『夏』

今年の夏は晴れた日が少なかったように思うのは気のせいだろうか。いつまでも明けなかった梅雨のせいかもしれない。いずれにせよ、すっきり晴れ渡った夏らしい一日を感じたのは、ごくわずかなような気がする。曇った日が多いわりには、暑さだけは立派なものだ。暑さには強いので平気といえば平気なんだが、曇った天気で暑いっていうのは嫌いだ。どこかルール違反のような気がする。

そもそも、僕は夏が大好きだ。でも、どうして夏が好きなのかって自分に問いかけてみたら、はっきりした理由を見つけられなかった。あれこれ考えていると、決して暑いのが好きだからという単純な理由ではなさそうだということがわかった。そして、その答えが出ないまま、僕は先月北海道へと向かった。その答えを出しに行ったと言う訳ではないのだが、3、4日過ごしているうちに、その答えと出くわすことになった。

それは夏の晴れた空の色。あの青色が好きだからだということがわかった。そして、その答えは同時に、僕がどうして青色が好きなのかということについての答えでもあった。札幌の中心から少し離れた高台から見た街の景色よりも、そこから見上げた青空のほうが僕には感動的だった。写真にとってみても残せなかった、あの同時空間の中でしか見ることのできない「青」が好きなんだろうと思う。僕が北海道を大好きになった理由を説明するものとして、あの青い空があるというこだけでも充分すぎるくらいだ。でも、北海道の空って、秋の空みたいに高く見えるのに、色はイキイキと夏の色をしていた。去年の夏、イタリアで見た空の青にも感動したけど、今回の札幌の空の方が印象に残ったように思う。

やはり、東京でみる青空とは違う。東京の空ってモヤがかかっているように見える。その理由が排気ガスなのか何なのか、詳しいことは僕にはわからない。でも、そんなモヤのかかった東京でも、夏の青空を見ると元気が湧いてくる。きっと僕にとっては、あの青が元気の源になっているのであろう。

世間的に見ても、理由はいろいろあれども、夏という季節は特別扱いされているように思う。夏休み、夏祭り、花火大会、ビアガーデン、地蔵盆・・・。きっと、祭りなんかは、昔の農業とからんだ風習や習慣から来ているのだろうけど、今の世の中でその祭りに参加する人達からすれば、一つのイベントに参加するという感覚でしかないであろう。そうして、「暑いんだけれども、みんなで盛り上がりましょうよ。夏なんだから」っていうような気持ちになれるのであろう。

僕にとっても夏は特別な季節。良いにせよ悪いにせよ、毎年必ず思い出に残る出来事が起こる季節だ。よくよく考えれば、悪いことのほうが多いのかもしれないけど・・・。でも、そうやって良いことばかりじゃないから、ほんの小さな出来事にでも、喜べる気持ちが持てるのかもしれない。きっと今までそんなことを繰り返しながら過ごしてきたんだろうな。

来年の夏、どんな心境で今年の夏のことを振り返っているのだろうか・・・。



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