漢方治験録

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実際に漢方薬を飲んで良くなった例などをここで紹介します。

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  1. 慢性鼻炎
  2. アトピー性皮膚炎 その1
  3. イライラと不安症
  4. 喘息
  5. 耳鳴り
  6. 受験日の生理痛
  7. 犬の夜泣き
  8. 首の痒疹
  9. 更年期障害
  10. 気力減退、不定愁訴
  11. まっすぐに歩けない
  12. 胸やけ
  13. 電話恐怖症・不安症
  14. 乳児の便秘
  15. アトピー性皮膚炎 その2
  16. 自律神経失調症
  17. 足の裏が痛い
  18. 自律神経失調症 2
  19. 偏頭痛
  20. 生理不順・神経症
  21. 気管支喘息 2
  22. のぼせ・卒中の予防
  23. 冷え性
  24. アトピー性皮膚炎 3
  25. 痔(脱肛)
  26. 五十肩

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慢性鼻炎

一年間から両方の鼻が詰まってしまって通ることがないという19歳の女性。

がっしりした感じの体格で、他には強い肩こりと、生理痛、体調を崩すと下腹が

張っていたくなるという症状があります。

葛根湯(カッコントウ)と桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)を合わせ、他にセンキュウと

シュウサイを加えました。シュウサイというのはドクダミのことです。

薬を飲み始めて一ヶ月目には片方の鼻が通るようになりました。飲み続けるうちに

生理痛とお腹の張りが無くなって、三ヶ月後には両方の鼻が通りました。

翌年の春には、毎年悩まされていた花粉症も全く出ることがありませんでした。

やがて社会人になって、しばらくの間、精神的ストレスからか、少し前の鼻炎が

出ましたが、同じ薬を続けて、やがて改善。

少し時間がかかりましたが、約1年で完治しました。用心のためにその後、半年ほど

続けて廃薬。その後再発していません。

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アトピー性皮膚炎 その1

患者さんは4歳の女の子、肘や膝の裏、ほっぺたなどがアトピー特有の褐色に変色し、

とくに手の甲はひどくて、掻きむしるのでかさぶたが出来ています。みるからに

かわいそうな状態です。母親を見ると、やはり首のあたりが黒変していて、一目で

それが遺伝であるとわかります。

温清飲(ウンセイイン)という薬を出しました。効き目を考えてせんじ薬にしました。

果たして大人でもいやがるこの苦い薬を飲んでくれるか心配しましたが、この子は

実に賢い子で、いやがらずにちゃんと飲んでくれました。薬の効果はすぐに現れて、

一ヶ月くらいで皮膚の色が戻ってきました。手や足はすぐにキレイになり、その後

ほっぺたがツルツルになってきました。最後まで手の甲は治りにくかったですが、

半年後にはこれもよくなり、完治しました。よくあの苦い薬が飲めたと、いまでも

感心しています。もっとも、本人はそう大して苦痛でないこと、かえっておいしい

などということもよくあることです。

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イライラと不安症

以前から便秘の薬などを出していた、50歳の女性。今度、二種免許を取ることに

なったが、終了検定を前にコースが覚えられない。また、人の失敗しているのを

みてドキドキして、夜も安眠できずに寝不足、どうにか落ちつく薬が欲しいという。

試験を二日後に控えて、さて即効性のある漢方を考える。

この方は漢方でいうところの実症で、体格がしっかりしているほう。血圧がやや

高く、便秘症。すこしのぼせる傾向がある。そこで、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)

