作品裏話



……このネタは、自分ことどむが、上記の絵を描いた時の裏話としてあげたFAX NOVELネタですので、ご了承下さい。

 

 

「ふにゅう…明日は入稿ぴゃ……」
 前日、京劇三國志を見てきて気分は古代中国していた僕は、ペーパーの表紙を飾る絵に悩んでいた。
「どの道、あの子達を描くのは決まってるんだし、今何時かなぁ……」
 ふと、横の時計を見ると、15:00。
「ん、決めた。京劇スタイルでいこう……描きかけの武術器械の方は、構図も変だし、ラフだし…没ね……」
 と、この原稿用紙は文字稿ONLYも原稿用紙に転化するとして、早速モデルを呼んでこよう。

 

 

「おう、今度は何だ?」
 早速李兄弟がやって来た。
「もうマチュア&バイスとか、レイレイ&リンリンとかは嫌だぜ、俺」
 早速ヤンが僕に釘を刺す。
「あ、そのシリーズなら、数人から"マリオとルイージ"って来たから、今度は吊りズボンに付け髭つけてもらうよ」
 勿論マントや尻尾のオプションは忘れないで、と付け加える。そういやこの二人に"エドガー&マッシュ"とか"パロム&ポロム"とかいったFFキャラのリクエストは来てないなぁ。
「今度はね、京劇でいこうと思うんだ」
 そう言うと、ユンが目を輝かせて
「孫悟空とかいいのか?!」
 将に、暴れん坊のユンならではの役だな。でも、違うんだ。
「童夢、昨日三國志を見たって言ったっけ。そうすると馬超と張飛とか…うーん…」
 ははは、それもいいが、違うんだ。実は、もう決まっている。
「申し訳ないけど、二人ともジャンケンしてくれないかな、好きな服取らせてあげるから」
 一回、一本勝負!二人はじっくりと何を出すか考えている…
…ヤンは先読みをするからな、いつも俺がチョキを出すって言ってたし、ここで俺が先読みしてグー出したりしたら それ位解ってた、とか言ってパーを出してくるのが目に見えてるな…とか言って、そのまた上を読んでくるかもしれねぇ…くっそぉ…ヤンの奴は読みが深いからな……ここはカンで一発!
…哥哥は大抵チョキを出すからな。それ位俺が反撃する位は読んでくるだろう。とか言って、そのまた上を読まれるとか警戒すると、結局は勘に頼ってチョキを出しちまうのが哥哥の癖だ。ここは定番通り……

「せーの…」
 二人は組み手の時並に気合いを込めている。
「ジャン!ケン!」
 まるで虎撲子でも打つかの様な発勁を放すかのごとき勢いで。
「ポン!」
 ……………暫くの沈黙。
「あ………」
「結局は読みの深さだな、哥哥」
 ユンはチョキ、ヤンはグー…あっさり、ヤンの勝ち。ぼくは早速用意した服を取り出した。
「えーっとね、白銀の鎧に青の袍…かな、で、この冠で…こっちは緑を主体とした、鱗状の鎧とこの冠」
 そう言って羽の付いた冠を指し示す。
「じゃ、俺こっち」
 ヤンは青の袍の方をとる。
「俺、こっちか…何だジャンケンして争う程のもんじゃねーじゃん」
 否、実は争う程のモンだったのだよ。二人は早速着替えてくれた。うん、流石は中国少年、カッパ顔。よく似合うんだなこれが。
「確か、これが付いてると、位が高いんだよな…この格好は、確か…」
 ヤンは冠の羽を握りながら考えていると向こうの方から。
「なぁ、童夢ぅ〜」
 完全武装姿でユンが現れる。
「これ、鎧をかたどった服は服だけど、何か模様は花唐草だし、冠も花、刺してんだけどさ」
「哥哥の服って、"鳳凰二喬"の大喬の服じゃねーか?」
「え?」
 そう言われ、ユンはもう一度自分の格好を見る。
「そうだとすると、俺は…この服の色からして、小覇王・孫策ってところだな」
 流石はヤンちゃん、全部当て抜いた。
「って事は!俺は女装かッ!
 僕に向かって今にも槍雷連撃をかます勢い。
ごめ〜ん…本当は策兄と周郎にしたかったんだけど、良い資料がなかったのぉ!ユンちゃんおこんないでぇ〜!」
 ユンは頬を大きく膨らませてスネる。いつもの通り。
「いいよぅ、どーせ童夢は俺受だもん…」
「あーいい子いい子、泣かないの。似合うんだからいいじゃない、ホラ、馬鞭」
 そう言って頭を撫でてあげるとヤンとユンに僕は馬鞭を渡した。
「畜生、こうなりゃ自棄だ!結び目のある赤い布でも持って来い!」
(注:婚姻を結んだ、と言う意味で、劇中で結び目のついた赤い布を二人が持つと言うシーンが有る)
「哥哥、そこ迄は」
「そこまではしなくていいよぅ、唯、みえを決めるだけでね」
そう言って、二人にみえを決めていただいたのでした。 作品裏話。

 
……ということで、こんなFAX-NOVELを市松さんと交わしてたんだけど、何が書きたかったって、「ジャンケンをするのに真剣な顔して相手の出方を見る双児」それだけだったんですね。

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