●1月26日、フロリダから2003年度のエクリプス賞受賞者が発表されました。
本年度から受賞馬の選出方法が少し変わりました。
投票団体は今までと同じ The National Turf Writers Association(全米競馬記者協会),The National Thoroughbred Racing Association(全米競馬協会),Daily Racing Formの3団体なのだが、今年からは個人個人が1位から3位までのノミネート馬(者)を記入し、1位:10、2位:5、3位:1のポイントで選ばれることになりました。
本年度の有効投票数は248票。
見事年度代表馬に輝いたのはマインシャフト(4yo・牡)。得票数は209票で2位のコンガリー(11票)に大差を付ける形となりました。
エクリプス賞(Eclipse AWARDS) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
Horse of the year & Older colt, horse or gelding (年度代表馬・最優秀古牡・セン馬) |
Mineshaft 牡・4yo | マインシャフト(4yo 牡 黒鹿毛 1999年5月17日生まれ) 父:A.P.インディー 母:プロスペクターズデライト(ミスタープロスペクター) 2003年度戦績:9戦7勝、2着2回 獲得賞金額:220万9686ドル 主な勝ち鞍:G1ジョッキークラブGC、G1ピムリコスペシャルH、G1サバーバンH、G1ウッドワードS ●2002年、3yoで英国においてデビューした同馬は7走したが、やっとこさ未勝利戦を勝てたくらいの一介の条件馬だった。 が、終盤に米国に遠征し2戦続けてオープン戦に勝ち素質を見せ始めた。 4yoになり、米国に移籍すると、無敵の強さを発揮。 まあ、父がA.P.インディーで母父がミスタープロスペクターだから、バリバリの米国血統であり、ダートで走るのは当たり前と言える。 しかも母のプロスペクターズデライトはエイコーンSの勝ち馬。 2003年は9戦7勝2着2回にほぼパーフェクトな成績。 獲得賞金額は220万9686ドル。 先行して突き放すという、いかにもA.P.インディー産駒らしい強い勝ち方で、サバーバンH、ウッドワードS、ジョッキークラブGCのG1レース3戦をブッコ抜いた。 これで2003年のBCクラシックは決まりと思った矢先に脚の怪我で引退してしまった。 通算18戦10勝。来年からレーンズエンドファームで種牡馬として繋養されるが、種付け料は10万ドルだそうです。 さすが良血馬ですな〜。 |
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Two-year-old colt or gelding (最優秀2yo牡・セン馬) |
Action This Day 牡・2yo | アクションディスデイ(2yo 牡 鹿毛 2001年2月19日生まれ) 父:クリスS 母:ナジェカム(トレンポリーノ) 2003年度戦績:3戦2勝、2着1回 主な勝ち鞍:G1BCジュヴェナイル ●BCジュベナイルに優勝したアクションディスデイが下馬評通りに受賞した。 同馬は2002年のキーンランド7月の1yo馬セールで15万ドルというリーズナブルな価格で購入されている。 セリの平均値が48万ドルだったことを考慮すればかなりのバーゲン価格だ。 それもそのはずで、上の兄姉が両方合わせて1勝というかなり地味な存在だった。 兄は15万5千ドル、姉は15万ドルで買われている。 しかし、弟は立派だった。 2003年は3戦2勝の成績を上げて獲得賞金は81万7200ドル!すでに元が取れている。 父クリスSはシンボリクリスエスでお馴染み。母父はシャーペンアップ系のトレンポリーノ。 血統から見れば芝向き。その為か上の兄弟は英国で走っている。 |
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Two-year-old filly (最優秀2yo牝馬) |
Halfbridled 牝・2yo | ハーフブライドルド(2yo 牝 黒鹿毛 2001年2月1日生まれ) 父:アンブライドルド 母:ハーフクイーン(ディピュティーミニスター) 2003年度戦績:4戦4勝 獲得賞金額:84万9400ドル 主な勝ち鞍:G1BCジュベナイルF、G1デルマーデビュタントS ●BCジュベナイルFに楽勝し、2003年は4戦4勝で付けた着差が合計で16馬身1/2。 父アンブライドルドは名種牡馬。母ハーフクイーンは6戦1勝。 同馬は初子となる。 文句無しの選出だろう。鞍上のJ.クローン騎手は初めてのBC勝ちをこの馬で達成した。 |
