールに川崎サポーター大歓声!これはモリツァ、さりげなくゴールに絡んだのか。まあ、彼を使わなくても点なんか取れるのサというみんなの判断かもしれないが。
このゴールで川崎ペースに。モリツァまでヘディングシュートを繰り出し清水サポをヒヤヒヤさせる。
「彼に全国ネットで決められたら末代までの恥です」
ごもっとも。しかしモリツァはこの緊迫した試合展開の中、ほのぼのなごみ系プレイを連発、一服の清涼剤となる。
川崎は鬼木、桂に代え箕輪、向島を投入。伊藤彰とともにシャドーストライカーの位置に入った向島は素早い飛び出しから清水ゴールに度々迫る。
「タツルにはまだ決めさせるわけにはいけん」
審判の片山さんとかメインスタンド側の副審は、セレッソ勝利の報を受けて、
「じゃあ、ネタ的にはJ2同士の元旦決戦がイケてるって感じ?」
とばかりに川崎寄りな不可解判定連発。たまの清水のチャンスも、オーバーラップしてきた古賀がボールを踏んづけ転倒と、違う意味でファンタジーを披露、清水サポにフラストレーションを溜める。アレックスがカウンターで長駆ドリブルを見せるも、ゴールに結びつかない。
みんながイライラする中、澤登の胸トラップボレーシュート!これはバーに阻まれたが、再びペースは清水に移った。
ここで久保山に代わって横山投入、沸き起こる「横ちん」コール。
そして後半30分、右サイド中盤から素早い前方へのフィード、澤登がこれに反応してオープンスペースを疾走、センタリング!トップスピードで走り込んだバロンがこれをダイレクトで豪快にゴールに突き刺し、勝ち越し2−1!再びフライ・ハイ!さっきより高く舞っております。でも腕力要りますねこれ。
そして残り時間きっちり守りきって逃げ切り、2−1で清水エスパルスが勝利、賞金5000万を確定させ、セレッソ大阪との元旦決戦に挑むことになった。そういえば清水も天皇杯でシルバー・コレクターですね。うちの轍を踏まないように、頑張ってほしい。
試合後、今季で引退の向島建が清水側ゴール裏へと挨拶にきた。みんなが「懐かしい〜」と言ったタツル・コールでそれを迎える。私たちも先日森保さんで同じようなのをやっただけに(森保さんは引退せずに仙台に移籍だが)、なんかじいんとなった。
Naclさんが帰省のため、18時30分ごろの電車に乗らないといけないということで、皆さんに挨拶してお別れし、スタジアムを出る。
出口は非常に混雑しており、兵庫県警の人が多数出動して交通整理に当たっている。御崎公園駅内でパニックにならないように、入場規制しながら人を入れていき、そのためスタジアムから駅まで30分かかったが、たいした混乱もなく駅に入り、地下鉄に乗って三宮に帰ってこれた。
ただ、いちいち文句いってたおっさんが一名いたが、30分待つくらい我慢しろよ、いい大人が。私なんか、フィレンツェのウフィツィ美術館で4時間待ちしたことありますぜ。
まあ、この前非常に混雑したさいたまか新潟からの回し者かもしれんが。
JR三ノ宮駅でお土産を買い、Naclさんと別れる。来年もよろしくお願いします。
私はそれからダイエーのジュンク堂書店に寄り、さんちかで食事して帰った。
後頭部が痛い、と思ったらこぶが出来ていた。そういえば帰りの地下鉄で、隣のおじさんの抱えていた女児がひょいと抱きなおされた時、彼女が私の後頭部にヘッドバット食らわしたんだっけ。その女の子泣かなかったから、かなりの石頭なんだろう。両親はさぞカルシウムを大量摂取しているに違いないよ。


12月9日 広島スタジアム 晴時々曇
VSベガルタ仙台

ニポ監督退任、森保退団?で揺れるサンフ、今年の3回戦の相手はカニトップ仙台。春先の練習試合ではマルコスにかきまわされて2戦2敗。おおっ、相性悪い!といっても公式戦は負けなしだが。いつかのナビスコ杯で、前川が退場し、すでに3人交代していたのでFWのアウレリオ・ヴィドマーがGKに入り、凄いキーパーぶりを見せて話題となった(3−0で勝利)のもこの仙台戦だ。
戦前の士気も高いようで、よもや不覚を取ることはあるまい。といっても、例年3回戦では苦戦するのが常なのだが。昨年は珍しく圧勝したが(水戸に7−0)、4回戦であっさり負けてしまったので、苦戦したほうがいいのかもしれん。
目が覚めたら9時30分だった。ああ、寝坊した・・・身体がだるい・・・身体を引きずって起き、パンを食べて家を出ようとしたら、母も行くというので、待って家を出る。
起きよ、光を放て!
