FUJI ROCK FESTIVAL’00

2000.7.28〜30 新潟県 苗場スキー場

7月27日 
夜10時半に出発。一路苗場に向けて。去年も車で行ったので道はだいたい憶えている。中央高速道の愛知県から岐阜県にかけての道はカーブと坂とトンネルが多い難所でる。去年はここが一番疲れた。今年は比較的スムーズに行けたの。が、地獄の上信越自動車道。長野県から群馬県に至る、大半が片側一車線の対面通行という緊張感あふれる道路に今年は濃霧発生。困ったもんだね。でも去年と同じ時間に出発して、今年は去年より一時間以上も早いぞ。まだ太陽が昇る前に関越自動車道へ。片側3車線で交通量も増える。いかにもフジロック行きという車を何台も見かけたな。眠気防止にカフェイン錠剤を何度か飲んだ。一日の摂取量上限が5錠と書いてあったが、4錠も飲んでいた。あれ、確かに眠気は覚めるけど、胃が痛くなるんだよな。


7月28日
早朝5時すぎ、苗場スキー場着。休む間もなくキャンプサイトに行きテント設営。比較的苦労せずにテント設置完了したのが6時ごろだった。そこから仮眠する。だがテントの中は暑く、寝れやしない。9時を過ぎたぐらいからサウンド・チェックの音が流れてくる。ここでわかったのがテントを設営した位置。我々がキャンプサイトに到着した時にかなりの数のテントが設営されていた。俺が考えたのは入り口から遠くても、平坦で、通路に近く、セキュリティーのテントからも近く、さらに廻りに特徴のある場所であったのだが、なんと隣の川を挟んだ向こうはは朝5時まで開かれるダンス・テント=レッド・マーキーだった。こりゃ低音で夜は寝れないかなと思ったが、耳栓持ってきたから大丈夫だろうということで、そのままにする。
キャンプ・サイト

10時。テントを出発。が、入場ゲートから連なる人の列。列。列。しかも並んでる途中から雨。ハイネケンがビニールの合羽を配っていた。結局入るのに1時間もかかってしまった。おかげで朝一発目のスマッシュ社長=日高大将の挨拶も、フィッシュボーンのスタートも見れず。がっくし。
雨!

グリーン・ステージに到着すると、雨中、レインコートも着ないで踊り狂う人が何人もいた。フィッシュボーンって思い入れがあるバンドだけど、メンバーチェンジを境に失速していったバンドでもある。新作もCD屋で視聴しただけで買わなかった。でも久々の来日なんでアンジェロは元気かどうか確かめてみようと思い、しばし雨の中で足を止めて見てみる。これが良かった。アンジェロは元気だった。声も変わっていない。安心。が、後に人に聞いた話によると「前半は良くなかった」とのことだった。程なくしてフィッシュボーン終了。ここから奥のフィールド・オブ・ヘヴンに移動する。俺にとってのメインステージとなるフィールド・オブ・ヘヴン。一発目は間寛平&アメマ〜ズなのだ。ホワイトステージを横切り(ちょうどレピッシュ終了後だったみたいだ)、休憩スペースであるアヴァロン・フィールドを横切り、さらに奥。会場内、ステージや売店、オブジェ群以外の人工物は全く見えない、杉林の中にぽっかりと空いた空間。ここには見たいバンドがかなりたくさん出るのだ。アメマ〜ズ、登場。「今日の俺はいつもの俺とは違うぞ。今日はアヘアヘ言わないぞ。今日はウヒハじゃー」スタッフまで笑ってた。そして数曲演奏後、寛平が「今日はロックの大御所を呼んである」というスターリン時代を知るものにとっては、やや承服しかねるMCで遠藤ミチロウ登場。「21世紀のNEWじじい」という曲をやる。そして最後は「仰げば尊し」!結局、間寛平&アメマ〜ズといっても一番目立ち、張り切っていたのはミチロウだったみたいだ。
 ここで空腹に気付き、とりあえずヘヴンの中で食事。オーガニック・ビール、コーヒー、カレー、ラーメンと添加物が使ってないものばかり売られている。去年、ここのグリーンカレーが好みと違っていたので、今年は上海ヌードルなるものを食す。これがまた好みと違っていた。ひょっとしたら添加物や化学調味料に毒された俺の舌にはこの味がわからなくなってるのかもしれない。
 
