第九話 最後の依頼人・涙の再出発 |
特殊探偵社が増えつつある。 「そろそろ潮時」と言い出す千春のもとに、 美郷の娘が、美郷には黙って「父と愛人を別れさせて欲しい」と 自分の5万円余りの通帳を持って依頼にやってきた。 千春は、美郷の為にもこの依頼を引き受け、 これを最後の仕事にしようと考える。 早速リサーチを始める千春達だったが、 休暇を出した美郷も祐太郎を張り込んでいた。 祐太郎は、愛人が以前ホステスで貯めた金で託児所を経営しているのだが、 経営は火の車、700万の借金を抱えていた。二人の間に子供は居ない。 腹をくくった千春は、最後の仕事を開始した。 雇った女をスポンサーになると近づかせるが、 祐太郎は「融資をエサに迫られた」と拒否。 次に、弁護士扮した千春が、 返済不可能ならば実家の土地を生前贈与でなんとかしろと持ちかけ、 別れさせ屋は、もう一押しと修羅場を作るように 役者を全員、美郷の家に集めた。 二人の固い愛、支えあう愛を見た美郷は、 「この1年半の間、自分がやっと手に入れた家族、 離婚するのが怖くて祐太郎を探せなかった。 そして今、悔しいが二人は愛しあい支えあって生きている。 あかりと母が自分を恨み、愛人と祐太郎を家に迎え入れるように 依頼を変更してくれ」と千春に頼んだ。 別れさせ屋は、本人に答えを見つけさせるのが仕事。 迷っていても答えは一つ心の中にあると言う千春は、 涙をのんで依頼を変更した。 今回は、工作が進むほどに心が痛む。 美郷は歯を食いしばりながらも、あかりと義母に冷たくし続けていたが、 義母はそんな美郷の考えを見抜いていた。 見抜いた上で、美郷を行かせてくれた。 そして、 別れさせ屋・PPI探偵社は、其々の方角へと散っていった。 美郷よ、千春よ、留吉よ、亮一よ、 幸せに、幸せになれ!! |