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【物語と感想】 舞台は1920年代のイリノイ州シカゴ。クラブダンサーのロキシーは愛人を射殺したため、 夫エイモスの嘘のかばいも功を奏せず監獄行き。そこにはヴェルマを筆頭にスキャンダルを逆手に取り、罪を正当化して出獄を図る女囚たち。女看守ママ・モートンと悪徳弁護士ビリーの力を借りて一躍メディアのヒロインになったロキシーは、ヴェルマの歩み寄りも無視。新たな場所で起こるスキャンダルを物ともせず、再び注目を集めることにも成功する。強気になったロキシーはビリーの手助けは不要と解雇しようとするが、同獄の女囚が絞首刑になった事を知ると、あわててビリーを呼び戻すのであった。二人の大芝居によって評決は無罪になったが、新たなスキャンダルを追い求めるシカゴのメディアにとって、ロキシーとヴェルマの存在はもう過去のものとなっていた。有名人の快感を味わってしまった二人の行く道は・・・・・・。 初演から20年以上経った今年、ロブ・マーシャル初監督作品・映画版「シカゴ」の大ヒットによって、ミュージカルファンならずともこの来日公演に足を運ぶ人が多かったのではないでしょうか。既に今回の日本公演後は韓国公演に続き、日本で再々追加公演まで行われ、今年の来日ミュージカルの中では間違いなく注目度NO.1の作品でしょう。ミュージカル観劇歴の浅い私は、前回の初来日公演を観ていないので当然の事ながら、映画版を先に観賞してからの舞台版の観劇となりました。映画版では豪華絢爛な衣装の数々、ダンスシーンでの多彩なカット割り等々によってエンターテインメントとしてのミュージカル映画をより良い形で広く知らしめることに成功したと思いますが、舞台版はいたってシンプル。オーケストラピットが舞台上中央にかなりの広さを占め、その中から俳優達が出入りしたり、オーケストラピットの脇の通路に並べられた椅子に俳優が腰掛けて自らの出番を待つという演出。衣装も黒で統一され、排他的なシカゴのイメージを造りあげていました。ハード(舞台、衣装等)がシンプルであっても、ソフト(ダンス、歌、演奏力)は、言うまでもなく期待を裏切らないカッコ良さ。男も女も日本人からは想像も出来ないほどのスタイルの良さとキレのあるダンスで字幕を観るのも惜しいくらい舞台に終始釘付けでした。特に男性陣は、シースルーのシャツに、レオタードのようなピッタリぱんつ!観れば観る程、「おたくも組合員でしょ?」みたいな(笑)感じで、最後は尻ばかり目で追っていたかも?!
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【好きなシーン、ナンバー】 基本的には全て好きなんですが、やはりこの作品を代表する曲と言えば「All That Jazz」と「Hot Honey Rag」でしょうか。ミュートトランペットから始まる軽快なジャズサウンドとヴェルマの登場シーンを逃したら作品の楽しみは半減します(笑)。この作品を観に行くなら時間に遅れる事はしない方が良いでしょう。後者はボブ・フォッシーのオリジナル振付によるヴェルマとロキシーのレビューシーン。映画のような派手さはありませんが、最後の最後まで楽しませてくれる素敵な場面です。 |
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【俳優雑感】 マーティ・ペロウ(ビリー)・・・「WET WET WET」のボーカルとして活躍後にソロに転進。派手なタップダンスは披露しませんが、歌や存在感はやはり群を抜いています。欧州ツアーのチラシでは、主演女優陣を抑えてピンで映る程の扱いだとか・・・。確かにカッコ良かった。 エマ・クリフォード(ロキシー)・・・映画ではレニー・ゼルヴィガー扮するロキシーは金髪ですが、こちらは黒髪のストレートで登場。ビリーの膝上で演じる腹話術人形の演技は最高に面白かったです。出演女優陣の中でも一番の美しさはこの人でした。
リサ・ドンモール(ヴェルマ)・・・こちらも映画とは相対して、金髪のウェーブスタイル。「クレイジー・フォー・ユー」ではポリー役で活躍の彼女ですが、とくかく凄いの一言。歌、ダンス、スタイルに寸分の隙も見せず、観客の楽しませ方のツボを心得た人だと思いました。
ちなみに、再々追加公演も同じカンパニーでの公演予定だそうです。
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【このミュージカルについて】 初演は1975年6月ブロードウェイ46丁目劇場(現リチャードロジャース劇場)だったが、同年4月に開幕し大ヒットとなった「コーラスライン」のおかげで、続演回数は898回にとどまる。ちなみに、初演でヴェルマを演じたチタ・リヴェラは映画版「シカゴ」にも出演。しかも今だブロードウェイで活躍中の現役女優。日本では83年初演。主演は草笛光子(ロキシー)、上月晃(ヴェルマ)、植木等(ビリー)。 |