 次に六三四なるバンド。三味線、太鼓が加わったロックバンド。が、これは偽者です。はっきりいって何も日本的ではないです。70年代の古臭いハード・ロック、そうディープ・パープルみたいなやつ。あとフュージョンくさい。それに三味線と太鼓が乗ってるだけ。リズムは西洋リズムです。特にギターが暑苦しい音で。もう徹夜運転だったから疲れてきたので、椅子代わりに柵の足となっているやつにビニールをかけ、その上に座る。雨はやんでいない。そして暑苦しい音を聴いていると、俺は寝てしまっていた。恐るべき六三四。もし3万円もしたゴアテックス素材のレイン・ウエアを着ていなかったら死んでいたかも知れぬ。俺の中では六三四、永遠に封印。二度と彼らに出会うことは無いでしょう。そう、去年のフジに出演した岡野弘幹&天空オーケストラと同じように。

ここでフィールド・オブ・ヘヴンの中にある「ANOYOドーム」なるトランスDJスペースよりASA−CHANG&巡礼の音が聴こえて来たので、そっちへ移動。エフェクトをかけたタブラ。これが、持ってかれる音だった。凄く楽しめました。

 続いてヘヴンで、ついに、こだま和文さんです。元ミュート・ビートのリーダー、トランペット奏者、フィッシュマンズ1stのプロデューサー。バックにDJ一人、そしてミキサー席にダブ・ミキサー一人。この3人だけ。一曲目「レクイエム・ダブ」。こだまさん上機嫌。こんなにも笑ってるこだまさんって初めてじゃないのか?客に愛想ふりまくり。「フィールド・オブ・ヘヴン。いい名前だねー」「ここで演奏できるのが楽しみだった」「みんな、他にいっぱい色んなバンドが出てるのに、どうしてここにいるの?」「一番大切な人、それはもう一人の自分。悲しい時も、怒った時も、もう一人の自分がなだめてくれる」。エエ人やー。人柄が出まくり!しかしうつむいて親指ピアノを弾くのは勘弁して下さい。はまりすぎ!終始上機嫌のこだまさん。そして、俺は雨が全く気にならないほど気持ちよく聴けました。なおこの日は雨降りなのでビールは一滴も飲まず。焼酎をペットボトルに入れて、そればかり飲んでいました。

 会場でフジのBBSで知り合った人と共に食事。アヴァロン・フィールドでタイ・ラーメン。これがうまい。もやしが入ってて、ピリっとしてて。うまかったなー。そのまんまMDFMK。ドイツからやってきたインダストリアル・ロック。元々10年以上前からKMFDMという名前でやっていたバンド。今回が初来日。なんでも楽器を演奏するロボットが出てくるって話なんでね。ステージ上にはついたて。どうもその後ろにロボットがいるようだ。その上にはCINEMAXなんたらって書いてある。タイアップなんだー(笑)。程なくしてメンバー登場。その風貌。モヒカン、半裸、SM女王風の3人。あやしい。ひたすらあやしい。全身黒一色。ハンマービートにディストーション・ギター。ヴォーカルは3人でやってた。しかし、芸人根性があるというか、笑える。そしてついにロボット登場。これがギターを持っていたが、単に弾いている真似だけ。でも音にあわせることができるみたいだった。途中動かなくなると白衣を着た人が調整にやってくるっていうのも笑った。しり上がりに盛り上がったライブだったな。なんかインダストリアル・サウンドつうことで郷愁を感じるという矛盾が良かった。他のお客が「こうなったらDAFやノイバウテン連れて来い!」って言っていた。途中、自分の目の前にREE−K、ブラボー小松、といったキノコスモのメンバーがいることに気付く。REE−Kってこのバンドのファンなんだよね。ブラボー小松が上半身に服を着ている姿は始めて見たぞ。ブラボー小松のスキンヘッド越しに見るロボット。美しい光景だった。
そこにブライアン・バートン・ルイスやモグワイが横切っていった。