汝を照らす光は昇り、主の栄光は汝が上に輝く・・・

メンデルスゾーンのオラトリオ《聖パウロ》(シャンドス、リチャード・ヒコックス指揮)を聴きながら、快晴の山陽道を飛ばして広スタへ。今年こそ、栄冠が欲しい。
広スタに着いたが、駐車場に入るのに手間取る。渋滞に巻き込まれた挙句に、入り口まで走っていって訊いてみたら「Uターンしてください」と言われて脱力したが、走って戻ってその場で車をターンして、いつもは選手が入る駐車場に入れる。これで前座の皆実と東福岡のゲームを見そこねた。試合開始1時間前だがバックスタンドは結構埋まっている。
ピッチでは「サポーターの選ぶ2001MVP」に最多得票を獲得した久保が表彰を受けている。私は服部に入れたんだけどなあ。文字どおり粉骨砕身頑張ったんだから(<両足甲亀裂骨折、半月板損傷で手術、リハビリ中)。
母は「よく見えるところがいい」というので、自由席を買い入場、ハーフウェイライン付近に案内して放置、自分は弁当を食ってゴール裏へと向かう。
仙台サポは、最初バックスタンド隅にいたが、アウェイゴール裏に移っていた。なんでも最初アウェイのゴール裏が開放されていなかったらしい。ここらの手際の悪さはさすが天皇杯、といったところか。
シュート練習などを見ても、みんな気合が入っているようで、期待できそうだ。
メンバーは、GK下田、DF駒野、オレグ、上村、沢田、MF桑原、カズ、コリカ、藤本、FW久保、大木。
仙台は、GKノリヲ、DF村田、渡辺、リカルド、ヴィエラ、MF千葉、岩本テル、山田、財前、FW大友、マルコス。
試合開始。サンフが早速ボールを支配して押し込む。中盤でプレスしてボールを奪い、攻撃・・・と行きたいが、仙台は思い切り引いて守り、ゴール前にスペースを与えない。そのためドリブルでのキープが多くなり、あと一歩がなかなか崩せない。久保と大木にはきっちりとマークがつき、動きを制限する。なかなかシュートが撃てない。仙台の攻撃は、マルコスをオレグがマンマークできっちり押さえ込んでいることもあって全く脅威がなく、これまたシュートの気配すらない。
2列目から積極的に飛び出す藤本がドリブルで崩してシュートを放つが、枠を捉えない。時折久保や大木が抜け出してシュートを放つが、仙台GKノリヲがファインセーブではじき出す。大木は競り合いながら抜け出す際にかかとを踏まれたらしく、シュート後に足を引きずりだした。そういえば昨日のチャンピオンシップでは、解説の加茂周が「ビスマルクが○っこ引き始めましたよ」などと発言し、山本アナが「ただいま不適切な発言がありましたことおわびいたします」とフォローを入れてたっけ・・・それはともかく、大木はスカチェンコに交代。しかしスカチェンコはサイドに思いっきり開いてしまい、ボールに絡めない。あんたは中央にデンと構えていなきゃだめだろー!久保とのコンビネーションは大木とは比較にならない。これでシュートの気配が遠のいた。

ゴール前で久保がバックチャージを受けて倒れる!FKだ!しかし笛は鳴らない。もう一度久保が同じようなところでまたもバックチャージを食らうが、これも笛なし。駒野も危険なタックルを受けて足をすくわれるが、これも笛なし。ゴール裏からスタンドにかけて怒号が沸き起こる。どこ見てんだ?おまえは何級審判だ?H見やO氏以下だ。三井ゆりクラスだな。そのまま前半終了。「審判交代!」コールが起こる。それも当然だろう。
