ちいさなユンたん 鳳凰二喬乱入編

今迄のあらすじ:風邪をひいたユンと、看病していたヤンは風邪薬を飲んだ筈なのに、ユンは5歳の子供に、逆にヤンは推定23歳の大人になってしまった。今日、ユンはケンとのファイトの約束があるのに……何時もの"昇龍軒"の前をスケボーとブレードで通る双龍は、何となく、親子。

「ユンにいちゃん、あたしよりチビだね」
 しゃもじちゃんにまで馬鹿にされ、ユンは頬を思い切りぶうと膨らまして、まさに幼児幼児していた。と、その時。
「おーい!慧梅ー!」
 元気な声で叫びながらやって来るは鳳凰二喬、スケボーのユンファ&ブレードのヤンフェイ。更に自転車で後から淋飛(リンフェイ)くんもやってくる。
「おはよう、慧梅」
 ヤンフェイが挨拶すると慧梅ちゃんも明るく返す。今日は珍しく淋飛くんも一緒なのは、今日は一日彼の料理の師である父親が休暇をくれたので、慧梅ちゃんとしゃもじちゃんに料理をご馳走する約束したのだ…勿論、彼の手作り。などと言ったら二喬姉妹も食べたい!と言う事でついてきたのだった。慧梅ちゃんと淋飛くんは良い料理人ライバル同士である。
「で、結局双龍兄弟も来るとかいう話はどうなったんだ?」
 淋飛くんは慧梅ちゃんに尋ねた時、背の高い男に気が付いた。
「え?ヤ、ヤン……?」
 指を指して口をぱくぱくさせる淋飛くん、思わず見上げるユンファ、何となく睨み付けてしまうヤンフェイ。
「何か嫌味な身長差ね、ヤン……」
 この状態ならユンファと並ぶと今迄以上にハマるからだ。ふと、大人なヤンの足元に、パンダ帽子の可愛らしい子供がいるのに気が付いた。
「かっわいい〜〜!ヤン、この子、誰の子なの?」
むぎゅ!
 思わず抱き締めるヤンフェイ。
……む、胸が…………
 子供は顔を赤くしているが、誰も見えていない。
「可愛い〜〜〜可愛い〜〜〜可愛い〜〜〜!」
 そのまま思い切りギュっと抱き締める。
……き、きもちい、でもぐるじ…………
 小さな子供がじたばたとヤンフェイの胸の中で暴れている。
「ヤンフェイ、おい、締めてるぜ、ヤンフェイ!」
 ユンファは子供の様子を見ていた。子供の癖に生意気に、ヤンフェイの巨乳の間に顔を埋めるなどとは……しかし、子供の様子が……
じたばたじたばたじたばたじたばたじたばたじ………がくん……
「あら?」
 ようやく子供の様子がおかしいのに気が付いたヤンフェイ。可愛いものを見ると、遂、見境なくなってしまうヤンフェイの悪いクセである。その時、ヤンフェイはその子供がユンの子供の頃のようだと気が付いた…が。
「やだ、この子ったら気絶しちゃった」
「ヤンフェイ、見境ないからな……」
 隣で淋飛くんが頭を抱えた。ユンファが子供の胸倉を掴んで持ち上げる。
「たぁーく、男の子だろ!情けねぇ」
 言うが速いが子供の頬に往復ピンタの連発!十数発放って子供が目を開ける。瞬間、目の前のユンファを睨み付けて大声で叫んだ。
「何だよ!いってぇな!手加減って言葉がわかんねぇのかよ、この乱暴女!」
 瞬間、ユンファはカっとなって子供に向かって大声を張り上げる。
「何だと!このクソガキ!ガキの癖に生意気言うな!」
「ガキじゃねぇ!俺だ!リー・ユン様だ!」
 じっと子供の顔を睨み付けるユンファ。言われてみれば確かに、このクソ生意気なツラはユンである。そういえばヤンは何となく格好良い…じゃなくて大人になっているし、一体どうしたのだか…?
「ねぇ、ヤン。どういう事なの?」
 先刻から苦笑しているヤンにヤンフェイが尋ねる。
「否、だから、それが、哥哥」
 子首をかしげるヤンフェイに、ヤンは手早く事情を説明した。すぐ様納得したヤンフェイはもう一度子供の顔を覗き込む。ユンファのピンタを食らって、丸っこい顔がしもぶくれの様に赤く腫れている…本当に、ユンファは加減がない。
「ユン……?」
「そうだよ………」
 顔を真っ赤にしてヤンフェイを見上げる小さなユン。暫くヤンフェイがじっと顔を覗き込んでくるので顔を赤くする…腫れ上がってる頬も加わってユンの顔は林檎の様だ。ヤンフェイはクス、と笑うともう一度ユンを抱き締めた。
「でもやっぱり可愛い〜〜!!!」
むぎゅ!
 再びヤンフェイの胸に顔を押し付けられた状態でだっこされるユン。
「ヤンフェイ!おい!仮にもこいつの中味は16歳の男だぜ!」
 そんなのを胸の間に押し付けてどうする!と無理やりヤンフェイから放すと、案の定、小さなユンは鼻血を出していたようだった………

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