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Three-year-old filly (最優秀3yo牝馬) |
Bird Town 牝・3yo | バードタウン(3yo 牝 鹿毛 2000年4月11日生まれ) 父:ケープタウン 母:ディアーバーディー(ストームバード) 2003年度戦績:8戦3勝、2着4回 獲得賞金額:81万5976ドル 主な勝ち鞍:G1ケンタッキーオークス、G1エイコーンS ●牝馬2冠を制した(現在ではマザーグースS、エイコーンS、CCAオークスの従来のNY3冠に加えてケンタッキーオークスも同等の価値がある)同馬がG1アシュランドS優勝・BCディスタフ2着のエローラヴやBCマイルを快勝したシックスパーフェクションズを抑えて受賞した。 票差の2と言うのが、このカテゴリーの混戦さを表していると思う。 母からは活躍馬は出ていなかったが、同馬がG1を2勝、弟のバードストーンがG1シャンパンSに勝つなど爆発している。 |
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Older filly or mare (最優秀古牝馬) |
Azeri 牝・5yo | アゼリ(5yo 牝 栗毛 1998年5月6日生まれ) 父:ジェイドハンター 母:ゾディアックミス(アホヌーラ) 2003年度戦績:5戦4勝、2着1回(繰り上がり) 獲得賞金額:81万7080ドル 主な勝ち鞍:G1アップルブロッサムH、G1ヴァニティーH、G1ミラディーBCH、G2クレメントL.ハーシュH ●2002年度の年度代表馬・最優秀古牝馬受賞馬のアゼリが2年連続でこのタイトルを獲得した。 2003年は9月28日のG2レディーズシークレットBCHで繰り上がりの2着に敗れるまで重賞11連勝を達成し米国記録を塗り替えた。 それ以降、軽い怪我のため出走していなかったが、G1BCディスタフの優勝馬アドレーションやG1に4連勝したサイトシークらを破って受賞した。 通算成績16戦14勝、2着2回。 同馬は2004年も現役続行の予定である! |
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three-old colt or gelding (最優秀3yo牡・セン馬) |
Funny Cide セン・3yo | ファニーサイド(3yo セン馬 栗毛 2000年4月20日生まれ) 父:ディストーデッドヒューモアー 母:ベルズグッドサイド(スルーアサイド) 2003年度戦績:8戦2勝、2着2回 獲得賞金額:196万3200ドル 主な勝ち鞍:G1ケンタッキーダービー、G1プリークネスS ●ケンタッキーダービー、プリークネスSの2冠を制した同馬が当然のように受賞した。 2003年度はこの2勝しか上げて居らず、終盤戦で惨敗が続いたので強烈な印象は薄らいでいた。 まあ、この馬はそんなことよりも、シンデレラストーリーの方が有名になった。 22000ドルで買われた安馬がアメリカンドリームを達成、しかもオーナーは片田舎の仲良しグループ。 現代のシービスケットと言うか、ほのぼのとした環境には好感が持てる。 因みにファンが選ぶ最も印象に残った瞬間(モーメントオブザイヤー)には同馬のG1ケンタッキーダービーが選ばれている。 ファニーサイドの父はフォーティナイナー系のディストーテッドヒューモアー。 母父はシアトルスルー系のスルーアサイド。 ハッキリ言って地味ーな血統です。母ベルズグッドサイドは26戦2勝。 因みに妹のロックサイドは3万ドルで買われている。 |
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Sprinter (最優秀スプリンター) |