名古屋0−2佐川急便SCの報に一同爆笑。名古屋、ベルデニック強奪に続き、日本のサカー好きにネタを提供するつもりか。来年は話題性(実力ではなく)で主役を張りたいとの意思表示か。そのほかは各地とも拮抗した試合展開らしい。
後半開始。あいかわらずサンフがボールを支配するが、なかなかシュートに持っていけないというイライラした展開が続く。もっとミドルを撃ってもいいだろうに。
しかしだんだんシュートが出るようになってくる。そして後半20分、中央でボールを持ったコリカから右へ開いた久保へ。久保は切り込むと見せて切り返し、センタリング。中央にいたスカチェンコと藤本を飛ばして、ボールはパスを出した後ファーへ開いていたコリカの元へ。フリーのコリカはワントラップしてきっちりゴールに叩き込み、やっとこさサンフが先制した。
森保が呼ばれた。ピッチサイドにやってくる。森保一コールが巻き起こる!ゴールを決めたコリカと交代だ。入ってきた森保、広島での最後の試合、気合の入ったプレイを見せる。走り回ってボールカットしまくり、仙台の攻撃を許さない。
盛り上がっていたところにアクシデント。サイドにこぼれたボールに駒野が追いつき、クリア!・・・そのとき、仙台の選手がその足に突っ込んだ!転倒し動かなくなる駒野。会場がシーンとなった。タンカが入ってくる。そのまま乗せられ、ピッチサイドへ。そしてタンカに乗せられたまま控え室へと消えていった。おいおい、まずいんじゃないか!?仙台は、後半になるとラフプレイが多くなっていた。前半、主審が度重なるラフプレイをすべて流していたものだから、歯止めが利かなくなっている。桑原がバックラインに入り上村がとりあえず右に回っていたが、アップの終わった梅田が投入され右サイドバックに入る。
左サイドでの上村と財前の競り合い、上村が競り勝ってボールキープ、そのとき財前がぐいと上村を引っ張って倒した。振り払って立ち上がった上村だが、財前が大げさに顔を押さえてぶっ倒れる。この演技に目の前で見ていたサポーターたちが激怒!当然私も激怒!私はこの鈴木的プレイで財前、一発で嫌いになりました。これで両軍が一触即発となったが、主審はこれにもカードなし。カード忘れてきたのか?財前はほどなく交代。ブーイングが起こる。
そして、そのまま試合終了、サンフが1−0で勝利した。仙台のシュートといったら、マルコスのミドルと、同じくマルコスがトラップ一発で上村を外して強烈シュート、下田セーブ!くらい、っていうかその2本だけだった。こちらは18本。そのうちの1本は、果敢に攻め上がった森保のミドルシュートだった。
試合後、森保さんが上村に担がれてゴール裏へ。本来禁止されているが、事前に、あとで片付けるからということで特別に了解を取っていた紙テープと紙吹雪が一斉に舞う。一旦メインスタンド側でインタビューなど受けたあと、また森保さんがやってきた。ここでサポーターのみんなの寄せ書きが渡される。森保さんはフェンスに立って「国立に行くぞ!」と宣言。いつまでも続く森保コールの中、たくさんのサポーターと握手しながら、森保さんはメインスタンド側へ去っていった。もちろんメインスタンドでも大歓声と森保コールに包まれていた。
また、同じく今季でチームを去る奥野さんもあいさつに。終盤、3バックの中央として堅実なカバーリングを見せ、いぶし銀の輝きを放っていた彼にも大きな歓声が上がる。二人ともまだまだこれから!新天地でも頑張って欲しい!!