そのまんまフィッシュボーンを見る。一曲目「フレディーズ・デッド」。昨年亡くなったカーティス・メイフィールドのカバー。朝のフィッシュボーンよりも真面目に音楽してるって雰囲気だったかな。途中、スキャフルキングのメンバーが飛び入りしてセッションをしていた。ケムリスキャフルキングなど日本のバンドに多大な影響を与えたバンド、フィッシュボーン。人種差別の壁により彼らはアメリカでは黙殺された存在である。やっと雨がやんだ。

ここでもう一度アヴァロン・フィールドに行き飯を食う。カレー。なにせこの後は在英インド人によるエイジアン・ダブ・ファンデーションなのだから。2年前のフジに出演した時はトリ前だったが、今回はトリ。一曲目「リアル・グレイト・ブリテン」でスタート。いやー楽しい。ディーダーのステップにあわせて両足を交互に駆け足のようにあげる。パキスタンを代表する歌手、故ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンの声をサンプリングした曲ではDr.ダスが「リスペクト!」と何度も言ってたな。代表曲の連続で盛り上がる客席。ディーダーはステージ上から沖縄の米兵によるレイプ事件のことを話す。そして演奏されるのは「クラッシュ」。代表曲「BUZZIN’」では例のヘンな踊り炸裂。極めて政治色が強いバンドだが、底抜けに楽しいライブ。アンコールにはオーディオ・アクティヴのMASAが飛び入りで俺は大興奮。

ホワイトステージからぬかるんだ道を歩き、グリーンステージに久々に戻る。まだブランキー・ジェット・シティーがライブをやっていた。この日で解散なのだ。そのまんまグリーンステージを横切り、テントへ戻る。レッドマーキーの低音で寝れるかどうか不安だったが、強引に胃袋に飯を詰め込めば寝れるだろうと思い、ドライ・カレーと鳥のから揚げを買って帰る。深夜12時、腹いっぱいになったので横になる。ベントレー・リズム・エースの爆音が響く中、あっさりと熟睡。shing02見たかったな…。


7月29日
朝7時、眠いけど、暑くて目がさめる。今日はとりあえず晴れている。前日、風呂に入っていないので8時ごろにテントを出て温泉に行く。そしたら一気に疲れが出て、車の中で仮眠。12時過ぎてから会場に入った。ロリンズ・バンド。久々に見るバンド。入れ墨だらけの、ムキムキの身体、衣装はパンツ一枚。素足。マイク・コードを2.3回手に巻き、足を大きく開いて腰を落とし、斜め上方からマイクを口に近づけるアクションは変わっていない。が、バンドが違うねん。メルヴィン・ギブスがいない。あのぶっといベースが無い。そこが残念。ハードロック・バンドになっちゃった。

雨上がりの翌日。グリーンステージ。

遅い朝食。去年も食べたエチオピアン・プレート。辛くてうまい。さてまたもやグリーンステージを後にしてアヴァロン・フィールドへ。かき氷を食べて、しばし休憩。芝生の上で寝転がって流れてくるブルー・ハーブの音を聴く。

ワールド・レストランとエチオピア・プレート

ドライ&へヴィー。今日の目当てその1.ダブ好きにはたまらない。もうセッティングの段階からして凄い。低音がはんぱじゃない。そのセッティングだけで客は興奮してる。欧州ツアーから帰ってきた日本を代表するダブ・バンド。リクル・マイ、青の二人をヴォーカルにすえ、今やジャマイカにもロンドンからも無くなってしまったルーツ・スタイルのレゲエ・ダブをやってくれる。とにかく音圧が並じゃない。客席、思い思いに身体をゆらす。そして時々、ダブ・ミックスを担当する内田がとんでもないダブ処理をかける。ダブとは空間である(エイドリアン・シャーウッド)。時間軸から解き放たれ、空間軸を自由にさまようダブ。途中、エイジアン・ダブ・ファンデーションのディーダーが飛び入り。「NEW WAY NEW LIFE」を歌う。この時はかなり客席興奮してたな。アヴァロン・フィールドからの坂道を駆け下りてくる人が何人かいた。終了後、内田に感謝の言葉を言った。そしてそんな人がたくさんいた。どっかのおっさんは「お前か!あれ(ダブ・ミックス)やったの!良かったぞ!」と声をかけていた。内田、笑ってた。