という薬を出しました。この薬には精神の安定作用があります。また、

頭に血が上るようなときに、それを下げる作用がありますので、血圧が高く、

脳卒中などの心配があるときには、予防に飲んでおくと安心です。最近では

この薬が老人ボケに有効であるとの報告もあります。

さて結果は、一発で検定に合格し、今はバリバリの乗務員でがんばって居られます。

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喘息

ヨモギを下さい、といって入ってきた男性は、顔色も土色、はーはー、ぜーぜーと

息をしています。明らかな喘息発作。ヨモギが喘息にいいと人から聞いて、買いに

来たという。私は、ヨモギでは治りませんと言い切って、漢方調剤を勧めました。

お腹は発作時独特の緊張感で堅くなっていました。食後にお腹がパンパンに張る、

寝てから3ー4時間で胸が苦しくなり、ゼリー状の痰の塊を吐く。他に、蓄膿、

通風があります。

薬は茯苓飲(ブクリョウイン)に橘皮枳実生姜湯(キッピキジツショウキョウトウ)、それに四逆散

(シギャクサン)を合わせて出しました。

これを飲むと、今まで以上に痰が出て、食後の張りが無くなりました。久しぶりに

空腹感を思い出し、夜もぐっすり眠れるようになりました。わずか二ヶ月の服用で、

15年来の喘息がほぼ消失し、「助かりました」といって、感謝されました。

油断するとすぐに大食いして腹満が出るので、強く食べ過ぎを注意し養生。

その後発作は出ていません。

しばらくして通風が強く出ましたが、越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)を飲んで治まり

ました。

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耳鳴り

息子さんに連れられてやってきたのは、89歳のおばあちゃん。3年前から「がーん」

というものすごい耳鳴りに悩まされている。またその二年前から難聴になってほとん

ど耳が聞こえない。横で息子さんが大きな声で通訳してくれる。冷え性で低血圧。

お臍の上でトントンと激しい動悸を打っていいます。そっと息子さんに聞くと、

感情の起伏が激しい人だという。

苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)と当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)を合わせて、一ヶ月分

投与しました。

10日目くらいから音が小さくなってきた。続けて飲んで薬を飲み終わる頃にはひど

かった耳鳴りが治りました。おばあちゃんは安心して、それで薬をやめてしまったの

ですが、こういうときにはさらに薬を続けると、難聴の方も改善される可能性がある

のではと思います。「なにかといそがしくて・・・」とおばあちゃんはいうのですが、

そのいそがしい中味はわかりません。

半年後、今度は鼻が詰まるというので、上の薬にシュウサイを加えて出しまし

た。このときは一人で来られたので、おばあちゃんとは筆談で話しました。

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受験日の生理痛

いつもうちで漢方薬を飲んでいる方の姪子さんで、中学三年生。相談があったのは

12月。この子は毎月きっちり1日も狂わずに生理が来るがその痛みが激しくて、

学校を休むといいます。ところが来春の受験の日がちょうど生理の日になってしまっ

た。何かいい方法はないかということで、電話にて相談があった。

今なら間に合うでしょう、それならたぶん大丈夫ですと、出したのが桂枝茯苓丸

(ケイシブクリョウガン)という漢方薬。本人は見ていないが、お母さんは知っているので、

母子同服の原則に則ってその日から、受験の日まで切らさずに飲んでもらいました。

結果は生理痛は翌月から軽くなり、鎮痛剤もいらず。受験日も痛み無く済んでみご

とに合格。私もホッとしました。

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犬の夜泣き

これは私が飼っていたシェパード犬です。まだ子犬の頃でした。ふだんは賢いのに、

ある時期、夜中にキャンキャン鳴いてうるさかったので、針をすることにしました。

頭のてっぺんにある百会(ひゃくえ)といういうツボ、不眠症に効く耳の裏にある

完骨(かんこつ)というツボに針を刺しました。ツボの取り方は人間に準じます。

でもどう見ても耳が大きいです。浅く刺して、30分ほど置針しておきました。

犬の頭に針がぶら下がっている絵はなかなかおもしろいものです。

効果があったようで、その晩から静かに寝てくれました。

その後、年を取って老犬の頃に片足を引きずっていたときも、足のツボに針をしまし

た。基本的にはツボは犬も人間も同じでいいとおもいます。

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首の痒疹

46歳の女性。主症状は首にできるアトピー様の痒疹。すでに首のあたりがすぐに

わかるほど黒くなっています。この部位に熱感があり、春になるとひどくなります。

K医大の皮膚科に行っていますが、良くなったり悪くなったりです。その他には

冷え性、肩こり、脱毛、生理痛など。

小半夏湯(ショウハンゲトウ)に当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)それに地黄(ジオウ)という生薬を

まぜた薬を出しました。体を温めて、血をきれいにする作用があります。

飲み始めて一週間くらい、手にも出てきてかえってひどくなりました。構わず続けて

やがて治まりました。これは漢方を飲むときによく起こる初期の悪化症状、ひとつの

反応でした。20日後に来られたときには少し色が薄くなっていました。そのまま

夏になり、クーラーで冷えると悪化することもありましたが、三ヶ月で首の色は正常に

戻りました。

その後、頭痛と婦人病でまたお見えになりましたが、以前の薬に苓桂朮甘湯(リョウケイ

ジュツカントウ)を合わせた漢方でよくなりました。

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更年期障害

患者さんは58歳の女性。主症状は身体が熱くなるいわゆるフラッシュ現象。日に

何度も起こります。血圧は正常ですが、顔がやや上気しています。尿の出がよくあり

ません。産婦人科にて注射を打ってもらって、何とかしのいでいるという状態です。

更年期障害によく用いる柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)に当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)それに

