3.疑惑 3−1

 異国情緒漂うアラブ人街

その一画にハッサンの弟、イブンの経営する病院があった


いち早く市警から脱出したマルシア達はそこに身を置いていた

風呂に入りながらコーヒーを飲むハッサン
鼻歌混じり……

それに対しAAは…
マルシア「遅いわね……ケイとアリサ…」

連絡の取れない二人を心配するマルシア

シルヴィア「心配することないて……」
「ミシェル、あんたなにしてんの〜」

一方ミッシェルはノートPCと格闘していた

ミシェル「公安のコンピュータにハッキングかけているんです」

そうしてる間に公安のホストにアクセスが成功する

シルヴィア「アホ!なんちゅうことすんねん!こんなことタカコに知れたら、あんた減俸やで!」

ミシェル「今回あまりにも相手の情報が少なすぎると思いませんか」

シルヴィア「情報?」

ミシェル「いつものタカコならミッションに入る前に、必ず相手のくわしい情報を用意してくれます」

シルヴィア「なんや、お前、タカコがうちらに隠し事しとるていうんかいな?」

ミシェル「可能性の問題です。情報は命です。敵を知らなければミッションも立てられません」



シルヴィア「おお、お前ずいぶんエンジェルのメンバーらしゅうなったやないか〜」

ミシェル「ケイさんのおかげです」

シルヴィア「うちやないんかい」

ハッサンがそーっと近づいてくる

シルヴィア「オッサン何してんねん?!」

ミシェルも振り向くがタオル一丁のハッサンを見てコンピュータ操作を再開する。

ハッサン「俺も一度日本の公安のホストを覗いて見たかったんだ」

シルヴィア「どうでもええけど、服ぐらい着いや」

嫌そうな顔でハッサンをにらむが……



ハッサンを無視して作業に没頭するミシェル

ミシェル「あった!」「ルバイヤート」

画面にハッサンのデーターと顔写真が表示される

シルヴィア「おっさん、ごっつ人相悪いなぁ」

ハッサン「俺は公安に要求する!顔写真を変更しろ!」

シルヴィア「静に見れへんのか」

シルヴィアとハッサンのやりとりを無視しミシェルは検索を続ける



ミシェル「セクンダティ……」

シルヴィア「何やそれ?」

画面にはセクンダティーのデータ

ミシェル「昔、ジャンリュックがリーダーやってたテロリスト集団のデータ」

シルヴィア「何やジャンリュックて銀行襲撃に失敗して死んだことになっとるやん。なさけな〜」

検索されるデーターの中にアリサの名前が…

ミシェル「え!!…」
シルヴィア「何やそれ!」
ハッサン「ん?……」

モニターにはアリサが映っている

ハッサン「アリサ・カタクラ…」


マルシア「え!?……」

シルヴィア「……敵さんと昔なじみかいな……」

ミシェル「だからタカコは、私たちに情報を流さなかったんだ……」

公安のデータバンクから次々と情報が引き出される
ハッサン…ルバイヤード…ジャンリュック……そしてアリサ

タカコが伏せていたアリサの過去とジャンリュックが繋がったとき一同は思い空気に包まれていた


マルシア「そういえば、タカコが酔って私に聞いたことがあった…」

マルシア「もし、自分の恋人が自分を庇おうとして死んでしまったとしたら、あなたはその恋人の事を忘れることができるかって……」


マルシア「あれって、アリサのことだったのかな……」

考え込むシルヴィアとミシェル


トレーラーが戻ってくる

ミシェル「帰ってきた!」

シルヴィア、マルシアドアへ向かう
ミシェルもPCを閉じ2人に続く


タカコがケイを支えて降りてくる

ミシェル「ケイ!どうしたの?」

タカコ「敵のランドメイドにやられそうになったところを、アリサに助けられたらしいわ」

マルシアもケイを支える

マルシア「それで……アリサは?」

ケイ「連れて行かれたわ……」
悔しそうに目を伏せるケイ


シルヴィア「チ……昔なじみにか?」

沈黙、それぞれの思いが交差する……

ハッサンが出てくる

ハッサン「どうやら敵は……君たちより上手のようだ」

沈黙の一同……



ベイサイドシティ

市長の演説「賢明なるベイサイドシティの皆様〜
市当局は非人道的なテロに対し断固たる態度で対処します」


埠頭の倉庫

アリサが目覚めるとそこにジャンリュックがいた
恋人同士の再開だがそこには大きな溝があった

アリサ意識が戻ってくる……
動こうとして椅子ごと揺れる

「くっ!くっくっ!!、気づいたか」

アリサ「!」「……ジャンリュック!?……」

ジャンリュック「二年か……随分捜したぜ……」

アリサ「……どうやって生き延びた……」

ジャンリュック「神様が、まだ死ぬには若すぎるって思ったんだろう……」「「お前と同じように作り物の体になっちまったがな……」

アリサの目隠しを取る



ジャンリュック「アリサ、ハッサンに金で買われたのか?

アリサ「……ただの行きがかりだ」

ジャンリュック「まさか、バウンサーってやつか?」

アリサ「……悪いか?」

ジャンリュック「やめろ、やめろ、お前には似合わない。人の護衛なんざクズのやる仕事だ。……俺と一緒に居ればいいさ。また昔みたいに楽しくやろう」

少しおどけながらアリサをくどく

アリサ「ハッサンをどうするつもり?」

ジャンリュック「……ハッサンには死んでもらう……それが俺の仕事だ」

アリサ「!…仕事……」つぶやく

ジャンリュック「派手な仕事になりそうだぜ……」

アリサ「あんた……ぜんぜん変わってないな……」

ジャンリュックがアリサの髪をつかみ上を向かせる


ジャンリュック「変わってないのはお前のほうさ……」

アリサにキスするジャンリュック

アリサ…の目は天井を向いている……
ジャンリュックを見ることはなかった…

ジャンリュックの仲間が入ってくる

ジャンリュック「……アラブ街……弟がいるのか……すぐ準備にかかれ」

ジャンリュック「仕事だ。お前はここで待っていろ

立ち去ろうとするジャンリュックがふと立ち止まり

ジャンリュック「お前懐かしい物を持っているな」

腕時計を出す

ジャンリュック「お前が使っていて良いぜ」

腕時計を投げる……床に落ちる時計


いきなり黒い固まりが現れる

オートインセクター「ケルベロス」

アリサを威嚇する

アリサ「!」

ジャンリュック「逃げ出そうなんて考えるなよ。こいつに殺されたくなかったらな……」

立ち去るテロリスト


取り残されるアリサ……
続く 疑惑3−2       トップへ戻る