『寝ること』

このところ、早く寝れば寝るほど寝起きが悪い。普通は逆だと思うのだが、どういうわけだか、遅く寝た日ほど、さっと起きられる。睡眠の深さに波長があるというのは聞いたことがある。何時間かおきに、深い睡眠状態が訪れるとかいうやつだ。それに合わせて一日の睡眠時間を設定すれば、効率的な睡眠作用がもたらされるといった理論だったと思う。でも、僕にはそのリズムってやつがわからない。もっとも、調べてもいないのだから、当然のことではあるが。

僕は平日でも、さほど早くは寝ない。むしろ、その日のうちに片付けてしまいたいことが終わってから寝る、といった形にとっている。次の日に何かを残すのが好きではないからだ。その変わり、休みの日は本当によく寝る。何かしなければならないことがある日には、その時間までに起きるが、さして急ぐ必要もないことであれば、そのまま寝つづける。気がつくと、夜の一歩手前ってこともあるくらいだ。

こうして、半日以上を寝て過ごしてしまったことを話しすると、「せっかくの休みなのに、もったいない」という人がいる。「休みの日くらい何かやらないと、ストレス発散にもならない」、「また2日ほどしたら、仕事に戻ることになるのだから、遊ばないと損をする」、そんな意見が多いように思う。でも、寝ることも好きな僕にとっては、それは優先順位で決まること。もっと寝ている時の気持ち良さを味わいたいと思うから、寝つづける。起きてからも、もう一回寝ようか、などと考えたりもする。だから、決して無駄な一日を過ごしたとは思っていない。

どういう訳でそうなったかは知らないが、一日は24時間と決められている。一週間が7日間、一年が365日。そう決まっているのだから仕方ない。人間というのは欲張りなもので、ゆっくり寝たいとも思うし、早起きしてでも、あれこれ趣味や娯楽を楽しみたいとも思う。しかし、限られた時間の中では、全てを満たすことは難しいものだ。だから僕は、僕の中で会議を開く。2日間中途半端に寝るくらいなら、一日は好きなだけ寝て、起きてからもぼーっとしたければそうする。もう一日はあれこれやろう、という具合に決めるのである。時々当日になってから、もう一日ゆっくり寝ようとか思ったりもすることもある。しかし、残念ながら時間は止まらない。何かすることをとるか、寝ることをとるかである。それも、目が覚めたときの頭の具合で決まったりするのだから、結構いい加減ではあるのだが・・・。その変わり、協議の結果、破れてしまった側のことについてはくよくよ考えない。「あ〜、やっぱり早く起きてあれこれやっておけばよかった」などとは、考えないことにしている。そんな風に考えながら過ごすほうが、よっぽど無駄な一日にしてしまうからだ。「あ〜、今日はゆっくりできたな」。それでよしと思う。

寝ることは決して悪いことではない。一概に、動くことが生産的で、寝ることが非生産的だとは言い切れないであろう。僕にとって寝ることは、翌日へ向けての充電だけでなく、人生という長い目で見たときの休息のようにも思えるからだ。寝ることによって動き、動くことによって寝る。メリハリのようでもあり、サイクルのようでもあり、そうやってバランスをとっているのだと思う。だから、きっと今度の休日もどちらかの日はたっぷり寝るだろう。

これって、起きられない人間の言い訳なんだろうか・・・。



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