便秘があるので大黄(ダイオウ)、尿の出をよくするためにヨクイニンを加えました。

薬を続けるうちに、熱の強さが弱まり、その時間も短縮してきました。それにつれて、

本人さんも驚くほど、目に見えて顔の色が白くなってきました。もともと色の白い方

は、漢方を飲むと、本来の白さに戻ります。それにはヨクイニンがよく効きます。

1年後には、熱の感じはほとんどなくなりました。それより、体重が6キロ減って

スリムになり、そちらの方で随分感謝されました。薬が身体にあったので、余計な

水分がとれた結果でしょう。同時に悪かった膝もよくなりました。

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気力減退、不定愁訴

これは失敗例です。

50歳の女性、二階の鍼灸院からの紹介の患者さんでした。この方は兄弟のなかでも

自分だけが虚弱体質で、長年体の調子を気にして、あれやこれやと病院通いをして

いるうちにこの年になってしまったといわれます。昔飲んだ薬の副作用からか、強い

難聴があります。

あれやこれやと考え得るあらゆる漢方を出しましたが、はっきりした効果が出ません。

体がだるい、やる気が出ないなどの言葉が消えません。半年も治療しましたが、とう

とうそれっきりになってしまいました。ダメだったかなあと思ったものです。

ところがその数年後、たまたまバスの中でこの患者さんに会いました。短かった髪を

伸ばし、化粧もして若々しく、まるで別人のようでした。おかげさまで!という話の

内容はこうでした。頼みにしていた漢方薬も効かず、もう薬は全部やめてしまった。

そしてドクダミだけを毎日続けたところ今まで以上に便秘がすっかりよくなり、それと

同時に総ての不快症状が取れてしまった。私の病気は便秘が原因だったのですねぇと。

これとよく似た話を本で読んだことがありました。ある漢方の大家ですが、手を尽くし

てよくならなかった人が町で元気に歩いているのを見つけて直接聞くということでし

た。その話も、たしかドクダミだったと思います。あるいはすべての薬をやめてしま

うという開き直りが、体にいいのかも知れません。治療家としては、非常に示唆を与え

られる例ですね。古人も「何も薬を飲まないのは、中級の医者にかかるのと同じだ」と

言っていますね。余計なものを飲むと治るものでも治らないという耳の痛い話でした。

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まっすぐに歩けない

自分ではまっすぐ歩いているつもりなのに、実際はフラフラして斜めに歩いてしまう

のをどうにかして欲しいという中年の女性が来店しました。見るからに華奢で、

冷え性。胃下垂などもあります。病院で調べてもどこも悪くないといわれた。

漢方では口訣といって、あるひとつの症状に「これ」という処方の出し方があります。

これは多くは師匠から弟子などに、口伝えによって伝授されるものです。「フラフラ

してまっすぐに歩けない」という症状には、真武湯(シンブトウ)という薬を用いるという

口訣があります。それに従って真武湯を2週間分投与しました。

これがみごとに的中し、たちまちまっすぐに歩けるようになりました。

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胸やけ

この人の自慢は自分の胸やけはどこに行っても治らないということでした。治せるもの

なら治してみろという態度で、声もでかいし態度も大きい、イラチ。40歳の男性。

お腹を診察して、いわゆる実症体質で、がっしりしています。しかし外側に似合わず、

消化器は繊細なようです。大柴胡湯(ダイサイコトウ)に黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)を