で、そのあとは約束どおり、「撤収〜!!」
その場のみんなで紙テープと紙吹雪を拾う。その場にいたほぼすべての人が手伝ってくれたので、滞りなくきれいに片付いた。
そして、毒毒連合のみなさんと写真撮影。総帥のヨンチェさんや上層部の方にもお会いしました。
名古屋0−4佐川急便SC・・・ウリダ、楢崎退場。佐川の嘉悦、ハットトリック!
横浜FM0−1京都・・・上野優作の一撃で決着!
柏1−2鳥栖・・・鳥栖のモリツァ、炸裂。
FC東京0−1FC横浜・・・神野、健在。
札幌2−3(延長)川崎F・・・阿部ちゃん、まだ使えるじゃん。
福岡2−3(延長)新潟・・・黒崎も健在。


・・・負けたほうのみんな集めて小一時間問い詰めたい感じです。


12月2日 竹ヶ端陸上競技場 晴
駒澤大学VS国見高校

前日の12月1日、雅子妃殿下が内親王さまを無事出産され、なんかめでたい師走のはじめ。
さてこの日、福山で行われるのは天皇杯2回戦、対峙するのは、かたや全日本大学選手権を制した駒澤大学、かたや全日本ユース選手権を制した国見高校。大学とユースの王者が激突するという豪華なカードとなった。なんかチャンピオンシップなどというものもこの日行われるそうだが、別にたいしたものでもないし、無視無視。
日曜日、小春日和の温かさに当てられトロトロ運転する前の車にイライラしながら、芦田川の土手沿いをすっ飛ばして河口堰そばの竹ヶ端競技場へ。しかしいつもの入り口には警備員がいて道をふさいでいる。他へ回れということらしい。矢印の張り紙がある。それに従って突き当たりを右折、さらに右折して競技場のそばを走り抜ける。どこへいけばいいんだ、と思っていると、競技場を過ぎたところにある空き地を臨時の駐車場として使っていた。試合開始30分ほど前だが、けっこうな数の車がいる。後ろからも次々と入ってきていた。車を止めてみると、辺りには福山ナンバーに混じって岡山や徳島、埼玉ナンバーの車が。実際にそこから来ているのかは知らんが。浦和レッズサポのらしい車の後部にミラージュマークを携えたイマラ様のステッカーが貼ってあったのには笑った(すまん)。空は飛ばないよなこれ。ていうか本気で松木安太郎呼ぶ気か浦和?浦和がどうなってもかまわんがさすがにこれは見過ごせん。悪いことは言わん、アスカルゴルタにしとけ。
当日券は1500円だった。そんなに高かったか?しまったな、1000円だと思ってたよ<それは前売り。2000円しか持ってきてなかったので、天皇杯のパンフは断念。来週買おう。残った500円のうち、300円でうどんを食べ、スタンドへ。
結構な人が入ってきている(1800人余だった)。ベンチ裏にはすでに両校のスターティングメンバーが貼り出されていた。
駒澤大学: 国見高校:
9巻 10深井
>13キム・ウィマン
   13亀ヶ渕(鼓)
>14平山
9蒲原
8森田    8柴崎
14高橋
>7橋本
11中田    22中村
>5園田
11亀ヶ渕(幹)
5津村    6片山 10徳永 18渡邊
6三上      3小林(久) 20鈴木 2木村    15安部 4成瀬
1桜井    1徳重
フォーメーションは大体こんな感じ。片山がFW登録になっていたが、もちろん左サイドバックに決まっている。徳永はフォアリベロの位置にいて、4バックとも5バックとも取れる陣形。駒大のバックラインには元ユース代表・那須の姿がない。