ホワイト・ステージ

再びアヴァロン・フィールドへ。牛串焼きをつまみにビール。芝生の上で寝る。そして起きてから、アヴァロンにあるお化け屋敷へ。ははははははは。チープ。お化け屋敷を出てからまた芝生で寝ていると、お化け屋敷に入ろうかやめようか悩んでいる女の子二人組みがいたので、「むちゃしょぼいから見たほうが良い」と薦める。暫くして出てきた二人、満足していたのか?笑ってた。それから台湾ラーメンを食ったが不味かった。

ここでソニック・ユースモグワイと連続して見に行く予定だったが、なんかこのアヴァロンとかヘヴンの方へ行くと、グリーン・ステージに帰りたくなくなる。「嫌だ、都会に、下界におりたくない」ってんで、そのまんまヘヴンへ移動した。するとDEADWEIGHTというアメリカのバンドが演奏中。これが実にうまい演奏だった。ヴァイオリンとチェロとドラムという変わった編成でオルタナティヴ・ロックをやっているというか。
終了後、ヘヴンでうろうろしてたらさっきのお化け屋敷に行った女の子二人組みに遭遇。何が目当てかを聞いたら「一応奥田民生」と答える。こっちは「ソウルフラワーユニオン」と答えると握手を求めてきた。「物凄い好きなんだ」と言う。最初から目当てはユニオンと答えにくいところがユニオン・ファンの悲しい性なのか。「明日グリーンステージで泣こう」と言ってとりあえず別れる。

お化け屋敷

次に奥田民生。絶対に弾き語りをやるだろうと思ったらバンドで出てきた。とにかく人が多い。フィールド・オブ・ヘヴン始まって以来の観客動員。何も見えやしない。盛り上がっているのかなんなのかもわからない。結局2曲目が終了した段階で、前に人が殺到して演奏中断。事故にならなくて良かった。

奥田終了後、ステージ前に行く。ソウル・フラワー・ユニオン。念願のユニオン、フジロック出演。アルバート・アイラーの「ゴースト」が鳴り、ユニオンの面々登場。一曲目「ロンドン・デリー」〜「ブルー・マンデー・パレード」と続く。まーここヘヴンに来てる人の大半はユニオン・ファンでしょう。盛り上がりは凄いです。このフィールド・オブ・ヘヴンは昨年はフィッシュが顔として君臨したステージであるが、改めてユニオンの音を聴くと、フィッシュのようにしなやかなリズムを持っていることに気付く。ザ・バンドやリトル・フィートが持つ独特な、エッジがとがっているのに丸みを感じるグルーヴ。そこに民謡やアイリッシュの風味が入るところに彼らの良さがあるということに今になって知った。
いくつかの新曲やカーティス・メイフィールドの「ピープル・ゲット・レディー」のカバー、代表曲が続く。ステージ前のカメラ席には名著「黒いグルーヴ」を書いた石田昌隆さんが写真を撮りつづけている。今回のライブ、脱退した内海洋子が参加している。彼女が「ピープル・ゲット・レディー」の途中でリードを取った時、ステージ前のセキュリティーが思わず、彼女の歌声に聞き入っていた。
「満月の夕」。今日始めて雨に降られながら見たライブがこれ。空に満月は出てないけど、この曲がフジロックで聴けるなんて。そして「エエジャナイカ」では「全力オナニーズ」の面々がステージ上でダンサーとして登場。一瞬、何事が起こったか理解できなかった。アホアホなダンスを踊り、場内興奮は頂点。そしてキラー・チューン「海ゆかば山ゆかば踊るかばね」。雨など全く気にならない。ひたすら踊る。そしてラスト「もののけと遊ぶ庭」。最近のツアーではやっていなかったが、やはりフジロックってことで必殺のへヴィー・ナンバーを持ってきたな。もう昇天。アンコールは無し。
この時間、レッド・マーキーでは石野卓球、グリーン・ステージにはミッシェル・ガン・エレファントというシーンを代表する大物が出ている。なのにそのどちらも興味が無くここヘヴンにいる俺。ひょっとしたら俺は、すっかりシーンというやつから取り残されているのだろうか?グリーンステージに興味のあるバンドが少ない。これは年々加速していく。ロッキン・オンの取り上げるバンドに興味が持てなくなっている。明日、グリーン・ステージに登場する、ユニオン。いったいどれほどの人がユニオンの音に反応してくれるだろうか?そんな不安を持ちながらも高揚する俺。やったるでー。

