【観劇記】
それほど好きな演目ではないのだが、ブロードウェイ初演から今年(2007年)は50周年と聞いて、なんとなく見ておこうかなと。ひとつのソフトが50年という歳月を経て、どんな印象で目に映るのか。そんな興味は尽きない。しかし結果から言ってしまえば、「古ぼけた」という印象が色濃く残るミュージカルであった。50年前は物語の題材といい、振付といい、革新的な作品であったと聞く。舞台の成功のあと映画にもなったが、こちらもカメラワークなどが斬新で大変な話題となったらしい。
演出面の古さだとかは何とか改善できそうな気がするが(←素人判断の無責任な言い方でスミマセン!)、この作品を「古ぼけた」印象にさせる決定的な要因はストーリーかなぁと思う。同じ古い作品でも『王様と私』のようにどこか時代劇的なものは、逆に古いとか新しいを論じること自体しようとは思わないが、『ウェストサイド物語』は中途半端に古いのだ。古典として見るには新しく、現代劇として見るには古い。そんな感じだ。そう考えると、今上演されている現代劇も、いずれは同じ末路を辿ることになるのかもしれない。ミュージカルのテーマって難しい。
劇団四季の『ウェストサイド物語』。物語を無視すれば、とりあえずダンスと歌は楽しめる。素人目にもハイレベルと感じるダンスも難なくこなし、歌も素晴らしかった。トニー役の阿久津陽一郎は歌と芝居に抜きん出たものがあり、またアニタ役の団こと葉は役の勘所を押さえていて素晴らしかった。主演クラスで問題アリはマリア役の花田えりか。清楚な雰囲気はマリアに合ってるし歌も上手い。しかし台詞が全然ダメで、ひとりだけ小学生の学芸会。もう少し練習させてから本番に出してあげればいいのに…と、大きなお世話ながら思った。
さて、四季の『ウェストサイド物語』に苦言を呈したいのは、マリア役の台詞などではない。役者全体のことである。『ウェストサイド…』は確か10代を中心とした若者たちの群像劇。それなのに役者の年齢が高過ぎ!加藤敬二さん、ダンステクニックは抜群なんだけど、遠目から見てもオッサン。いや、加藤さんのみならず、オッサンとオバハンの多いこと。キャスト表によると、34人の出演者中、4人が「大人たち」というくくりで、バーのマスター役とか警察官役などとして表記されている。つまり残りの30人は大人ではないということ。本物の10代で揃えろとは思わないし、中に2,3人程度オッサンとオバハンが混ざっていてもご愛嬌だ。芝居なのだから。しかし半分とは言わないまでも、半数近くが年食った(ように見える)役者で占められていると、見て見ぬフリも難しい。こうなると不良の若者たちがケンカをしているというよりも、組同士の抗争にしか見えないわけで…。何度も引き合いに出して申し訳ないが、先の加藤さんなどは『ミナミの帝王』ですよ。萬田銀次郎
by 竹内力。恐いったら、ありゃしない。早急に改善を望みたいところだ。
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