『決意』

相変わらず寒い日が続いている。しかし、風が冷たくても、日差しの暖かさ、地面からの照り返しなんかで春の訪れが近づいていることが感じられる。そろそろ僕も、来るべき春に向けて、冬眠から覚める準備をしなければならない。春が来て、桜が咲いて、緑が繁って・・・。そんな僕の季節が確実に近づいてきている。

そんな中で、そろそろ「かぼちゃ頭」を覚醒させるべく、これからの計画を考えてみた。すると、どうしても手に入れたいものが結構あることに気がついた。一度に手に入れることは無理なので、優先順位をつけて、一つずつ手に入れていこうと思っているのだが、それらを達成するには、急に貯金が増えるわけでもなく、なかなか財政がついてこない。そこで、今の生活の中から、不要と思われるものを一つ手放して、コツコツと計画的にお金を残していくことにした。

手放すといっても、それは単純な「モノ」ではない。もう10年来の付き合いになる、タバコを辞めようと決心したのだ。たがが・・・、というくらいの金額なのだが、一箱300円弱。一日一箱としても、一ヵ月で9,000円。半年経てば、立派な軍資金となる。食費や光熱費は削りようがないし、一番手っ取り早い方法がこれだと思った。

しかし、ものを売り払うことと違って厄介なのは、ここ10年くらいの間行ってきた、日常の行為そのものを辞めるということである。吸わない人にはわからないことだろうが、それこそ「お茶を飲む」とか、「顔を洗う」だとかと同じように、日常生活の中で当り前のように存在してきたことなのだ。だから僕は、今まで、辞めようと言って辞められない人を何人も見てきたが、その辞められない気持ちはよくわかるのである。

僕も何度か辞めようかと考えたことはあった。しかし、それほど本気にはならず、それに越したことはないという程度にしか考えてなかった。吸いたくて吸いたくて、イライラしているのもみっともないし、我慢できないくらいなら、精神衛生上、口にしたほうがいいと思っていたからだ。その内、本気で辞めたい時が来たら、辞めるだろうと思っていたし、それには何かしらのきっかけというのも必要だった。

僕の実家では、誰もタバコは吸わない。父が50才になるまで吸っていたのだが、50才の誕生日をきっかけに辞めさせた首謀者は、何を隠そうこの僕である。そんな僕が、数年後には喫煙するようになっていた。今でも、実家に帰ると、そのことを取り上げて、僕に辞めるよう言い寄る父がいる。正直、タバコの臭いがしない家で、タバコを吸うのは気がひけた。「百害あって一利なし」とよく言われるが、正にその通りだと思う。

一石二鳥、いや三鳥、四鳥・・・・。精神的な状況がついてきたので、それくらいのメリットはあるのだろう。問題はいつから実行するかである。欲しいものの優先順位をつけてるくらいだから、早くから実行しないと、手に入れられるものが限られてしまう。タバコなんかより、ずっと大切なものだから、今、手元にある箱が空になったら、実行に移すことにしようと思う。

「犠牲を払う」というのも変だし、何か不思議な気持ちがしてならない。



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