レッド・マーキー到着。リチャード・D・ジェームス。もうねー凄いよ。でも踊れんわ。いつもそうだけど。ユニオンの後にリチャードという、この無茶苦茶な展開が良かったけど。でも当の本人がいるのかいないのかの確認が全く出来ない。リチャード終了後、テントへ。そしたらテント同居人、昼間にリチャードに会ったという。証拠にデジカメの写真を見せてもらう。間違いなくリチャードだった。寝る前にカレーと焼きそばを食った。

レッド・マーキー。


7月30日
またもや朝起きて温泉へ。んでそのまんま会場入り。ジャー・シャカへ。これが爆笑物です。何が凄いって本人が。不思議な踊りを終始やっている。相変わらず曲のつなぎなんて考えてません。平気で「ブチッ」て針上げてます。会場ではドライ&へヴィーの青、秋本を発見。そしてエイドリアン・シャーウッドも!握手、抱擁、サイン、写真とむちゃ迷惑なファンでした。ジャー・シャカは終盤、ボブ・マーリーの「ソー・マッチ・トラブル」をかけていました。

ここでまたもやアヴァロンで飯。今日もカレー。そこに豚ステーキ。うまかった。さて、ここからフジ最終日、俺にとって最も忙しい日のスタートである。ヘヴンに移動、SOFTを見る。これが凄い。特にベースが調子の良い時のビル・ラズウェルのようで。とてつもなく重いドラムン・ベースといった感じか。大満足。このバンドの良さはCDではわからないと思う。客演してるキノコスモのノゲラさんがマイク・スタンドに止まっている蜻蛉にはしゃいでいた。会場でジョジョカのツヨシ発見。

フィールド・オブ・へヴン

そしてエイドリアン・シャーウッド。ライブ・ミックスではなくDJ。開演前にはエイドリアン・ファミリーとも言うべき面々が集結。ドライ&へヴィーのマイちゃん、秋本、青、そしてオーディオ・アクティヴのMASA。ADF。MASAにサインをもらう。するとMASAは夜のレッド・マーキーのエイドリアンの時にオーディオ・アクティヴがライブをやるという。俺、ひたすら興奮。しばらくしてエイドリアンのDJが始まる。やっぱ凄いわこの人。うまい。音が廻って、広がって、飛んでいく!マイちゃん、ADF、青、MASAが歌う、叫ぶ。まさにON−Uサウンド・システム。ほんと今年のフジは俺のためにあるのではないかと思うメンツである。俺ロック・フェスティヴァル2000。ただいま絶好調。終了後マイちゃんと2ショットで写真を取りました。

そのまんまヘヴンにいるとジェシ・クレインとかいうアメリカのフォーク・シンガーのステージ。これが美人。歌は透明感があって。ヘヴンの地面の上で寝転がり聴いていました。会場でしょぼくれた親父がいるなーと思ったらロッキン・オンの松村雄策だった。ちょっと聴いてからホワイト・ステージへモビーを見に行く。凄い盛り上がり。健康的なノリではあったが。

AOA。今、もっとも壮絶なライブをやるユニットの一つ。50分間ほぼノンストップで行われたが、これは凄かった。ライブは始めて見たのだが、ここまで凄いとは。ブラボー小松のフリーキーなギターで始まった演奏はポリリズムにディジリドゥー、ボアダムズのヒラのベースが重なり、強烈な場を生み出す。70’Sエレクトリック・マイルスを思い浮かべてしまった。こんなん聴いてたらロッキン・オンなんて読んでられません!vibeなんて見てられません!

