『横文字』

この前テレビを見ていたら、おもしろいことを取り上げていた。それは、日本在住歴が長く、日本語も流暢に話すことができる外国人に、今の日本人の会話でよく使われる「英単語」についてどう思うか、という質問をするという内容であった。よく、会話の途中に「横文字」を混ぜて話す人がいると思うが、そういった日本人の話す言葉が、英語を母国語としている人にどう映っているのかを聞こうというものである。おもしろいことに、その質問に対する答えの大半が、「変」「おかしい」「こっけい」というのもであったと思う。

自分もそういった「横文字」言葉が結構飛び交う業界に身を置いているが、かなり前から「横文字」言葉の乱発には嫌気がさしていた。特に最近気になる単語は「コンセンサス」「ルーティン」「モチベーション」。「だから、相手のモチベーションが大事なんでしょ。もっとステータスを意識してくれないと・・・。それが君にはわからないからこっちはエキサイトしてるんじゃないか。ビジネスなんだから、お互いがハッピーな気持ちで終われるようにしないと・・・」。こんな具合に電話で言われてしまうと、こちらとしても、「はい、そうですね」というくらいしか返事する気になれなくなってしまう。

どうして、そこまでして「横文字」を使いたがるのであろうか。本当、「横文字」を使うことに生きがいを感じているように思える人もいるくらいだ。ここ最近、語尾が上がったり、変な略語を使う、いわゆる「コギャル言葉」に対する批判がされているが、僕にとっては、むしろ「横文字」言葉のほうが気になる存在だ。かといって、僕が正しい日本語ってのを知っているわけではないのだが、日本語の使い方を指摘する際に、「コギャル言葉」ばかりヤリダマにあげられているのは変だと思う。

とはいえ、僕もついつい「横文字」を使ってしまう。どうしても用語などの固有名詞は仕方がないし、今まで使いなれてきた言葉もあるからだろう。でも、意識的に多用しようとは思わない。以前は、「横文字」を良く知っている人の話しを聞くと、「この人はすごい人だな」と思っていたし、「横文字」の入った文章なんかを読んでいると、なんかえらく知的なものを読んでいるような気がしていた。少しでもそういう単語を覚えて、使えるようになることで、たいそう"モノ"を知っているフリができるとでも思っていたのであろう。

しかし、ここ最近の乱発ぶりには参ってしまう。外国人からしてみれば、文化の一つである母国語に対して、誇りを持っていないように映るのであろう。「どうせ、英語を混ぜて話すのだったら、英語そのもので話しなさい。あなたたちはどうして日本語を使おうとしないのですか?」って不思議がっているのかもしれない。いや、きっとそうなんだろう。

そんな訳で、僕はこのところ「横文字をできるだけ使わない運動」を自分一人で実施している。ついつい、出てしまいそうになるのだが、もう一回頭で考えて、日本語に置き換えてみる。それが結構日本語の勉強になったりしている。たまに、相手が並べてきた「横文字」を、全て日本語に置き換えて言い返してみる。結構、僕って意地悪なのかもしれない。

戦時中、英語が使用禁止だった頃、使われている英単語を全て日本語に置き換えて、日本人は野球を続けた。たしか「ストライク」は「よし」だったと思う(記憶違いかもしれないが)。今考えると、とんでもなく大変な作業だったと思う。全て置き換えた人には頭が下がる。もし、今の時代に英語が使えなくなったらどうなるだろうか。今、こうして向かいあってるパソコンなんて、どうしようもなくなるだろう。

ちょっと考えてみる。

インターネット=全世界通信閲覧情報回線網?
ブラウザ=全世界通信閲覧情報取込画面?
ホームページ=全世界通信閲覧情報媒体?

う〜ん、どれも納得できないな。もっと日本語を勉強しようっと。

でも、もしそんな時代がきても、パソコンには、「玉手箱」とかいうような愉快な名前をつけて欲しいものだ。



〜TUBUYAKI TITLEページへ〜