合わせて出しました。薬を飲むことは真面目で毎日煎じて欠かさず飲んでくれました。

飲み始めてはじめは効果が出ませんでしたが、同じ薬を続けているうちに、効果が

現れだし、半年後にはひどかった胸やけがきれいに治りました。非常に喜んでくれ

まして、次々にお友達を紹介してくれました。ただ、その紹介してくれるお友達は

ほとんどの方が背中にアートのある方でした。

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電話恐怖症・不安症

事務服を着たままの二十代前半くらいの女性が蒼い顔をして来店。職場の中で移動が

あり、電話の応答に回された。本来しゃべるのが苦手な自分はそれ以来恐怖症になっ

てしまった。毎日が不安でしょうがないという。眉間のしわがその深刻さを現して

います。

漢方では、肉体的な症状はもとより、精神面での薬も多く用意されています。その中

でも、代表的な処方に半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)があります。直接的には、喉元に

何かモノがつかえているような感じを訴えるときもあります。この女性にはこの症状

があり、迷わずその半夏厚朴湯を出しました。

一週間ほどしてぶらりと現れた彼女は私の顔をじっと見て、漢方って即効性があるん

ですか?と聞きます。私は不意に失敗したかなと感じました。そしてそれはその人の症状と

かによるもので一概には言えないと告げると、とたんににっこり笑って、私にはすごく

即効性がありました!というのです。あれだけ不安だったのが、飲み始めて翌日から

気分がスッキリして治ってしまった。これには私の方が驚きました。それなら素直に

言ってくれればいいのに、意地の悪い人ですよね。

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乳児の便秘

これは私の甥です。生後三ヶ月になりますが、生まれてから一度も自力での排便が

なく、困り果てて姉から相談を受けました。しかし当時私は漢方に入門したてで

自信がなかったので、先輩に相談しました。その方はセンナの葉っぱを二枚くらい

湯呑みに浮かべて飲ませてみてはどうかといいました。私も少し効果が薄いかと

思えましたが、相手が生まれて間もないのですから慎重になるのは当然です。

そこで今度は師匠に聞いてみました。師匠は即座に「紫円だ」といいました。

紫円とは巴豆が主成分の薬で、量を間違えると脱水して死に至る劇薬です。大人が

1グラム飲むと、3時間後から猛烈な吐き下しが来て、最後は透明な水が肛門から

噴出します。私も飲んだことがありますがそれはすさまじいものです。

さて事情を姉に話し、持ってきた紫円を渡しましたが、姉は怖がって飲まそうとしま

せん。それでも何とか説得して飲ましました。数時間して大量の排便があり、それっ

きり便秘は治ってしまいました。姉はそれ以来漢方の愛好者となりました。

私自身も漢方の素晴らしさを実感出来たよい経験となりました。

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アトピー性皮膚炎 その2

患者は10歳の少年。お母さんに連れられてやってきた。はじめは太乙膏を求めに来て

いただけだったが、やがて漢方治療をすることになった。症状が激しくなったのは

3年前から。右のこめかみのところがアトピー独特の象のような皮膚になっている。

あと手の甲も同じ状態。全体に乾燥して、かゆくて掻いたところは、皮膚が痛んで

かさぶたになるといった感じ。スポーツマンです。

お腹を見ると腹直筋が突っ張っていてキンキンになっている。そこで柴胡桂枝湯

サイコケイシトウにインチンと山梔子を加えて、大人の三分の二の量を投与した。12月から

飲み始めて、良好な経過をたどり、三ヶ月でほとんどよくなったが、こめかみの部分

がなかなか治らない。そこで飲みにくいだろうと思って控えていたインチンの量を

次第に増量して半年後には跡形もなくきれいになった。お母さんはよくなっても黒

ずんだり跡が残ると思っていたので、助かりましたと感謝してくれました。

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自律神経失調症

33歳の婦人が母上と一緒に来店。悪いのは娘さんの方なのに、症状を聞くと

お母さんがほとんどしゃべっている。症状は、とにかく疲れやすくて、無気力、

精神不安がひどいという。家事もろくに出来ない状態。もう1年以上生理もない。

色白で美人なのに眉間のしわがそれを台無しにしている感じがした。

加味逍遥散 カミショウヨウサン という薬を出しました。この薬は自律神経失調症や、更年期

障害、その他ホルモンバランスを崩してややこしくなったようなものに使う薬です。

10日ぐらいしてお母さんから電話があり、どうも漢方が効かない。明日はH大病院

にいくとのこと。ところが当日の朝、久しぶりにとても気分が良く、これなら漢方でがんばって

みようという気になった。滑り込みセーフという感じです。それからみるみるよくなって、

仕事にも出るようになり、二ヶ月後には生理も始まりました。薬を取りに来た娘さんは

見違えってスッキリした美人に復活。その後も念のためしばらく薬を続けてから廃薬しました。