グリーン・ステージに移動。途中、ステレオ・ラヴを聴くが、下手くそだったので通過。そしたらグリーン・ステージにはもっと下手くそな歌声が!イアン・ブラウンだった。堪えられないのでワールド・レストランへ。苗場そばを食う。これが腰があってうまい。そりゃ目の前で打ってるんだもん。汁もストレートで飲んだった。うまかったー。それから屋台群オアシスのトルコ料理へ。ほんとうはギリシャ料理食べたかったけど、今年は無いのね。牛肉をタコスみたいなものに挟んだやつ。

オアシスの屋台群

プライマル・スクリームまで時間があるので、オアシスで大道芸人を見る。難度の高い技を何度も失敗しながらも最後は決めてくれた。しゃべりがおもしろかったので1000円置いてきた。

知る人ゾ知る,火吹きまことちゃん(手前)と爆笑ジャグラー。

さていよいよプライマル・スクリーム。ただいま絶好調のバンド。さすがにお客さんが多いね。一曲目は「スワスティカ・アイズ」。ところが、この後の演奏される曲。ほぼ曲順も2月の単独来日公演と変わらない。ボビー・ギレスピーがアッパーなことも。そしてダブ処理が下手くそなエンジニアを連れてきてることも。マニのベースの音は割れ、「コワルスキー」なんて、言われなきゃわかんなかったぞ。しかし、勢いのあるバンドは違うね。アンコールからの数曲は完璧。ラストにMC5の「KICK OUT THE JAMS」で俺は一回転したよ。照明も効果的に使い、さすが英国を代表するバンドですよ。パンク・スピリッツ全開だった。

そして多くの人がモッシュ・ピットから去っていく。ガラガラ。踏まれたペットボトル。吸殻。ゴミ。このまんまユニオンが始まってしまったらかなり悲しい。人は10分の一以下か?昨日の女の子二人組みもやってきた。すぐにわかるところが悲しい。
この3日間、一度もスマッシュの社長の声を聞いていない。やっと最終日に聞けた。「モリッシーは来なかったけど、来年からはこういうことが無いようにかんばるよ。そして来年もここ苗場で会おう」少しショック。富士に帰る日はいつなのだろうか?「今からソウルフラワーユニオンが演奏をする。みんな応援してやってね。じゃーまた来年」なんて挨拶だった。

MC「日本が誇るロックンロール・バンド!ソウル・フラワー・ユニオン!」アイラーの「ゴースト」がグリーン・ステージに響く。絶対にフジのお客はユニオンの音に反応する。俺は信じた。メジャー契約も切られ、全国ツアーなど出来ないバンド。でも俺は信じる。ユニオンのグルーヴを。フジのお客を。

以下、俺がソウル・フラワー・ユニオンのファン・サイトのBBS「電脳アジール」に書き込んだものをここに載せる。

『夜10時50分頃プライマル・スクリームがMC5のカバー「KICK OUT THE JAMS」で終了。大勢の観客が家路か、ダンステントか、客席後方に退散。モッシュ・ピットはガラガラになる。MCの二人組とスマッシュ社長が挨拶。ソウルフラワーが今から演奏をする。応援してくださいというコメント。セット・チェンジ終了、少しお客は増える。
MC、「日本が誇るロックンロール・バンド」と紹介。アイラーの「ゴースト」が流れて魂花登場。一曲目「ロンドン・デリー」サビになった瞬間、客席、大ジャンプ大会。シャワーのようにばら撒かれるペットボトルの水。徐々に後方で寝ていた人たちが前に出てくる。「ブルー…」で間奏の時、河村の囃子に観客が続く、
 「戦火のかなた」では途中「上を向いて歩こう」の寿ナヴィー・ヴァージョンのさらに中川アレンジで歌う。「一人ぼっちじゃなかった夜」観客大歓声。「ホライゾン」客さらに増える。ステージ上も気になるが後方も気になって仕方が無い。俺の前、女の子涙ぐむ。「満月の夕」それこそ沖縄の人からしたら下手くそな手の振り方ですわ。でもそんなん関係ない。はじめてやった人も多かっただろう。「風の市」この段階で驚くほどの人が踊っている。「龍宮」で洋子ちゃんの声が響く。前日、ヘヴンで洋子ちゃんが「ピープル・ゲット・レディー」の途中でリードを取った瞬間、それまで黙々と仕事をこなすセキュリティーの白人が思わずステージ方向へ顔を向けて聴いていたのを思い出す。やはり彼女の声は凄い。
 そして「全力オナニーズ」を交えた「エエジャナイカ」「海ゆかば」。俺はこの多くの観衆が魂花の音に、なんら先入観を持たず、ひたすら音に反応して踊る現場にいたことに感激する。俺は何故にフジ・ロックに魂花を出して欲しかったか、それを思い出す。フジの観客は、ひたすら快感原則に従って音楽を楽しむ。ビッグ・ネームでもしょぼかったら反応しない。が、知らないバンドでも、その音が良ければ、それがアフロ・ビートでも、南米のバンドでも、踊りに来る。魂花なら絶対に多くの人が踊りまくると信じてきたが、それが目に見えて証明されたことに嬉しく思った。流行り物だけでなく、知らない音楽を知ってもらう、「ある家からはブルースが流れ、ある家からは民謡、そんな風に色んな音楽が町から聞こえてくる。そんな世の中になってほしい。みんな同じ物しか聴いていない」とスマッシュの社長は以前、語っていた。そのためにも存在するフジロック。メジャーかインディーか、売れている売れていない、関係ない。きっと魂花の音に多くの人が楽しんでくれるという確信があったであろう、今回の大トリ抜擢。
 ここでスタッフが中川に耳打ち。前日、盛り上がったら延長しても良いと言われていると中川は言っていたが、その延長の許可が出たのだ。「平和に生きる権利」が従来の魂花のライブの流れとは違うところで演奏されたのはこの理由だと思う。ラスト、「もののけ」中川はどんと、カーティス、イアン・デューリー、林昌、黒田清の名前を叫ぶ。いったい何人の人が踊っていただろう。周りには歌詞を知らない人たちが笑顔で踊っている。俺は日本唯一のロック・フェスのメイン・ステージのラストを日本のグルーヴで終えるという悲願が現実となって嬉しかった。だが最も嬉しかったのは、あんなにも多くの人が始めて聴くであろう魂花を楽しんだことにある。2年越しでスマッシュにリクエストし続けたことが報われた。
 さてこれからやで、中川番長!』

