ミュージカル・オフ会
「ルビ吉と一緒にミュージカルを観ませんか?PART1」

初めてのミュージカル・オフ会をやって来ました。今回みんなで観賞してきたのは、梅田コマ劇場で幕を開けたばかりの『王様と私』。演目は、初めてのミュージカル・オフ会ということもあり、俺が自信を持って勧められて、なおかつわかりやすいものということで、この作品にしました。

オフ会に集まってくれたのは、5人。俺を入れて6人の一行となりました。その内3人は、ミュージカルはまったく初めてという人。また東京や九州から来られた人もいて、俺としては内心「勧めたものの、みなさん気に入るだろうか…?」という不安が。でも終演後に感想を聞くと、「感動した」「本田美奈子の歌にびっくりした」「一路真輝が華やかでよかった」などと、まずまずの感想。主催者としては、ホッとひと安心です。初めての人はこれを機に、これからどんどんミュージカルにハマッてくれたら嬉しいな、と。

さて、今回の『王様と私』大阪公演は、一路真輝・高嶋政宏版。このバージョンの初演(1996年9月)から比べると、歌の歌詞が変わっていたり、台詞の言い回しなども変わったように思います。他にも動きや、衣裳、セットも微妙に違う。でも、と言うか、そのせいかと言えばいいのか、舞台そのものは確実に完成してきているように思えました。ただ二回目のカーテンコールで、アンナ先生と王様がポルカを踊る趣向はカットされてたのが残念でした。※今回はアンナ先生が「Shall We Dance?」をピンで歌うだけ。
一路真輝は演技が自然になったように思えました。ただその分、感情の起伏がわかりづらくなったような…。感情をもっと露にしてくれた方が、俺がイメージするアンナ先生像に近いのに…と。しかし台詞から歌への導入部が自然だったあたりには、ミュージカル女優としての熟練味を増した感がひとしお。涼風真世さんには出来ない技です(笑)。高嶋兄は、まず歌が格段に上手くなってます。そもそも王様は、ソロが「パズルメント」1曲しかないんだけど、この1曲がちゃんと聞けた。芝居は『エリザベート』のルキーニで鍛えられたせいか、芝居が若干キャラクターチック。でも『王様と私』では、それで正解!と思えます。魅力ある王様を演じていました。最終場は特に王の芝居、台詞回しが重要なポイントになるのですが、泣かせるところ、可笑しみを感じさせるところにメリハリがあり、たいへん良かったです。本田美奈子のタプチムは、相も変わらず言う事なし!ミュージカル界ではすっかりベテランの感がありますが、カーテンコールも堂々としたものを感じました。カンパニー初参加のルンタ役・石井一孝は、「こんなに存在感のない役だったっけ??」と思うほど、作品にまだ馴染みきれてない印象。ただ悪くはないです。千秋楽が近づく頃には、きっと芝居も変わっているでしょう。オペラ歌手の秋山恵美子(チャン夫人)は、やはり「サムシング・ワンダフル」を聞かせてくれました。素晴らしいです。この人は、もうこの歌を聞かせてくれるだけで充分。

総じては、やはり、中村哮夫のオーソドックスな演出が素晴らしい。山田和也演出の「サウンド・オブ・ミュージック」などもそうだが、ロジャース&ハマースタインの作品は、何ら奇をてらうことなくオーソドックスに見せてくれるのが、最も観やすく、そして感動を与えてもらえることをあらためて感じました。