『今年のクリスマス』

今年のクリスマスは日曜日。特に断わった予定があった訳ではないが、僕は何故か一人で過ごしたかった。掃除や他の個人的な用事があったことは確かだが、誰とも会わずに過ごしたいと思った。

ここ最近、いろんなことで悩んでいた。その悩みの結果、人を傷つけることになってしまったのかもしれない。でも、僕にとって、人の気持ちも大切ではあるが、まず自分の気持ちに素直になりたかった。そのためには、一人でじっくり現実の自分と向き合う時間が必要だった。

今まで目を向けずにきたことが一つある。自分の答えはわかっているのに、いつも反対の方向へと結論を導いてきた。そして、その結論を出してしばらくすると、また疑問の根元に戻るという、この繰り返しを3年近く繰り返してきた。

自分の気持ちに素直な答えを出すのが恐かった。今でも恐いと思っている。しかし、逆に答えを出さないままでいることが一番辛いということが、はっきりわかった。きっと、答えを出すことで、これまでの自分を壊してしまうような気がして、臆病になっていたのだろう。

今年、僕はサンタになった。遠く離れた故郷の友人に、内緒でプレゼントを贈った。それは、僕が一番素直になれる人。会って話しをするたびに、僕が僕であることを確認できる人。そんな大切な人に、プレゼントを贈った。

贈ったものは大好きなXTCのCD。好みそうなアルバムを格好つけて選ぶより、僕がこの人に聴いてほしいと思い、それでいてクリスマスの日に似合うアルバムがいいと思った。

そんなことくらいしかできないが、僕はそれで充分だった。格好つけるより、僕が一番素直でいられることをするのが、何よりも僕らしいと思うからだ。格好つけて生きていくのも、それはそれでいいことなのかもしれないが、僕には到底無理なこと。やっぱり、僕は僕らしく生きていくしかないのだ。

夕方、自転車に乗って買い物に出かけた。僕が住んでいる街もすっかりクリスマス一色に染まっていた。ペットボトルを素材に作られたクリスタルのツリーの光りがとてもきれいに思えた。何軒かのアパートも電飾で彩られている。この光景を、来年も今年のように澄んだ気持ちで見ることができればと思う。



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