伊賀の影丸


「伊賀の影丸」といえば、横山光輝生み出した忍者マンガの傑作。実に40年以上前の作品ながら、今読んでも全く古さを感じさせない完成度を誇る。現在の少年マンガと比べても、決して劣っていない。むしろ、数段面白い、と言っても言い過ぎではない。「影丸」の息付く暇もない戦闘の連続はスリル十分、敵だけでなく味方もばたばたと倒れ、たいてい生き残るのは影丸のみ、という近頃なかなかないシビアな展開は手に汗握ってしまう。

弟に見せてみたら、猛烈な勢いであっという間に全巻読破してしまった。
で、「これ、おもろい」

というわけで、ここは木の葉の似合う男・影丸のページ。


影丸とは?

職業:公儀隠密。その中でも、一、二を争う腕前

出身:もちろん、伊賀

年齢:15歳前後?(作中、何度もこども呼ばわりされている)

性格:普段は穏やか、戦いにおいては沈着冷静。だが時には仲間の死に激する事もある。職業柄、妙に達観したところもある。

武芸:剣、手裏剣、鞭などを操るが、いずれも一級の腕前。体術は言うまでもない。

忍術:木の葉を用いた忍法「木の葉がくれ」や「木の葉火輪」を得意とする。


影丸の戦い:

題名 あらすじ
半蔵暗殺帳の巻 秋田文庫、
第1巻
服部半蔵屋敷に曲者が侵入し、世の中を覆す力を持った秘密の巻き物を盗み出した。伊賀忍者の活躍で半分を取り戻したものの、敵の力は想像以上で江戸にいる忍者では歯が立たない。そこで半蔵は大坂に出向いている少年忍者・伊賀の影丸を急遽呼び寄せて事に当たらせる。敵の正体、そして秘密の巻き物の正体とはいったい?
若葉城の巻 秋田文庫、
第2、3巻
若葉城主・若葉右近に謀反の心あり―この噂を調べに向かった隠密は誰も帰ってこない。唯一もたらされた紙切れには、血文字で「甲賀七人衆」とだけ書かれていた。単身若葉へ向かった影丸は七人衆の想像を超える能力の前に大苦戦、江戸から遣わされる援軍も次々と倒されていく。果たして影丸らは若葉城の秘密を探り出せるのか?
影丸旅日記の巻 秋田文庫、
第4巻
葉山城下に潜入した隠密・伝蔵との連絡が途絶えた。最後の知らせは「城内に怪しい動きあり」。半蔵は影丸に調査を命じる。葉山への途上、影丸は謎の忍者たちに立て続けに襲われる。それをかわして葉山へと到着した影丸は、伝蔵のもとへ。彼は無事だったが、不思議な事に、伝蔵は連絡を欠かした事はないという。城下で流通する阿片、密かに行動しているにもかかわらず窮地に追い込まれる影丸・・・葉山でいったい何が行われているのか?
由比正雪の巻 秋田文庫、
第5、6巻
浪人を密かに集め幕府転覆を企てた由比正雪は決行を目前にして事露見し自害、その首は鈴ヶ森にさらされた。しかし死んだのは正雪本人ではなく、その影武者。本物は密かに東海道を上り、大坂を目指していた。松平伊豆守は半蔵に命ずる。「正雪を秘密裏に抹殺せよ!」 かくて影丸をはじめとする伊賀忍者六人は正雪を追撃する。だが彼を護る陰流の忍者群がこれを迎え撃ち、両者は東海道を舞台に激闘を繰り広げることに。途中、意外な人物の参入で事態はさらに混沌とする。壮絶な死闘の結果はいかに?
七つの影法師の巻 秋田文庫、
第7巻
雪の降りしきる冬の江戸で、公儀隠密が殺害される事件が相次ぐ。その犯人は「影法師」と名乗り、公儀隠密に勝負を挑んだ。半蔵は幕府の威信をかけてこれを受け、江戸を舞台に七対七の忍者戦が開始。影法師の正体とは?背後にはある藩の思惑が・・・
邪鬼秘帳の巻 秋田文庫、
第8巻
秋月藩へ潜入している隠密・藤次からの連絡が途絶えたため、影丸と弥兵衛の二人が遣わされる。秋月藩では家老が辻斬りに殺されると言う事件が続いており、藤次もその辻斬りに斬られたらしい。その辻斬りは藩の次席家老の館に出入りし、藩主も原因不明の病気。お家乗っ取りの気配が漂う。そうこうするうちに現れた新たなる敵・土蜘蛛党。宿敵・邪鬼も影丸の前に姿をあらわし、三つ巴の戦いが始まる!
闇一族の巻 秋田文庫、
第9巻
山城国で飢饉が発生し、農民たちが蜂起して代官屋敷などを襲ったという報が江戸に届く。半蔵は調査を命じるが、向かった忍者たちは全滅。敵の正体が、その昔北条氏に仕えた「闇一族」と判明した事から、半蔵は影丸と村雨五兄弟を山城に遣わす。闇一族に接近する謎の武士の正体は?そして驚くべき黒幕とは誰か?敵味方ともシリーズ最精鋭といってもいい面々が息もつかせぬ忍術戦を繰り広げる。
土蜘蛛五人衆の巻 秋田文庫、
第10巻
以前、影丸に壊滅させられた土蜘蛛党の生き残りの小頭五人衆が江戸に現われ、仲間の仇と影丸に挑戦する。半蔵は影丸に護衛をつけ、かくて影丸らと土蜘蛛五人衆の戦いが始まる。
地獄谷金山の巻 秋田文庫、
第11巻
城下を歩いていた服部半蔵は、毒の刃に斬られた瀕死の男に出くわす。彼は隠し金山の存在を告げて息絶えた。その報を聞いた松平伊豆守は、ただちにその探索を半蔵に命じる。男が甲州出身らしい事が判明し、影丸たちは甲州へ向かうのだが、早くも道中敵の襲来を受けて一人が斬られてしまった。奥深い甲州の山中を舞台に繰り広げられる忍術合戦。そのさなか、影丸が敵の手に捕らえられてしまう。果たして隠し金山はいずこに、そして影丸の運命やいかに。

