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−世界をまたぐ旅本−
1950年代 世界中
1980年代 アジア・ヨーロッパ
1990年前後 世界中
1990年前後 世界中
1990年代 世界中
(以下はオススメできない本です)
ひどい本です。ここまでひどい旅本は見たことありません。 「危険に無頓着な日本人旅行者が多すぎる」という主張にちょっと惹かれて購入したのが大失敗。 「海外旅行がいかに危険か」ということを訴えています。が、ネタの大半は「友人が知り合いから聞いたらしいが・・・」という類の、又聞きレベルの話です。 この手の話は、当然のことですが枝葉がついてしまいがちです。 私も、バックパッカー時代に、この手のヨタ話をずいぶん聞かされたものです。 仮に、この本に書かれている「又聞き」のいくつかが真実だったとしても、著者自身はまったく裏をとっていないため、しょせんヨタ話としか受け取ることができません。 何を勘違いしているのか「ジャーナリスト」ぶっている著者が、ヨタ話の裏を取ることも考えず、「ほら、海外旅行って危険でしょ」と主張しているのが致命的なのです。 なかには著者自身が体験した「危険」もあるのですが、「だからどうした」という程度のものばかり。 最後のほうには、「又聞き」のネタもなくなったのか、バンコクやらナイロビやらサンパウロやらの「性都」ぶりの紹介に切り替わっています。もうメチャクチャです。 著者の見識の無さ、常識の無さ、了見の狭さは目を覆うばかりです。 例えば、著者はパキスタン人を「アラブ人」だと思っているようです。世界中を旅してきたと豪語しながら。 イスラエルのエルサレムで、夜間日本人で集団で歩いていたところ罵声を浴びせかけられたことに対し、「一人で歩いていると何も言われないのだ。複数で歩いて話していると攻撃してくる。集団意識のようなものがあるのだろう」という謎の発言。 「アメリカ獄中記」という章で「不法入国で刑務所に入れられた」とまるで自慢するように主張していますが、これは刑務所ではなくて拘置所でしょう。自らの不法滞在歴のせいで強制送還されるまでに一時勾留されてるだけなのに、「刑務所」って・・・。 それに、著者はやたら日本人旅行者とつるむのが好きなようで、その一方で旅先の人々とまともに交流できているとは思えません。悪口しか書かれていないのです。 「俺は外国人からの差別をいつも感じている。差別を感じない日本人旅行者が多すぎる」と述べていますが、著者自身の差別思想、見識の狭さが「差別」を呼び寄せているとしか思えません。 そんなに外国が嫌いなら外国に行くのやめればいいのに、と思います。外国の文化に理解を示せないようでは、旅人失格です。 また、いくらなんでも文章が稚拙すぎます。大人の文章ではありません。 著者の日本語力の弱さも、この本が説得力を欠く大きな要因でしょう。 私が憤りを感じるのは、文章の面でも内容の面でも程度の低い、到底「作品」と呼べるようなシロモノではないヨタ話を単行本化し、その上文庫化までしてしまう出版社です。 カネを出して、こんなヨタ話を読まされる読者としては、たまったものじゃないのです。 著者は「文庫版のためのあとがき」で、単行本化されたときのことに触れ、「・・・その一方で、誹謗・中傷する”クソ”のようなヤツもいたが」と述べていますが、批判を誹謗・中傷としか受け止められないようです。 このサイトも、著者の目に留まったら、きっと「クソのような」と言われてしまうのでしょう。少しは自己の見識の無さを疑ってみて欲しいものですが。 悪口ばかり書いてしまいましたが、良い点を見つけるのが困難な本なのです。 強いて言うなら、「ダメなバックパッカーの姿」を知るためには良い本かもしれません。反面教師としてなら利用価値大。 |
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