-アジアの旅本-
前川健一著 講談社文庫
1970〜1980年代 タイ・マレーシア・フィリピン 他
|
数ある「アジア本」のなかで、私が最も好きな本です。
この本の秀逸な点は、繊細な優しさでアジアを見つめているところです。
アジアの旅本というと、どうしても暑苦しいというか、ネットリとした人とのコミュニケーションが描かれることが多いですが、この著者は常に一歩退いています。
一歩退いた視点から、アジアの路上に生きる人々を、優しく見つめているのです。
私自身も、一歩退いて観察するような視点で旅をしていることが多いので、この著者の視点にとても好感が持てるのです。
こういう繊細で優しい文章を書けるのがうらやましくさえあります。
|
藤原新也著 集英社文庫
1980〜1981年 アジア全般
藤原新也著 朝日文庫
1970年代 インド
|
いわゆる「インド本」の代表作。
藤原新也の文章はかなり好き嫌いがあるでしょう。私も彼の著作は全体的にあまり好きではないのですが、この「印度放浪」は別。
1960年代、まだ日本人にとって海外旅行が一般的じゃなかった時代のインド旅行です。
とは言え、悠久の時の流れるインドでは、60年代も80年代も90年代も、大して変化はないかもしれませんね。
ただ、若き藤原新也の鋭い感性で描かれる文章には力があります。
文庫化されたときに藤原新也自身が認めているように、稚拙なところもある文章ですが、それを補ってあまりある力があります。
力が入りすぎていてちょっとクサいですけどね。
それから、写真がやはりイイ。
撮る人によって写真はまるで違ってくるということがはっきりとわかります。
最近は、妙に軽い旅本ばかりになってしまっているので、こういう硬質な旅本を読むと、新鮮な気持ちになります。
|
妹尾河童著 新潮文庫
1970年代 インド
日比野宏著 講談社文庫
1990年代 東南アジア・南アジア
小林紀晴著 新潮文庫
1990年代 東南アジア・南アジア
妹尾河童著 新潮文庫
1970年代 インド
|