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足の裏が痛い

足を引きずり、痛々しく顔をしかめて入ってきた51歳の男性。非常に変わった症状

で、とにかく足の裏が痛くて、ろくに歩けない。どこの病院で調べても原因は不明で

治らないと言う。昔飲んだ薬の副作用で難聴がある。足をさわると冷たいが、本人は

熱く感じる。

お腹を見ると男にしておくにはもったいないほど色白でもち肌、しかも臍の下にお血

の症状が出ている。まさに女性そのものの。そこで女性の諸病の特効薬である当帰

芍薬散トウキシャクヤクサンに足のほてりをとる地黄という薬を入れて出しました。この薬が

すばらしく効いて、二週間後に来た時にはくらい顔から一転して爽快な笑顔に。

足も引きずっていません。どこへ行っても治らない奇病が、わずか二週間の漢方薬で

よくなるとはこちらもビックリしました。その後も少し痛みが出てくると漢方を飲む

という感じで続けて完治しました。

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自律神経失調症 2

患者は長身の34歳の女性。自律神経の失調と肩こり、強度の冷え性、体のだるさなど

があるうえに、血圧が低いし、肌もかさかさ、めまいもあります。漢方でいうところの

陰虚症の典型です。こういう方は冬になると自分の力ではすでに手足を暖めることが出

来ません。見るからに顔色が悪いですね。

お腹を触るとお臍の上でトントンとはっきり分かる動悸を打っています。これは予想し

たとおりです。臍の下の方には左右にお血とよばれる症状がはっきり出ています。

当帰芍薬散という薬をベースに真武湯を加えました。体を温めるのには附子というもの

を順次増量して加えます。半年くらい続けて肩こりや冷えの戻りが良くなりもう薬はい

らなくなりました。今年の8月で丸一年がたち、久しぶりにお腹を拝見、ここの塊がな

いでしょというので診てみると、そのとおりお臍の下にあったお血の症状が完全になく

なっていました。この方のように自分のお腹の状態というのを知っておくのはいいこと

ですね。

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偏頭痛

ぽっちゃりした色白の32歳の女性。十数年来の偏頭痛です。お母さんも頭痛持ちです

から遺伝もあるのでしょう。発作になると嘔吐があり、足が氷のように冷たくなってし

まう。足の裏を揉んでもらうと楽になるそうです。そういうことが週に一度くらいあり

ます。

呉茱萸湯ゴシュユトウという漢方を出しました。半年後には当帰芍薬散を合わせました。

その後子宮筋腫が見つかり、今度は当帰芍薬散に変えて、桂枝茯苓丸を合わせま

した。現在では発作の回数も減り、発作時の痛みもかなり軽くなりました。

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生理不順・神経症

非常に神経質そうで心配性が顔に出ている38歳の女性。生理の量が少なく、不定期、

短期間で終わってしまう。便秘症。またその間痛みがあり、ヒステリー状態に陥ること

がある。私の顔を穴が開くほどみつめています。こういう方にはいい薬があります。

桃核承気湯トウガクジョウキトウという薬を丸剤で出しました。やや癖の強い薬ですがこれ

がよく効いて便通が整い、生理が定期的に来るようになりました。また笑顔も増えて、

精神的にも安定した。しかし本人さんが喜んだのはそれより、お腹がへこんだこ

と。周りの人達に随分うらやましがられたとのことで、「やせ薬」を買ってきてくれと頼

まれるそうです。でもこの薬は合わない人が飲むと副作用で寝込んでしまいます。

決してやせ薬ではありませんし、気軽に飲むものではありません。

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気管支喘息 2

この咳をどうにかして下さいと飛び込んできたのは、49歳の女性。風邪を引いた後、

咳が続いている。病院の薬が一向に効かない。はじめはたかが咳だと思っていたが、

あまりにしつこいので不安になってきた。最後には気管支喘息といわれたそうです。

漢方では病名は大して問題にはしませんから、風邪の後に残った咳によく使う

柴朴湯サイボクトウを一ヶ月分出しました。少し時間がかかるかも知れないといって

おきました。

ところがその後お見えにならないのでどうかと思いましたが、二ヶ月位して来店し、あ

の薬を飲んだら10日くらいですっかり治ってしまった。副作用が怖いので残りは飲ん

でいませんとのこと。わたしはこの薬は安全だから、再発予防のためにも残りもすべて

飲むように指示しました。

時にこのように自分の判断で服用をやめてしまう方がありますね。できれば

その前に相談していただきたいものです。薬の性質によって、その後も続服が必要

な薬、やめた方がいい薬があり、それは専門家でないと判断できませんから。

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のぼせ・卒中の予防

ふだんからのぼせる傾向があり、それがなかなかおさまらない。とくに脳卒中にならないかという不安が大きいという40歳の男性。現在K製薬の漢方薬を服用中です。さらに良い薬がないかということでお見えになりました。他に、夢が多い、便秘があります。