Aldebaran 牡・5yo | アルデバラン(5yo 牡馬 鹿毛 1998年2月27日生まれ) 父:ミスタープロスペクター 母:チャイムズオブフリーダム(プライベートアカウント) 2003年度戦績:8戦5勝、2着1回。 獲得賞金額:111万606ドル 主な勝ち鞍:G1メトロポリタンH、G1フォアゴーH、G1サンカルロスH、G2チャーチルダウンズH、G2トムフールH ●BCスプリント優勝馬のケージャンビート、G1に3勝しているコンガリーとの接戦が予想されたこの部門。 ダブルスコアを付けて同馬が受賞した。 2002年は8戦して2着が6回もあったというイマイチ君だったのだが、2003年は見事に素質が開花。 また、管理するR.フランケル師は9FのG1SFHに挑戦させてパーフェクトドリフトの3着に来させるなど、可能性を模索した。 スプリンターなんだけど、どっちかというとマイル寄りで、7Fを最も得意とする。 母は欧州で活躍した馬で英仏でチャンピオン3yo牝馬に選ばれている。 兄のグッドジャーニー(父ヌレイエフ)は芝馬。 マイルを得意としカナダG1アットマイルS、G2サイテーションHに優勝。 G1BCマイルで3着に入っている。 |
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Male turf horse (最優秀芝牡馬) |
High Chaparral 牡・4yo | ハイチャパラル(4yo 牡 鹿毛 1999年3月1日生まれ) 父:サドラーズウェルズ 母:カソーラ(ダルシャーン) 2003年度戦績:4戦3勝 主な勝ち鞍:G1BCターフ、G1愛チャンピオンS 獲得賞金額:171万7124ドル ●まさか、この馬が獲るとは思わなかった。 G1BCターフ2連覇の威光か!? 同着だったジョハールはBCターフ一発だけという印象が強すぎたし(JCで上位に入ってれば変わったかも) 欧州チャンピオンに選ばれたファルブラヴはBCターフで優勝できなかったことが響いたのか・・・。 ノミネートさえされてないしね〜。 北米で活躍したストーミングホームはG1アーリントンミリオンで斜行して、せっかくの優勝をフイにしたし・・・。 消去法で行けばハイチャパラルになってしまうのかな〜。 北米以外での戦績も考慮しての選定だとしても4戦しかしてないんじゃ納得できない選出だ。 エクリプス賞がM.テーバー&J.マグネアー軍団に侵されていると思いたくはない。 が、欧州最大のお客さんに対してのごますりに思えるのは私だけだろうか。 |
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Female turf horse (最優秀芝牝馬) |
Islington 牝・4yo | イズリングトン(4yo 牝 鹿毛 1999年2月12日生まれ) 父:サドラーズウェルズ 母:ヘレニック(ダルシャーン) 2003年度戦績:6戦2勝 獲得賞金額:95万5142ドル 主な勝ち鞍:G1BCフィリー&メアターフ、G1ヨークシャーオークス ●G1BCフィリー&メアターフを1分59秒13のレコード勝ちしたのが大きく受賞に貢献したものと思われる。 G1レース2勝のヒートヘイズに16票差ついたのはそこら辺が原因であるな、多分。 G1BCマイルに快勝し、G1ムーランドロンシャン賞に優勝しているシックスパーフェクションズに優っている点は、イズリングトンが欧州ではチャンピオン級の牡馬と戦っていたことであろう。 G1プリンスオブウェールズSでネイエフの3着。G1愛チャンピオンSでハイチャパラルの3着。 JCこそ馬場に苦しみ惨敗してしまったが、女傑としての名を落とすことはなかった。 今年から繁殖生活にはいるが、初年度の相手はレインボークエストだと言うことだ。 尚、母もG1ヨークシャーオークスに勝ち、G1セントレジャーでも2着に入った女傑。 |
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Steeplechaser (最優秀障害馬) |
McDynamo セン・6yo | マクダイナモ(6yo セン馬 鹿毛 1997年4月6日生まれ) 父:ダイナフォーマー 母:ロンドニア(モントヴェルディ) 2003年度戦績:3戦3勝 獲得賞金額:25万2025ドル 主な勝ち鞍:G1BCスティープルチェイスS、G1ロイヤルチェイスフォーザスポーツオブキングハードルS、G1コロニアルCハードルS ●主要なG1レースを3つブッコ抜いて見事受賞。中盤から先頭に立ってそのままゴールするという勝ち方で圧倒。 3レースの合計着差が26馬身もある。 |
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Outstanding Breeder (最優秀生産者) & Outstanding Owner (最優秀オーナー) |
