ユンのアトリエ(大爆笑)

 

……判ってるな、哥哥。この儘じゃ留年だからな。だから、哥哥には特別な卒業試験を行ってやる。
「うへぇ〜〜…ヤンの野郎…弟の癖にアカデミーの先生で、しかもこの俺にとんでもねぇ仕事押し付けやがって…」
等と文句を言いながら、ユンは部屋の中の調合に必要な実験気具や材料などを集めはじめた。
 ユンはこの街にある国立魔法学アカデミーの生徒なのだが、学校創立以来の大劣等生。双児のヤンは飛び級でアカデミーの教授だというのにこの差は一体何なのか……それはともかく、ユンは街の一角に小さな工房を借り受け、5年間そこで調合薬などを作って商売をするということになったのだった。5年後の結果によってユンは……
 蒸留水や中和剤、燃える砂、シャリオチーズ等の安い仕事で地道にお金と名声を稼ぎつつ、基本的には外に出て調合材料の採取(冒険)に精を出していたユンは、ふとしたキッカケで隠し図書館へ行く道を知る事が出来なかった。それ故に知っている薬剤の調合法は数に限りがあったが、それでも結構危険窮まりない調合が出来るのだ。勿論(ゲームの設定上の都合で)か弱い魔道士(というか錬金術士)の卵のユンは一人で魔物・盗賊うようよの山や森、洞窟なんかには行けないので護衛代りの冒険者を雇うのだ。
 現在ユンが雇っているのは引退した(設定上の都合)王宮騎士のケンと、元騎士の隆の二人である。他にも南国出身の冒険者・エレナとか、成り行き上冒険者やってるへっぽこなショーンとか、怪盗デア・ヒメルこといぶき、元盗賊集団のボスのユリアン、女騎士(設定上の都合上)のポイズンだとか、色々雇ったけど結局使い勝手がいいことから隆とケンの二人に頼んでいたりする訳だ。
「おーし!今日は魔人退治に行くからなー!」
 この日の為にLv7(時間も能力もかかる)の攻撃用アイテム"メガフラム"や"神々のいかり"、更に回復用の"ほうれんそうS"も用意してある。これだけ高度なものを調合出来る様になっていればヤンも文句は言わないだろう。これで卒業試験はいただきだ。
「腕がなるぜ!」
「自分の力を試す良い機会だ」
 勿論、護衛の二人も張り切っている。今、3人が向かっているのは街の南東にある塔で、その辺りからは魔物がうようよ現われる。塔に棲みつく蟷螂やダークエルフ、ガーゴイル等をばったばったと倒し、遂に3人は最上階にやってきた。…実は、とっても余裕綽々だったりする。ユンの必殺の杖の威力は、魔力の高い事から通常の戦士の一撃が全敵に当る位強力で、隆とケンの攻撃力も馬鹿にならない位強い。最上階で彼等を待ち受けていたのは大きな二本の角を持った魔人…魔王である。
「よし!いくぜ!」
 出会い頭に魔人に"メガフラム"を叩き付けると物凄い爆発音がし、魔人に火傷を負わせる…まさに、"ほのおのうず"。そこでたじろいだ処に隆とケンが斬りつけるのだ。しかし、魔人とて素直にやられはしない。強烈な閃光を、かまいたちをユン達に叩き付けるのだ。
「ユン!とどめを刺せ!」
 囮となって二人が突出し、魔人がそこに気をとられている隙にユンは"神々のいかり"を投げ付けた!……勝負は、決まった。屍となりうせた魔人と、傷ついたものの勝利した3人の姿がある。
「YEAY!」
 ケンが流れるようなピースをし、ユンは調合に使えそうな材料を物色していた。
 自分に調合法の解るものは全て作り尽くしたし、ついでにレッドドラゴンも倒して火竜のキバも手にいれたし、もはや試験結果が出るのを待つばかりだった…

 そして運命の9月1日。ユンはヤンに呼び出された。
「哥哥、お前、街の人になんて呼ばれてるか知ってるか?」
 睨む様にユンにいうヤン。思わずユンはたじろぐ。
「"風雲の白龍"…はともかく、"炎のユン"、"爆弾少年"なんてのもあったぜ。一体何してたんだよ」
「何って…俺はきちんと店やってただろう!」
 ムキに言い返したか、心当たりはない。別に街中で爆薬使い捲った訳じゃないのだが…
「俺が前、冒険に出るのもいいが、研究のほうのしっかりやれって忠告しただろう?にも係わらず、火竜やあの魔人まで倒しちまって、だからだと思うがな」
「あいやぁ〜〜」
 ユンは頭をポリポリと掻く。
「ま、街を救った英雄として卒業はさせてやるし、アカデミーの方でも哥哥の肖像画を飾る事になったが……俺はどうも、哥哥がアカデミーに入った事事態、間違ってたんじゃないかって思うな…」
 そこまで言うとユンはダン!と机を叩く。
「…ったりめーだ!この俺が大人しくしてられるかってーの!このキャスティング事態おかしいぜ!」
 おお、貴様この僕に対して反抗するとどうなるか覚えてないな……
「我慢しろ、哥哥。とにかく、そう言う事だ」
…そんな訳で煉金術士を目指した筈のユンは、街の英雄になりました。今後色々な騒動を起すのですが、それはあえて語らず。きっと冒険者として名を馳せていったのでしょうね……

「っつーことで?童夢が"マリーのアトリエ"クリアしたって?何だって俺がマリー役なんだよ…」
 ぶつくさ言うユン。あの衣装を着させられなかっただけマシと思え。
「俺としては、マリーはユンファにやって欲しかったけどな。まぁ、他に適役が居なかったからってユリアンとポイズンの配役はともかく、本当は1本丸ごとパロってやろうかと思ったらしいぜ。その為に姉妹の方は出せないとか」
「で、今だに幼馴染みのシアと、アカデミーの店員のねーさんのキャスティングに困ってるとか言ってるけど…いいじゃねーか、ヤンフェイで」
「つーか、哥哥。童夢のまわりで"マリーのアトリエ"やってる上、李姉妹が通じる人が居ないかららしい…1回目のPlayで図鑑完成失敗したから、目が本気だったな、童夢が」
「ポケモン図鑑じゃねーんだから、そこまでマジになるなよなぁ?」
「否、ポケモン図鑑の影響有ってこそ、図鑑完成が真のED等と言っているけどな」
 まぁ、本とか作るとか買うとか迄はいかないけど、結構マジになったのは事実である。今はそれよりアル戦っス。

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