ありえる真実

 

 ユンたんとヤンちゃんは、ちっちゃい頃から仲良し兄弟。いつも一緒にごはんを食べて、寝て、遊んで。
ふたごだから、遊びあいてに心配はないんです。そりゃあ、ほかに友達がいたほうがもっと楽しいけど、誰も遊んでくれる友達がいない時でも、だいじょうぶ。
 でも、今はヤンちゃんが爺々のおつかいをしていてでかけちゃってるから、ユンたんは一人でボールあそびをしていました。
「ひとりじゃつまんないよぉ、はやくヤンたんかえってこないかなぁ」
ぽーん
ぽーん
壁にボールをぶつけて遊んでいるうちに、ボールが壁をのりこえて、おとなりの家の窓をわっちゃいました。
がちゃん!
ユンたんはあわてて逃げだしました。
「こらぁ!」
家のおじさんがボールをもって出てきたけど、誰もいません。でもちょうど、おつかい帰りのヤンちゃんが通りかかったのです。
「おまえのか!このボールは!」
 みるとちゃんと二人のなまえが書いてあります。いつも二人でつかっているボールです。なにがあったのかわからなくて首をかしげます。
「うん、そうだけど、どうしたの?おじさん」
無理もないよね、ヤンちゃんはたった今、おつかいから帰ってきたところなんだもん。だけどおじさんはヤンちゃんをどなりはじめました。
「あの窓ガラスをわったのはおまえだな!どうしてあやまりにこないんだ!」
「だってぼくじゃないもん!ユンたんかもしれないもん!」
「でもなまえが書いてあるじゃないか!」
「ぼくしらないもん!」
ぽかん!
とうとうおこったおじさんに、ヤンちゃんはげんこつをくらっちゃいました。
「うわぁ〜〜〜ん!ほうとうにぼくじゃないのにぃ〜〜!」
 おかいもののかごをもったままおおごえで泣き出したところを、ちょうど爺々がとおりかかりました。ヤンちゃんの帰りがおそいから、向かえに来たところです。ヤンちゃんの声がして爺々はおじさんのところに来ました。くわしい話をおじさんから聞くと、爺々は何か難しい話をしてあやまって、ヤンちゃんがはんにんじゃないって事をいってくれました。おじさんもヤンちゃんの頭をなでながらあやまります。
「ごめんね、おじさんのかんちがいだったね」
 そういいながら、おじさんは月餅をくれました。

「ユン、ちょっときなさい」
 爺々はかえってくるとユンたんを呼びました。
「おまえはボール投げをしてガラスをわって逃げだして、しかもヤンのせいにしたね」
 爺々はユンたんがさっきまで遊んでいたボールを見せます。そのままユンたんはひょい、と爺々につまみあげられて、ひざの上でぺんぺんとおしりを叩かれます。
「うわぁ〜〜ん!爺々ごめんなさぁ〜〜い!」


「そうなんだよな…俺は何時も貧乏くじを引いてたんだよな。結局師匠にバレてたけどな、ドジな哥哥は」
クスクスと笑うヤンと、顔を真っ赤にして言い返すユン。
「あれからなぁ、俺は3日もサルみたいなケツしてたんだからな!」
「自業自得だろ」

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