Juddmonte Farms | ジャドモントファームズ ●1995、2001、2002、に引き続き4度目の最優秀生産者賞を受賞。 最優秀オーナー賞は1992年以来2回目の受賞であった。 オーナー賞での獲得票は102票。 勝ち鞍・賞金額共に全米首位のマイケル・ギル氏(51票)を抑えて受賞した。 生産者賞は171票を獲得し2位のアデナスプリングス(獲得賞金で首位・36票)に大差を付けた。 2003年度、オーナーとして122回の出走で33勝を上げて626万5030ドルを獲得している。 これは全米第3位。 所有馬にはファニーサイドの3冠を阻止したエンパイアメーカーやG1を4勝したサイトシークらがいる エトワールモンタント、ブライアンボルー、アメリカンポスト、オアシスドリーム、ネブラスカトルネード、スリーヴァレーズらもジャドモントファームズの所有馬。 |
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Outstanding Trainer (最優秀調教師) |
Robert Frankel | R.フランケル師 ●2000年から4年連続で受賞。獲得票は193票。 BCデイに4勝を上げたR.マンデラ師(44票)に大差を付けてこの賞を獲得した。 2002年のR.フランケル師は凄かった! 60個ものステークス勝ちを手にし1774万8340ドルの賞金を手に入れた。勝率も24%。そしてエクリプス賞も受賞した。 そして2003年を迎えたわけであるが・・・。 なんとまあ、2002年度を大きく上まわる大記録を樹立してしまった。 54のステークス勝ちを記録し、そのうちG1レースに25勝という世界記録をうち立てた。 獲得賞金額の1914万3289ドルも全米記録。 管理馬のアルデバラン、エンパイアメーカー、ヒートヘイズ、メダーリアドーロ、サイトシークらがエクリプス賞にノミネートされアルデバランが見事受賞した。 |
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Outstanding Jockey (最優秀騎手) |
Jerry Bailey | J.ベイリー騎手 ●自身7度目の受賞! 獲得票211。2位のP.ヴァレンズエラ騎手は17票。 年間ステークス勝ち70勝は全米記録。獲得賞金額は2335万4960ドルに達した。 14度目のBC勝利をシックスパーフェクションズで獲得。 彼の凄いところは、騎乗数が少ないに関わらずこの様な記録をうち立てたことだろう。 騎乗数の776と言うのはE.プラード騎手の1478回の半分だし、勝利数の206勝はJ.ヴェラスケス騎手の306勝に比べて100も少ない。 2000年から4年連続のエクリプス賞受賞は伊達ではない。 名将R.フランケル師とのコンビで2004年も大活躍するであろう。 |
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Outstanding Apprentice (最優秀見習い騎手) |
Eddie Castro | E.キャステロ騎手 ●獲得票147票。 2位のR.フォゲルソンガー騎手の52票に大差を付けた。 2003年度の戦績は1256回騎乗で242勝(2位)。獲得賞金額は393万1877ドル(2位)。 パナマのロスサントスで働いていた頃、彼は一大決心をする。 電気技師となるべくこのまま夜学に通うべきか、それとも騎手として打ち込むためにアメリカに行くべきか。 18歳の彼は騎手としての道を選び、2003年度の最優秀見習い騎手賞を獲得した。 『とにかく一生懸命に働く子だった。』と彼の代理人であり元騎手のM.ゴンザレス氏は言う。 『微笑みながら毎日厩舎に来ては仕事をしていたよ。あまりにも熱心なのでもういいよとは言えなかった。』 キャステロ騎手がプロデビューしたのはパナマの騎手学校を卒業した後のことだった。 初勝利は2002年12月6日。36勝をあげてリーディングジョッキーのタイトルを獲った。 2003年の4月に米国に移住しデビュー戦は4月16日のガルフストリーム競馬場。 8月には3つのステークスレースに優勝した。その開催のリーディング2位につける活躍をした。 |
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Eclipse AWARD of Merit (功労賞) |
リチャード・ダチョソワ氏 | アーリントン競馬場前オーナー。 1989年の特別賞に続く2度目の受賞。 |