先に国見の選手がピッチサイドに出てきた。小嶺総監督がのそのそと歩いてきてベンチに座る。遅れて駒大の選手が出てきた。
ピッチの状態は、下が剥き出しというレベルにはなっていないものの、まあ、悪い。福山市、W杯キャンプ地に立候補してんなら、ちゃんとしろよ。
さて、試合開始。
立ち上がりからフィジカルとテクニックに優れる駒大が押し込む。ダイレクトで軽快にボールをさばき、たちまちサイドを抉って好機を創っていく。ファーストシュートは、森田の左CKからFW巻のヘッド。上へ外れる。
駒大は、4バックががきれいなラインを形成し、たえず国見の2トップにプレッシャーをかける。国見はその裏を衝いていこうと、駆け引きを繰り広げる。
9分、左サイド片山の突破からFKを得る。が、蒲原が左サイドに張った片山の前に素早く出したボールは長すぎてゴールキックに。
駒大はラインコントロールで立て続けに副審の旗を上げさせたが、主審気付かず。さすが、ローカル。
攻勢の駒大は、小柄ながら優れた足技でチャンスを創り出すレフティ、深井が上手くボールに絡んで巻へ、ポストで落として津村のミドル!わずかに上へ外れた。国見も右からの展開から亀幹(亀ヶ渕幹)がコースを狙ったミドルを放つが左へ外れる。国見は中盤でボールキープできないので後方から駒大の裏へ出すのが主な攻め手になっていたが、それが雑になったので、小嶺総監督が立ち上がって声をとばす。
それが効いたのか、17分、後方からのフィードを蒲原がダイレクトで裏へ出し、反応した亀鼓(亀ヶ渕鼓)が最終ラインを突破!抜け出したところを後方から引き倒して駒大にイエロー!FKを得た。ボールの周りに柴崎、徳永、亀幹が立つ。左サイドだしまあ最後は徳永が直接か・・・?
ボール左に立っていた柴崎がチョンと蹴り出す。右の亀幹が止めて中央の徳永?と思った瞬間、亀幹はそのボールを股の間を通してスルー!そこに回りこんだ徳永、強烈なシュート!壁の脇を抜けてゴールを襲う!しかし大学選手権ベストGK桜井、横っ飛びでこれをキャッチ!スタンドがどっと沸く。
このプレイで国見がノッてきた。やや前掛かりになって中盤が空いてきた駒大から素早いプレスでボールを奪い、すぐさまサイドに展開。両サイドバックの渡邊・片山がどんどんサイドを抉ってくる。渡邊クロス>ニアの蒲原飛ばして中央亀鼓ヘッド!GKキャッチ。上がり目のところでパスカットした片山、ミドルシュート!GK正面。左サイド片山から素晴らしい弾道のサイドチェンジ、右サイド渡邊がこれを受け持ちこんでセンタリング!惜しくもラインを割る。ファウルを受けFKをゲット、すぐさまリスタートして左サイド突破した片山クロス!DFヘッドでCKに逃げる!
国見の時間帯になってきた。駒大、ピンチ・・・と思っていた時、駒大が久々の反撃、リズミカルにボールをつないで右サイドバックの木村がボールを受ける。前方でMF中田が裏を取るべく走り出した。スルーパスか?いや、すぐさまクロス!中央の深井の頭の上、ファーには・・・駒大MF高橋!胸でトラップ、アタックにきた国見DFをターン一発でかわし、シュート!これがゴール右隅に決まり、国見の一瞬の隙をついた駒大が先制!