すでに飲んでいる柴胡加竜骨牡蛎湯サイコカリュウコツボレイトウという薬は錠剤でした。私の見立てでもそのままでいいように思われます。そこで同じ薬を今度は別のメーカーの顆粒剤で出してみました。一ヶ月後、のぼせが徐々にひいて身体の熱っぽさがとれてきました。調子がいいのでさらに続けていましたが、3ヶ月位してまたのぼせが出てきた。そこで黄連解毒湯オウレンゲドクトウという薬を一緒に合わせました。これで、のぼせはほとんどなくなり、夜もぐっすり眠れるようになりました。便秘が解消して高かった血圧も正常値になりました。

このように、同じ名前の薬でも、メーカーや剤形の違いで効き目に差が出てきます。効果がないからといって、すぐに薬方を変えるのは間違いで、漢方薬の効果を判断するのはいろんな要素を広い範囲で考慮する必要があります。

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冷え性

顔の青白いご婦人が冷え性でおみえになりました。いかにも華奢な体格で、声も小さく、漢方でいうところの陰虚症であることは一目瞭然です。特に手足が冷えます。

当帰芍薬散トウキシャクヤクサンという薬をお出ししました。一ヶ月後に再びお越しになったときには驚いて、この薬を飲むとたちまち足の先からポカポカしてくる。いままで汗が出なかったのに、この頃汗が出るようになったといいます。そこでそのまま続けたところ、今度はいままで、どの薬を飲むときにも、オブラートがのどに引っかかって飲めなかったのが、不思議と飲めるようになったといいます。身体がぬくもってきたことで元気が回復して、近所の方がみんな元気そうだといってくれるのがうれしくてたまらないということでした。

当帰芍薬散は本来生薬を粉末、混合にしたものですが、この方には丸剤になったものをお渡ししました。この丸剤は、生薬100%の濃度と、手軽な飲み安さ、廉価を兼ね備えた便利なもので多くの女性の方に喜んで頂いてます。

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アトピー性皮膚炎 3

これで3回目ですが、関心の深い病気ですのでもう一例だけあげたいと思います。店に入ってくるなり、「うわぁ臭い!」と叫んで走り回っているのは7歳の男の子。みごとにじっとしていません。簡単に診察をすませるとさっさと一人で家に帰ってしまいました。この落ち着きのなさもひとつの症状といえます。背中、肘、膝の裏などが白くなって粉をふいています。かゆみもかなりあります。

実はこの子のお父さんが以前に見えていまして、自律神経失調が漢方でよくなっていました。その時にお父さんに与えた薬と同じものを少し改良して、柴胡桂枝湯サイコケイシトウの芍薬を増量したものおを与えました。これにさめ肌を治す効果のあるヨクイニンを加えました。

わずか一ヶ月で白かった背中に、皮膚の色が戻ってきました。しかしまだかゆみがとれません。そのまま同じ薬を続けて半年後にはかゆみもとれてきれいになり、廃薬しました。新学期になってストレスのせいでまた悪化しましたが、同じ薬でよくなりました。

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痔(脱肛)

数年来の脱肛とイボ痔で苦しんでいる62歳の男性。今のところ出血はありません。風呂にはいるとしみる状態で、とくにこの3日は調子が悪く、漢方に救いを求めてこられた。

帰蓍建中湯キギケンチュウトウを出しました。この薬は体力のないかたに与える薬です。ひょろ長いこの男性にはぴったりです。これに漢方の塗り薬で、痔の特効薬である紫雲膏を患部につけてもらいました。痔はなかなか治まりにくいものですが、2ヶ月もすると脱肛は全く出なくなりました。

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五十肩

4年前から五十肩があり、右肩と左肩が交互に痛む。他には胃痛があって、不眠症です。ひどい肩こり、立ちくらみ、顔がやや赤みを帯びてがっしりした体格。

お腹をみると、臍の上の方で強い動悸を打っていて、臍の下斜めのところにははっきりとお血の症状がでています。痛みを伴う症状にはたいていこのお血があります。これには血をきれいにする漢方薬で対処します。

柴胡加竜骨牡蛎湯サイコカリュウコツボレイトウと桂枝茯苓丸をあわせて出しました。しばらくお見えにならないのでどうかと思いましたが、4ヶ月ほどして、奥さんと一緒においでになり、今度は家内を見て欲しい、自分の肩の痛みはほとんどよくなったということでした。五十肩は、なかなか効果が出にくい病気のひとつで、この方のように一ヶ月でよくなるのはどちらかというと好運でしょう。

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