伊賀の影丸・外伝:

いずれも短編。

外伝 講談社漫画文庫
(『火盗斬風録ほか六編』)
秋葉二十万石を探りに行った蜘蛛の十郎太が隅田川に死体となって浮かんだ。死体を探った影丸は彼の体から「忠親死」と書かれた紙切れを取り出す。しかし秋葉藩主・秋葉忠親が死んだという届けは幕府には出ていない。半蔵は影丸と甚吾の二人を秋葉藩へと遣わす。秋葉藩で進行する陰謀とは?
(1970年、講談社・別冊少年マガジン掲載)
百舌の藤蔵の巻 講談社漫画文庫
(同上)
岩倉藩に潜入させた三人の隠密が次々に倒された。相手は幻の忍者・百舌の藤蔵。かなり以前から名前は知られているが、だれもその姿を見たものがない。仕留めた者は百舌のように高い木に串刺しにし、足の裏に切り傷を刻むという。半蔵は百舌の藤蔵を倒すべく影丸・彦造・助五郎の三人を岩倉藩へ送る。姿形もわからぬ敵をどのように探し出すのか?
(1977年、秋田書店・プレイコミック掲載)
影丸と胡蝶 講談社漫画文庫
(『影丸と胡蝶ほか七編』)
慶安三年(1650)十月、影丸は葉山の里に立ち寄り、名主の館で休息をとる。彼をもてなしたのは名主の娘・胡蝶だったが、名主の姿は見えない。この年、この地方は大凶作に見舞われたのだが、領主・黒川大膳は例年と同様の年貢を課していた。胡蝶の父、名主の治郎左エ門は年貢の軽減をもとめて領主の下に赴いたが、それっきり帰ってこないらしい。影丸は城に忍び込み、領主が百姓一揆を防ぐために治郎左エ門を人質として捕らえてあることを突き止めた。
これを聞いた胡蝶は、百姓たちの飢え死にか、一揆(つまり父の命を犠牲にする)かの二者択一に悩む。
公儀隠密である影丸は、この有様を江戸へと知らせ、最悪の事態を防ごうとするのだが・・・
(1964年、集英社・別冊マーガレット掲載)

外伝としては、あとは影丸の老後を描いたお笑い編がある。

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