先制で駒大がペースを取り戻してきた。34分、右サイドでボールを受けた深井、トリッキーな左足のコントロールから片山を翻弄、突破してクロス!CKに。これは不発に終わったものの、さらに39分中盤から速攻、ボランチ津村のクサビのパスを深井が受け、高橋に落とす、高橋そのままトップスピードで持ち込む!しかしDFが詰めてキープしきれずゴールキックに。勢いは止まらない40分、深井、今度は左サイドから突破してシュート!DFに当たって逆サイドのラインを割りスローインに・・・深井、さすがに大学選手権MVP。小さいが、上手い!まだ攻勢は続く。41分、再び左サイドを破り、パス交換からフリーでクロス、ニアで巻が潰れて中央フリーで走り込んだ中田がダイビングヘッド!これがゴールに飛び込んで駒大が2−0と突き放した。そしてそのまま前半終了。
さすがにフィジカルでは駒大のほうが上。テクニックでも駒大が上。今年の国見のスタイルは、フィジカルで優位を取り、両サイドがとにかく個人技で突破してクロスを上げまくる、というものだけに、フィジカルで負けるとなかなか攻め手がない。FW陣もマークされるとまったく働けない。後半は前線を増やすか・・・と思っていると先に駒大の選手がピッチに出てきた。選手交代はない。遅れて国見が出てくる。5番の選手が出てきた。用紙を提出する。22番、中村がいないので彼と交代のようだ。DFを増やして3バック、両サイドを上げる算段か・・・
いや、さらに手を打ってきた。徳永がFWに入って亀鼓と2トップ、蒲原が中盤に下がる。キープ力のある徳永をFWか・・・と、徳永がボールを受ける。そして前を向いた。ドリブル開始、ディフェンスを引きつけ左サイドに開いた亀鼓にスルーパス!亀鼓、すぐさまセンタリング!徳永飛び込む!しかし届かない!・・・と、次の瞬間、その後ろにいた駒大DF三上がそれに触ってしまった。しかもジャストミート!ボールは鮮やかにゴールに突き刺さる。オウンゴールだ!国見、後半立ち上がりに2−1とした。
意気上がる国見と、気落ちせずに反撃する駒大が激しくせめぎあう展開となる。国見は徳永が効いていて、彼を中心に攻撃を組み立てるようになっていく。しかし彼が最終ラインから中盤にいなくなったため、守備力の低下が懸念されるのだが。
徳永、またもドリブルで持ち込み、強烈なミドルシュート!GKキャッチしきれず、一旦落としてからキャッチ。スタンドがまたも沸く。しかしそこが国見の隙になった。そこから素早くフィードされたボールがあっというまに左サイドに展開され、クロス!ゴール正面に、2列目から猛然と飛び込んだのはまたも中田!胸で落としてボレーシュート!豪快にゴールに突き刺して3−1とした。
駒大右サイドバック木村クロス、深井が落として高橋シュート!わずかに左へ外れる。国見は渡邊のロングスローから活路を見出そうとするが、駒大の高い壁にはじき返される。とくに主将の小林の高さには、ちょっと高校生では太刀打ちできまい。
左サイド深井から逆サイドに振り、そこからのクロスを中田がヘッド!しかし上へはずれハットトリックならず。後半20分、高橋が蹴っ飛ばされて引っくり返り、治療に出されるがすぐに帰ってきた。24分、巻のポストからドリブルで左サイドを破った深井がセンタリング、中央走りこんだ選手がすべってしまい合わず。そして25分、右からパスをつないで中盤の底・津村からオーバーラップしてきた左サイドバック三上へ。先ほどオウンゴールをやっちまった三上、そのままドリブルで中央へ切り込む。国見の中盤のプレスが薄い、ミドルが撃てる、行くか?・・・と、三上はタテにスルーパス!これに反応した深井が完全に国見の裏を取った。PA内、ゴール左、角度はない、センタリングか?ゴール前に駒大の選手が飛び込む―次の瞬間、深井は、自らの最大の武器・左足を強振した。
徳重は反応できなかった。深井の一撃は、ほとんどなかったゴールへの隙間を見事に射抜き、ゴールネットを激しく揺らしていた。4−1!この素晴らしいゴールで、国見の息の根は止まった。
国見は必死で反撃を試みたが、駒大の攻撃にさらされた。駒大の交代選手がまた死者に鞭打つように縦横無尽に走り回って国見に反撃すらさせてくれない。徳重もキックミス連発、いちどそこから大ピンチを迎えたものの、この日唯一のファインセーブで防いだ。そのまま駒大が攻め倒して試合終了、4−1で駒大が大学王者の貫禄を見せつけて勝利、ジュビロ磐田挑戦権を獲得した。
選手たちがピッチから出てくると、駒大の8番・森田が小嶺総監督に挨拶に行った。国見出身だったか。小嶺さんは彼にねぎらいの言葉をかけていた。
混まないうちに、駐車場から退散。
チャンピオンシップ第1戦、2−2ドロー・・・鈴木退場、ああ、またやったか。でも鹿島って、10人のほうが強かったりして。