『1999』

もうすぐ1999年が終わる。世で『ミレニアム』や『2000年問題』といった言葉を嫌というほど耳にするのもあってか、年の終わりをこれほど実感した年もなかったように思う。

「光陰矢の如し」。今年は、あっという間に過ぎていったような気がする。夏あたりは仕事に追われる毎日を過ごしていたが、それ意外については、3月から始めた月一回のバンド活動と、5月から始めたサッカー、その週末の楽しみが軸になって、時間が流れていたように思える。

そもそも僕は、大した予定がない休日の時間の使い方が下手な人間であった。グッスリ寝ることを前提にした上で、あれやこれやとやることを考えているものだから、睡眠時間が予定をオーバーすると、当然やることの数が減ってしまうのである。それはそれで、できなかったら開き直るようにしてきたし、そのことがストレスになることもなかった。

それが、バンドとサッカーを始めたことで何かしらの予定が入るようになり、それまでの週末とは全然違う過ごし方をするようになった。その結果として、当然といえば当然なのだが、僕の負けず嫌い魂に火が着いてしまい、バンドもサッカーも、もっともっと上手くなりたいと思うようになった。こうして、週末だけではなく、週末へと続く平日の生活、そして意識にも変化がでてくるようになったのである。

バンドとサッカー。所詮は趣味の領域でしかないこの二つのことに、この歳から、これだけムキになれるとは思えなかった。できなかったことが、次の機会にできるようになっていると嬉しいし、次の機会にもできなかったら悔しい。どちらも、過去にやっていたことがあるにも関わらず、気持ちとしては、十年以上も前に初めてやった時と同じものがある。そういった新鮮さを感じられることが、今の僕にとって、心の栄養になっているのだと思う。

こうして今年は、それなりに目標をもって進んでこれた。去年は、いろんなことを受け入れたりしながら、自分探しをしていた一年だったが、それがようやくにして、一つの形(スタイル)として具現化してきたように思える。きっとそれは、去年種をまいたところに、今年新しい芽が出てきたということなんだろう。果たして、これが来年、木になるべく大きく成長するのかどうかはわからないが、木にしていくためには、水をやったり肥料をあげたり、「育てる」という作業が必要になってくる。

でも、「育てる」ということが目標なのではなく、結果として「育つ」ことが目標。このことさえ忘れなければ、きっと来年、いい形になってくれるだろうと思う。



〜TUBUYAKI TITLEページへ〜