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−世界をまたぐ旅本−

何でも見てやろう
 小田実著 講談社文庫
 1950年代 世界中

 私が最も影響を受けた旅本です。
 この本を読んで、それまで国内旅行すら一人でしたことなかった私が、一ヶ月の一人旅を決意したのです。
 それくらいの魅力があります。

 フルブライトの留学生という立場でありながら、世界中を旅してしまうバイタリティがものすごいです。今と違って、海外渡航自体が夢であったような時代に、体当たりで未知の世界に飛び込んで行って、路上で寝起きする、そんな旅なのです。

 薄汚い貧乏旅行なのですが、「フルブライト留学生」という肩書きを背負ったエリートでもあるのです。だから各国で著名人との出会いがあったりします。
 バックパッカーだった頃の私は、「こんな旅人でありたい」とずっと願っていました。なかなか叶うことではありませんが。

 「何でも見てやろう」の精神は、旅を続ける上でとても大事なことだと思います。
 個人旅行に踏み出してみたい人はもちろん、自分の旅のあり方に行き詰まりを感じているような人にも、きっと勇気を与えてくれる本であると思います。


深夜特急
 沢木耕太郎著 新潮文庫
 1980年代 アジア・ヨーロッパ
 
 旅本の定番中の定番です。
 この作品に触発されて、長期旅行をしているバックパッカーをたくさん見ました。
 日本人の多い安宿なんかには、誰かが置いていった「深夜特急」が転がっていたりします。
 
 バックパッカーを卒業した今、ちょっと距離を置いてこの作品を改めて読んでみました。 オトナになったせいか、以前のような興奮は覚えないものの、やはりとてもおもしろいです。
 これは沢木耕太郎一流の筆力に負うものでしょう。

 スカした文体には抵抗を覚える人も少なくないかもしれません。
 でも、それを補って余りあるような魅力があります。
 旅に出たいと思っている若者には、今でもやはりオススメできる本です。


バックパッカー・パラダイス 旅人楽園 
 さいとう夫婦著 旅行人
 1990年前後 世界中
 漫画家夫婦である「さいとう夫婦」が、バックパッカーとして2年間ほど旅をした記録。
 漫画家なので、当然漫画です。

 二人の旅のスタイルはごく普通の貧乏旅行者。でも3年近くに渡る、それこそ世界一周といってもいい、なかなか壮大な旅です。

 と言っても、あまり肩肘を張っていない、ごく普通の人たちの雰囲気が良く出ていてイイです。

 読み物としてもとても面白いですが、世界各地のディープな情報満載で、バックパッカー向けのガイドブックとしても有効な本です。


12万円で世界を歩く
 下川裕治著 講談社文庫
 1990年前後 世界中

 タイトル通り、12万円で世界を旅行しようという企画で作られた本です。
 12万円で海外旅行というのは、例えば中国やらタイやら、近場の物価の安い国であれば余裕だったりしますが、一方で遠い国、物価の高い国になると、ほとんど不可能。
 でも、それを何とかやってしまおうというおバカな企画。

 「お金がいくらかかるのか」ということがメインテーマとなっているだけに、実用的な面ではあまり期待できません。情報が古すぎます。

 でも、下川裕治一流の悲哀たっぷりの文体で描かれる貧乏ぶりが痛快でイイです。


もの食う人びと
 辺見庸著 角川文庫
 1990年代 世界中

 著者は辺見庸なので、旅行記というよりはルポルタージュになっています。

 世界で人々はいったい何を食べ、あるいは食べられないでいるのか。
 食糧問題という重いテーマながら、「辺見庸」という一旅人の視点を通して描かれる世界が興味深いのです。

 なかでも、バングラデシュの項はすごかった。
 残飯を売る屋台の存在、その酸っぱい匂いを消すために立てられている線香の存在・・・。
 私自身もダッカで感じましたが、バングラデシュという最貧国のすさまじい貧困、不衛生ぶりが活写されていて、引き込まれます。









(以下はオススメできない本です)

海外ブラックロード 危険度倍増版
 嵐よういち 彩図社

 ひどい本です。ここまでひどい旅本は見たことありません。
 「危険に無頓着な日本人旅行者が多すぎる」という主張にちょっと惹かれて購入したのが大失敗。

 「海外旅行がいかに危険か」ということを訴えています。が、ネタの大半は「友人が知り合いから聞いたらしいが・・・」という類の、又聞きレベルの話です。
 この手の話は、当然のことですが枝葉がついてしまいがちです。
 私も、バックパッカー時代に、この手のヨタ話をずいぶん聞かされたものです。
 仮に、この本に書かれている「又聞き」のいくつかが真実だったとしても、著者自身はまったく裏をとっていないため、しょせんヨタ話としか受け取ることができません。
 何を勘違いしているのか「ジャーナリスト」ぶっている著者が、ヨタ話の裏を取ることも考えず、「ほら、海外旅行って危険でしょ」と主張しているのが致命的なのです。
 なかには著者自身が体験した「危険」もあるのですが、「だからどうした」という程度のものばかり。
 最後のほうには、「又聞き」のネタもなくなったのか、バンコクやらナイロビやらサンパウロやらの「性都」ぶりの紹介に切り替わっています。もうメチャクチャです。

 著者の見識の無さ、常識の無さ、了見の狭さは目を覆うばかりです。
 例えば、著者はパキスタン人を「アラブ人」だと思っているようです。世界中を旅してきたと豪語しながら。
 イスラエルのエルサレムで、夜間日本人で集団で歩いていたところ罵声を浴びせかけられたことに対し、「一人で歩いていると何も言われないのだ。複数で歩いて話していると攻撃してくる。集団意識のようなものがあるのだろう」という謎の発言。
  「アメリカ獄中記」という章で「不法入国で刑務所に入れられた」とまるで自慢するように主張していますが、これは刑務所ではなくて拘置所でしょう。自らの不法滞在歴のせいで強制送還されるまでに一時勾留されてるだけなのに、「刑務所」って・・・。

 それに、著者はやたら日本人旅行者とつるむのが好きなようで、その一方で旅先の人々とまともに交流できているとは思えません。悪口しか書かれていないのです。
 「俺は外国人からの差別をいつも感じている。差別を感じない日本人旅行者が多すぎる」と述べていますが、著者自身の差別思想、見識の狭さが「差別」を呼び寄せているとしか思えません。
 そんなに外国が嫌いなら外国に行くのやめればいいのに、と思います。外国の文化に理解を示せないようでは、旅人失格です。

 また、いくらなんでも文章が稚拙すぎます。大人の文章ではありません。
 著者の日本語力の弱さも、この本が説得力を欠く大きな要因でしょう。

 私が憤りを感じるのは、文章の面でも内容の面でも程度の低い、到底「作品」と呼べるようなシロモノではないヨタ話を単行本化し、その上文庫化までしてしまう出版社です。
 カネを出して、こんなヨタ話を読まされる読者としては、たまったものじゃないのです。

 著者は「文庫版のためのあとがき」で、単行本化されたときのことに触れ、「・・・その一方で、誹謗・中傷する”クソ”のようなヤツもいたが」と述べていますが、批判を誹謗・中傷としか受け止められないようです。
 このサイトも、著者の目に留まったら、きっと「クソのような」と言われてしまうのでしょう。少しは自己の見識の無さを疑ってみて欲しいものですが。

 悪口ばかり書いてしまいましたが、良い点を見つけるのが困難な本なのです。
 強いて言うなら、「ダメなバックパッカーの姿」を知るためには良い本かもしれません。反面教師としてなら利用価値大。
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