『途切れのない休日』

土曜日。昼過ぎに起きて、美容院の予約をする。天気予報では雨と聞いていたが、僕が目を覚ました頃には、うっすらと日が差し始めていた。さっさと洗濯を済まし、美容院へ向かう準備をする。

この美容院は、僕が去年の11月末まで住んでいた街にある。2、3カ月に一度行くくらいだから、改めて今の家のそばで探すつもりはない。もう5年くらい通っているから、余計な説明をしなくても、テキパキと切ってくれるから楽でいい。そもそも、僕がいつもどれくらい切るか、どんな髪形にするかを決めるのは、この店について、鏡の前にすわってからというのが常である。そんな僕をわかってくれているということもあるので、今さら変えるのには惜しいのである。

しかし、今回は向かう前から、どれくらい切るかを決めていた。あとは、切ってくれる人とお話しでもしながら、形が整っていくという具合。
「久し振りですね、こんなに切るの。」
いつもと違うパターンになっても、テキパキと進んでいく。なんと気持ちのよいことなのだろうか。その結果、約1年半振りくらいに、耳と首筋が世の風を受けることとなる。まだ風はちょっと冷たく、頭がスースーするものの、暖かい日差しが何となく心地よい。これまた1年半振りにムースたる整髪料を購入。整髪料をつけるのは、あんまり好きではないのだが、このくらい短くなってしまったら、どうしても必要となる。明日から、手のひらに不快感を覚える朝を迎えることとなる。

かつての友人達がこの街に住んでいる。それもこの街に来るきっかけを残した理由の一つである。それに、僕の東京生活にとって、この街は、心の故郷のようなところ。たまには、街の表情の移り変わりを見ておきたいとも思う。そんなわけで、これからも散髪となると、この、かつて過ごした街へと戻ってくることになる。

久々に出会い、夕食を済ませて、友人の家へ。友人といっても、かつて僕が働いていた会社の後輩。しかし、これがまたおもしろい巡り合わせで、お互いの実家が車で10分くらいのところにある。当然それを知ったのは、彼が入社してからのことだったのだが、共通する知人なんかもいて、何だか不思議な縁を感じたのをよく覚えている。僕がこれまでの中で、最も「世間は狭い」ということを感じた出会いだ。

それから4年。彼とは、僕が会社を辞めてからの方がよく遊ぶようになった。同じ会社にいて、休日まで顔を合わすのは、嫌な気がしていたが、辞めてしまえば、なんてことはない。実はもう一人メンバーがいるのだが、その人物は友人の結婚式とやらで、京都にいた。というわけで、二人での宴。宴といっても、テレビゲームのサッカーをするだけのことである。

4時くらいまでゲームを繰り返す。最初の内は圧倒的勝率を誇っていたのだが、2時過ぎくらいから、急に集中力が落ちる。こうなると、もうボロボロ。その内に、相手も疲れ始めてきて、就寝。彼は、明日遊びにいく用事もあるというので(これがまたインチキ臭い)、おとなしく寝ることにする。

明朝、約束の9時に目覚め。彼が一緒に出かける人のところまで車で行くというので(これまたウサン臭い)、場所を聞いてみたら、なんとわが家の隣町。おかげで、家まで車で送ってもらえることとなる。何とも暖かい。絶好のドライブ日和だ。そういう訳で、きっと彼は今日も楽しんだことであろう。

そして、時はいきなり日曜日の朝。木曜日にわが家へやってくる友達を迎えるための大掃除。何とかはずかしくない程度には片付いたので、よしとする。

そして、今一番欲しいものの予備知識をつけるために、勉強(といえるのか?)。しかし、資料が足りないため、街へと向かう。いろいろ資料を収集しつつ、店員の話しを聞く。予算を計算して、ちょっとビックリ。きっと手に入れられるのは、当分先のことであろう。それまでに、もう少し勉強をして、効率のいい買い物をしたいと思う。

しばし、ふらふらしつつ、少し寒くなってきたので、家に戻ることにする。途中、新聞の号外を入手。マスコミで取り上げているほど、国民の関心が高いのか、少し疑問に感じる。とはいえ、こういう時にこそ、正しい報道によって、国民の関心を高めて欲しいと願う。

家につく。テレビもその号外記事と同じ内容のものばかり。ちょっと報道の仕方に疑問は残るものの、これが今回だけで終わらないことを願う。そして、夕飯の支度、今日は残りものの始末を兼ねて、スパゲティ。その前に少しチョコでも頂いて、くつろぐことにしよう。

全く途切れのないような休日。別に対したことはしてないのだが、何だか妙なスケールの大きさを感じてしまう。ちょっといい気分転換になった。



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