『Thank you! Broadway! 〜We Love N.Y.〜』放送

今年3月25日・26日に青山劇場で、ミュージカル曲のチャリティー・コンサートが開催されました。しかし残念ながら、俺はチケット争奪戦の負け組…。めっちゃ悔しい思いをしておりました。勝ち組の友人に様子を聞くも、こればっかりは自分の目で見て、自分の耳で聞かないとねぇ…。
ところが先日、幸いにもこのコンサートの録画中継が放映されたのです!自分の部屋と劇場は違うけれど、充分に楽しめるコンテンツでした。
まずはコンサートの曲目。※印はテレビ放映でカットされたナンバーです。

1:Overture※
 ・ニューヨーク・ニューヨーク
 ・オン・ブロードウェイ
 ・ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド
 ・ニューヨーク・ニューヨーク
2:朝に太陽[アニーよ銃を取れ]島田歌穂
3:私のお気に入り[サウンド・オブ・ミュージック]高嶺ふぶき
4:踊り明かそう[マイ・フェア・レディ]純名りさ
5:トライ・トゥ・リメンバー[ファンタスティックス]森奈みはる
6:虹のかなた[オズの魔法使い]今陽子(?)
7:ありのままの私[ラ・カージュ・オ・フォール]市村正親
8:アルゼンチンよ泣かないで[エビータ]西田ひかる
9:ソー・イン・ラブ[キス・ミー・ケイト]伊織直加
10:見果てぬ夢[ラ・マンチャの男]成瀬こうき
11:サムホエア[ウエストサイド物語]樹里咲穂
12:時が来た[ジキル&ハイド]姿月あさと

13:42ndストリート[42ndストリート]玉野和紀&カンパニー
14:キャバレー[キャバレー]前田美波里
15:ロジャース&ハマースタイン・メドレー
 ・序曲※
 ・女ほどすてきなものはない[南太平洋]村井、斎藤、市村、山口、玉野
 ・もうすぐ17歳[サウンド・オブ・ミュージック]森奈みはる※
 ・もしもあなたを愛したら[回転木馬]純名りさ※
 ・バリ・ハイ[南太平洋]今陽子※
 ・エーデルワイス[サウンド・オブ・ミュージック]姿月あさと※
 ・ハッピー・トーク[南太平洋]前田美波里※
 ・魅惑の宵[南太平洋]村井国夫、高嶺ふぶき※
 ・シャル・ウィ・ダンス[王様と私]市村正親、西田ひかる
16:私の人生[ザ・リンク]夏木マリ
17:宿屋の主の唄[レ・ミゼラブル]斎藤晴彦
18:彼を帰して[レ・ミゼラブル]山口祐一郎
19:オン・マイ・オウン[レ・ミゼラブル]島田歌穂
20:星よ[レ・ミゼラブル]村井国夫
21:民衆の歌[レ・ミゼラブル]インスト
22:ショウほど素敵な商売はない[アニーよ銃をとれ]全員
23:ブロードウェイの子守唄[42ndストリート]全員

どうですか?なかなかのラインナップ、そして豪華な出演陣ですよね。
あくまでテレビで見た限りの、ルビ吉的感想を…。

<全体的に見て>
■まずは何て豪華な出演者なんでしょう!よくこれだけのメンバーが終結したなぁ、と。ここに一路真輝、涼風真世、土居裕子、本田美奈子がいれば、俺としては完璧。
■曲目も俺好み。放映されなかった『ロジャース&ハマースタイン』の6曲は、本当に残念だけど…。でもこうしてブロードウェイ・ミュージカルの代表曲を順に聞くだけでも、たまらなく心が弾みます。
■俺がこういうコンサートで望むのは、“持ち歌”は歌わないでほしいということ。ここは意見が分かれるところだと思うのですが、聞きなれた声でその歌を聞くより、どうせ一夜限りなら、違う声でその歌の違う魅力を味わいたい…と思うわけです。そういう意味では終盤の『レミゼ』4連発は、違うキャストで聞きたかったですね。無茶を言うなら、有り得ないキャストで。まぁ、とは言っても、今回は男性キャストが少な過ぎるか…。でも豊富な女性キャストで言えば『オン・マイ・オウン』などは、今陽子、夏木マリなんかでも面白いと思いません?

<曲目別に見ると>
■一幕では西田ひかるの『アルゼンチン…』が目を惹きました。『シラノ』で、彼女が歌を歌える女優であることは確認済みでしたが、今回は表現力も俺は評価しました。これで年末の『モーツァルト!』も楽しみです。
■9,10,11の現役宝塚チームはいずれも初めて見る顔ぶれでしたが、成瀬こうきの歌に魅力を感じました。『見果てぬ夢』という選曲が彼女に合っていただけかもしれませんが、しっかりとした歌唱力と、男役声があまり不自然に感じないところがよかった。樹里の『サムホェア』は、疑問。こんな難しい歌をよく歌専科じゃない人に歌わせたなぁ…と。
■姿月あさとの『時がきた』は、この人は歌が得意ではないと聞いていたが、何か切々と訴えるものが感じられた。まぁ、確かに上手くはなかったけど。しかしそれを補う不思議な魅力を感じました。『ジキル&ハイド』の本編とは、まったく色合いの違う表現(熱唱系ではなく淡々系)は、もしかしたら歌詞の意味を強く表現しているようにも思えました。
■『キャバレー』は鳳蘭でしか聞いたことがなかったのですが、多少声の汚い(スミマセン!)彼女の方が合ってると思いました。前田美波里は声がきれいだし聞きやすいんだけど、その分、味わいが欠けてるような…。
■今回、俺がもっとも感動したのは夏木マリ。『ザ・リンク』は大まかな内容は知っているものの、まだ観たことがない。でも夏木マリの歌を聞いて、モーレツに観たい作品になりました。とにかくパンチの効いた、そして表現力のある歌唱に、俺は惚れ惚れです。
■山口祐一郎のジャン・バルジャンはまだ観たことがありません。『彼を帰して』は『レミゼ』の中でも、本当に泣ける歌なんですが、この歌をこんなに切なく歌えるとは驚きました…。ボソボソと呟くような歌い方は、これまで他のジャン・バルジャンでは聞いたことがないように思うのですが、彼は本編でもそんな歌い方なんでしょうか?歌っている山口さんも泣いているように見えましたが、俺も聞いていて泣けてきました。
■ラスト2曲はフィナーレですが、ブロードウェイを代表するスタンダード・ナンバーですね。テレビで見るだけでもひとりで盛り上がっていましたが(笑)、劇場にいたら本当に心弾むフィナーレだったでしょうね。

<最後に>
ニューヨークのテロ事件からは、かなり時間の経った感のあるチャリティー・コンサートではあります。しかし収益金は、ブロードウェイの俳優に寄付されるとのこと。街の復興は報道されるものの、ミュージカル俳優やスタッフがその後どんな生活を送っているのかまでは、まるで知りません。「ブロードウェイの灯を消さないで」というのは簡単だけど、俳優・スタッフあってのステージ。このショーを見終えて思ったのは、エンタテイメントの最先端であるブロードウェイが輝き続けるためなら、俺もこんな素晴らしいチャリティー企画に参加したかった、ということ。チャリティーの精神論としていいのか悪いのかはわかりませんが、自分のために出来るチャリティーなら積極的になれるなぁ、と。コンサートの良し悪しとは別に、そんなことをふと感じたのでした。