G1 愛ダービー

●6月30日と言えば、ワールドカップの決勝戦が行われた日である。としか記憶にない。
おそらく、そんな日にG1愛ダービーを勝ってしまったハイチャパラルは不幸だ。
ワールドカップの決勝戦の日=>そう言えばドイツは負けたんだよな〜=>あれ?愛ダービーって今週じゃなかったけか?
=>おお!ハイチャパラルが英・愛ダービー連覇したらしいよ。=>それは凄い偶然だね〜〜
てな風に記憶には残らないでしょう(笑)>コアなファンでもこんなモンでしょう。

ところで、優勝したハイチャパラルであるが。所属はA.オブライエン厩舎。
同厩舎は昨年もガリレオというスーパーな馬で英・愛ダービー制覇を成し遂げていて、2年連続の偉業である。
英・愛、両ダービーに優勝した馬は通算で15頭目らしいが、ここ3年は連続で出現している。
(2000年:シンダール、2001年:ガリレオ)
これは、要するに、有力馬の1局集中を意味している。
例えば、今年などを例に取ると、英・仏・愛2000ギニーを制したのは全てA.オブライエン厩舎の馬だし、英ダービーに1-2フィニッシュ・・・しかも大差!
で、今回の愛ダービーでは1-2-3フィニッシュ!
これは健全な状態ではない。・・・・もし、2000ギニーの勝ち馬達が異なった厩舎だったら・・・どっちかのダービーに出走させていたろうし。
3強とか4強とか言われてさぞや盛り上がったろうと思う。
これは、かつてR.サングスター氏とV.オブライエン師がやってきたことの繰り返しに過ぎない。
特に、昨期、今期とチーム・ゴドルフィンの3yo馬達が元気がないのでそれに拍車が掛かっている。
役割分担をさせて(G1の取り分を決めるというのは凄い話だが)出走させるやり方は見ている方にとっては白ける。
日本に置き換えると、エルコンドルパサーとスペシャルウィークとセイウンスカイが同馬主・同厩舎だったとして、潰し合いを避けるためにバラバラでレースに出てたら、ちっとも面白くないでしょ!
幸いにも、日本の場合正々堂々と勝負をするという風潮が残っている事と、異馬主・同厩舎なので救われている。
それと、金持ちが半端でない金持ちなので、良い馬をこぞって買い占めてしまうということも大きい。
結果、愛ダービーに出走した馬はたったの9頭だった。
英ダービーで勝負付けが済んだ馬達は出走しなかった。
ハイチャパラルにとってはタダ貰いなレースだったと言える。
レースのレベル云々は別にしても、凄い偉業ではあった。取りあえずおめでとうございますと言っておこう。

レースは単勝1.3倍の大本命ハイチャパラルが直線で先に行く3頭をごぼう抜きして3馬身半差をつけての楽勝。
2着には人気薄のショロコフが入り、3着に伊ダービー2着馬のバリンガリーが入線した。
A.オブライエン師は愛ダービー3勝目。鞍上のM.キネーン騎手は2度目の制覇となった。
で、ハイチャパラルの次走であるが、どうやらG1キングジョージは回避するようである。
昨年のガリレオの轍は踏むまいとしているようだ。
『レース前までハイチャパラルには休養が必要だと思っていたので、秋まで休ませて、凱旋門賞のトライアルレースからキャンペーンを開始したいと思います。ガリレオの時はG1キングジョージに勝たせる為にハードなレースをやらせてしまいました。
その影響で、秋のシーズンは活躍できなかったのだと思いますから。』
と、師は言う。
まあ、サドラーズウェルズ産駒のガリレオがBCクラシックに勝てるとは思えなかったが。
彼は凱旋門賞に行くべきだった。
御大のJ.マグナイア氏もA.オブライエン師に一任するとは言いながらも、暗に休養を仄めかしている。
そりゃそうだ!ガリレオみたいに肝心要のところで負けが込めば、高く売れなくなる。
ましてや、ハイチャパラルは昨年のガリレオほど強くはない。G1キングジョージにはチーム・ゴドルフィンの強力な古馬陣営達が待ちかまえている。
それよりは、秋までおとなしくしておいて、3yo馬限定のトライアルに出走してから重馬場が必至の凱旋門賞に出た方が十分に勝算がある。
幸いにして、仏最強3yo馬のアクトワンは脚の故障で引退してしまっている。
日本からの遠征馬の話も無くなったし、斤量の差で何とかなるだろう。
巧いこと本番の凱旋門賞に勝つことができれば万々歳で即引退!BCにも行かないし、JCにも来ない。

さて、末脚を炸裂させて優勝したハイチャパラルの鞍上M.キネーン騎手のコメント:
『直線に向いた時、ハイチャパラルは少しソラを使っていた。これは、ハイチャパラルが私に(これから本気出すから)ボヤボヤしなさんなよと言っていたのかもしれない。彼は、私の期待した通りのパフォーマンスを発揮してくれたからね。
彼はとてもハイクラスな馬で難しくない馬。雨が降ってくれたことも幸いしました。
レースが土曜日だったらおそらく"速い馬場"で行われただろうからね。』
このコメントは、シンボリルドルフの日本ダービーを想い出させるものですね〜〜^^;
因みに稍重の12Fの勝ちタイムは2分32秒20。

ハイチャパラルの父サドラーズウェルズは6頭目の愛ダービー馬を誕生させたが、これはガリニュールの記録に並ぶものである。
『素晴らしい調教師と素晴らしい種牡馬、これら両方を同時に持てたことは偉大なことである。どちらかが欠けていてはこうはならなかっただろう。』
とJ.マグナイア氏は付け加える。

2着に入ったショロコフの次走は何と今週末にサンダウン競馬場で行われるG1エクリプスSになるらしい。
ここには僚馬のホークウィングもエントリーしている。
3着馬のバリンガリーの目標はおそらくG1英セントレジャー。このレースは昨年同厩舎のミランが勝っている。
やっぱ、役割分担なのね。(--;)


Budweiser Irish Derby (Group 1)
2002/6/30 カラー競馬場 芝12F 3yo・牡牝 馬場:稍重 9頭立て
勝てば官軍なのか!?・・・A.オブライエン軍団の旗艦、ハイチャパラル
 
着順 着差 馬名 枠番 調教師 騎手 人気

1

2分32秒20

High Chaparral

(4)

A P O´Brien

M J Kinane

1/3F

2

3 1/2

Sholokhov

(9)

A P O´Brien

P J Scallan

200/1

3

1 1/2

Ballingarry

(2)

A P O´Brien

J A Heffernan

12/1

4

hd

Nysaean

(1)

R Hannon

R Hughes

25/1

5

1 1/2

Balakheri

(7)

Sir Michael Stoute

Pat Eddery

13/2

6

2 1/2

Della Francesca (USA)

(8)

A P O´Brien

C O´Donoghue

40/1

7

nk

In Time´s Eye (GB)

(3)

D K Weld

P J Smullen

15/2

8

10

Jazz Beat

(6)

D K Weld

P Shanahan

33/1

9

4

Princely Venture

(5)

Sir Michael Stoute

K Fallon

20/1

<ハイチャパラル> 牡・3yo 1999年3月1日生まれ 鹿毛
父:サドラーズウェルズ
母:カソラ(ダルシャーン)
通算成績:7戦6勝、2着1回。
主な勝ち鞍:G1愛ダービー、G1英ダービー、G3ダービートライアルS、G1レーシングポストT
もっか6連勝中!
オーナー: Michael Tabor
生産者: S Coughlan
調教師: A P O'Brien

2002/7/2