ユニオンで感動的な終焉を迎えたフジロックのグリーン・ステージ。PAミキサー・エリアには大将がいた。「ソウルフラワーを出してくれてありがとう」と一言だけ告げた。その後、ジョン・レノンの「POWER TO THE PEOPLE」が流れた。大将は何かを確信したような目付きで、そのフレーズを歌っていた。俺はそれを忘れないだろう。

日高社長。大将!

その後レッド・マーキーに移動し、トロージャンズを見る。やっぱフジってスカやダブが似合うなー。ダイブ、モッシュだけでなくてね。ギャズ・メイオールの煽りはうまかった。しかしあの女性サックス・プレイヤーは誰なんだろう?物凄い美人やった。

そしてそのまんまエイドリアン・シャーウッドへ。昼間のセットの曲順違いだったな。でもステージ上ではセッティングが行われている。ドラム、ギターアンプ、ベースアンプ、キーボード類。バックのスクリーンに「ADRIAN SHERWOOD AUDIO ACTIVE」の文字。場内歓声が飛ぶ。久々にエイドリアンによるライブ・ミックスなのだ。これが興奮せずにいられるか!セッティング終了、メンバー登場。いきなり新曲。これがへヴィーなナンバー。ゆるやかに身体を揺らす。そしてエイドリアンのダブ。頭の中いっぱいに広がる音。かっこええ。そして、4曲目。「トゥー・マッチ・フォーミュラ」身体が前後、上下に揺れる。

エイドリアンが終わって、さすがに身体が持たなくなったのでテントに帰った。ソウル・フラワー〜エイドリアン・シャーウッドという流れは俺にとってこれ以上の喜びはない組み合わせだった。見れなかったバンドはいくつかあった。オゾマツリソニック・ユースモグワイゆらゆら帝国ジョジョカキノコスモ。でも満足している。メンツが弱いと言われていたけど、俺は最初から過去最高のメンツだと思っていた。スマッシュは、また赤字かもしれない。でもフジロックはこれからも続けて欲しい。俺が俺を取り戻せる場所の一つなのだから。来年以降も、色んな音楽を聴かせて欲しい。色んな人に会わせて欲しい。



7月31日
朝7時に目が覚めて、テントの撤収を開始する。そして9時過ぎに会場を出た。途中、温泉により疲れを取り、また高速道路を家路へと走った。
同行人との別れ。俺ロック・フェス2000はこれで終わった。フジ・ロック・フェスティヴァル00はこれで終わった。やっぱり泣けてきた。


HOME